行政書士試験の合格基準イ(=行政書士の業務に関連する一般知識等科目の得点が、満点の40パーセント以上である者。)をクリアされた方の中で、法令等の択一式問題があまりできなかった方は、記述式問題の出来如何になりますね。
記述式問題の採点基準は、公にされていませんが、当方が数年いろいろ試してみた結果や受験生の話を総合すると、かなり厳しい採点基準が採られているようです。
※ 平成22年度行政書士試験では、かなり緩い採点基準がとられたようですが…。
さて、平成23年度行政書士試験では、一般知識等が例年よりかなり易しかった分、一般知識等における基準点に達しないため不合格とされる方が少なくなることが考えられます。したがって、このままでは合格者が多くなることが考えられ、例年通りの厳しい採点基準が採られるのかなぁ!?と考えています。
具体的にみていくと、
問題44であれば、「即時強制」「義務の存在を前提としない (「義務の不履行を前提としない」もOK)」「行政機関が直接人又は物に実力を行使する」がキーワードとなります。
※ 当方が採点基準を作るのであれば、(1)キーワード3つに各6点、(2)問題文と同じ形式(たとえば、「~と呼ばれ、~もの。」)で記述していることに2点としますね。
問題45であれば、「Aの請求に応じてCが代価弁済をした場合」と「CがAに対して抵当権消滅請求をした場合」がキーワードとなります。
※ 当方が採点基準を作るのであれば、(1)キーワード1つに各10点、(2)代価弁済については、「Aの請求に応じて」は必須 (書けていなければ、このキーワードは0点)、(3)抵当権消滅請求については、「CがAに対して」は必須 (書けていなければ、このキーワードは0点)
問題46であれば、「表見代理の成立に基づく代金支払請求」「使用者責任に基づく損害賠償請求」がキーワードとなります。
※ 当方が採点基準を作るのであれば、(1)キーワード1つに各10点、(2)代金支払請求弁済については、「表見代理に基づく」は必須 (書けていなければ、このキーワードは0点)、(3)損害賠償請求については、「使用者責任に基づく」は必須 (書けていなければ、このキーワードは0点)
※ 二つの請求をつなぐ言葉は、「または」とか、「~か」ではなく、「および」になります.
だって、問題文に、そのように書いてあります!
また、両請求は、請求権競合の関係にありますからね!
もしかすると、この部分にも配点されているかも!?
なぜ、解答速報の多くは、「または」とか、「~か」になっているのか???
もっとも、ウソを書いた場合、容赦はないでしょうけど……(数年前に採られていた厳しい基準なら、その問題は即0点。だって、お客様に誤ったことを言って、それで損害が生じたなら、それは、当然損害賠償の対象になりますし、行政書士への信頼を失いますからね。そんな危険な行政書士を野放しにするほど、世の中は甘くはありません!!)。
なお、例年のお節介を書いておきます。
試験を受験なさった方からの報告によると、▼社の無料採点では30点近くついてきたのに、合否通知書には1桁の数字しかついてこなかったそうです。
当方は、最初から厳しいことを言うようにしています。
【追記】
■ 余計なことを書いていても、誤りがなければ、部分点はつきます。
ただ、字数との関係で、キーワードを落としてしまうでしょうから、その部分は得点できないことになりますね。
■ 点数は、2点刻みになっているようです。答案用紙の採点欄は、1から10までのマークシートになっていますからね。
【参考】 その他、考えられる採点方法としては、まずは、10点満点で採点しておき、それを2倍するというものがありえます。確かに、その方が配点・採点はしやすいでしょうね。これと、緩い採点基準を組み合わせると次のようになります。
問題44であれば、「即時強制」「義務の存在を前提としない (「義務の不履行を前提としない」もOK)」「行政機関が直接人又は物に実力を行使する」がキーワードとなる。点数は、順に、4点、3点、3点。誤字・脱字はマイナス1点、誤った答えは、そのキーワードのみ配点しない。最後に点数を2倍。
問題45であれば、「代価弁済」と「抵当権消滅請求」という二つがキーワードとなる。点数は、各5点。代価弁済について、「Aの請求に応じて」が書けていなければ(その部分に誤りがある場合を含む。)マイナス2点。抵当権消滅請求について、「CがAに対して」が書けていなければ (その部分に誤りがある場合を含む。)マイナス2点。誤字・脱字はマイナス1点、誤った答えは、そのキーワードのみ配点しない。最後に点数を2倍。
問題46であれば、「代金支払請求」「損害賠償請求」二つがキーワードとなる。点数は、各5点。代金支払請求について、「表見代理(の成立)に基づく」が書けていなければ(その部分に誤りがある場合を含む。)マイナス3点。損害賠償請求について、「使用者責任に基づく」が書けていなければ (その部分に誤りがある場合を含む。)マイナス3点。誤字・脱字はマイナス1点、誤った答えは、そのキーワードのみ配点しない。最後に点数を2倍。
ただし、このような細かい採点基準を作って、数万人の受験生の採点をすることが実用的であるかどうかは疑わしい感じがします。この基準だと、10人採点するのに30分かかりますよ。
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