福岡地方は、朝方雪交じりの雨でしたが、だんだん天候は回復し、大濠公園から眺める夕日がとってもきれいでした。
さて、本日は、第47回衆議院議員総選挙でしたね。
投票率は、何とか50%を超えたようですが、戦後最低のようで、とても残念です。
さて、衆議院議員総選挙の続きを書いておきます。
1 小選挙区選出議員の選挙
衆議院小選挙区選出議員の選挙 (以下「衆議院小選挙区選挙」と略します。) は、全国を295の選挙区に分けた上で、各選挙区の有効投票数の最多数を得た者を当選人として選出する方法により行われています。
2 比例代表選出議員の選挙
衆議院比例代表選出議員の選挙 (以下「衆議院比例代表選挙」と略します。) は、全国を11のブロックに分け、選挙人は、自分の所属するブロックにおいて投票する政党を選び、各政党等の得票をブロック単位で集計してドント式で各政党等に議席を割り当て、各政党等の比例名簿登載者の上位から獲得議席数に達する者までを、それぞれ当選者とする方式 (拘束名簿式比例代表制) で行われています。
なお、衆議院議員選挙においては、重複立候補が可能です。重複立候補とは、同一人が同時に2つ以上の選挙における公職の候補者になることをいいます。この重複立候補は、原則として禁止されています (公職選挙法87条1項) が、政党等の所属者に限り、衆議院小選挙区選挙と衆議院比例代表選挙への重複立候補が認められています (公職選挙法86条の2第4項)。※ 判例 (最大判平成11年11月10日) は、衆議院議員選挙において、重複立候補をすることができる者を政党等の所属者に制限している公職選挙法は、憲法に違反しないと判示しました。
※ 重複立候補者が小選挙区選挙で当選した場合は、その当選が優先され、その者は、比例代表選挙の名簿に記載されていないものとみなされます (公職選挙法95条の2第5項)。これに対して、小選挙区選挙で落選した場合は、比例代表選挙で復活当選をする道が開かれています。もっとも、2000 (平成12) 年の公職選挙法の改正により、衆議院小選挙区選挙において供託金没収点未満の得票だった候補者の復活当選は認められなくなりました。すなわち、衆議院小選挙区選挙における重複立候補者の得票数が、供託物が没収される得票数 (=小選挙区選挙における有効投票総数の10分の1) に達しない場合、この者は、衆議院比例代表選挙の名簿に記載されていないものとみなされ (公職選挙法93条1項1号、95条の2第6項)、衆議院小選挙区選挙はもちろん、衆議院比例代表選挙においても、当選人となることができません。
※ 2人以上の重複立候補者がいる場合には、衆議院比例代表選挙において、重複立候補者を同順位で数人並べることができます (公職選挙法86条の2第6項)。なお、衆議院比例代表選挙においては、各党が獲得した議席数の枠内で、名簿順位に従って当選者が選出されますが、重複立候補者を同順位で数人並べた場合には、その中で惜敗率 (=衆議院比例代表選挙と同時に行われた衆議院小選挙区選挙の当選者の得票数に対して、落選者の得票数が占める一定割合のこと) が最も大きい者から順に復活当選者となることができます (公職選挙法95条の2第3項)。
【惜敗率】
衆議院比例代表選挙において各政党が提出した衆議院名簿 (=当該政党その他の政治団体の名称ならびにその所属する者の氏名及びそれらの者の間における当選人となるべき順位を記載した文書) の衆議院名簿登載者が次のとおりであるとすれば、上記ドント式の議席配分の事例において、惜敗率により当選人を決定することになるのは、A党のAcとAd、C党のCaとCbです。
| A党 | B党 | C党 | D党 | E党 |
獲得 議席 | 3 | 1 | 1 | 1 | |
名簿 順位 | 1 Aa 2 Ab 3 Ac Ad 4 Ae 5 Af | 1 Ba 2 Bb Bc 3 Bd 4 Be 5 Bf | 1 Ca Cb 2 Cc 3 Cd 4 Ce 5 Cf | 1 Da 2 Db 3 Dc 3 Dd De 5 Df | 1 Ea 2 Eb 3 Ec 3 Ed 4 Ee 5 Ef |
この場合に、A党のAcとAdについて見てみると、Ac及びAdの小選挙区における得票数が次のとおりであるとすると、Acの惜敗率は50% (6,000÷12,000×100)、Adの惜敗率は60% (3,000÷5,000×100) となり、Adが当選人と決定されることになります。
| 甲選挙区 | 乙選挙区 |
得票数 | 1 Eb 12,000 2 Ac 6,000 3 Dc 2,000 | 1 Bd 5,000 2 Ad 3,000 3 Cd 2,000 |