平成20年度 行政書士試験 問題19は、「国家賠償制度」に関する問題でした。国家賠償法は、6条しかありませんが、それを幅広く問う問題で、良問だと思います。
学習された方であれば、選択肢3または5で迷うところでしょう。
学習された方でも、郵便法損害賠償責任免除・制限規定違憲判決 (最大判平成14年9月11日) の結論のみを覚えていらっしゃる方は、痛い目にあいましたね。
やはり判例の学習では、結論を導くための規範やその理由付けをきちんと学ぶようにすることをお勧めします。
では、平成20年度 行政書士試験 問題19の解答解説を載せておきます。
問題19 国家賠償制度に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 違法な行政庁の処分に対し国家賠償請求訴訟を提起して勝訴するためには、あらかじめ当該処分に対して取消訴訟または無効確認訴訟を提起し、取消しないし無効確認の判決を得て、当該処分が違法であることを確定しておかなければならない。
2 国家賠償法は、憲法17条の規定を受けて制定されたものであるので、日本国民と外国人とを区別せずに損害賠償を認めている。
3 国家賠償法は、国または公共団体の損害賠償責任について、補充的に「民法の規定による」としているが、民法典以外の失火責任法’や自動車損害賠償保障法なども、ここにいう「民法の規定」に含まれる。
4 行政事件訴訟法は、行政庁が取消訴訟の対象となる処分をする場合には、当該処分の相手方に対し、取消訴訟と併せて国家賠償法1条に基づいて国家賠償訴訟を提起することができる旨教示する義務を規定している。
5 国家賠償法は、憲法17条の規定を受けて制定されたものであるから、特別法において、公務員の不法行為による国または公共団体の損害賠償責任を免除し、または制限する規定を置くことは憲法違反であり、許されない。
問題19 正解 3
1 誤り。
判例 (最判昭和36年4月21日) は、行政処分が違法であることを理由として国家賠償の請求をするについては、あらかじめ当該行政処分につき取消し又は無効確認の判決を得なければならないものではない、としている。
2 誤り。
国家賠償法6条は、「この法律は、外国人が被害者である場合には、相互の保証があるときに限り、これを適用する。」と規定している (相互保証主義)。
3 正しい。
判例 (最判昭和53年7月17日)は、失火ノ責任ニ関スル法律は、失火者の責任条件について民法709条の特則を規定したものであり、国家賠償法4条の「民法」に含まれると解すべきであるから、公権力の行使に当たる公務員の失火による国又は公共団体の損害賠償責任については、当該公務員に重大な過失があることを必要とする、としている。
また、判例 (東京地判昭和44年4月16日) は、自動車の運行によって他人の生命または身体を害したときは、その運行が公権力の行使にあたる場合であっても、被告県は自動車損害賠償保障法3条所定の運行供用者として、原告らの被った損害の賠償責任がある、としている。
4 誤り。
選択肢のような規定は存在しない。
なお、行政事件訴訟法46条1項は、行政庁は、取消訴訟を提起することができる処分をする場合には、当該処分の相手方に対し、当該処分に係る取消訴訟の被告とすべき者、当該処分又は裁決に係る取消訴訟の出訴期間、及び法律に当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨の定めがあるときは、その旨を書面で教示しなければならない、としている。
5 誤り。
国家賠償法は、国の賠償責任に関する一般法であり、他に特別の定めがある場合は、当該定めが国家賠償法に対して優先適用される (同法5条)。したがって、特別法において、国家賠償法と異なる規定を置いたとしても、直ちに違憲となるものではない。
問題は、特別法において、公務員の不法行為による国または公共団体の損害賠償責任を免除し、または制限する規定を置くことの合憲性である。この点について郵便法損害賠償責任免除・制限規定違憲判決 (最大判平成14年9月11日) は、公務員の不法行為による国又は公共団体の損害賠償責任を免除し、又は制限する法律の規定が憲法17条に適合するものとして是認されるものであるかどうかは、当該行為の態様、これによって侵害される法的利益の種類及び侵害の程度、免責又は責任制限の範囲及び程度等に応じ、当該規定の目的の正当性並びにその目的達成の手段として免責又は責任制限を認めることの合理性及び必要性を総合的に考慮して判断すべきであるとした上で、書留郵便物について、郵便の業務に従事する者が軽過失による不法行為に基づき損害を生じさせたにとどまる場合に、国家賠償法に基づく国の損害賠償責任を免除し、又は制限する郵便法の規定は、憲法17条に違反するものではないとしている。
なお、本判例は、書留郵便物について、郵便の業務に従事する者が故意又は重過失による不法行為に基づき損害を生じさせた場合についてまで国家賠償法に基づく国の損害賠償責任を免除し、又は制限する郵便法の規定は、憲法17条に違反するとした。また、特別送達郵便物について、郵便の業務に従事する者が故意又は過失による不法行為に基づき損害を生じさせた場合に、国家賠償法に基づく国の損害賠償責任を免除し、又は制限している郵便法の規定についても、憲法17条に違反するとした。
ブログランキングに参加しています。よろしければ、ポチっとお願いします。
学習された方であれば、選択肢3または5で迷うところでしょう。
学習された方でも、郵便法損害賠償責任免除・制限規定違憲判決 (最大判平成14年9月11日) の結論のみを覚えていらっしゃる方は、痛い目にあいましたね。
やはり判例の学習では、結論を導くための規範やその理由付けをきちんと学ぶようにすることをお勧めします。
では、平成20年度 行政書士試験 問題19の解答解説を載せておきます。
問題19 国家賠償制度に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 違法な行政庁の処分に対し国家賠償請求訴訟を提起して勝訴するためには、あらかじめ当該処分に対して取消訴訟または無効確認訴訟を提起し、取消しないし無効確認の判決を得て、当該処分が違法であることを確定しておかなければならない。
2 国家賠償法は、憲法17条の規定を受けて制定されたものであるので、日本国民と外国人とを区別せずに損害賠償を認めている。
3 国家賠償法は、国または公共団体の損害賠償責任について、補充的に「民法の規定による」としているが、民法典以外の失火責任法’や自動車損害賠償保障法なども、ここにいう「民法の規定」に含まれる。
4 行政事件訴訟法は、行政庁が取消訴訟の対象となる処分をする場合には、当該処分の相手方に対し、取消訴訟と併せて国家賠償法1条に基づいて国家賠償訴訟を提起することができる旨教示する義務を規定している。
5 国家賠償法は、憲法17条の規定を受けて制定されたものであるから、特別法において、公務員の不法行為による国または公共団体の損害賠償責任を免除し、または制限する規定を置くことは憲法違反であり、許されない。
問題19 正解 3
1 誤り。
判例 (最判昭和36年4月21日) は、行政処分が違法であることを理由として国家賠償の請求をするについては、あらかじめ当該行政処分につき取消し又は無効確認の判決を得なければならないものではない、としている。
2 誤り。
国家賠償法6条は、「この法律は、外国人が被害者である場合には、相互の保証があるときに限り、これを適用する。」と規定している (相互保証主義)。
3 正しい。
判例 (最判昭和53年7月17日)は、失火ノ責任ニ関スル法律は、失火者の責任条件について民法709条の特則を規定したものであり、国家賠償法4条の「民法」に含まれると解すべきであるから、公権力の行使に当たる公務員の失火による国又は公共団体の損害賠償責任については、当該公務員に重大な過失があることを必要とする、としている。
また、判例 (東京地判昭和44年4月16日) は、自動車の運行によって他人の生命または身体を害したときは、その運行が公権力の行使にあたる場合であっても、被告県は自動車損害賠償保障法3条所定の運行供用者として、原告らの被った損害の賠償責任がある、としている。
4 誤り。
選択肢のような規定は存在しない。
なお、行政事件訴訟法46条1項は、行政庁は、取消訴訟を提起することができる処分をする場合には、当該処分の相手方に対し、当該処分に係る取消訴訟の被告とすべき者、当該処分又は裁決に係る取消訴訟の出訴期間、及び法律に当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨の定めがあるときは、その旨を書面で教示しなければならない、としている。
5 誤り。
国家賠償法は、国の賠償責任に関する一般法であり、他に特別の定めがある場合は、当該定めが国家賠償法に対して優先適用される (同法5条)。したがって、特別法において、国家賠償法と異なる規定を置いたとしても、直ちに違憲となるものではない。
問題は、特別法において、公務員の不法行為による国または公共団体の損害賠償責任を免除し、または制限する規定を置くことの合憲性である。この点について郵便法損害賠償責任免除・制限規定違憲判決 (最大判平成14年9月11日) は、公務員の不法行為による国又は公共団体の損害賠償責任を免除し、又は制限する法律の規定が憲法17条に適合するものとして是認されるものであるかどうかは、当該行為の態様、これによって侵害される法的利益の種類及び侵害の程度、免責又は責任制限の範囲及び程度等に応じ、当該規定の目的の正当性並びにその目的達成の手段として免責又は責任制限を認めることの合理性及び必要性を総合的に考慮して判断すべきであるとした上で、書留郵便物について、郵便の業務に従事する者が軽過失による不法行為に基づき損害を生じさせたにとどまる場合に、国家賠償法に基づく国の損害賠償責任を免除し、又は制限する郵便法の規定は、憲法17条に違反するものではないとしている。
なお、本判例は、書留郵便物について、郵便の業務に従事する者が故意又は重過失による不法行為に基づき損害を生じさせた場合についてまで国家賠償法に基づく国の損害賠償責任を免除し、又は制限する郵便法の規定は、憲法17条に違反するとした。また、特別送達郵便物について、郵便の業務に従事する者が故意又は過失による不法行為に基づき損害を生じさせた場合に、国家賠償法に基づく国の損害賠償責任を免除し、又は制限している郵便法の規定についても、憲法17条に違反するとした。
ブログランキングに参加しています。よろしければ、ポチっとお願いします。

![ZAITEN (財界展望) 2009年 03月号 [雑誌]](http://images.amazon.com/images/P/B001Q8V7J8.09.TZZZZZZZ.jpg)