平成16年度 行政書士試験 問題2は、「法人の設立に関する国や地方公共団体の関与の態様」についての組合せ問題でした。
本問の出題当時は、財団法人、合名会社及び株式会社の成立については、基礎知識とすべき事柄でしたから、おおよその正解は分かるので、得点すべきでした。
なお、その後の法改正により、財団法人がなくなりましたね。
一般財団法人については、今後とも出題される可能性はありますので、よく復習をしておいてください。
では、平成16年度 行政書士試験 問題2の解答解説を載せておきます。
問題2 法人の設立に対する国や地方公共団体の関与の態様には、①許可主義、②認可主義、③認証主義、④準則主義がある。下表において、①~④に対応するア~エに当てはまる法人の組合せとして正しいものはどれか。
①許可主義 ア
②認可主義 イ
③認証主義 ウ
④準則主義 エ
ア イ ウ エ
1 学校法人 特定非営利活動法人 宗教法人 株式会社
2 財団法人 学校法人 特定非営利活動法人 株式会社
3 財団法人 合名会社 宗教法人 管理組合法人
4 社会福祉法人 学校法人 合名会社 管理組合法人
5 特定非営利活動法人 社会福祉法人 管理組合法人 宗教法人
問題2 正解 法改正により正解はない
ア なし
平成18年改正前民法34条は、「学術、技芸、慈善、祭祀、宗教その他の公益に関する社団又は財団であって、営利を目的としないものは、主務官庁の許可を得て、法人とすることができる。」と規定し、財団法人の設立について許可主義をとっていた。
しかし、平成18年法律第50号 (施行日は、平成20年12月1日) により、社団法人・財団法人制度は廃止され、新たに一般社団法人・一般財団法人制度及び公益社団法人・公益財団法人制度が設けられた。
なお、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律22条は、「一般社団法人は、その主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによって成立する。」と規定し、同法163条は、「一般財団法人は、その主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによって成立する。」と規定し、いずれも準則主義をとっている。
また、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律4条は、「公益目的事業を行う一般社団法人又は一般財団法人は、行政庁の認定を受けることができる。」と規定し、同法2条1号は、公益社団法人とは、第4条の認定を受けた一般社団法人をいうと規定し、同条2号は、公益財団法人とは、第4条の認定を受けた一般財団法人をいうと規定している。
なお、学校法人、社会福祉法人及び特定非営利活動法人については、後述する。
イ 学校法人、社会福祉法人が入る
学校教育法4条1項は、国立学校、この法律によって設置義務を負う者の設置する学校及び都道府県の設置する学校 (大学及び高等専門学校を除く。) のほか、学校 (高等学校 (中等教育学校の後期課程を含む。) の通常の課程 (以下「全日制の課程」という。)、夜間その他特別の時間または時期において授業を行う課程 (以下「定時制の課程」という。) 及び通信による教育を行う課程 (以下「通信制の課程」という。)、大学の学部、大学院及び大学院の研究科並びに第108条第2項の大学の学科についても同様とする。) の設置廃止、設置者の変更その他政令で定める事項は、公立又は私立の大学及び高等専門学校については文部科学大臣、市町村の設置する幼稚園、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校については都道府県の教育委員会、私立の幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校については都道府県知事の認可を受けなければならないと規定している。
また、社会福祉法31条1項は、社会福祉法人を設立しようとする者は、定款をもって少なくとも目的等の一定の事項を定め、厚生労働省令で定める手続に従い、当該定款について所轄庁の認可を受けなければならないと規定している。
なお、会社法579条は、合名会社、合資会社又は合同会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立すると規定している。したがって、合名会社については、準則主義がとられている。また、特定非営利活動法人については、後述する。
ウ 宗教法人、特定非営利活動法人が入る
宗教法人法12条1項は、宗教法人を設立しようとする者は、目的等の一定の事項を記載した規則を作成し、その規則について所轄庁の認証を受けなければならないと規定している。
また、特定非営利活動促進法10条1項は、特定非営利活動法人を設立しようとする者は、内閣府令 (前条第2項の特定非営利活動法人以外の特定非営利活動法人に係る場合にあっては、都道府県の条例。第26条第3項、第44条第2項、第44条の2及び第44条の3を除き、以下同じ。) で定めるところにより、定款等の一定の書類を添付した申請書を所轄庁に提出して、設立の認証を受けなければならないと規定している。管理組合法人については、後述する。
エ 株式会社、管理組合法人が入る
会社法49条は、「株式会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立する。」と規定している。
また、建物の区分所有等に関する法律47条1項は、「第3条に規定する団体は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で法人となる旨並びにその名称及び事務所を定め、かつ、その主たる事務所の所在地において登記をすることによつて法人となる。」と規定している。なお、同条2項は、「前項の規定による法人は、管理組合法人と称する。」と規定している。
以上により、法改正により正解はない。
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