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本日、行政書士試験の指定試験機関である財団法人行政書士試験研究センター(以下「センター」と略称します。)より、平成29年度行政書士試験合格発表がありました。

受験申込者数 52,214 人(平成28年度試験は53,456人)、受験者総数 40449人(平成28年度試験は41,053人)で、合格者は6,360 人(平成28年度試験は4,084人)、合格率は15.7%(平成28年度試験は9.95%)でした。

例年書いていますが、試験当局は、合格率を8%程度(平成26年度試験において救済措置が発動されたことを考えると、「程度」より、「以上」に近い感じがします。現に、平成28年度試験では、9.95%にしていましたね。) にする意向をもっているようです 。
もっとも、合格率が10%を超えた平成25年度試験後、行政書士のご同輩の方々が、かなり憤っておられたことを覚えていますから、10%以上だとかなり問題になります。

平成29年度行政書士試験については、試験直後、「五肢択一式は,例年より若干易しいように思われますが,多肢選択式の難易度は上がっています。また,一般知識等は,いわゆる知識問題が多く,難易度が若干高くなったように感じます。ですので,合否は,記述式問題の出来如何にかかっています。問題46を完答され,問題44及び問題45において,落としてはならないキーワードを書けた方が合格の栄冠を勝ち取られるのではないでしょうか。」との試験講評を書きましたが、記述式問題の出来が相当良かったのか、大幅に合格率が上昇した感じです。

センター作成に係る記述式問題の解答を検討しました。
問題44については、問題文の「どのような立場」の文言に合わせて解答が作成されており、今後参考にさせていただこうと思いました (当方の解答は、問題文の「提起したものである」の文言に合わせて作成しましたが、センターの解答の方が、より適切な解答であると感じました)

問題45については、予想通りの解答でした。ただ、当方は、「善意無重過失」としたのですが、センターの解答は「善意かつ無重過失」となっており、今後、参考にさせていただこうと思いました。

問題46については、予想通りの解答でした。ただ、問題45と同様に、民法724条の規定には入っていない「または」という文言で連結されており、これも、今後、参考にさせていただこうと思いました。
なお、解答に示された文章の一番最後の「時」は、いただけませんね。
「時」は、時間を示すものであり、ここでは、場合を示す「とき」を用いなければなりません。問題文も、民法724条も、そうなっていますよねぇ。


合格なさった方には、心からおめでとうございますと申し上げます。
努力が実を結びましたね。

開業なさる方は、きちんと計画を立てられた上で、開業準備をなさってください。

なお、昨年度の記事を修正して再度掲載しておきます。

行政書士の主な開業費用 (当方が入会当時)は、次のとおりです。
・登録免許税 3万円
・日本行政書士会連合会登録手数料 2万5000円
・福岡県行政書士会入会金 20万円
・行政書士会会費 2万4000円*
・職印 1万円程度
・その他雑費 1万円程度
・名刺 2000円程度
* 福岡県行政書士会福岡中央支部の場合、月8000円であり、3箇月ごとに3箇月分が徴収されます。内訳は、福岡県行政書士会会費5,500円、福岡県行政書士会福岡中央支部会費2,500円です。なお、福岡県では、最高額であり、他の支部では、支部会費が1,500円程度のところもあります。

このほかに、個人開業の場合、事務所を持たなければなりません。
自宅でも開業できますが、いろいろ条件があります(たとえば、①玄関から台所等の家族の生活空間を通らずに事務所としている部屋まで行ける、②お客様のプライバシーに配慮するため事件簿等の秘密とすべき書類を保管できる鍵付きロッカーがあるなど)。ですので、開業の際は、まず各都道府県の行政書士会に問い合わせをなさった方がよいでしょう。

※以上の詳細については、拙稿「開業ガイダンス」(東京法経学院発刊「不動産法律セミナー 2014年1月号)をご覧ください (アマゾンに中古が数冊ありますね。)。

また、今まで学習なさったことと、実務では大きな違いがありますので、各都道府県の行政書士会やその支部で行われている研修などに参加されるのもよいでしょう。
(福岡では、支部単位でも積極的に研修会を行っていますので、県の行政書士会を通じて、
各支部がどのような研修会を行っているのかを聞いて、訪問されるのもよいでしょう。)

これは、以前書いたことですが、常々、弁護士のような研修制度が必要だと考えています。しかし、営業秘密・顧客秘密を洩らしたくないと思っている会員が多い中で、そのような意見は少数派ですね(上記趣旨を行政書士会で提案したのですが、ある資格学校の講師に猛烈に反対されたのが印象的でしたね。そのとき、「ここは、食うか食われるかの世界なのだ!」と悟りました。)
それ以上に、顧客をつかむ努力は、大変です。
同窓会の幹事になったり、お付き合いの飲み会に自費でたくさん参加したりなど営業努力は並大抵ではありません。

でも、自由業の良さはあります。
自分で時間の設計をでき、執筆、農業、娘との時間を有意義に送っています。
サラリーマンでは、とても困難であり、かつ、許されないことでしょうね。

自由と責任が自由業の本質のようです。


【宣伝】 
平成30年度行政書士試験に向けて、本年度も東京法経学院福岡校にて講義を行っています。
基礎講座は、2月3日(土)10時~からですので、福岡地方にお住いの方で、平成30年度行政書士試験の合格を目指される方は、ぜひご検討ください。
なお、本年度から、福岡校では、中上級講座も開講しています(こちらの講義時間は、日曜日の午後です。17時には終わる予定です。)ので、早くから本試験レベルの問題を解きたい方は、参加を検討なさってください。
東京法経学院福岡校 ℡092-751-5866

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2018.01.31 Wed l 行政書士試験 平成29年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top