令和3年度 行政書士試験 お疲れさまでした。
相当数のアクセスをいただいていたので、記述式の採点基準(笠原の考え)を載せておきます。
ただし、時間との関係で、例年の記事を本年度向けに修正しています。
毎年書いていることですが、行政書士試験の合格基準①(=行政書士の業務に関し必要な法令等科目の得点が、満点の50パーセント (122点)以上である者)および合格基準②(=行政書士の業務に関連する一般知識等科目の得点が、満点の40パーセント(24点)以上である者)をクリアされた方で、択一式問題 (=5肢択一式+多肢選択式)だけで180点を超えなかった方は、記述式問題の出来如何になりますね。
記述式問題の採点基準は、公にされていませんが、当方が数年いろいろ試してみた結果や受験生の話を総合すると、キーワードができていれば、点数がもらえる方式(いわゆる「キーワード採点」)になっているように感じます。
また、近年は、択一式問題が難しかったためか、キーワードもそれほど厳格に採点されていないように感じます(注:本年度、予想される採点基準については、後述します。)。
例えば、平成26年度行政書士試験では、事例問題であっても、その問題に合わせて記述することが求められていません(たとえば、「A市議会」とすべきところ「議会」でOK。)。
また、必ずしも法令用語を用いることも要求されていません (たとえば、「指定管理者」とすべきところ、「指定管理団体」でOK!)。
当方の予想する本年度試験の採点基準は、次のとおりです(あくまでも笠原の私見です)
なお、キーワード採点であり、かつ、各キーワードの配点も記述していますので、当方は採点しません(自己採点をお願いします)。
問題44
当方の解答は、「行政指導に該当し、文部科学大臣に対し、中止その他必要な措置をとることを求めることができる。」(45字)です。
このうち、①「行政指導」、②「文部科学大臣」、③「中止その他必要な措置」がキーワードです。
(当方だったら、①6点、②6点、③8点を振りますね。)
なお、③ですが、勧告の中止だけでなく、勧告する要件を具備していなかった旨の公表等も考えられることから、「中止」のみでは、厳しいかなぁと思います(本年度は、択一式問題の難易度が低下した感じがしますので、記述式問題の採点は厳しくなることが予想されます。)
問題45
当方の解答は、、「Cが本件代金債権に譲渡制限がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった場合。」(43 字)です。
このうち、①「C」、②「本件代金債権に譲渡制限がされたことを知り」、③「重大な過失によって知らなかった」がキーワードです。
(当方だったら、①4点、②8点、③8点を振りますね。)
※「本件代金債権」を入れ忘れたら、4点減点かなぁ。
問題46
当方の解答は、「Bが責任を負い、Bが損害の発生を防止するのに必要な注意をした場合はAが責任を負う。」(41 字)です。
このうち、①「B」、②「Bが損害の発生を防止するのに必要な注意をした」、③「A」がキーワードです。
(当方だったら、①6点、②8点、③6点を振りますね。)
※「B」と「A」を逆にしたら、その部分の点数はないでしょうね。
※「Bが責任を負い」の前に、「まず、」等の言葉を入れるかどうかについてですが、当方は、問題文の聞かれ方から(もし、これを尋ねたいのであれば、例えば、「どのような順序で責任を負うか」という風に聞いてくると思います。)、入れなくてもよい(すなわち、キーワードではない)と考えます。同様の考え方から「過失責任」「無過失責任」に言及する必要はないと考えます。そうは言っても、字数オーバーにならないのであれば、「まず、」という言葉を入れておいた方がよいかもしれません。
★ その他の採点基準
■「誤字・脱字」、「字数制限違反」は減点という感じです。
※ 当方が採点基準を設けるとすれば、次のとおりです。
「誤字・脱字」は、一つについて2点減点。
「字数制限違反」は、46字~50字は4点減点、50字を超える場合は10点減点。
なお、文章の最後に付ける句点(=「。」のこと)をつけ忘れた場合は、原則として、誤字・脱字として2点減点になると思います。
45字のマスを目いっぱいに使っていた場合は、その句点を含めて46字として採点するのが常識的でしょうから、4点減点になると思います(この場合は、誤字・脱字としての2点減点は加算されません。)。
■ 余事記載 (=問題文で問われていないことを書くこと)をしていても、部分点はつきます。
ただ、字数との関係で、キーワードを落としてしまうでしょうから、その部分は得点できないことになりますね。
※ 「一つでもキーワードを間違っていると、その問題は、0点とする。」という厳しい採点基準を設けることは理論上可能です。
しかし、記述式問題が40字程度の文章を書かせるようになった平成18年度行政書士試験以降、そのような厳しい基準が設けられたことはありません。
■ 余事記載のうち、キーワードと関連する積極ミスは、そのミスの程度にもよりますが、そのキーワードは0点になると考えます(つまり、誤字のレベルを超えている)。例えば、正答が「家庭裁判所」である場合に、「裁判所」でも点数がもらえるのに、「地方裁判所」と書いたような場合です。
■ 余事記載のうち、キーワードと関連しない積極ミスは、答案の印象を著しく悪くしますが、キーワード採点上、影響しないと考えます。なぜなら、キーワード採点の趣旨は、①時間節約、②採点者ごとのバラツキを抑制することにあると考えられるため、キーワードと関連しない事柄について、採点者の主観を入れたのでは、その趣旨に反するからです。
最も難しいのは、余事記載がキーワードと関連するかどうかの判断です。本試験において、それをどう処理しているのかは不明です(試験委員に問い合わせるという方法は、試験委員の負担もあり、やっていないでしょうから、基本的に、採点者判断となるのかなぁと考えます。)。当方であれば、キーワードを修飾する言葉かどうかという基準で判断します(例えば、義務付けの訴えの要件を問う問題で、「重大な損害を生ずるおそれ」とすべきところを「著しく重大な損害を生ずるおそれ」としたときは、キーワードと関連する積極ミスと判断します。)。
■ 点数は、2点刻みになっているようです。答案用紙の採点欄は、1から10までのマークシートになっていますからね。
★宣伝1★
来年度も、東京法経学院福岡校にて、本科講義を行います。
(令和4年1月30日(日) 10時から)
本科は、全教科をまんべんなく講義します。
初学者を対象としていますが、本年度試験で知識負けしてしまった方は、本科の受講をご検討なさってください。
★宣伝2★
来年度も、東京法経学院福岡校にて、本科を学ばれた方を対象とする中上級者向け答練と詳細な解説講義の講座を行います。
令和4年1月29日(土)から10時から)。
こちらのコースは、行政書士試験の中心となる行政法・民法の答練から始まる答練中心の講座です。
★宣伝3★
来年度も、東京法経学院「通信講座」にて、上記宣伝2と同じ講義(本科を学ばれた方を対象とする中上級者向け答練と詳細な解説講義の講座)を行います。
令和3年12月下旬から問題発送予定です。
来年度、絶対合格したい方は、いずれかのコースに、ぜひご参加ください。
詳細は、次のサイトをご参照ください。
行政書士 2022年度試験向け 受験対策講座
相当数のアクセスをいただいていたので、記述式の採点基準(笠原の考え)を載せておきます。
ただし、時間との関係で、例年の記事を本年度向けに修正しています。
毎年書いていることですが、行政書士試験の合格基準①(=行政書士の業務に関し必要な法令等科目の得点が、満点の50パーセント (122点)以上である者)および合格基準②(=行政書士の業務に関連する一般知識等科目の得点が、満点の40パーセント(24点)以上である者)をクリアされた方で、択一式問題 (=5肢択一式+多肢選択式)だけで180点を超えなかった方は、記述式問題の出来如何になりますね。
記述式問題の採点基準は、公にされていませんが、当方が数年いろいろ試してみた結果や受験生の話を総合すると、キーワードができていれば、点数がもらえる方式(いわゆる「キーワード採点」)になっているように感じます。
また、近年は、択一式問題が難しかったためか、キーワードもそれほど厳格に採点されていないように感じます(注:本年度、予想される採点基準については、後述します。)。
例えば、平成26年度行政書士試験では、事例問題であっても、その問題に合わせて記述することが求められていません(たとえば、「A市議会」とすべきところ「議会」でOK。)。
また、必ずしも法令用語を用いることも要求されていません (たとえば、「指定管理者」とすべきところ、「指定管理団体」でOK!)。
当方の予想する本年度試験の採点基準は、次のとおりです(あくまでも笠原の私見です)
なお、キーワード採点であり、かつ、各キーワードの配点も記述していますので、当方は採点しません(自己採点をお願いします)。
問題44
当方の解答は、「行政指導に該当し、文部科学大臣に対し、中止その他必要な措置をとることを求めることができる。」(45字)です。
このうち、①「行政指導」、②「文部科学大臣」、③「中止その他必要な措置」がキーワードです。
(当方だったら、①6点、②6点、③8点を振りますね。)
なお、③ですが、勧告の中止だけでなく、勧告する要件を具備していなかった旨の公表等も考えられることから、「中止」のみでは、厳しいかなぁと思います(本年度は、択一式問題の難易度が低下した感じがしますので、記述式問題の採点は厳しくなることが予想されます。)
問題45
当方の解答は、、「Cが本件代金債権に譲渡制限がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった場合。」(43 字)です。
このうち、①「C」、②「本件代金債権に譲渡制限がされたことを知り」、③「重大な過失によって知らなかった」がキーワードです。
(当方だったら、①4点、②8点、③8点を振りますね。)
※「本件代金債権」を入れ忘れたら、4点減点かなぁ。
問題46
当方の解答は、「Bが責任を負い、Bが損害の発生を防止するのに必要な注意をした場合はAが責任を負う。」(41 字)です。
このうち、①「B」、②「Bが損害の発生を防止するのに必要な注意をした」、③「A」がキーワードです。
(当方だったら、①6点、②8点、③6点を振りますね。)
※「B」と「A」を逆にしたら、その部分の点数はないでしょうね。
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★ その他の採点基準
■「誤字・脱字」、「字数制限違反」は減点という感じです。
※ 当方が採点基準を設けるとすれば、次のとおりです。
「誤字・脱字」は、一つについて2点減点。
「字数制限違反」は、46字~50字は4点減点、50字を超える場合は10点減点。
なお、文章の最後に付ける句点(=「。」のこと)をつけ忘れた場合は、原則として、誤字・脱字として2点減点になると思います。
45字のマスを目いっぱいに使っていた場合は、その句点を含めて46字として採点するのが常識的でしょうから、4点減点になると思います(この場合は、誤字・脱字としての2点減点は加算されません。)。
■ 余事記載 (=問題文で問われていないことを書くこと)をしていても、部分点はつきます。
ただ、字数との関係で、キーワードを落としてしまうでしょうから、その部分は得点できないことになりますね。
※ 「一つでもキーワードを間違っていると、その問題は、0点とする。」という厳しい採点基準を設けることは理論上可能です。
しかし、記述式問題が40字程度の文章を書かせるようになった平成18年度行政書士試験以降、そのような厳しい基準が設けられたことはありません。
■ 余事記載のうち、キーワードと関連する積極ミスは、そのミスの程度にもよりますが、そのキーワードは0点になると考えます(つまり、誤字のレベルを超えている)。例えば、正答が「家庭裁判所」である場合に、「裁判所」でも点数がもらえるのに、「地方裁判所」と書いたような場合です。
■ 余事記載のうち、キーワードと関連しない積極ミスは、答案の印象を著しく悪くしますが、キーワード採点上、影響しないと考えます。なぜなら、キーワード採点の趣旨は、①時間節約、②採点者ごとのバラツキを抑制することにあると考えられるため、キーワードと関連しない事柄について、採点者の主観を入れたのでは、その趣旨に反するからです。
最も難しいのは、余事記載がキーワードと関連するかどうかの判断です。本試験において、それをどう処理しているのかは不明です(試験委員に問い合わせるという方法は、試験委員の負担もあり、やっていないでしょうから、基本的に、採点者判断となるのかなぁと考えます。)。当方であれば、キーワードを修飾する言葉かどうかという基準で判断します(例えば、義務付けの訴えの要件を問う問題で、「重大な損害を生ずるおそれ」とすべきところを「著しく重大な損害を生ずるおそれ」としたときは、キーワードと関連する積極ミスと判断します。)。
■ 点数は、2点刻みになっているようです。答案用紙の採点欄は、1から10までのマークシートになっていますからね。
★宣伝1★
来年度も、東京法経学院福岡校にて、本科講義を行います。
(令和4年1月30日(日) 10時から)
本科は、全教科をまんべんなく講義します。
初学者を対象としていますが、本年度試験で知識負けしてしまった方は、本科の受講をご検討なさってください。
★宣伝2★
来年度も、東京法経学院福岡校にて、本科を学ばれた方を対象とする中上級者向け答練と詳細な解説講義の講座を行います。
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こちらのコースは、行政書士試験の中心となる行政法・民法の答練から始まる答練中心の講座です。
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詳細は、次のサイトをご参照ください。
行政書士 2022年度試験向け 受験対策講座
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文章の最後に付ける句点の取扱いについては、本文の「字数制限違反」のところに追加記述をしました。
ご参照くださいませ。
本年度合格されることを願っております。
(解説書等を読んでも、判断基準時について記載されたものは見当たりません。
この世界では、「書かれていない」ものは、「法常識・社会通念等により判断しろ!」
ということになりますから、上記のとおり判断することが適切である考えます。
おそらく、試験委員もそのよう考えると思います。
ただし、採点者がそのように考えるかは別ですが・・・。)
『「譲渡された時点で」と余計なことを書いてしまった』とされていますが、
求められる解答との関係でいえば、余事記載であるとはいえ、
採点上、減点される「積極ミス」とは言えないと考えます
(これもまた、当方だったらそうですが、採点者がそのように考えるかは別です。)。
仮に、積極ミスと考えられたとしても、キーワード配点とすれば、
重過失部分に影響はないと考えます。
すなわち、~の場合は、2点、~の場合は4点でという風に、重なることはありません。
したがって、句読点がない→マイナス2点、1文字はみ出した4点が重ねてマイナスされることはないということです。
例えば、44字で書いた方が句点をつけ忘れた場合はマイナス2点(この場合は、脱字としてマイナス2点)
45字で書いた方が句点をつけ忘れた場合はマイナス4点(この場合は、字数オーバーとして4点)となります。
(これは、おっしゃる通り、あくまでも当方の予想ですが・・・)
合格されることを願っております。
「句点をつけろ!」という指示はありませんので、もしそのような採点基準がある年度で採られたなら、
平等性の観点から、毎年、そういう基準になると思いますが、
残念ながら、そういう情報は、当方に入ったことはありません。
問題文では、「なお、字数には、句読点を含む。」としかされていませんので、
せいぜい、句点のつけ忘れは、本文のとおり、①脱字の取扱い、または、②字数制限違反の取扱いが適正だと考えます。
もし、「句点のつけ忘れは、0点」という取扱いするのであれば、きちんと情報 (指示)が与えられるはず(例えば、空欄補充問題を除き、句点は必ず書くこと。)だと考えますがいかがでしょうか。