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平成18年度 行政書士試験 問題22は、「条例制定権の限界」に関する問題でした。

本問題が出題された当時、選択肢1の判例を知っていた方は少なかったですし、選択肢4の条例で執行罰を設けることが許されるかという論点を知っていた方も少なかったので、難しい問題の部類に入るかと思います。
なお、選択肢4の知識については、平成19年度の行政書士試験においても出題されているので、現在では、受験生の常識になっていますけどね。

やはりというべきか、この当時の解答解説を見ると、選択肢4の解説を書いていないものが多数ありました。

では、平成18年度 行政書士試験 問題22の解答解説を載せておきます。




問題22 条例制定権の限界に関する次の記述のうち、法令および最高裁判所の判例に照らして、妥当なものはどれか。

1 河川法の適用されない普通河川の管理について、条例により河川法が同法の適用される河川等について定めるところ以上に強力な規制をすることは許されない。

2 財産権の行使については国の法律によって統一的に規制しようとするのが憲法29条2項の趣旨であるから、条例による財産権規制は、法律の特別な授権がある場合に限られる。

3 条例によって健全な風俗を害する行為を規制することは許されるが、規制の程度、態様等によっては、他の地方公共団体との関係で平等原則違反が問題になる。

4 故意に一定以上の騒音を発する者に対し、条例で騒音を発する行為の中止を命じる規定を設けた場合、併せて一定額の過料を課すことを通告して義務の履行を促すことができる。

5 条例によって地方公共の安寧と秩序を維持する規制を行うことは許されるが、国の法令による規制とその目的が同一であったり、部分的に共通するような規制を行うことは許されない。









問題22 正解 1
1 妥当である
 最高裁判所の判例 (最判昭和53年12月21日) は、「河川の管理について一般的な定めをした法律として河川法が存在すること、しかも、同法の適用も準用もない普通河川であつても、同法の定めるところと同程度の河川管理を行う必要が生じたときは、いつでも適用河川又は準用河川として指定することにより同法の適用又は準用の対象とする途が開かれていることにかんがみると、河川法は、普通河川については、適用河川又は準用河川に対する管理以上に強力な河川管理は施さない趣旨であると解されるから、普通地方公共団体が条例をもつて普通河川の管理に関する定めをするについても……、河川法が適用河川等について定めるところ以上に強力な河川管理の定めをすることは、同法に違反し、許されないものといわなければならない。」と判示した。

2 妥当でない
 憲法29条2項は、「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、『法律』でこれを定める。」と規定していることから、条例により財産権を規制する場合には、法律の特別な授権がなければならないか否かが問題となる。
 この点、多数説は、条例は、公選の議員をもって組織する地方公共団体の議会の議決を経て制定される自治立法であって、行政府の制定する命令等とは性質を異にし、むしろ国民の公選した議員をもって組織する国会の議決を経て制定される法律に類するものである (いわゆる条例準法律説) から、法律の特別な授権がなくとも、条例によって財産権を規制することが許されるとする。
 なお、最高裁判所の判例 (最大判昭和38年6月26日―奈良県ため池条例事件判決) は、「ため池の破損、決かいの原因となるため池の堤とうの使用行為は、憲法でも、民法でも適法な財産権の行使として保障されていないものであつて、憲法、民法の保障する財産権の行使の埒外 (らちがい) にあるものというべく、従つて、これらの行為を条例をもつて禁止、処罰しても憲法および法律に牴触またはこれを逸脱するものとはいえない」と判示しており、本判例は、上記多数説の結論を承認するものであると解されている。

3 妥当でない
 最高裁判所の判例 (最大判昭和33年10年15日) は、「憲法が各地方公共団体の条例制定権を認める以上、地域によつて差別を生ずることは当然に予期されることであるから、かかる差別は憲法みずから容認するところであると解すべきである。それ故、地方公共団体が売春の取締について各別に条例を制定する結果、その取扱に差別を生ずることがあつても、所論のように地域差の故をもつて違憲ということはできない。」と判示した。

4 妥当でない
 執行罰とは、行政上の義務の履行確保の制度であり、行政上の義務の不履行に対して、一定額の過料を課すことを通告して間接的に義務の履行を促し、なお義務を履行しないときは、これを強制的に徴収するものをいう。この執行罰を設けるには、法律上の根拠が必要であるという点について争いはない。
 問題となるのは、法律ではなく、条例によって執行罰を定めることができるか否かである。
 この点、多数説は、条例によって執行罰を定めることはできないと解している。なぜなら、行政代執行法1条は、「行政上の義務の履行確保に関しては、別に法律で定めるものを除いては、この法律の定めるところによる。」と規定し、行政上の義務の履行確保に関して法律に基づくことを定めており、ここにいう「法律」には、条例は含まれないと解されている (同法2条は、「法律 (法律の委任に基く命令、規則及び条例を含む。以下同じ。) により直接に命ぜられ、又は法律に基き行政庁により命ぜられた行為 (他人が代つてなすことのできる行為に限る。) について義務者がこれを履行しない場合、他の手段によつてその履行を確保することが困難であり、且つその不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、当該行政庁は、自ら義務者のなすべき行為をなし、又は第三者をしてこれをなさしめ、その費用を義務者から徴収することができる。」と規定しており、仮に、同法1条の「法律」に「条例」を含むのであれば、同法2条において「法律」に条例を含むと断る必要はないから、同法1条の「法律」には、条例は含まれないと解されている。) からである。
 したがって、「故意に一定以上の騒音を発する者に対し、条例で……一定額の過料を課すことを通告して義務の履行を促すことができる。」との記述は妥当でない。

5 妥当でない
 最高裁判所の判例 (最大判昭和50年9月10日) は、「地方自治法14条1項は、普通地方公共団体は法令に違反しない限りにおいて同法2条2項の事務に関し条例を制定することができる、と規定しているから、普通地方公共団体の制定する条例が国の法令に違反する場合には効力を有しないことは明らかであるが、条例が国の法令に違反するかどうかは、両者の対象事項と規定文言を対比するのみでなく、それぞれの趣旨、目的、内容及び効果を比較し、両者の間に矛盾牴触があるかどうかによつてこれを決しなければならない。例えば、……、特定事項についてこれを規律する国の法令と条例とが併存する場合でも、後者が前者とは別の目的に基づく規律を意図するものであり、その適用によつて前者の規定の意図する目的と効果をなんら阻害することがないときや、両者が同一の目的に出たものであつても、国の法令が必ずしもその規定によつて全国的に一律に同一内容の規制を施す趣旨ではなく、それぞれの普通地方公共団体において、その地方の実情に応じて、別段の規制を施すことを容認する趣旨であると解されるときは、国の法令と条例との間にはなんらの矛盾牴触はなく、条例が国の法令に違反する問題は生じえないのである。」と判示した。

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2009.07.22 Wed l 行政書士試験 平成18年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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