福岡地方は、終日曇りで、若干肌寒いですね。
昨日(11月26日)、標記の件で、最高裁判所の違憲状態判決が出されました。
議員定数不均衡の判決は、次の通り、4つに分けられています。
①違憲無効判決
②違憲判決
③違憲状態判決
④合憲
①②は議員定数規定を違憲とするもので、③④は合憲とするものです。
過去を振り返ってみると、最高裁判所は、衆議院議員選挙については、昭和51年、60年の2回違憲判決を出したことがありますが、参議院議員選挙について違憲判決を出したことはありません。
参議院についての最高裁判所の判決を見てみると、6.59倍の最大較差が生じていた1992年 (平成4) 年の選挙について、「本件選挙当時、選挙区間における議員一人当たりの選挙人数の較差等からして、違憲の問題が生ずる程度の投票価値の著しい不平等状態が生じていたものといわざるを得ない」として違憲状態にあるとしましたが、「選挙区間における議員1人当たりの選挙人数の較差が当該選挙制度の仕組みの下において投票価値の平等の有すべき重要性に照らして到底看過することができないと認められる程度に達したかどうかの判定は、右の立法政策をふまえた複雑かつ高度に政策的な考慮と判断の上に立って行使されるべき国会の裁量的権限の限界にかかわる困難なものであり、かつ、右の程度に達したと解される場合においても、どのような形で改正するかについて、なお種々の政策的又は技術的な考慮要素を背景とした議論を経ることが必要となるものと考えられる。」として国会の立法裁量を認め、「本件選挙当時において本件定数配分規定が憲法に違反するに至っていたものと断ずることはできない」と判示し、国会において選挙区間における議員1人当たりの選挙人数の較差を是正する合理的期間を経過していないと結論付けました (最大判平成8年9月11日)。この判決は、いわゆる違憲状態判決と呼ばれるものです。
もっとも、その後、5.06倍の最大較差が生じていた2001年 (平成13年) の選挙については、これを合憲と判示しています (最大判平成16年1月14日)。
この二つの判決をもって、最高裁判所は、6倍程度の最大較差をもって「違憲の問題が生ずる程度の投票価値の著しい不平等状態が生じてい」るとする趣旨であると解されたことがありました。
しかし、その後、最高裁判所は、5.00倍の最大較差が生じていた2010 (平成22) 年の選挙については、「本件選挙が平成18年改正による4増4減の措置後に実施された2回目の通常選挙であることを勘案しても,本件選挙当時,前記の較差が示す選挙区間における投票価値の不均衡は,投票価値の平等の重要性に照らしてもはや看過し得ない程度に達しており,これを正当化すべき特別の理由も見いだせない以上,違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態に至っていたというほかはない」として違憲状態判決を下しました (最大判平成24年10月17日)。
そして、今回、平成24年の公職選挙法の改正 (選挙区の定数是正 (4増4減)) により最大較差が5.00倍から4.77倍 (議員1人当たりの有権者数が約24万1千人で全国最少の鳥取県に対し、最大の北海道は約114万9千人) に縮小した2013 (平成25) 年の選挙についても違憲状態判決を下したことになります。
この判決により,最高裁判所が違憲状態判決を出したのは,1996 (平成8) 年の最高裁判所大法廷判決を含めて3度目となったことになり、このままの状態を続けると、次回は違憲判決が出される可能性が高まったといえます。
待ったなしの改革が求められていますね。
【宣伝】
平成27年1月10日(土)14時~15時に、東京法経学院福岡校にて、受験ガイダンス講義を行います。
また、平成27年1月17日(土)14時~16時に民法のプレ講義、
平成27年1月24日(土)14時~16時に行政法のプレ講義を予定しています。
各講座は無料ですので、ぜひおいでください
なお、前日までに各講義の予約をお願いします。
(予約がなけれは、当日は朝から週末農業をしています。)
各講座予約は、東京法経学院福岡校まで。
℡092(751)5866
昨日(11月26日)、標記の件で、最高裁判所の違憲状態判決が出されました。
議員定数不均衡の判決は、次の通り、4つに分けられています。
①違憲無効判決
②違憲判決
③違憲状態判決
④合憲
①②は議員定数規定を違憲とするもので、③④は合憲とするものです。
過去を振り返ってみると、最高裁判所は、衆議院議員選挙については、昭和51年、60年の2回違憲判決を出したことがありますが、参議院議員選挙について違憲判決を出したことはありません。
参議院についての最高裁判所の判決を見てみると、6.59倍の最大較差が生じていた1992年 (平成4) 年の選挙について、「本件選挙当時、選挙区間における議員一人当たりの選挙人数の較差等からして、違憲の問題が生ずる程度の投票価値の著しい不平等状態が生じていたものといわざるを得ない」として違憲状態にあるとしましたが、「選挙区間における議員1人当たりの選挙人数の較差が当該選挙制度の仕組みの下において投票価値の平等の有すべき重要性に照らして到底看過することができないと認められる程度に達したかどうかの判定は、右の立法政策をふまえた複雑かつ高度に政策的な考慮と判断の上に立って行使されるべき国会の裁量的権限の限界にかかわる困難なものであり、かつ、右の程度に達したと解される場合においても、どのような形で改正するかについて、なお種々の政策的又は技術的な考慮要素を背景とした議論を経ることが必要となるものと考えられる。」として国会の立法裁量を認め、「本件選挙当時において本件定数配分規定が憲法に違反するに至っていたものと断ずることはできない」と判示し、国会において選挙区間における議員1人当たりの選挙人数の較差を是正する合理的期間を経過していないと結論付けました (最大判平成8年9月11日)。この判決は、いわゆる違憲状態判決と呼ばれるものです。
もっとも、その後、5.06倍の最大較差が生じていた2001年 (平成13年) の選挙については、これを合憲と判示しています (最大判平成16年1月14日)。
この二つの判決をもって、最高裁判所は、6倍程度の最大較差をもって「違憲の問題が生ずる程度の投票価値の著しい不平等状態が生じてい」るとする趣旨であると解されたことがありました。
しかし、その後、最高裁判所は、5.00倍の最大較差が生じていた2010 (平成22) 年の選挙については、「本件選挙が平成18年改正による4増4減の措置後に実施された2回目の通常選挙であることを勘案しても,本件選挙当時,前記の較差が示す選挙区間における投票価値の不均衡は,投票価値の平等の重要性に照らしてもはや看過し得ない程度に達しており,これを正当化すべき特別の理由も見いだせない以上,違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態に至っていたというほかはない」として違憲状態判決を下しました (最大判平成24年10月17日)。
そして、今回、平成24年の公職選挙法の改正 (選挙区の定数是正 (4増4減)) により最大較差が5.00倍から4.77倍 (議員1人当たりの有権者数が約24万1千人で全国最少の鳥取県に対し、最大の北海道は約114万9千人) に縮小した2013 (平成25) 年の選挙についても違憲状態判決を下したことになります。
この判決により,最高裁判所が違憲状態判決を出したのは,1996 (平成8) 年の最高裁判所大法廷判決を含めて3度目となったことになり、このままの状態を続けると、次回は違憲判決が出される可能性が高まったといえます。
待ったなしの改革が求められていますね。
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また、平成27年1月17日(土)14時~16時に民法のプレ講義、
平成27年1月24日(土)14時~16時に行政法のプレ講義を予定しています。
各講座は無料ですので、ぜひおいでください
なお、前日までに各講義の予約をお願いします。
(予約がなけれは、当日は朝から週末農業をしています。)
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