fc2ブログ
平成21年度 行政書士試験 問題27は、「代理」に関する正誤問題でした。

正解肢は、基礎知識を問うものであり、得点すべきでした。

なお、肢5は、判例と学説との争いがあります。
行政書士試験に限らず、法律系資格試験の書籍は、判例を軽視しがちなような気がします。
しかし、実務は、判例で動いていますので、判例の立場をきちんと書いていないもの (たとえば、民法101条を挙げていないもの)は、失格です。
過去問の選択の際には、参考にしてください。

では、平成21年度 行政書士試験 問題27の解答解説を載せておきます。





問題27 代理に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

1 Aは留守中の財産の管理につき単に妻Bに任せるといって海外へ単身赴任したところ、BがAの現金をA名義の定期預金としたときは、代理権の範囲外の行為に当たり、その効果はAに帰属しない。

2 未成年者Aが相続により建物を取得した後に、Aの法定代理人である母Bが、自分が金融業者Cから金銭を借りる際に、Aを代理して行ったCとの間の当該建物への抵当権設定契約は、自己契約に該当しないので、その効果はAに帰属する。

3 A所有の建物を売却する代理権をAから与えられたBが、自らその買主となった場合に、そのままBが移転登記を済ませてしまったときには、AB間の売買契約について、Aに効果が帰属する。

4 建物を購入する代理権をAから与えられたBが、Cから建物を買った場合に、Bが未成年者であったときでも、Aは、Bの未成年であることを理由にした売買契約の取消しをCに主張することはできない。

5 Aの代理人Bが、Cを騙してC所有の建物を安い値で買った場合、AがBの欺罔行為につき善意無過失であったときには、B自身の欺罔行為なので、CはBの詐欺を理由にした売買契約の取消しをAに主張することはできない。









問題27 正解 4
1 妥当でない
 Aは、留守中の財産の管理につき、単にBに任せるといって海外へ単身赴任しているため、代理人の権限を定めていない。そこで、A所有の現金をA名義の定期預金とした行為 (以下「本件行為」という。) が、Bの代理権の範囲内の行為であるか否かが問題となる。
 この点、民法103条は、権限の定めのない代理人は、①保存行為、②代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為のみをする権限を有すると規定している。ここに「利用を目的とする行為」とは、財産について収益を図る行為をいう。
これを本肢にあてはめると、本件行為は、財産について収益を図る行為に当たるから、Bの代理権の範囲内の行為に当たる。
 よって、本件行為は、代理権の範囲内の行為に当たるから、Aにその効果が帰属する。

2 妥当でない
 Aの法定代理人であるBは、自分がCから金銭を借りる際に、Aを代理してA所有の建物に抵当権を設定する契約をしている。そこで、当該契約は、民法826条の規定する利益相反行為に当たるか否かが問題となる。
 この点、判例 (最判昭和37年10月2日) は、「親権者が子の法定代理人として、子の名において金員を借受け、その債務につき子の所有不動産の上に抵当権を設定することは、仮に借受金を親権者自身の用途に充当する意図であつても、かかる意図のあることのみでは、民法826条所定の利益相反する行為とはいえないから、子に対して有効であり、これに反し、親権者自身が金員を借受けるに当り、右債務につき子の所有不動産の上に抵当権を設定することは、仮に右借受金を子の養育費に充当する意図であつたとしても、同法条所定の利益相反する行為に当るから、子に対しては無効であると解すべきである。」とした。
 これを本肢にあてはめると、Aの法定代理人であるBがCから金銭を借りる際に、Aを代理してA所有の建物に抵当権を設定する契約は、利益相反行為に当たる。
 よって、Bがした抵当権設定行為は、代理権の範囲外の行為に当たり、無権代理行為であるから、Aにその効果は帰属しない。

3 妥当でない
 Aから、A所有の建物を売却する代理権を与えられたBが、自らその買主となり、その移転登記も済ませてしまった場合、AB間の売買契約は、自己契約 (民法108条) に当たる。
 よって、A所有の建物を売却する行為は、自己契約に当たり、無権代理行為であるから、Aにその効果は帰属しない。

4 妥当である
 Aは、代理人Bが未成年であることを理由に、建物の売買契約の取消しをしようとしている。そこで、代理人のした代理行為について制限行為能力を理由として取り消すことができるか否かが問題となる。
 この点、民法102条は、「代理人は、行為能力者であることを要しない。」と規定している。本条の趣旨は、代理の効果は、すべて本人に帰属し、代理人には、何らの不利益も生じないことから、代理人の行為能力の有無を問わないこととしている。このため、代理人のした代理行為について制限行為能力を理由として取り消すこともできないと解されている。
 よって、Aは、代理人Bが未成年であることを理由に、建物の売買契約の取消しをCに主張することはできない。

5 妥当でない
 Aの代理人Bが、CをだましてC所有の建物を買ったが、Aは、Bの欺罔行為につき善意無過失である。そこで、この場合においても、Cは、当該契約を取り消すことができるか否かが問題となる。
 この点、判例・学説は、相手方は、本人の知・不知に関係なく、契約を取り消すことができるとしている。
 よって、Cは、Bの詐欺を理由に売買契約の取消しをAに主張することができる。

■ 代理人が詐欺を行った場合の理論構成には、判例と学説で大きな違いがある。判例 (大判明治39年3月31日、大判昭和7年3月5日) は、民法101条を適用し、相手方は、本人の知・不知に関係なく、契約を取り消すことができるとしている。
 これに対して、学説は、同法101条1項の問題ではなく、同法96条1項を適用して、相手方は、本人の知・不知に関係なく、契約を取り消すことができるとしている (同条3項の「第三者」とは、詐欺の事実を知らずに詐欺による法律行為に基づいて取得された権利について、新たな利害関係を有した者をいうと解されているから、本人が当該「第三者」に当たらないことは当然とされる)。
 なお、民法96条2項の規定する第三者の詐欺も問題とならない。なぜなら、代理においては、本人は、代理人の法律行為の効果を受ける地位にあるから、代理人の詐欺は、相手方にとって第三者の詐欺というべきではないからである。

ブログランキングに参加しています。よろしければ、ポチっとお願いします。
人気ブログランキングへ

 

 

 

ホームページ制作会社探しなら【BB Planet.jp】
スポンサーサイト



2009.12.16 Wed l 行政書士試験 平成21年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top

コメント

コメントの投稿












トラックバック

トラックバック URL
http://hiroohirooyagi.blog54.fc2.com/tb.php/666-6ec1f85d
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)