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平成19年度 行政書士試験 問題19は、「行政事件訴訟法4条の当事者訴訟」に関する個数問題でした。

当事者訴訟は、新試験制度となった平成12年度試験以降出題されたことがなかったため、結構ビックリしましたが、正解肢は、比較的分かりやすいので得点できたことでしょう。

ただ、設問エについては、機関訴訟であることについて争われている事柄であり、今回、結構深く研究しましたが、まだはっきりと分からない部分です(問題を解くにあたっては、それほど重要でないですから、皆さんは、解答解説をザーと読んで理解されればよいかと思います)。

では、平成19年度 行政書士試験 問題19の解答解説を載せておきます。



問題19 次のア~オの記述のうち、行政事件訴訟法4条の当事者訴訟に当たるものの組合せとして、正しいものはどれか。

ア 土地収用法に基づいて、土地所有者が起業者を被告として提起する損失補償に関する訴え

イ 公職選挙法に基づいて、選挙人または候補者が中央選挙管理会を被告として提起する衆議院議員選挙の効力に関する訴え

ウ 食品衛生法に基づいて、都道府県知事に対して行った飲食店営業許可の申請に対して、相当の期間内に何らの処分も行われない場合に、その不作為の違法確認を求める訴え

エ 地方自治法に基づいて、市町村の境界に係る都道府県知事の裁定に対して関係市町村が提起する訴え

オ 日本国籍を有することの確認の訴え

1 ア・エ
2 ア・オ
3 イ・ウ
4 イ・エ
5 ウ・オ




問題19 正解 2
 行政事件訴訟法4条は、「この法律において『当事者訴訟』とは、当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするもの及び公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟をいう。」と規定している。このうち、本条前段の「当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするもの」は、処分又は裁決という公権力の行使を争うものであり、本来は抗告訴訟として提起されるべきものであるが、立法政策により、法令の規定により形式的に当事者訴訟とされていることから「形式的当事者訴訟」と呼ばれている。また、本条後段の「公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟」は、行政庁の処分その他公権力の行使を争うものでなく (その意味で抗告訴訟の性質を有しない)、現在の公法上の法律関係に関する訴訟であることから「実質的当事者訴訟」と呼ばれている。そして、本条に基づく当事者訴訟は、公法上の法律関係を対象とするものであることから、私法上の法律関係に関する民事訴訟と区別して、「公法上の当事者訴訟」と呼ばれている。

ア 当事者訴訟に当たる
 土地収用法48条1項2号は、権利取得裁決においては、土地又は土地に関する所有権以外の権利に対する損失の補償について裁決しなければならないと規定し、これをうけて、同法133条3項は、収用委員会の裁決のうち損失の補償に関する訴えは、これを提起した者が起業者であるときは土地所有者又は関係人を、土地所有者又は関係人であるときは起業者を、それぞれ被告としなければならないと規定している。
 このように、本選択肢の訴訟は、形式的当事者訴訟である。

イ 当事者訴訟に当たらない
 行政事件訴訟法5条は、「この法律において『民衆訴訟』とは、国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものをいう。」と規定している。
 本選択肢の訴訟 (選挙の効力に関する訴訟 (公職選挙法203条、204条)) は、この民衆訴訟である。
■ 公職選挙法
第203条 (地方公共団体の議会の議員及び長の選挙の効力に関する訴訟)
1 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙において、前条第1項の異議の申出若しくは同条第二項の審査の申立てに対する都道府県の選挙管理委員会の決定又は裁決に不服がある者は、当該都道府県の選挙管理委員会を被告とし、その決定書若しくは裁決書の交付を受けた日又は第215条の規定による告示の日から30日以内に、高等裁判所に訴訟を提起することができる。
2 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙の効力に関する訴訟は、前条第1項又は第2項の規定による異議の申出又は審査の申立てに対する都道府県の選挙管理委員会の決定又は裁決に対してのみ提起することができる。
第204条 (衆議院議員又は参議院議員の選挙の効力に関する訴訟)
 衆議院議員又は参議院議員の選挙において、その選挙の効力に関し異議がある選挙人又は公職の候補者(衆議院小選挙区選出議員の選挙にあつては候補者又は候補者届出政党、衆議院比例代表選出議員の選挙にあつては衆議院名簿届出政党等、参議院比例代表選出議員の選挙にあつては参議院名簿届出政党等又は参議院名簿登載者)は、衆議院(小選挙区選出)議員又は参議院(選挙区選出)議員の選挙にあつては当該都道府県の選挙管理委員会を、衆議院(比例代表選出)議員又は参議院(比例代表選出)議員の選挙にあつては中央選挙管理会を被告とし、当該選挙の日から30日以内に、高等裁判所に訴訟を提起することができる。

ウ 当事者訴訟に当たらない
 行政事件訴訟法3条5項は、「この法律において『不作為の違法確認の訴え』とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいう。」と規定している。
 本選択肢の訴訟は、この不作為の違法確認の訴えである。

エ 当事者訴訟に当たらない
 行政事件訴訟法6条は、「この法律において『機関訴訟』とは、国又は公共団体の機関相互間における権限の存否又はその行使に関する紛争についての訴訟をいう。」と規定している。
 本選択肢の訴訟は、市町村の境界に係る都道府県知事の裁定を争うものであるから「公共団体の機関相互間における権限の行使に関する紛争についての訴訟」に当たるとして、機関訴訟の一つに当たると解されている (多数説)。
■ 地方自治法
第9条
1 市町村の境界に関し争論があるときは、都道府県知事は、関係市町村の申請に基づき、これを第251条の2の規定による調停に付することができる。
2 前項の規定によりすべての関係市町村の申請に基いてなされた調停により市町村の境界が確定しないとき、又は市町村の境界に関し争論がある場合においてすべての関係市町村から裁定を求める旨の申請があるときは、都道府県知事は、関係市町村の境界について裁定することができる。
3から7まで 〔省略〕
8 第2項の規定による都道府県知事の裁定に不服があるときは、関係市町村は、裁定書の交付を受けた日から30日以内に裁判所に出訴することができる。
9から11まで 〔省略〕
■ なお、市町村の境界に関する訴訟 (地方自治法9条8項) は、原告である市町村は機関ではないこと、地方公共団体の存立の基礎に関わるものであるから自治権に関する紛争として主観的訴訟 (主観訴訟) の性質を有すること等を理由に、機関訴訟に当たらないとする見解も存在する。

オ 当事者訴訟に当たる
 日本国籍を有するという現在の公法上の法律関係 (権利義務) に関する訴訟であるから、本選択肢の訴訟は、実質的当事者訴訟に当たる。
 なお、判例 (最判平成9年10月17日) も、日本国籍を有することの確認について、確認訴訟としての公法上の当事者訴訟を認めている。

以上により、当事者訴訟に当たるものは、ア・オであり、正解は2になる。

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2009.04.17 Fri l 行政書士試験 平成19年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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