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「1.行政書士とは」に続けて、「2.行政書士となるためには」を書いておきます。

2.行政書士となるためには
1 行政書士となる資格
 次の者は、行政書士となる資格を有しています。
① 行政書士試験に合格した者
② 弁護士となる資格を有する者
③ 弁理士となる資格を有する者
④ 公認会計士となる資格を有する者
⑤ 税理士となる資格を有する者
⑥ 国又は地方公共団体の公務員等として行政事務を担当した期間が通算して20年以上 (学校教育法による高等学校を卒業した者その他同法第56条に規定する者にあっては17年以上) になる者

2 行政書士登録
 行政書士となるためには、試験に合格した後に、行政書士名簿に、住所、氏名、生年月日、事務所の名称及び所在地その他日本行政書士会連合会の会則で定める事項の登録を受けなければなりません (行政書士法6条1項)。

※ 行政書士試験に合格すれば、「行政書士となる資格を有する者」になるのであって、「行政書士」となるわけではありません。

※ 開業するためには、自分で事務所を設けるか、または既存の事務所に入らなければなりません。
※ 主な開業費用 (当方が入会当時)
項目
金額
登録免許税
3万円
日本行政書士会連合会登録手数料
2万5000
福岡県行政書士会入会金
20万円
行政書士会会費
2万4000円*
職印
1万円程度
その他雑費
1万円程度
名刺
2000円程度

* 福岡県行政書士会福岡中央支部の場合、月8000円であり、3箇月ごとに3箇月分が徴収されます。内訳は、福岡県行政書士会会費5,500円、福岡県行政書士会福岡中央支部会費2,500円です。

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2011.01.29 Sat l 行政書士試験 入門 l コメント (0) トラックバック (0) l top
「1.行政書士の業務」の続きを書いておきます。


4 将来性
(1) 他士業との兼業
 「行政書士とは②」で見たように、相続関係等においてトータルに仕事をするためには、行政書士業務ができるようにしておかなければなりません。
 ということで、税理士さんや司法書士さんが行政書士登録をなさっています。

※ 福岡中央支部の場合
 平成21年9月1日現在、会員102名中、税理士6名、司法書士5名、社会保険労務士4名、宅地建物取引主任2名、土地家屋調査士2名、測量士1名、建設業1名

 この(1)は、行政書士を目指す人向けというより、どちらかといえば、他士業に登録した方向けという感じでしょうか。
 行政書士になった後、そういう資格を取る方向性も考えられると良いでしょう。

(2) 行政書士専業
ア 総説
 行政書士専業で食べていくためには、それなりの苦労と発想の転換が必要です。
一時期、ネット専業がもてはやされたようですが、濫立による価格の低下のためか、業界では、美味しい話を聞いたことはありませんね(当方が、そういう方と付き合いがないのかもしれませんが……)。
 その手の本も売れているようですが、当方の私見を言わせてもらえば、著者が本を売るために、多少話を大きくした感じがしています。

 当方が考える方向性は、①単発ではなくトータルに!、②定期的収入をいただける業務の開発ということです。

 ①については、たとえば、遺産分割協議書の作成だけで終わるのでなく、その前の協議への立会い、その後の遺産分割手続の執行までやらせていただくということです。
 許認可であれば、たとえば、建設業関連では、新規許可申請代行→更新・業種追加・変更等の届出代行、経営事項審査申請代行、入札参加資格申請代行という形ができあがっていますね。また、渉外業務であれば、外国人の入国手続→在留資格変更・在留期間更新許可申請→永住・帰化許可申請という形ができあがっています。
 それを、相続関係業務にも、積極的に入れることですね。
 もっと大きな枠であれば、事務の委任→任意後見→遺言書→遺言の執行ということになりますね。

 ②については、自営業者にとっては、収入に波がありますので、最低限の収入を確保する上で、非常にありがたいですね。当方も、いろいろなアルバイトを行っております。たとえば、出版社や資格学校等とのお取引ですね。

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2011.01.28 Fri l 行政書士試験 入門 l コメント (0) トラックバック (0) l top
「1.行政書士の業務」の続きを書いておきます。


3 報酬
行政書士が業務を行ったときに受ける報酬額については、各行政書士が自由に定め、事務所の見やすい場所に掲示することになっています。
※ 行政書士の報酬額について、日本行政書士会連合会が2年に1度全国的な報酬額統計調査を実施しており、インターネット上において公開しています。
※ 行政書士かさはら事務所 相続関係報酬額表
項目
報酬額
相続に関するご相談
初回 (1時間程度)
無料
2回目以降
30分ごとに5000
相続人の調査及び相続関係図の作成
 
5万円
相続財産の調査及び財産目録の作成
 
5万円
遺産分割協議の立会い
半日 (3時間程度)
3万円
終日 (6時間程度)
5万円
遺産分割協議書の作成
定型的なもの
5万円
考慮を必要とするもの
7万円
遺言又は遺産分割手続の執行
相続財産の価額が2000万円未満
10万円
相続財産の価額が2000万円~3000万円
0.5
相続財産の価額が3000万円~5000万円
0.4
相続財産の価額が5000万円~8000万円
0.3
相続財産の価額が8000万円~12000万円
0.2
相続財産の価額が12000万円以上
0.1

※ 相続財産の価額が100万円未満の場合は、切り捨てとします。
※ たとえば、相続財産の価額が6000万円の場合は、次の計算方法となります。
 10万円+(3000万円-2000万円)×0.5+(5000万円-3000万円)×0.4+(6000万円-5000万円)×0.3=26万円

昨年末に、ご相談をいただいた、ご相続の件は、遺産分割協議の立会い→遺産分割協議書の作成→遺産分割手続の執行(銀行4行、保険会社1社、証券会社2社、マンション管理会社1社、管理組合1つ、不動産屋1社)という流れで、2ヶ月ほどかかりました。
各金融機関において要求される書類が異なる点は、閉口しましたね!

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2011.01.26 Wed l 行政書士試験 入門 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成22年度 行政書士試験 問題34は、「親子関係」に関する正誤問題でした。

肢1は、受験生の常識。
肢2及び3は、知っておくべき知識。
肢4及び5は、知らなくても良い知識。

正解肢は、肢1~3の中にあるので、得点すべきですね。
おそらく、正答率も60%を超えているでしょうから、落とすとかなり痛いですね。

なお、バランスの良い知識問題ですね。
問題を作りなれた試験委員の作問だと感じました。

では、平成22年度 行政書士試験 問題34の解答解説を載せておきます。


問題34 A男と、B女が出産したCとの関係に関する次の記述のうち、民法の規定または判例に照らし、誤っているものはどれか。

1 AとBの内縁関係の継続中にBがCを出産し、AによってCを嫡出子とする出生届がなされた場合において、誤ってこれが受理されたときは、この届出により認知としての効力が生ずる。

2 Bは、Aとの内縁関係の継続中に懐胎し、その後、Aと適法に婚姻をし、婚姻成立後150日を経てCを出産した場合において、AがCとの間に父子関係が存在しないことを争うには、嫡出否認の訴えではなく、親子関係不存在確認の訴えによらなければならない。

3 Bは、Aと離婚した後250日を経てCを出産したが、Aは、離婚の1年以上前から刑務所に収容されていた場合において、Aは、Cとの父子関係を争うためには嫡出否認の訴えによらなければならない。

4 Aによる嫡出否認の訴えは、AがCの出生を知った時から1年以内に提起しなければならないが、Aが成年被後見人である場合には、この期間は後見開始の審判の取消しがあった後にAがCの出生を知った時から起算する。

5 Aが嫡出否認の訴えを提起する場合において、Cが幼少で意思能力を有せず、かつ、Bがすでに死亡しているときには、Cの未成年後見人がいるときであっても、家庭裁判所が選任した特別代理人を相手方とする。













問題34 正解 3
1 正しい
 AとBの内縁関係の継続中にBがCを出産し、AによってCを嫡出子とする出生届がなされた場合において、誤ってこれが受理されたときは、この届出により認知としての効力が生ずるか。
 この点、判例 (最判昭和50年2月24日) は、「嫡出でない子につき、父から、これを嫡出子とする出生届がされ、又は嫡出でない子としての出生届がされた場合において、右各出生届が戸籍事務管掌者によつて受理されたときは、その各届は認知届としての効力を有するものと解するのが相当である。けだし、右各届は子の認知を主旨とするものではないし、嫡出子でない子を嫡出子とする出生届には母の記載について事実に反するところがあり、また嫡出でない子について父から出生届がされることは法律上予定されておらず、父がたまたま届出たときにおいてもそれは同居者の資格において届出たとみられるにすぎないのであるが (戸籍法52条2、3項参照)、認知届は、父が、戸籍事務管掌者に対し、嫡出子でない子につき自己の子であることを承認し、その旨を申告する意思の表示であるところ、右各出生届にも、父が、戸籍事務管掌者に対し、子の出生を申告することのほかに、出生した子が自己の子であることを父として承認し、その旨申告する意思の表示が含まれており、右各届が戸籍事務管掌者によつて受理された以上は、これに認知届の効力を認めて差支えないと考えられるからである。」と判示している。
 よって、誤って嫡出子出生届が受理されたときは、この届出により認知としての効力が生ずる。

2 正しい
 民法772条1項は、「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。」と規定し、同条2項は、「婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。」と規定し、同法774条は、「第772条の場合において、夫は、子が嫡出であることを否認することができる。」と規定し、同法775条前段は、「前条の規定による否認権は、子又は親権を行う母に対する嫡出否認の訴えによって行う。」と規定している。このように、婚姻の成立の日から200日を経過した後に生まれた子でなければ、婚姻中に懐胎したものと推定されるものではなく、したがって、嫡出否認の訴えによることを要しない。
 もっとも、判例 (大連判昭和15年1月23日) は、未だ婚姻の届出をしないものの既に事実上の夫婦として同棲し、内縁関係の継続中に内縁の妻が内縁の夫によって懐胎し、しかもその内縁の夫婦が適式に法律上の婚姻をした後において出生した子は、たとえ婚姻の届出とその出生との間に民法772条2項所定の200日の期間が存しない場合であってもこれを民法上私生子として取り扱うべきものではなく、特に父母の認知の手続を要しないで出生と同時に当然に父母の嫡出子たる身分を取得するとし、このような、いわゆる「推定されない嫡出子」について、判例 (大判昭和15年9月20日) は、母の夫との父子関係を否定するには、嫡出否認の訴えではなく、親子関係不存在確認の訴えによるべきであるとしている。
 よって、「AがCとの間に父子関係が存在しないことを争うには、嫡出否認の訴えではなく、親子関係不存在確認の訴えによらなければならない」との記述は正しい。

3 誤り
 Bは、Aと離婚した後250日を経てCを出産したが、Aは、離婚の1年以上前から刑務所に収容されていたという事実がある。このように、BがAによって懐胎することが不可能な事実が存在する場合に、判例 (最判昭和44年5月29日等) は、嫡出推定が及ばないとしている。したがって、このような、いわゆる「(嫡出) 推定の及ばない子」との父子関係を争うには、嫡出否認の訴えではなく、親子関係不存在確認の訴えによるべきである。
 よって、「Aは、Cとの父子関係を争うためには嫡出否認の訴えによらなければならない」との記述は誤っている。

4 正しい
 民法777条は、「嫡出否認の訴えは、夫が子の出生を知った時から1年以内に提起しなければならない。」と規定している。したがって、「Aによる嫡出否認の訴えは、AがCの出生を知った時から1年以内に提起しなければならない」との記述は正しい。
 また、同法778条は、「夫が成年被後見人であるときは、前条の期間は、後見開始の審判の取消しがあった後夫が子の出生を知った時から起算する。」と規定している。よって、「Aによる嫡出否認の訴えは、Aが成年被後見人である場合には、この期間は、後見開始の審判の取消しがあった後にAがCの出生を知った時から起算する」との記述は正しい。

5 正しい
 民法775条前段は、「前条の規定による否認権は、子又は親権を行う母に対する嫡出否認の訴えによって行う。」と規定している。このように訴えの相手方は、子又は親権を行う母である。
 そして、同法後段は、「親権を行う母がないときは、家庭裁判所は、特別代理人を選任しなければならない。」と規定している。この規定については、親権を行う母がないときは、たとえ未成年後見人がいる場合でも、家庭裁判所の選任した特別代理人が子に代わって訴えの相手方となると解されている。
 よって、「Cの未成年後見人がいるときであっても、家庭裁判所が選任した特別代理人を相手方とする。」との記述は正しい。

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2011.01.25 Tue l 行政書士試験 平成22年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成22年度 行政書士試験 合格発表が、インターネット上等で行われました。

今年の合格率は、全国平均で6.60%でした。
当方は、試験終了後、「ザーと解いた感じ、一般知識が難しかったようですね。
基準点の6問をクリアーしている方は、4割程度かもしれませんね。
また、記述式も部分点をきびしく採点すれば、合格率は、5%を切るかもしれません。
ただ、行政書士会関係者の話からすると、主宰者としては、10%を若干切るくらいが理想であるとしているようですから、記述式の採点を若干甘くするかもしれません。」
と予想しましたが、結構記述式の採点を甘くしたのかなぁという感じです。
平成23年度も、基本的に5~7%にするのでしょうね。
でも、地方の合格率の低いこと!
当方の出身地の佐賀県なんかは、1%台です。
やはり、情報量不足やモチベーションの維持が難しいのでしょうね。

なお、同時に正解(例)の発表もありました。
当方が試験当日に予想したとおりの正解(例)になったので、ホッと一安心!
問題53もやはり肢3が正解になっていました。

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2011.01.24 Mon l 行政書士試験 平成22年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成22年度 行政書士試験で残念な結果に終わった方のうち、ほんとうに実務につきたいのであれば、再チャレンジすることをお勧めします。

よくお考えになって決めてください。
時間も費用もかかります。
自分にとって、必要なのかどうか、再度確認してください。

さて、平成23年度 行政書士試験に向けて、再チャレンジを決意した方がやらなければならないのは、敗因の分析ですね。
たとえば、
①一般知識問題で40%の6問が取れなかった方は、確実に取るべき法律問題、たとえば、個人情報保護法、行政機関個人情報保護法、プロバイダ責任制限法の問題54~56は取れましたか?
ここで落とすと、合格は厳しくなります。再度、過去問を解きなおす等、確実に得点することができるようにしてください。

また、文章理解の問題も、得点源としていますか?
平成22年度の問題では、問題58、60は、正答率が60%を超えていることでしょう。文章理解では、3問中2問欲しいですね。

あと、政治・経済・社会は、正答率が60%以上のもの、たとえば、問題47、49は取れましたか?
このように、一般知識問題では、確実に取れるもの、みんなが取れるものを落とすと合格確率は非常に低下します。

平成23年度 行政書士試験に向けて、再度気を引き締めなおしてください。

②法令五肢択一式のうち、憲法・行政法において、8割(19問)以上の得点ができましたか?
民法・商法が難化し、ここでは、せいぜい6割(8問)取れれば御の字です。
したがって、憲法・行政法で得点を稼がなければなりません。

憲法・行政法で落とすと、かなり致命的ですよ!
できなかった方は、行政法の過去問を中心に、再度確認していきましょう。

③多肢選択式の問題41は、四つの空欄にすべて入れることができましたか?
非常に易しい問題ですので、ここで落とすと致命的です。

できなかった方は、法的思考方法を学ぶ訓練をすべきですね。
たとえば、資格学校を利用するのも良いでしょう。

④記述式は、6割程度は欲しいですね。
できなかった方は、問題の解き方をきちんとマスターした上で、自分で考えた空欄の中に適切な用語が入るように書く練習をしましょう。
日頃書く練習をしないと、本番では、言葉が出てきませんからね。

以上を足しても、176点で、合格点に4点足りません。
合格した方と不合格の方の違いは、気力でもう1問をもぎ取る力なのでしょうね。

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2011.01.24 Mon l 行政書士試験 平成22年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
行政書士試験の合格発表がありました。
合格された方、おめでとうございます。

実務に携わる予定の方は、忙しくなりますね。
これから、いろいろ大変かとは思いますが、ぜひ成功なさってください。

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2011.01.24 Mon l 行政書士試験 平成22年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
14時から2時間ほど、東京法経学院福岡校において、「行政書士 資格ガイダンス」を行ってきました。
熱心な受講生さんを前に、数年ぶりで講義を行いましたが、やはり楽しいですね。

やる前は、多少緊張感がありましたが、やり始めるとあっという間という感じです。
数人の方とお話もしてきました。
その昔に書いた本(現在も年度改訂されて一般に流通していますが)が分かりやすいとお褒めをいただき、恐縮するとともに、うれしい気分になりましたね。

行政法からの登場なので、若干間がありますが、楽しみになってきました。

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2011.01.23 Sun l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (0) l top
「1.行政書士の業務」その1の続きを書いておきます。


2 他士業との違い
行政書士と他の士業との関係について見てみましょう。たとえば、遺産分割においては、次のようになります。

内容
一般人
行政書士
司法書士
弁護士
税理士
相続人・相続財産の調査
相続関係図・財産目録の作成
×
△※
×
遺産分割協議書の作成
×
△※
×
代理人として交渉
×
×
×
×
遺産分割の調停
×
×
×
×
遺産分割の審判
×
×
×
×
相続登記
×
×
×
×
相続税の申告書の作成
×
×
×
×

※ 相続登記を前提として、相続関係説明図及び遺産分割協議書を作成することができます。たとえば、不動産に関する記載をすることはできても、預貯金に関する記載をすることはできないということです。

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2011.01.22 Sat l 行政書士試験 入門 l コメント (0) トラックバック (0) l top
行政書士を目指される方に向けて、簡単な案内を書いておきます。
参考になさってください。

1.行政書士の業務
 行政書士は、他人の依頼を受け、報酬を得て、次の業務を行うことができます。
① 官公署に提出する書類 (その作成に代えて電磁的記録を作成する場合における当該電磁的記録を含む。) その他権利義務または事実証明に関する書類 (実地調査に基づく図面類を含む) を作成すること

※ 「官公署に提出する書類」とは、たとえば、国または地方公共団体の諸機関に対する許認可等の申請書類、司法警察員に対する告訴・告発状等をいいます。

※ 「権利義務に関する書類」とは、たとえば、売買・賃貸等の契約書、示談書、遺産分割協議書、定款等をいいます。

※ 「事実証明に関する書類」とは、たとえば、相続関係図、金銭出納簿等をいいます。

※ 「実地調査に基づく書面類」とは、たとえば、見取図、平面図等をいいます。

② ①の官公署に提出する書類を官公署に提出する手続について代理すること
※ これは、行政書士は、単なる書類提出の使者ではなく、依頼人に連絡することなく、自ら代理人として提出書類の訂正等を行うことができることを意味しています。

③ ①の契約その他に関する書類を代理人として作成すること
※ これは、たとえば、交通事故示談にあって、加害者側が事故責任を否定しているのに対し、代理人として責任追及的に交渉し、損害賠償を一方的に請求することは許されないけれども、自己責任を自認する加害者と交渉し、過失割合や損害賠償額等の話合い協議を被害者から受任した範囲で代理し、合意の示談書をまとめ、保険金支払請求につなげることは許されることを意味していると解されています。

④ ①の書類の作成について相談に応ずること

※ ①の業務については、行政書士または行政書士法人でない者が営業として行うことが、原則として、禁止されています。これに違反してその業務を行うと、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます。このような業務を、独占業務と呼びます。

※ ②~④の非独占業務については、行政書士ではない個人であっても、報酬を得てすることができます。しかし、行政書士の場合は、各種の義務 (たとえば、秘密を守る義務等) を課されているため、依頼者の信頼度の点において大きく異なり、所定の報酬を支払うのに値するとされることになります。また、官公署においても、提出書類の訂正等を認めていないのが実情です。

【宣伝】
平成23年1月23日14時から2時間ほど、東京法経学院福岡校にて以下の講座のガイダンスを行います。
福岡市周辺の方で、平成23年度 行政書士試験 合格を目指されている方は、ぜひおいでください。
(なお、当方は、3月の行政法から登場の予定)
行政書士 本科(基本講座)'11


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2011.01.21 Fri l 行政書士試験 入門 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成22年度 行政書士試験 問題33は、「不当利得返還請求等」に関する個数問題でした。

各肢の事案は、いずれも判例の事案とほぼ同様ですが、肢ア、イ及びオの判例をご存知の方は少なかったでしょうね。
肢ア及びオは、常識的に考えれば分かります (肢オは、微妙ですが、詐欺と異なり、強迫の場合は、強迫された者に落ち度は少ないと考えます。)。しかし、肢イは、判例の知識がないと、誤ってしまいますね。

正答率も、50%を切っているでしょうから、捨て問の部類に属する問題でした。

では、平成22年度 行政書士試験 問題33の解答解説を載せておきます。


問題33 AのBに対する不当利得返還請求等に関する次のア~オの記述のうち、判例に照らし、誤っているものはいくつあるか。

ア Aは、Bに対する未払い賃料はないことを知りつつ、Bから賃料不払いを理由とした賃貸建物明渡請求訴訟を提起された場合における防禦方法として支払いをなすものであることを特に表示したうえで、Bに弁済を行った。この場合に、Aは、Bに対し、不当利得として給付した弁済額の返還を請求することができる。

イ Aは、賭博に負けたことによる債務の弁済として、Bに高価な骨董品を引き渡したが、その後、A・B間でBがこの骨董品をAに返還する旨の契約をした。この場合に、Aは、Bに対し、この骨董品の返還を請求することができる。

ウ Cは、BからB所有の家屋を賃借した際に、CがBに対して権利金を支払わない代わりに、Cが当該家屋の修繕義務を負うこととする旨を合意したため、後日、当該家屋の修繕工事が必要となった際、CはAに対してこれを依頼し、Aが同工事を完了したが、CはAに修繕代金を支払う前に無資力となってしまった。この場合に、Aは、Bに対し、不当利得として修繕代金相当額の返還を請求することはできない。

エ Aは、Bとの愛人関係を維持するために、自己の有する未登記建物をBに贈与し、これを引き渡した。この場合に、Aは、Bに対し、不当利得としてこの建物の返還を請求することができる。

オ Bは、Cから強迫を受け、同人の言うままに、Aと金銭消費貸借契約を締結し、Aに指示してBとは何らの法律上または事実上の関係のないDに貸付金を交付させたところ、Bが強迫を理由にAとの当該金銭消費貸借契約を取り消した。この場合に、Aは、Bに対し、不当利得として貸付金相当額の返還を請求することができる。

1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ
5 五つ












問題33 正解 2
ア 正しい
 Aは、Bに対する未払賃料債務が存在しないことを知りつつ、債務の弁済を行っている。民法705条は、「債務の弁済として給付をした者は、その時において債務の存在しないことを知っていたときは、その給付したものの返還を請求することができない。」と規定していることから、Aは、Bに対し、不当利得として給付した弁済額の返還を請求することができないとも思える。しかし、Aは、Bから賃料不払いを理由とした賃貸建物明渡請求訴訟を提起された場合における防禦方法として支払いをなすものであることを特に表示したうえで、Bに弁済を行っていることから、例外として、不当利得として給付した弁済額の返還を請求することができるのではないかが問題となる。
 この点、判例 (最判昭和35年5月6日) は、同様の事案において、同条の摘要を否定し、不当利得として給付した弁済額の返還を請求することができる。その理由について、同判例は、「民法705条にいう『債務ノ弁済』は、給付が任意になされたものであることを要するところ (大判大正6年12月11日参照)、被上告人 (=賃借人) は後日の返還請求を留保し、やむをえず弁済をしたものであつて、右給付は任意になされたものということはできないからである。」としている。
 よって、「Aは、Bに対し、不当利得として給付した弁済額の返還を請求することができる」との記述は正しい。

イ 正しい
 Aは、賭博に負けたことによる債務の弁済として、Bに高価な骨董品を引き渡している。民法708条本文は、「不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。」と規定していることから、Aは、Bに対し、この骨董品の返還を請求することができないとも思える。しかし、その後、A・B間でBがこの骨董品をAに返還する旨の契約をしていることから、この契約に基づいて、Aは、Bに対し、この骨董品の返還を請求することができるかが問題となる。
 この点、判例 (最判昭和28年1月22日) は、「民法708条が不法の原因のため給付をした者にその給付したものの返還を請求することを得ないものとしたのは、かかる給付者の返還請求に法律上の保護を与えないというだけであつて、受領者をしてその給付を受けたものを法律上正当の原因があつたものとして保留せしめる趣旨ではない。従つて、受領者においてその給付を受けたものをその給付を為した者に対し任意返還することは勿論、曩に給付を受けた不法原因契約を合意の上解除してその給付を返還する特約をすることは、同条の禁ずるところでないものと解するを相当とする。」と判示している。
 よって、「Aは、Bに対し、この骨董品の返還を請求することができる」との記述は正しい。

ウ 正しい
 Cは、BからB所有の家屋を賃借し、後日、当該家屋の修繕工事が必要となった際、CはAに対してこれを依頼し、Aが同工事を完了したが、CはAに修繕代金を支払う前に無資力となってしまった。この場合に、Aは、Bに対し、不当利得として修繕代金相当額の返還を請求することができるか。Aの損失とBの利得との間に直接の因果関係ありとすることができるかが問題となる。
 この点、判例 (最判昭和45年7月16日―ブルドーザー事件) は、賃借人が賃借中のブルドーザーの自然損耗に対する修理を第三者に依頼し、第三者が修理後これを賃借人に引き渡したが、賃借人が倒産したため、賃貸人は、ブルドーザーを賃借人の下から引き揚げ、第三者は、修理代金を回収することができなくなったという事案において、「本件ブルドーザーの修理は、一面において、上告人 (=第三者) にこれに要した財産および労務の提供に相当する損失を生ぜしめ、他面において、被上告人 (=賃貸人) に右に相当する利得を生ぜしめたもので、上告人の損失と被上告人の利得との間に直接の因果関係ありとすることができるのであつて、本件において、上告人のした給付 (修理) を受領した者が被上告人でなく訴外会社 (=賃借人) であることは、右の損失および利得の間に直接の因果関係を認めることの妨げとなるものではない。」と判示している。
 もっとも、本肢では、Cは、BからB所有の家屋を賃借した際に、CがBに対して権利金を支払わない代わりに、Cが当該家屋の修繕義務を負うこととする旨を合意が損する。このような場合にも、前記結論が維持されるかが問題となる。
 この点、前記判例は、前記結論に続けて、「ただ、右の修理は訴外会社の依頼によるものであり、したがつて、上告人は訴外会社に対して修理代金債権を取得するから、右修理により被上告人の受ける利得はいちおう訴外会社の財産に由来することとなり、上告人は被上告人に対し右利得の返還請求権を有しないのを原則とする (自然損耗に対する修理の場合を含めて、その代金を訴外会社において負担する旨の特約があるときは、同会社も被上告人に対して不当利得返還請求権を有しない) が、訴外会社の無資力のため、右修理代金債権の全部または一部が無価値であるときは、その限度において、被上告人の受けた利得は上告人の財産および労務に由来したものということができ、上告人は、右修理 (損失) により被上告人の受けた利得を、訴外会社に対する代金債権が無価値である限度において、不当利得として、被上告人に返還を請求することができるものと解するのが相当である。」と判示している。このように、賃借人において、賃貸目的物の修理義務を負う旨の特約がある場合には、賃貸人は、第三者に対する不当利得返還債務を負わないとされている。
 よって、「Aは、Bに対し、不当利得として修繕代金相当額の返還を請求することはできない。」との記述は正しい。

エ 誤り
 Aは、Bとの愛人関係を維持するために、自己の有する建物をBに贈与している。この贈与は、愛人関係を維持するためという反社会的な目的で行われたものであるから、民法90条の規定する公序良俗に反し無効であり、また、当該建物の引渡しは、「不法な原因」に基づくものであるといえる。
 もっとも、Aが贈与したものは、不動産たる建物であり、不動産物権変動の対抗要件は、登記であるから、Aは、Bに終局的な利益を与えたとはいえず、民法708条の「給付」の要件を満たさないのではないかが問題となる。
 この点、判例 (最大判昭和45年10月21日) は、「贈与の目的である建物は未登記のものであつて、その引渡しにより贈与者の債務は履行を完了したものと解されるから、右引渡しが民法708条本文にいわゆる給付に当たる旨の原審の前示判断も、正当として是認することができる。」と判示している。
 よって、「Aは、Bに対し、不当利得としてこの建物の返還を請求することができる」との記述は誤りである。

※ 民法708条の不法な原因による「給付」は、相手方に終局的な利益を与えるものでなければならないと解されている。なぜなら、そうでなければ、終局的な利益を与えることに国家が手助けをしなければならないことになるが、これは、民法708条の法意 (=国家は、不法に手を貸さないという考え方) に反するからである。たとえば、賭博で負けた者が不動産を引き渡すという契約をし、その契約に従って既登記不動産を引き渡したが、その登記を移転しない場合において、当該給付が不法原因給付に当たらないとすると、賭博に買った者からの登記移転の請求を国家機関である裁判所が認めなければならないことになり、それは、イコール国家が不法に手を貸すことに他ならないからである。

オ 誤り
 Bは、Aとの間で金銭消費貸借契約を締結し、貸付金を第三者Dに給付するように求め、Aがこれに従ってDに対して給付を行っている。この場合において、Bが契約を取り消したときは、Aは、Bに対して不当利得返還請求をしうるか。AのDに対する給付により、Bがその価額に相当する利益を受けたといえるかが問題となる。
 この点、判例 (最判平成10年5月26日) は、「消費貸借契約の借主甲が貸主乙に対して貸付金を第三者丙に給付するよう求め、乙がこれに従つて丙に対して給付を行った後甲が右契約を取り消した場合、乙からの不当利得返還請求に関しては、甲は、特段の事情のない限り、乙の丙に対する右給付により、その価額に相当する利益を受けたものとみるのが相当である。けだし、そのような場合に、乙の給付による利益は直接には右給付を受けた丙に発生し、甲は外見上は利益を受けないようにも見えるけれども、右給付により自分の丙に対する債務が弁済されるなど丙との関係に応じて利益を受け得るのであり、甲と丙との間には事前に何らかの法律上又は事実上の関係が存在するのが通常だからである。また、その場合、甲を信頼しその求めに応じた乙は必ずしも常に甲丙間の事情の詳細に通じているわけではないので、このような乙に甲丙間の関係の内容及び乙の給付により甲の受けた利益につき主張立証を求めることは乙に困難を強いるのみならず、甲が乙から給付を受けた上で更にこれを丙に給付したことが明らかな場合と比較したとき、両者の取扱いを異にすることは衡平に反するものと思われるからである。」と判示している。
 もっとも、Bは、Cから強迫を受け、Cの言うがままに、Aとの消費貸借契約を締結している。そこで、この事情が前記「特段の事情」に当たらないか。
 この点、前記判例は、「本件の場合、前記事実関係によれば、上告人 (=消費貸借契約の借主甲) とE (=第三者丙) との間には事前に何らの法律上又は事実の関係はなく、上告人は、Dの強迫を受けて、ただ指示されるままに本件消費貸借契約を締結させられた上、貸付金をEの右口座へ振り込むよう被上告人 (=消費貸借契約の貸主乙) に指示したというのであるから、先にいう特段の事情があった場合に該当することは明らかであって、上告人は、右振込みによって何らの利益を受けなかったというべきである。」と判示している。
 よって、「Aは、Bに対し、不当利得として貸付金相当額の返還を請求することができる」との記述は誤っている。

以上により、誤っているものは、エ及びオの二つであるから、正解は2になる。

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2011.01.21 Fri l 行政書士試験 平成22年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成22年度 行政書士試験 問題32は、「委任と事務管理との比較」に関する組合せ問題でした。

事務管理に費用の前払いがないことは、受験生の常識として分かりますね。
また、事務管理に代理権が当然認められるはずがないことも受験生の常識として分かります。
さらに、事務管理であっても、受け取った金銭を引き渡さないということができないことは、常識的にわかってください(たとえば、隣人がお留守で、預かった町内会費を渡さないということができるのは、幾らなんでも常識ハズレでしょう!!!)
これで、解けるかというと、解けないんですよねぇ!!(選択肢1又は2に絞れなかった方は、論外です)
上手に作られた問題ですね。
肢イが決め手になります。
事務管理については、諸外国では認めない国もありますが、日本は、これを認めつつ、費用の償還については、制限しているという基本的知識がないと、正解にたどり着けないという問題です。

試験委員の実力が発揮された良問ですね。

本問も、合否を分ける問題でしたね。

では、平成22年度 行政書士試験 問題32の解答解説を載せておきます。


問題32 AはBのためにある事務処理を行った。これが、①A・B間における委任契約に基づく債務の履行である場合と、②Bのために行った事務管理である場合とに関する次のア~オの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

ア Aは、①の場合において、事務の処理に関して費用を要するときは、Bに対しその費用の前払いを請求することができるのに対し、②の場合には、Bに対し事務の管理により生じる費用の前払いを請求することができない。

イ Aは、①の場合には、事務を処理するために善良なる管理者の注意をもって必要と判断した費用についてBに対し償還請求をすることができるのに対し、②の場合には、Bのために有益であった費用についてのみBに対し償還請求をすることができる。

ウ Aは、①の場合には、Bを代理する権限が法律上当然には認められないのに対し、②の場合には、Bを代理する権限が法律上当然に認められる。

エ Aは、①の場合には、事務を処理するにあたって受け取った金銭をBに引き渡さなければならないが、②の場合には、Bに対しそのような義務を負わない。

オ Aは、①の場合には、委任の終了後に遅滞なくBに事務処理の経過および結果を報告しなければならないのに対し、②の場合には、事務管理を終了しても、Bの請求がない限り、事務処理の結果を報告する義務を負わない。

1 ア・イ
2 ア・オ
3 イ・エ
4 ウ・エ
5 ウ・オ













問題32 正解 1
ア 正しい
 委任に関し、民法649条は「委任事務を処理するについて費用を要するときは、委任者は、受任者の請求により、その前払をしなければならない。」と規定している。したがって、「Aは、①の場合において、事務の処理に関して費用を要するときは、Bに対しその費用の前払いを請求することができる」との記述は正しい。
 これに対し、事務管理に関し、民法は、受任者による費用の前払請求の規定を設けていないし、委任の規定を準用もしていない。したがって、「Aは、②の場合には、Bに対し事務の管理により生じる費用の前払いを請求することができない」との記述は正しい。

イ 正しい
 委任に関し、民法650条1項は、「受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、委任者に対し、その費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる。」と規定しており、償還される費用は、受任者が委任事務を処理するため善管なる管理者の注意をもって必要と判断して立て替え、支出した費用である。したがって、「Aは、①の場合には、事務を処理するために善良なる管理者の注意をもって必要と判断した費用についてBに対し償還請求をすることができる」との記述は正しい。
 これに対し、事務処理に関し、民法702条1項は、「管理者は、本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対し、その償還を請求することができる。」と規定している。したがって、「Aは、②の場合には、Bのために有益であった費用についてのみBに対し償還請求をすることができる」との記述は正しい。

ウ 誤り
 委任とは、ある者が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって成立する契約をいう (民法643条)。これに対し、代理とは、ある者と一定の関係にある者が、本人のために相手方との間で意思表示をし (能動代理)、又は相手方の意思表示を受ける (受働代理) ことによって、その意思表示の法律効果が直接本人に生ずる制度をいう (民法99条)。このように、二つの制度は、民法上明確に区別されており、委任があっても代理権の授与がなく、本人を代理する権限が認められないこともある。したがって、「Aは、①の場合には、Bを代理する権限が法律上当然には認められない」との記述は正しい。
 これに対し、事務管理とは、法律上の義務がないにもかかわらず、他人のためにその事務を処理することをいう (民法697条)。そして、事務管理に関し、本人を代理する権限を認める考え方もあるが、多数説は、事務管理は、本人・管理者間の対内関係にとどまり、これと本人・相手方間の対外関係とは別個の問題であって、管理者が本人の名で法律行為をしたときでも、その効果は、当然に本人に帰属するものではなく、表見代理の要件を備えた場合や、本人が無権代理行為を追認した場合に、はじめて本人にその効果が帰属すると解している。したがって、「Aは、②の場合には、Bを代理する権限が法律上当然に認められる」との記述は誤っている。

エ 誤り
 委任に関し、民法646条1項前段は、「受任者は、委任事務を処理するに当たって受け取った金銭その他の物を委任者に引き渡さなければならない。」と規定している。したがって、「Aは、①の場合には、事務を処理するにあたって受け取った金銭をBに引き渡さなければならない」との記述は正しい。
 また、事務管理に関し、民法701条は、「第645条から第647条までの規定は、事務管理について準用する。」と規定している。したがって、「Aは、②の場合には、Bに対しそのような義務を負わない」との記述は誤りである。

オ 誤り
 委任に関し、民法645条は、「受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。」と規定している。したがって、「Aは、①の場合には、委任の終了後に遅滞なくBに事務処理の経過および結果を報告しなければならない」との記述は正しい。
 また、事務管理に関し、民法701条は、「第645条から第647条までの規定は、事務管理について準用する。」と規定している。したがって、「Aは、②の場合には、事務管理を終了しても、Bの請求がない限り、事務処理の結果を報告する義務を負わない」との記述は誤りである。

以上により、正しいものは、ア・イであるから、正解は1になる。

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2011.01.19 Wed l 行政書士試験 平成22年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成22年度 行政書士試験 問題31は、「保証」に関する正誤問題でした。

保証に関する幅広い知識を問う標準的問題であり、良問です。

民法では、試験委員の努力が空回りすることが多いのですが、中には、このような標準的な問題もできますね。この問題ぐらいが解けるようになると、試験に合格できる感じがします。

では、平成22年度 行政書士試験 問題31の解答解説を載せておきます。


問題31 保証に関する1~5の「相談」のうち、民法の規定および判例に照らし、「可能です」と回答しうるものはどれか。

1 私は、AがBとの間に締結した土地の売買契約につき、売主であるAの土地引渡等の債務につき保証人となりましたが、このたびBがAの債務不履行を理由として売買契約を解除しました。Bは、私に対して、Aが受領した代金の返還について保証債務を履行せよと主張しています。私が保証債務の履行を拒むことは可能でしょうか。

2 私は、AがBから金銭の貸付を受けるにあたり、Aに頼まれて物上保証人となることにし、Bのために私の所有する不動産に抵当権を設定しました。このたびAの債務の期限が到来しましたが、最近資金繰りに窮しているAには債務を履行する様子がみられず、抵当権が実行されるのはほぼ確実です。私はAに資力があるうちにあらかじめ求償権を行使しておきたいのですが、これは可能でしょうか。

3 私の経営する会社甲は、AがBと新たに取引関係を結ぶにあたり、取引開始時から3カ月間の取引に関してAがBに対して負う一切の債務を保証することとし、契約書を作成しましたが、特に極度額を定めていませんでした。このたび、この期間内のA・B問の取引によって、私が想定していた以上の債務をAが負うことになり、Bが甲に対して保証債務の履行を求めてきました。甲が保証債務の履行を拒むことは可能でしょうか。

4 私は、AがB所有のアパートを賃借するにあたりAの保証人となりました。このたびA・B間の契約がAの賃料不払いを理由として解除されたところ、Bは、Aの滞納した賃料だけでなく、Aが立ち退くまでの間に生じた損害の賠償についても保証債務の履行をせよと主張しています。私は保証債務の履行を拒むことは可能でしょうか。

5 私は、AがBから400万円の貸付を受けるにあたり、Aから依頼されてCと共に保証人となりましたが、その際、私およびCは、Aの債務の全額について責任を負うものとする特約を結びました。このたび、私はBから保証債務の履行を求められて400万円全額を弁済しましたが、私は、Cに対して200万円の求償を請求することが可能でしょうか。













問題31 正解 5
1 回答できない
 本肢では、A・B間において土地の売買契約がなされ、売主Aの土地引渡等の債務を私 (以下「相談者」という。) が保証している。その後、当該契約は、売主の債務不履行を理由に解除されている。この場合、主たる債務が消滅するとともに、保証債務も付従性により消滅し、Aが受領した代金の返還についての保証債務の履行を拒むことはできないかが問題となる。
 この点、判例 (最大判昭和40年6月30日) は、「特定物の売買における売主のための保証においては、通常、その契約から直接に生ずる売主の債務につき保証人が自ら履行の責に任ずるというよりも、むしろ、売主の債務不履行に基因して売主が買主に対し負担することあるべき債務につき責に任ずる趣旨でなされるものと解するのが相当であるから、保証人は、債務不履行により売主が買主に対し負担する損害賠償義務についてはもちろん、特に反対の意思表示のないかぎり、売主の債務不履行により契約が解除された場合における原状回復義務についても保証の責に任ずるものと認めるのを相当とする。」と判示している。
 よって、「相談者は、保証債務の履行を拒むことは可能です。」とは回答できない。

※ この判例以前の判例 (大判大正6年10月27日等) は、売買契約の解除のように遡及効を生ずる場合、契約の解除によって売主・買主が負う原状回復義務の本質は、不当利得返還義務であり、本来の債務と同一性がない別個独立の債務であることから、契約当事者の保証人は、特約のない限り、その債務を履行すべき責任を負わないと判示していた。

2 回答できない
 本肢では、AがBから金銭の貸付を受けるにあたり、Aに頼まれて相談者が物上保証人となっている。その後、Aの債務の期限が到来したため、相談者は、事前求償権を行使する意思がある。もっとも、事前求償権の規定は、保証人には保証されている (民法460条) が、この規定が物上保証人にも準用されるかが問題となる。
 この点、判例 (最判平成2年12月18日) は、「債務者の委託を受けてその者の債務を担保するため抵当権を設定した者(物上保証人)は、被担保債権の弁済期が到来したとしても、債務者に対してあらかじめ求償権を行使することはできないと解するのが相当である。けだし、抵当権については、民法372条の規定によって同法351条の規定が準用されるので、物上保証人が右債務を弁済し、又は抵当権の実行により右債務が消滅した場合には、物上保証人は債務者に対して求償権を取得し、その求償の範囲については保証債務に関する規定が準用されることになるが、右規定が債務者に対してあらかじめ求償権を行使することを許容する根拠となるものではなく、他にこれを許容する根拠となる規定もないからである。」と判示している。
 よって、「相談者は、Aに資力があるうちにあらかじめ求償権を行使しておくことは可能です。」と回答できない。

3 回答できない
 本肢では、会社甲は、A・B間で行われる取引に係る一切の債務について、極度額を定めずに根保証契約をしている。この場合に、甲は、保証債務の履行を拒むことはできないかが問題となる。
 この点、民法465条の2第1項は、「一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約 (以下「根保証契約」という。) であってその債務の範囲に金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることによって負担する債務 (以下「貸金等債務」という。) が含まれるもの (保証人が法人であるものを除く。以下「貸金等根保証契約」という。) の保証人は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う。」と規定し、同条2項は、「貸金等根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。」と規定している。このように根保証契約のうちでも、貸金等根保証契約にあっては、極度額を定めなければ、その効力を生じないが、その保証人が法人であるときは、そもそも貸金等根保証契約には当たらないとされている。
 よって、「甲は、保証債務の履行を拒むことが可能です。」と回答できない。

4 回答できない
 本肢では、A・B間においてアパートの賃貸借契約がなされ、当該契約に係る賃借人の債務を相談者が保証し、その後、当該契約は、賃借人の賃料不払いを理由に解除されている。この場合、保証人が不払賃料の支払義務を負うことに争いはないが、賃借人が立ち退くまでの間に生じた損害の賠償についても保証債務を負わなければならないのかが問題となる。
 この点、判例 (大判昭和13年1月31日) は、賃料不払によって賃貸借契約が解除された場合に、賃借人の債務を保証した者は、賃借人が目的物を返還しない間に賃貸人に与えた損害を保証する責任を負うと判示している。
 よって、「相談者は、保証債務の履行を拒むことが可能です。」と回答できない。

※ 本肢の場合も、肢1と同じく、契約の解除の事例である。しかし、賃貸借契約のような継続的契約が解除されても、遡及効を生ぜず、契約は、将来に向かって消滅する。このため、賃借人の債務 (たとえば、賃料の支払義務、目的物の保管義務、原状回復義務、目的物返還義務等) は、本来の債務又はその拡張にすぎないから、これについては、当然に保証人の責任が及ぶ。問題となるのは、賃借人の債務の不履行による損害賠償義務にも、保証人の責任が及ぶかである。

5 回答できる
 本肢では、AがBから400万円の貸付を受けるにあたり、相談者は、Aから依頼されてCと共に保証人 (=共同保証人) となっている。しかも、共同保証人間においてAの債務の全額について責任を負うものとする特約 (いわゆる連帯の特約) が結ばれていることから、いわゆる保証連帯となる。この場合において、相談者がBから保証債務の履行を求められて400万円全額を弁済したときは、相談者は、Cに対して200万円の求償を請求することができるかが問題となる。
 この点、民法465条1項は、「第442条から第444条までの規定は、数人の保証人がある場合において、そのうちの1人の保証人が、主たる債務が不可分であるため又は各保証人が全額を弁済すべき旨の特約があるため、その全額又は自己の負担部分を超える額を弁済したときについて準用する。」と規定し、同法442条は、「連帯債務者の1人が弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得たときは、その連帯債務者は、他の連帯債務者に対し、各自の負担部分について求償権を有する。」と規定している。そして、保証連帯においては、各保証人の負担部分は、特約のない限り、平等であると解されている。したがって、相談者がBから保証債務の履行を求められて400万円全額を弁済した場合、相談者は、他の共同保証人Cに対して200万円の求償を請求することができる。
 よって、「Cに対して200万円の求償を請求することが可能です。」と回答できる。

※ 共同保証とは、同一の主たる債務について数人が保証債務を負担するものをいう。この共同保証には、①数人の保証人が各自独立して保証債務を負うもの、②保証連帯 (=数人の保証人相互の間に各保証人が全額を弁済すべき旨の特約 (いわゆる連帯の特約) のあるもの)、③数人の保証人が、各自主たる債務者と連帯して債務を負担するものの三つの種類がある。

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2011.01.17 Mon l 行政書士試験 平成22年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成22年度 行政書士試験 問題30は、「抵当不動産からの分離物に対する抵当権の追及効」に関する組合せ問題でした。

設問の【考え方】に沿って、各肢を検討する問題ですが、民法177条の「第三者」の意義、非占有担保たる抵当権の性質の理解も問われていますので、大変だったのではないでしょうか。
おそらく、正答率は、5割を下回っているのではないかと思います。
よく復習をしておいてください。

なお、いくつかの解答解説を拝見させていただきました。
おおむね、良い解説が出揃っているようですが、【考え方】は、土地についてなされた抵当権の登記の公示力が、伐採木材がその土地の上にある限り依然としてその物に及ぶという論理で抵当権の効力を認めるものですから、民法178条ではなく、民法177条の「第三者」の問題です。

また、肢イの即時取得に関し、何を即時取得するのかについて触れてあるものがありませんでした。唯一、触れてあるものを見つけましたが、「Bは、伐採により抵当権侵害をしているから、伐採木材につき無権利である」旨の記述があり、かなり驚きました。伐採木材について、Bが所有権を失うとすると、その所有者は誰になるのですか???無主物なのでしょうか???

そういうわけで、「解説者泣かせ」の問題ではありました。

では、平成22年度 行政書士試験 問題30の解答解説を載せておきます。


問題30 A銀行はBに3000万円を融資し、その貸金債権を担保するために、B所有の山林 (樹木の生育する山の土地。本件樹木については立木法による登記等の対抗要件を具備していない) に抵当権の設定を受け、その旨の登記を備えたところ、Bは通常の利用の範囲を超えて山林の伐採を行った。この場合に、以下のア~オの記述のうち、次の【考え方】に適合するものをすべて挙げた場合に、妥当なものの組合せはどれか。なお、対抗要件や即時取得については判例の見解に立つことを前提とする。

【考え方】:分離物が第三者に売却されても、抵当不動産と場所的一体性を保っている限り、抵当権の公示の衣に包まれているので、抵当権を第三者に対抗できるが、搬出されてしまうと、抵当権の効力自体は分離物に及ぶが、第三者に対する対抗力は喪失する。

ア 抵当山林上に伐採木材がある段階で木材がBから第三者に売却された場合には、A銀行は第三者への木材の引渡しよりも先に抵当権の登記を備えているので、第三者の搬出行為の禁止を求めることができる。

イ 抵当山林上に伐採木材がある段階で木材がBから第三者に売却され、占有改定による引渡しがなされたとしても、第三者のために即時取得は成立しない。

ウ Bと取引関係にない第三者によって伐採木材が抵当山林から不当に別の場所に搬出された場合に、A銀行は第三者に対して元の場所へ戻すように請求できる。

エ Bによって伐採木材が抵当山林から別の場所に搬出された後に、第三者がBから木材を買い引渡しを受けた場合において、当該木材が抵当山林から搬出されたものであることを第三者が知っているときは、当該第三者は木材の取得をA銀行に主張できない。

オ 第三者がA銀行に対する個人的な嫌がらせ目的で、Bをして抵当山林から伐採木材を別の場所に搬出させた後に、Bから木材を買い引渡しを受けた場合において、A銀行は、適切な維持管理をBに期待できないなどの特別の事情のない限り、第三者に対して自己への引渡しを求めることができない。

1 ア・イ・ウ・エ
2 ア・イ・ウ・オ
3 ア・イ・エ
4 ア・ウ・エ
5 イ・ウ・オ














問題30 正解 2
ア 妥当である
 抵当山林上に伐採木材がある場合、【考え方】に従えば、当該木材について抵当権の効力が及び、これを第三者に対抗することができる。
この抵当権の効力として、搬出行為の禁止を請求しうるか。
この点、判例 (大判昭和7年4月20日) は、立木が伐採・搬出された事案において、その行為の差止めを請求しうるとしている。
 よって、伐採木材がBから第三者に売却された場合であっても、A銀行は、第三者への木材の引渡しよりも先に抵当権の登記を備えているので、第三者の搬出行為の禁止を求めることができる。

イ 妥当である
 肢アの解説のとおり、抵当山林上に伐採木材がある場合、【考え方】に従えば、当該木材について抵当権の効力が及び、これを第三者に対抗することができる。このため、第三者が抵当権の負担 (拘束) を受けない完全な所有権を取得するためには、当該木材を即時取得するしかない。
 もっとも、本肢では、第三者は、Bから占有改定による引渡しの方法により当該木材を取得している。そこで、占有改定による引渡しが民法192条の「占有を始めた」に当たるかが問題となる。
 この点、判例 (最判昭和35年2月11日) は、「無権利者から動産の譲渡を受けた場合において、譲受人が民法192条によりその所有権を取得しうるためには、一般外観上従来の占有状態に変更を生ずるがごとき占有を取得することを要し、かかる状態に一般外観上変更を来たさないいわゆる占有改定の方法による取得をもつては足らないものといわなければならない。」と判示している。
 よって、占有改定による引渡しがなされたとしても、第三者のために即時取得は成立しない。

※ 民法192条の要件として、「動産を処分する権限のない者から占有を承継したこと」が挙げられる。この「動産を処分する権限のない者」の典型例として挙げられる者は、動産の所有権を有しない者であるが、抵当権設定者が抵当権者の同意なしに抵当目的物から分離し、その物を処分した場合、その者は、「抵当権の負担のない所有権の処分権限のない者」として「動産を処分する権限のない者」に当たることになる。

ウ 妥当である
 伐木木材が抵当山林から搬出された場合、【考え方】に従えば、抵当権の効力自体は当該木材に及ぶが、第三者に対する対抗力を喪失する。このため、第三者が当該木材を抵当山林から搬出した場合、抵当権者は、第三者に対して抵当権の効力 (たとえば、搬出されたものを、元の場所に搬入することを請求 (返還請求) すること) を主張することはできなくなる。
 もっとも、本肢では、Bと取引関係にない第三者が当該木材を抵当山林から不当に別の場所に搬出している。そこで、このような無権利者であっても、不動産物権変動の対抗要件に関する民法177条の「第三者」として保護されるかが問題となる。
 この点、判例 (大連判明治41年12月15日) は、同条の「第三者」とは、不動産物権の得喪及び変更の登記欠缺を主張するにつき正当な利益を有する者をいうと解し、無権利者は、これに含まれないとしている (たとえば、不法占有者に関して最判昭和25年12月19日。)
 よって、「A銀行は、第三者に対して元の場所へ戻すように請求できる」との記述は妥当である。

エ 妥当でない
 肢ウの解説で述べたとおり、伐木木材が抵当山林から搬出された場合、【考え方】に従えば、抵当権の効力自体は当該木材に及ぶが、第三者に対する対抗力を喪失する。
 もっとも、本肢では、当該木材が抵当山林から搬出されたものであることを第三者が知っている。そこで、このような悪意の第三者であっても、不動産物権変動の対抗要件に関する民法177条の「第三者」として保護されるかが問題となる。
 この点、判例 (大判明治45年6月1日) は、民法177条の「第三者」は、その善意・悪意を問わないとしている。
 よって、「当該木材が抵当山林から搬出されたものであることを第三者が知っているときは、当該第三者は木材の取得をA銀行に主張できない」との記述は妥当でない。

オ 妥当である
 肢ウの解説で述べたとおり、伐木木材が抵当山林から搬出された場合、【考え方】に従えば、抵当権の効力自体は当該木材に及ぶが、第三者に対する対抗力を喪失する。
 もっとも、本肢では、第三者は、Aに対する個人的嫌がらせ目的で、Bをして抵当山林から当該木材を別の場所に搬出させた後に、これを買い、その引渡しを受けている。そこで、このような背信的悪意者 (=登記の欠缺を主張させることが信義則に反するような事情を有する者) であっても、不動産物権変動の対抗要件に関する民法177条の「第三者」として保護されるかが問題となる。
 この点、判例 (最判昭和40年12月21日等) は、民法177条にいう「第三者」については、一般的には、その善意・悪意を問わないものであるが、不動産登記法4条 (現在の同法5条1項に相当する。) 又は5条 (現在の同法5条2項に相当する。) のような明文に該当する事由がなくても、少なくともこれに類する程度の背信的悪意者は、民法177条の「第三者」から除外されるべきであると判示している。
 したがって、Aは、第三者に対して抵当権の効力を主張することができる。もっとも、Aは、抵当権者である。抵当権は、非占有担保権であるため、第三者に対して自己への引渡しを求めることができるかが問題となる。
 この点、判例 (最判平成17年3月10日) は、「抵当権に基づく妨害排除請求権の行使に当たり、抵当不動産の所有者において抵当権に対する侵害が生じないように抵当不動産を適切に維持管理することが期待できない場合には、抵当権者は、占有者に対し、直接自己への抵当不動産の明渡しを求めることができるものというべきである。」と判示している。
 よって、「A銀行は、適切な維持管理をBに期待できないなどの特別の事情のない限り、第三者に対して自己への引渡しを求めることができない」との記述は妥当である。
 
以上により、妥当なものは、ア・イ・ウ・オであるから、正解は2である。

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2011.01.15 Sat l 行政書士試験 平成22年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成22年度 行政書士試験 問題29は、「共有物の分割」に関する組合せ問題でした。

肢アは、受験生の常識レベルの条文、肢ウ・エの判例は標準レベル、肢イ・オの判例はハイレベルという感じです。
ただし、きちんと勉強をしている方なら、肢エに違和感を覚えるはずですから、選択肢との関係で正解に達することができます。

では、平成22年度 行政書士試験 問題29の解答解説を載せておきます。


問題29 A・B・Cの3人が、甲土地、乙土地、丙土地のすべてについて、どれも3分の1ずつの持分権をもって共有している場合の共有物分割に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア 各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができるから、たとえA・B・Cの間で5年間の共有物分割禁止の契約があった場合でも同契約は無効であり、Aは、BおよびCに対して甲土地、乙土地および丙土地の分割を請求することができる。

イ Aが、BおよびCに対して、甲土地、乙土地および丙土地の分割を請求した場合において、裁判所は、これらを一括して分割の対象としてAが甲土地、Bが乙土地、Cが丙土地というように各土地を単独所有とする分割方法をとることができる。

ウ Aが、BおよびCに対して、甲土地、乙土地および丙土地の分割を請求した場合において、裁判所は、乙土地および丙土地については共有関係を解消せず、Aに対してのみAの持分権に相当する甲土地を取得させ、乙土地および丙土地はBとCの共有として残すとする分割方法をとることができる。

エ Aが、BおよびCに対して、甲土地、乙土地および丙土地の分割を請求した場合において、裁判所は、Aの申立てがあれば、甲土地、乙土地および丙土地をAの単独所有とし、BおよびCに対してAから各自の持分権の価格を賠償させる方法をとらなければならない。

オ 甲土地、乙土地および丙土地についてのBおよびCの共有持分権がDに譲渡された場合には、その旨の移転登記がないときでも、Aは、BおよびCに対しては甲土地、乙土地および丙土地の分割を請求することはできない。

1 ア・イ
2 ア・オ
3 イ・ウ
4 ウ・エ
5 エ・オ












問題29 正解 3
ア 妥当でない
 民法256条1項は、「各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、5年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。」と規定している。
 したがって、「各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる」との記述は妥当である。しかし、「たとえA・B・Cの間で5年間の共有物分割禁止の契約があった場合でも同契約は無効であ」るとの記述は妥当でない。
 よって、A・B・Cの間で5年間の共有物分割禁止の契約をした場合、Aは、BおよびCに対して甲土地、乙土地および丙土地の分割を請求することができない。

イ 妥当である
 Aが、B及びCに対して、甲土地、乙土地及び丙土地の分割を請求した場合において、裁判所は、その土地ごとに現物分割の方法をとることは許されることに争いはない。しかし、裁判所は、これらの土地を一括して分割の対象とし、Aが甲土地、Bが乙土地、Cが丙土地というように各土地を単独所有とする分割方法をとることができるか。
 この点、判例 (最判昭和45年11月6日) は、「民法258条によつてなされる共有物のいわゆる現物分割は、本来は各個の共有物についての分割方法をいうものと解すべきであるが、数個の物であつても、たとえば、数個の建物が一筆の土地の上に建てられており外形上一団の建物とみられるときは、そのような数個の共有物を一括して、共有者がそれぞれその各個の物の単独所有権を取得する方法により分割することも現物分割の方法として許される」と判示している。
 よって、裁判所は、甲土地、乙土地及び丙土地を一括して分割の対象としてAが甲土地、Bが乙土地、Cが丙土地というように各土地を単独所有とする分割方法をとることができる。

ウ 妥当である
 Aが、B及びCに対して、甲土地、乙土地及び丙土地の分割を請求した場合において、裁判所は、その土地ごとに現物分割の方法をとることは許されることに争いはない。しかし、裁判所は、乙土地及び丙土地については、共有関係を解消せず、Aに対してのみAの持分権に相当する甲土地を取得させ、乙土地及び丙土地は、BとCの共有として残すとする分割方法をとることができるか。
 この点、判例 (最大判昭和62年4月22日―森林法共有林分割制限規定違憲判決) は、「共有者が多数である場合、その中のただ一人でも分割請求をするときは、直ちにその全部の共有関係が解消されるものと解すべきではなく、当該請求者に対してのみ持分の限度で現物を分割し、その余は他の者の共有として残すことも許される」と判示している。
 よって、裁判所は、乙土地及び丙土地については、共有関係を解消せず、Aに対してのみAの持分権に相当する甲土地を取得させ、乙土地及び丙土地は、BとCの共有として残すとする分割方法をとることができる。

エ 妥当でない
 Aが、B及びCに対して、甲土地、乙土地及び丙土地の分割を請求した場合において、裁判所は、現物分割をするに当たって、持分の価格以上の現物を取得する共有者に当該超過分の対価を支払わせ、過不足の調整をすることができる (いわゆる価格賠償の方法)。この点、判例 (最大判昭和62年4月22日―森林法共有林分割制限規定違憲判決) もこの方法を認めている。
 しかし、裁判所は、甲土地、乙土地及び丙土地をAの単独所有とし、B及びCに対してAから各自の持分権の価格を賠償させる方法をとることができるか。
 この点、判例 (最判平成8年10月31日) は、「共有物の性質及び形状、共有関係の発生原因、共有者の数及び持分の割合、共有物の利用状況及び分割された場合の経済的価値、分割方法についての共有者の希望及びその合理性の有無等の事情を総合的に考慮し、当該共有物を共有者のうちの特定の者に取得させるのが相当であると認められ、かつ、その価格が適正に評価され、当該共有物を取得する者に支払能力があって、他の共有者にはその持分の価格を取得させることとしても共有者間の実質的公平を害しないと認められる特段の事情が存するときは、共有物を共有者のうちの一人の単独所有又は数人の共有とし、これらの者から他の共有者に対して持分の価格を賠償させる方法、すなわち全面的価格賠償の方法による分割をすることも許される」と判示している。
 したがって、裁判所は、甲土地、乙土地及び丙土地をAの単独所有とし、B及びCに対してAから各自の持分権の価格を賠償させる方法をとることができる。
 さらに、裁判所は、Aの申立てに従って、そのような方法をとらなければならないか。
 この点、判例 (最判平成8年10月31日) は、「裁判所による共有物の分割は、民事訴訟上の訴えの手続により審理判断するものとされているが、その本質は非訟事件であって、法は、裁判所の適切な裁量権の行使により、共有者間の公平を保ちつつ、当該共有物の性質や共有状態の実状に合った妥当な分割が実現されることを期したものと考えられる。」と判示している。
 したがって、裁判所は、原告の主張に拘束されない。
 よって、「裁判所は、Aの申立てがあれば、甲土地、乙土地及び丙土地をAの単独所有とし、B及びCに対してAから各自の持分権の価格を賠償させる方法をとらなければならない。」との記述は妥当でない。

※ 非訟事件とは、当事者間の権利義務に関する紛争を前提とせず、紛争の予防のために裁判所が一定の法律関係を形成するという性質の事件をいう。

※ 民法258条2項は、共有物分割の方法として、現物分割 (=共有物自体を分割。その結果、各共有者は、それぞれ単独所有者となる。) を原則としつつも、共有物を現物で分割することができない場合、又は現物で分割することによってその価格を著しく減少させるおそれがある場合は、競売による分割をすることができる旨を規定している。問題となるのは、裁判所は、当該規定に拘束され、価格賠償 (=共有者の一人又は数人が自己の持分以上のものを取得し、その超える部分について他の共有者に金銭で償うこと) の方法によることができないのかという点である。
この点、判例 (最判平成8年10月31日) は、「裁判所による共有物の分割は、民事訴訟上の訴えの手続により審理判断するものとされているが、その本質は非訟事件であって、法は、裁判所の適切な裁量権の行使により、共有者間の公平を保ちつつ、当該共有物の性質や共有状態の実状に合った妥当な分割が実現されることを期したものと考えられる。したがって、右の規定は、すべての場合にその分割方法を現物分割又は競売による分割のみに限定し、他の分割方法を一切否定した趣旨のものとは解されない。そうすると、共有物分割の申立てを受けた裁判所としては、現物分割をするに当たって、持分の価格以上の現物を取得する共有者に当該超過分の対価を支払わせ、過不足の調整をすることができる」と判示している。

オ 妥当でない
 甲土地、乙土地及び丙土地についてのB及びCの共有持分権がDに譲渡された場合において、その旨の移転登記がないときでも、Aが甲土地、乙土地及び丙土地の分割を請求するためには、Dに対して共有物分割の請求をなすべきか否かが問題となる。
 この点、判例 (最判昭和46年6月18日) は、「不動産の共有者の一員が自己の持分を譲渡した場合における譲受人以外の他の共有者は民法177条にいう「第三者」に該当するから、右譲渡につき登記が存しないときには、譲受人は、右持分の取得をもつて他の共有者に対抗することができない。そして、共有物分割の訴は、共有者間の権利関係をその全員について画一的に創設する訴であるから、持分譲渡があつても、これをもつて他の共有者に対抗できないときには、共有者全員に対する関係において、右持分がなお譲渡人に帰属するものとして共有物分割をなすべきものである」と判示している。
 したがって、甲土地、乙土地及び丙土地についてのB及びCの共有持分権がDに譲渡された場合において、その旨の移転登記がないは、Aが甲土地、乙土地及び丙土地の分割を請求するためには、B及びCに対してその請求をなすべきである。
 よって、「Aは、BおよびCに対しては甲土地、乙土地および丙土地の分割を請求することはできない」との記述は妥当でない。
 以上により、妥当なものは、イ及びウであるから、正解は3になる。

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2011.01.14 Fri l 行政書士試験 平成22年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成22年度 行政書士試験 問題28は、「時効中断の効力」に関する正誤問題でした。

行政書士試験においては出題されたことのないマイナーな条文及び判例からの出題であり、正答率は、40%を切っているのではないでしょうか。

時効中断の効力に関しては、民法148条の相対効を原則とし、その例外である同法284条2項を知っておかなければなりませんが、例外部分自体、マイナーなものであり、「そこまで問うのか!!」という感じです。
今後とも、出題される可能性のある民法148条以外は、復習の必要もないでしょう。

では、平成22年度 行政書士試験 問題28の解答解説を載せておきます。


問題28 時効中断の効力に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、誤っているものはどれか。

1 債務者Aの債権者Bに対する債務の承認によって被担保債権の時効が中断した場合に、物上保証人Cは、当該被担保債権について生じた消滅時効中断の効力を否定することはできない。

2 物上保証人Aに対する抵当権の実行により、競売裁判所が競売開始決定をし、これを債務者Bに通知した場合には、被担保債権についての消滅時効は中断する。

3 要役地である甲地をA・B・Cの3人が共有しているが、承役地である乙地の通行地役権について消滅時効が進行している場合に、Aのみが通行地役権を行使して消滅時効を中断したときは、時効中断の効力はA・B・Cの3人に及ぶ。

4 甲地の共有者A・B・Cの3人が乙地の上に通行地役権を時効取得しそうな場合に、乙地の所有者Dは、A・B・Cのうち誰か1人に対して時効の中断をすれば、時効中断の効力はA・B・Cの3人に及ぶ。

5 A所有の甲地をB・Cの2人が占有して取得時効が完成しそうな場合に、AがBに対してだけ時効の中断をしたときは、Bの取得時効のみ中断され、Cの取得時効は中断されることはない。













問題28 正解 4
1 正しい
 債務者Aの債権者Bに対する債務の承認によって被担保債権の時効は中断する (民法147条3号)。この場合に、当該債務の物上保証人Cは、当該被担保債権について生じた消滅時効中断の効力を否定することができるかが問題となる。
 この点、判例 (最判平成7年3月10日) は、「他人の債務のために自己の所有物件につき根抵当権等を設定したいわゆる物上保証人が、債務者の承認により被担保債権について生じた消滅時効中断の効力を否定することは、担保権の付従性に抵触し、民法396条の趣旨にも反し、許されない。」と判示している。
 よって、物上保証人Cは、当該被担保債権について生じた消滅時効中断の効力を否定することができない。

2 正しい
 物上保証人Aに対する抵当権の実行により、競売裁判所が競売開始決定をし、これを債務者Bに通知した場合には、被担保債権についての消滅時効は中断する。
 この点、判例 (最判昭和50年11月21日) は、「債権者より物上保証人に対し、その被担保債権の実行として任意競売の申立がされ、競売裁判所がその競売開始決定をしたうえ、競売手続の利害関係人である債務者に対する告知方法として同決定正本を当該債務者に送達した場合には、債務者は、民法155条により、当該被担保債権の消滅時効の中断の効果を受ける」と判示している。
 よって、被担保債権についての消滅時効は中断する

3 正しい
 要役地である甲地をA・B・Cの3人が共有している場合において、承役地である乙地の通行地役権について消滅時効が進行しているため、Aのみが通行地役権を行使して消滅時効を中断したときは、時効中断の効力は、A・B・Cの3人に及ぶかが問題となる。
 この点、民法292条は、「要役地が数人の共有に属する場合において、その1人のために時効の中断又は停止があるときは、その中断又は停止は、他の共有者のためにも、その効力を生ずる。」と規定している。
 よって、時効中断の効力は、A・B・Cの3人に及ぶ。

4 誤り
 甲地の共有者A・B・Cの3人が乙地の上に通行地役権を時効取得しそうな場合において、乙地の所有者DがA・B・Cのうち誰か1人に対して時効中断行為をしたときは、時効中断の効力は、A・B・Cの3人に及ぶかが問題となる。
 この点、民法284条2項は、「共有者に対する時効の中断は、地役権を行使する各共有者に対してしなければ、その効力を生じない。」と規定している。このように、地役権を時効取得する要役地共有者に対する中断は、共有者全員に対して行うのでなければ、中断行為の相手方に対してもその効力を生じない。
 よって、時効中断の効力は、A・B・Cの3人に及ばない。

5 正しい
 A所有の甲地をB・Cの2人が占有して取得時効が完成しそうな場合において、AがBに対してだけ時効の中断をしたときは、Bの取得時効のみ中断され、Cの取得時効は中断されないかが問題となる。
 この点、民法148条は、「前条の規定による時効の中断は、その中断の事由が生じた当事者及びその承継人の間においてのみ、その効力を有する。」と規定している (時効中断の相対効)。
 よって、Bの取得時効のみ中断され、Cの取得時効は中断されない。

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2011.01.13 Thu l 行政書士試験 平成22年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成22年度 行政書士試験 問題27は、「意思表示」に関する正誤問題でした。

民法全体が難化傾向にある中で、標準的な問題です。
ただし、民法94条2項の「善意の第三者」の意味に関する判例の立場を知らないと、肢4か、肢5か、迷うおそれがありますね。

いくつかの解説を読ませてもらいましたが、事例問題であるのに、それを無視して、解説が書かれているものが多いですね。確かに、事例問題ですが、法令の解釈レベルで事足りるので、解説を短くしてあるのでしょうが、答えが分かっている方が書かれている感じで、受験生向けではない感じです。
また、肢1の根拠条文は、民法8条を挙げるべきです。

では、平成22年度 行政書士試験 問題27の解答解説を載せておきます。


問題27 AがBに対してA所有の動産を譲渡する旨の意思表示をした場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

1 Aが、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある場合、Aは当然に成年被後見人であるから、制限行為能力者であることを理由として当該意思表示に基づく譲渡契約を取り消すことができる。

2 Aが、被保佐人であり、当該意思表示に基づく譲渡契約の締結につき保佐人の同意を得ていない場合、Aおよび保佐人は常に譲渡契約を取り消すことができる。

3 この動産が骨董品であり、Aが、鑑定人の故意に行った虚偽の鑑定結果に騙された結果、Bに対して時価よりも相当程度安価で当該動産を譲渡するという意思表示をした場合、Bがこの事情を知っているか否かにかかわらず、Aは当該意思表示を取り消すことができない。

4 Aが、高額な動産を妻に内緒で購入したことをとがめられたため、その場を取り繕うために、その場にたまたま居合わせたBを引き合いに出し、世話になっているBに贈与するつもりで購入したものだと言って、贈与するつもりがないのに「差し上げます」と引き渡した場合、当該意思表示は原則として有効である。

5 Aが、差押えを免れるためにBと謀って動産をBに譲渡したことにしていたところ、Bが、事情を知らないCに売却した場合、Cに過失があるときには、Aは、Cに対してA・B間の譲渡契約の無効を主張できる。













問題27 正解 4
1 妥当でない
 Aは、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にあることから、当然に成年被後見人といえるかが問題となる。
 この点につき、民法7条は、「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、4親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。」と規定し、民法8条は、「後見開始の審判を受けた者は、成年被後見人とし、これに成年後見人を付する。」と規定している。このため、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者であっても、後見開始の審判を受けないものは、成年被後見人とはいえない。
 本肢にあてはめると、Aは、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者であるが、後見開始の審判を受けていないことから、成年被後見人といえない。
よって、「Aは当然に成年被後見人であるから、制限行為能力者であることを理由として当該意思表示に基づく譲渡契約を取り消すことができる」との記述は妥当でない。

※ なお、判例 (大判明治38年5月11日) は、法律が、禁治産者 (現在の成年被後見人に相当する。) 等を特定し、その行為を取り消すことを許したのは、無能力者 (現在の制限行為能力者に相当する。) の利益を保護するため、意思欠缺の事実を証明することなく当然に、これを取り消すことができるようにするためであり、これは、無能力者でない者の行為は、絶対にその効力を有するとする趣旨ではないとした上で、それゆえ、禁治産宣告前の行為であっても、事実上意思能力を有しないときはその行為は無効であり、また、禁治産中にした行為であっても全く意思能力を有しないときは、何ら取消しの意思を表示することなく、当然無効であると判示している。このように、「制限行為能力者」であることを理由として意思表示の取消しをすることは許されないとしても、当然無効となる可能性はある。

2 妥当でない
 Aは、被保佐人であるが、その所有する動産をBに譲渡するにあたって、その保佐人の同意を得ていない。そこで、保佐人の同意を得ない動産の譲渡につき、常に取り消しうるかが問題となる。
この点、民法13条1項3号は、被保佐人が不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をするには、その保佐人の同意を得なければならないと規定し、同条4項は、「保佐人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。」と規定している。
 本肢にあてはめると、AがBに譲渡した動産が「重要な財産」に当たる場合には、その契約を取り消しうるが、そうでない場合には、その契約を取り消すことはできない。
 よって、「Aおよび保佐人は常に譲渡契約を取り消すことができる」との記述は妥当でない。

3 妥当でない
 Aは、鑑定人の故意に行った虚偽の鑑定結果に騙された結果、Bに対して時価よりも相当程度安価で動産を譲渡するという意思表示をしている。これは、第三者の詐欺にあたる。
 この点、民法96条2項は、「相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。」と規定している。
本肢にあてはめると、Bが鑑定人の虚偽鑑定の事実を知っていた場合には、Aは、その意思表示を取り消すことができる。
 よって、「Bがこの事情を知っているか否かにかかわらず、Aは当該意思表示を取り消すことができない」との記述は妥当でない。

4 妥当である
 Aが、その場を取り繕うために、その場にたまたま居合わせたBを引き合いに出し、世話になっているBに贈与するつもりで購入したものだと言って、贈与するつもりがないのに「差し上げます」と引き渡す行為は、心裡留保に当たる。
 心裡留保につき、民法93条は、「意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方が表意者の真意を知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。」と規定している。
本肢にあてはめると、相手方であるBが表意者Aの真意を知り、又は知ることができたという事情は存在しないから、Aの意思表示は、有効である。
 よって、Aの「当該意思表示は原則として有効である」との記述は妥当である。

5 妥当でない
Aが、差押えを免れるためにBと謀って動産をBに譲渡した行為は、通謀虚偽表示である。
通謀虚偽表示の意思表示について、民法94条1項は、「相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。」と規定し、同条2項は、「前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。」と規定している。そして、同条項の「善意の第三者」の意味について、判例 (大判昭和12年8月10日) は、「善意ノ第三者」とは、当事者の意思表示が相通じてなした虚偽表示であることを知らずにこれについて法律上の利害関係をもつに至った第三者をいうのであり、それが虚偽表示であることを知らないことについて過失があることは問わないとしている。
 本肢にあてはめると、Bが、事情を知らないCに売却した場合において、Cに過失があるときときでも、Aは、虚偽表示の無効をCに主張することはできない。
 よって、「Cに過失があるときには、Aは、Cに対してA・B間の譲渡契約の無効を主張できる」との記述は妥当でない。


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2011.01.11 Tue l 行政書士試験 平成22年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成22年度 行政書士試験 問題26は、「独立行政法人の説明(定義)」に関する正誤問題でした。

行政書士試験においては、独立行政法人は、一般知識等において問われる等、かなり頻出事項です。
ですので、当方が大昔編纂・執筆した「行政書士口語訳六法&判例]にも、条文を入れておきました(現在でも、その名残か、残っているようですね。他の行政書士六法と一線を画すべく奏しましたが、ようやく報われたという感じです。)。
また、平成21年度 行政書士試験 問題25 選択肢2の解説においても、問題の補足として、独立行政法人の定義を入れておきましたから、そのブログをお読みになってくださった読者の方も、余裕で問題が解けたのではないかと期待しています(正答率は、意外にも70%ぐらいで出来が悪かったようですね)。

では、平成22年度 行政書士試験 問題26の解答解説を載せておきます。


問題26 次の記述のうち、独立行政法人の説明として、正しいものはどれか。

1 民間の関係者が発起人となって自主的に設立する法人で、業務の公共性などの理由によって、設立については特別の法律に基づき主務大臣の認可が要件となっている法人。

2 法律により直接設立される法人または特別の法律により特別の設立行為をもって設立すべきものとされる法人であって、その新設・廃止等に関する審査が総務省によって行われるもの。

3 公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務等であって、国が直接に実施する必要のないもののうち、民間に委ねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるものを効率的かつ効果的に行わせることを目的として設立される法人。

4 特別の法律に基づき特定の行政事務を遂行するものとして行政庁により指定された民法上の法人であって、行政処分権限を付与されたもの。

5 構成員が強制的に法人への加入及び経費の支払いを義務付けられ、その設立及び解散に国の意思が介在し、かつ、国の監督の下で公権力の行使が認められた法人。













問題26 正解 3
1 誤り
 本肢のような法人を認可法人と呼んでいる。
たとえば、預金保険法9条は、「預金保険機構を設立するには、金融に関して専門的な知識と経験を有する者7人以上が発起人となることを必要とする。」と規定し、同法11条は、「発起人は、前条第1項の募集が終わつたときは、すみやかに、定款を内閣総理大臣及び財務大臣に提出して、設立の認可を申請しなければならない。」と規定している。なお、日本銀行 (「特別の法律」は、日本銀行法であり、「主務大臣」は、財務大臣及び内閣総理大臣である。)、日本赤十字社 (「特別の法律」は、日本赤十字社法であり、「主務大臣」は、厚生労働大臣である。) 等も認可法人である。

※ 行政手続法4条2項2号は、特別の法律により設立され、かつ、その設立に関し行政庁の認可を要する法人のうち、その行う業務が国又は地方公共団体の行政運営と密接な関連を有するものとして政令で定める法人に対する処分であって、当該法人の監督に関する法律の特別の規定に基づいてされるもの (当該法人の解散を命じ、若しくは設立に関する認可を取り消す処分又は当該法人の役員若しくは当該法人の業務に従事する者の解任を命ずる処分を除く。) については、第2章及び第3章の規定は、適用しないと規定している。認可法人は、「特別の法律により設立され、かつ、その設立に関し行政庁の認可を要する法人」に当たる。なお、前記の預金保険機構、日本銀行及び日本赤十字社は、いずれも「政令で定める法人」に含まれるものとされている (行政手続法施行令1条)。

2 誤り
 本肢のような法人を特殊法人と呼んでいる。平成22年4月1日現在、32の特殊法人が存在している。その内訳は、事業団が1 (日本私立学校振興・共済事業団)、公庫が1 (沖縄振興開発金融公庫)、特殊会社が26 (日本電信電話株式会社、東日本電信電話株式会社、西日本電信電話株式会社、日本郵政株式会社、郵便事業株式会社、郵便局株式会社、日本たばこ産業株式会社、関西国際空港株式会社、北海道旅客鉄道株式会社、四国旅客鉄道株式会社、九州旅客鉄道株式会社、日本貨物鉄道株式会社、東京地下鉄株式会社、成田国際空港株式会社、東日本高速道路株式会社、中日本高速道路株式会社、西日本高速道路株式会社、首都高速道路株式会社、阪神高速道路株式会社、本州四国連絡高速道路株式会社、日本アルコール産業株式会社、日本環境安全事業株式会社、株式会社日本政策金融公庫、株式会社商工組合中央金庫、株式会社日本政策投資銀行及び輸出入・港湾関連情報処理センター株式会社)、その他が4 (日本放送協会、放送大学学園、日本中央競馬会及び日本年金機構) である。

※ 総務省設置法4条15号は、総務省は、第3条の任務 (=総務省の任務) を達成するため、法律により直接に設立される法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立すべきものとされる法人 (独立行政法人を除く。) の新設、目的の変更その他当該法律の定める制度の改正及び廃止に関する審査を行う事務をつかさどると規定している。

※ 行政手続法4条2項1号は、法律により直接に設立された法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人に対する処分であって、当該法人の監督に関する法律の特別の規定に基づいてされるもの (当該法人の解散を命じ、若しくは設立に関する認可を取り消す処分又は当該法人の役員若しくは当該法人の業務に従事する者の解任を命ずる処分を除く。) については、第2章及び第3章の規定は、適用しないと規定している。

3 正しい
 独立行政法人通則法2条1項は、「この法律において『独立行政法人』とは、国民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、国が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるもの又は一の主体に独占して行わせることが必要であるものを効率的かつ効果的に行わせることを目的として、この法律及び個別法の定めるところにより設立される法人をいう。」と規定している。

※ 行政手続法4条2項1号は、法律により直接に設立された法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人に対する処分であって、当該法人の監督に関する法律の特別の規定に基づいてされるもの (当該法人の解散を命じ、若しくは設立に関する認可を取り消す処分又は当該法人の役員若しくは当該法人の業務に従事する者の解任を命ずる処分を除く。) については、第2章及び第3章の規定は、適用しないと規定している。独立行政法人は、この「特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人」に当たる。

4 誤り
 本肢のような法人を指定法人と呼んでいる。たとえば、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律 (以下「育児介護法」という。) 36条は、厚生労働大臣は、対象労働者等の福祉の増進を図ることを目的とする一般社団法人又は一般財団法人であって、第38条に規定する業務に関し一定の基準に適合すると認められるものを、その申請により、全国に一を限って、同条に規定する業務を行う者として指定することができると規定している。

※ 行政手続法4条3項は、行政庁が法律の規定に基づく試験、検査、検定、登録その他の行政上の事務について当該法律に基づきその全部又は一部を行わせる者を指定した場合において、その指定を受けた者 (その者が法人である場合にあっては、その役員) 又は職員その他の者が当該事務に従事することに関し公務に従事する職員とみなされるときは、その指定を受けた者に対し当該法律に基づいて当該事務に関し監督上される処分 (当該指定を取り消す処分、その指定を受けた者が法人である場合におけるその役員の解任を命ずる処分又はその指定を受けた者の当該事務に従事する者の解任を命ずる処分を除く。) については、第2章及び第3章の規定は、適用しないと規定している。指定法人のうち、当該法律の規定によりは、その事務に従事する役員又は職員その他の者が当該事務に従事することに関し公務に従事する職員とみなされるときは、行政手続法4条3項の規定が適用される。たとえば、育児介護法48条は、「給付金業務に従事する指定法人の役員及び職員は、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。」と規定している。したがって、育児介護法36条の指定法人には、行政手続法4条3項が適用される。

5 誤り
 本肢のような法人を公共組合と呼んでいる。たとえば、農業共済組合、健康保険組合、商工組合、国家公務員共済組合、地方公務員共済組合等がこれに当たる。

※ 公共組合は、国家賠償法1条1項の「公共団体」に当たる。

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2011.01.06 Thu l 行政書士試験 平成22年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成22年度 行政書士試験 問題25は、「国家公務員法」に関する正誤問題でした。

国家公務員法は、平成21年度 行政書士試験 にも出題されていることから、今後とも注意が必要です。
国家公務員法を学習されていた方は、ほとんどいなかったと思いますが、問題内容自体は、法的知識の応用ですから、何とか得点したいところでした。

今後は、過去問の周辺領域を一応見ておくことをお勧めします。
ちなみに、平成21年度 行政書士試験の当方の解答解説には、本問の正解肢で問題となる国家公務員法85条を参照条文としてあげておきました。ですので、当ブログをご覧になっていた方は、本問において得点できたのではないかと期待しています。

では、平成22年度 行政書士試験 問題25の解答解説を載せておきます。


問題25 国家公務員法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 懲戒処分の要件としては、「人事評価又は勤務の状況を示す事実に照らして、勤務実績がよくない場合」や「心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合」などがある。

2 懲戒処分は、行政手続法上の不利益処分に関する手続を経た上で、任命権者の上申を経て、内閣がこれを行う。

3 職員は、公務員としての身分が保障されているので、定員の改廃等によって廃職又は過員が生じたとしても、そのことを理由として免職されることはない。

4 懲戒に付せられるべき事件が、刑事裁判所に係属する間においても、人事院又は人事院の承認を経て任命権者は、同一事件について、適宜に、懲戒手続を進めるこ とができる。

5 懲戒処分として停職が命じられた場合、停職処分を受けた公務員は、停職期間中、公務員としての身分を失うが、停職期間終了後、復職を命ぜられることによって、公務員としての身分を回復する。









問題25 正解 4
1 誤り
 国家公務員法82条1項は、職員が、①この法律若しくは国家公務員倫理法又はこれらの法律に基づく命令 (国家公務員倫理法5条3項の規定に基づく訓令及び同条4項の規定に基づく規則を含む。) に違反した場合、②職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合、③国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合のいずれかに該当するときは、これに対し懲戒処分として、免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができると規定している。このように、「人事評価又は勤務の状況を示す事実に照らして、勤務実績がよくない場合」や「心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合」は、懲戒事由とされていない。
 なお、国家公務員法78条は、職員が、①人事評価又は勤務の状況を示す事実に照らして、勤務実績がよくない場合、②心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合、③その他その官職に必要な適格性を欠く場合、④官制若しくは定員の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合のいずれかに該当するときは、人事院規則の定めるところにより、その意に反して、これを降任し、又は免職することができると規定している。このように、「人事評価又は勤務の状況を示す事実に照らして、勤務実績がよくない場合」や「心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合」は、分限事由とはされている。

※ 「懲戒」とは、特定の身分関係の紀律の維持を図るため、一定の義務に違反した場合に、人的な制裁を科する制度をいう。これに対して、「分限」とは、公務員の身分の不利益な変動のうち、懲戒以外の措置をいう。

2 誤り
 行政手続法3条1項9号は、公務員 (国家公務員法第2条第1項に規定する国家公務員及び地方公務員法第3条第1項に規定する地方公務員をいう。) 又は公務員であった者に対してその職務又は身分に関してされる処分及び行政指導については、同法第2章から第4章までの規定は、適用しないと規定している。したがって、「懲戒処分は、行政手続法上の不利益処分に関する手続を経た上で」との記述は誤っている。
 また、国家公務員法84条1項は、「懲戒処分は、任命権者が、これを行う。」と規定している。よって、「懲戒処分は、……、任命権者の上申を経て、内閣がこれを行う。」との記述は誤りである。

3 誤り
 国家公務員法78条4号は、職員が、官制若しくは定員の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合に該当するときは、人事院規則の定めるところにより、その意に反して、これを降任し、又は免職することができると規定している。
 よって、「職員は、……、定員の改廃等によって廃職又は過員が生じたとしても、そのことを理由として免職されることはない。」との記述は誤りである。
 なお、国家公務員法75条1項は、「職員は、法律又は人事院規則に定める事由による場合でなければ、その意に反して、降任され、休職され、又は免職されることはない。」と規定している。したがって、「職員は、公務員としての身分が保障されている」との記述は正しい。

4 正しい
 国家公務員法85条前段は、「懲戒に付せらるべき事件が、刑事裁判所に係属する間においても、人事院又は人事院の承認を経て任命権者は、同一事件について、適宜に、懲戒手続を進めることができる。」と規定している。

5 誤り
 国家公務員法83条2項前段は、「停職者は、職員としての身分を保有するが、その職務に従事しない。」と規定している。
 よって、「懲戒処分として停職が命じられた場合、停職処分を受けた公務員は、停職期間中、公務員としての身分を失うが、停職期間終了後、復職を命ぜられることによって、公務員としての身分を回復する。」との記述は誤りである。

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2011.01.04 Tue l 行政書士試験 平成22年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成22年度 行政書士試験 問題24は、「住民訴訟」に関する組合せ問題でした。

肢ア及びイは、受験生の常識レベルの問題ですので、選択肢4又は5に絞ることができますね。
肢ウか、肢エかですが、同じ様な訴訟をいくつも提起されたのでは、裁判所の負担が重くなりすぎる危険がありますし、訴訟経済上もよろしくないですね。

正答率は、80%を超えているかと思いましたが、そうでもなさそうですね。
不思議に感じました!!

では、平成22年度 行政書士試験 問題24の解答解説を載せておきます。


問題24 地方自治法に定める住民訴訟に関する次のア~オの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

ア 自ら住民監査請求を行っていない住民であっても、当該普通地方公共団体の他の住民が住民監査請求を行っていれば、住民訴訟を提起することができる。

イ 住民訴訟においては、住民監査請求と同様、公金支出の違法の問題のみならず不当の問題についても争うことができる。

ウ 他の住民による住民訴訟が係属しているときには、当該普通地方公共団体の住民であっても、別訴をもって同一の請求をすることはできない。

エ 住民訴訟は、当該普通地方公共団体の事務所の所在地を管轄する高等裁判所に提起することとされている。

オ 違法な支出行為の相手方に損害賠償の請求をすべきであるのに長がこれをしていない場合、長に対して「当該相手方に損害賠償請求をすることを求める請求」を行うことができる。

1 ア・イ
2 ア・エ
3 イ・エ
4 ウ・オ
5 エ・オ














問題24 正解 4
ア 誤り
 地方自治法242条1項は、「普通地方公共団体の住民は、当該普通地方公共団体の長若しくは委員会若しくは委員又は当該普通地方公共団体の職員について、違法若しくは不当な公金の支出、財産の取得、管理若しくは処分、契約の締結若しくは履行若しくは債務その他の義務の負担がある (当該行為がなされることが相当の確実さをもつて予測される場合を含む。) と認めるとき、又は違法若しくは不当に公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実 (以下「怠る事実」という。) があると認めるときは、これらを証する書面を添え、監査委員に対し、監査を求め、当該行為を防止し、若しくは是正し、若しくは当該怠る事実を改め、又は当該行為若しくは怠る事実によつて当該普通地方公共団体のこうむつた損害を補塡するために必要な措置を講ずべきことを請求することができる。」と規定し、同法242条の2第1項柱書は、「普通地方公共団体の住民は、前条第1項の規定による請求をした場合において、同条第4項の規定による監査委員の監査の結果若しくは勧告若しくは同条第9項の規定による普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関若しくは職員の措置に不服があるとき、又は監査委員が同条第4項の規定による監査若しくは勧告を同条第5項の期間内に行わないとき、若しくは議会、長その他の執行機関若しくは職員が同条第9項の規定による措置を講じないときは、裁判所に対し、同条第1項の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもつて次に掲げる請求をすることができる。」と規定している。このように、住民訴訟の原告適格を有するのは、住民監査請求を行った者である。
 よって、「自ら住民監査請求を行っていない住民であっても、当該普通地方公共団体の他の住民が住民監査請求を行っていれば、住民訴訟を提起することができる。」との記述は誤りである。

イ 誤り
 地方自治法同法242条の2第1項柱書は、「普通地方公共団体の住民は、前条第1項の規定による請求をした場合において、同条第4項の規定による監査委員の監査の結果若しくは勧告若しくは同条第9項の規定による普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関若しくは職員の措置に不服があるとき、又は監査委員が同条第4項の規定による監査若しくは勧告を同条第5項の期間内に行わないとき、若しくは議会、長その他の執行機関若しくは職員が同条第9項の規定による措置を講じないときは、裁判所に対し、同条第1項の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもつて次に掲げる請求をすることができる。」と規定している。このように、住民訴訟においては、同法242条1項の請求に係る違法な行為又は怠る事実について訴えをもって争うことができるのであって、不当の問題について争うことはできない。

ウ 正しい
 地方自治法242条の2第3項は、「第1項の規定による訴訟が係属しているときは、当該普通地方公共団体の他の住民は、別訴をもつて同一の請求をすることができない。」と規定している。

エ 誤り
 地方自治法242条の2第5項は、「第1項の規定による訴訟は、当該普通地方公共団体の事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に専属する。」と規定している。このように、住民訴訟は、当該普通地方公共団体の事務所の所在地を管轄する高等裁判所ではなく、地方裁判所に提起しなければならない。

オ 正しい
 地方自治法242条9項前段は、「第4項の規定による監査委員の勧告があつたときは、当該勧告を受けた議会、長その他の執行機関又は職員は、当該勧告に示された期間内に必要な措置を講ずるとともに、その旨を監査委員に通知しなければならない。」と規定し、同法242条の2第1項4号本文は、普通地方公共団体の住民は、住民監査請求をした場合において、普通地方公共団体の長が同法242条9項の規定による措置を講じないときは、裁判所に対し、同条第1項の請求に係る違法な行為につき、訴えをもつて当該行為に係る相手方に損害賠償の請求をすることを当該普通地方公共団体の執行機関に対して求める請求をすることができると規定している。
 よって、違法な支出行為の相手方に損害賠償の請求をすべきであるにもかかわらず、普通地方公共団体の長がこれをしない場合、当該行為に係る相手方に損害賠償の請求をすることを当該普通地方公共団体の長に対して求める請求をすることができる。

以上により、正しいものはウ・オであるから、正解は4になる。

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2011.01.03 Mon l 行政書士試験 平成22年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成22年度 行政書士試験 問題23は、「住民に係わる地方自治法の規定」に関する個数問題でした。

肢ア、イ及びオは、基本知識レベルです。肢ウは、若干悩ましいかなぁという感じですが、住民に関する事項を基本的に取り扱っているのは、市町村レベルですから、受験生常識から判断可能ですね。
肢エが決め手になる感じです。
解説のとおり、「被選挙権は、議員になるための要件であるととともに、議員たる身分を維持するための要件でもある」ことを知った上で、被選挙権の要件を思い出さなければならないので、応用力をフル稼働すべき問題でした。この点で、良問です。

なお、いくつか解説を読ませてもらいましたが、被選挙権の要件から丁寧に条文をあげてあるものが少ないことに驚かされました。受験生にやさしい解説を書いてもらいたいですね。

では、平成22年度 行政書士試験 問題23の解答解説を載せておきます。


問題23 「住民」にかかわる地方自治法の規定に関する次のア~オの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア 都道府県知事の被選挙権は、当該都道府県の住民ではなくとも、法定の年齢以上の日本国籍を有する者であれば認められる。

イ 地域協議会の構成員は、地域自治区の区域内に住所を有する住民の中から市町村長によって選任される。

ウ 都道府県は、その住民につき、住民たる地位に関する正確な記録を整備しておかなければならない。

エ 市町村議会の議員が住所を移したため被選挙権を失っても、その住所が同一都道府県の区域内に在るときは、そのために失職することはない。

オ 町村におかれる町村総会を構成するのは、当該町村の住民のうち選挙権を有する者である。

1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ
5 五つ













問題23 正解 2
ア 正しい
 地方自治法19条2項は、「日本国民で年齢満30年以上のものは、別に法律の定めるところにより、都道府県知事の被選挙権を有する。」と規定している。このように、都道府県知事の被選挙権の要件として、当該都道府県の住民であることは、要件とされていない。

イ 正しい
 地方自治法202条の2第5項は、「地域協議会の構成員は、地域自治区の区域内に住所を有する者のうちから、市町村長が選任する。」と規定している。

ウ 誤り
 地方自治法13条の2は、「市町村は、別に法律の定めるところにより、その住民につき、住民たる地位に関する正確な記録を常に整備しておかなければならない。」と規定している。このように、都道府県は、その住民につき、住民たる地位に関する正確な記録を整備しておかなければならないのは、都道府県ではなく、市町村である。

エ 誤り
 地方自治法127条1項前段は、「普通地方公共団体の議会の議員が被選挙権を有しない者であるとき又は第92条の2の規定に該当するときは、その職を失う。」と規定している。このように、被選挙権は、議員になるための要件であるととともに、議員たる身分を維持するための要件でもある。
 そして、同法19条1項は、「普通地方公共団体の議会の議員の選挙権を有する者で年齢満25年以上のものは、別に法律の定めるところにより、普通地方公共団体の議会の議員の被選挙権を有する。」と規定し、同法18条は、「日本国民たる年齢満20年以上の者で引き続き3箇月以上市町村の区域内に住所を有するものは、別に法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する。」と規定している。このため、普通地方公共団体の議会の議員が同一市町村外に住所を移転した場合、選挙権を失うとともに被選挙権を失い、その結果、当該普通地方公共団体の議員たる地位を失うのが原則である。
 もっとも、同法127条2項は、「都道府県の議会の議員は、住所を移したため被選挙権を失つても、その住所が同一都道府県の区域内に在るときは、そのためにその職を失うことはない。」と規定し、この例外を認めている。
しかし、市町村の議会の議員については、このような救済規定は存在しない。
よって、「市町村議会の議員が住所を移したため被選挙権を失っても、その住所が同一都道府県の区域内に在るときは、そのために失職することはない。」との記述は誤りである。

オ 正しい
 地方自治法94条は、「町村は、条例で、第89条の規定にかかわらず、議会を置かず、選挙権を有する者の総会を設けることができる。」と規定している。

以上により、誤まっているものは、ウ及びエの二つであり、正解は2になる。

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2011.01.02 Sun l 行政書士試験 平成22年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
あけましておめでとうございます。
本年も引き続き行政書士受験生や福岡周辺の方へ有益情報を発信できればと願っておりますので、よろしくお願いします。

2011.01.02 Sun l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (0) l top