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2009.12.31 Thu l 未分類 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成21年度 行政書士試験 問題37は、「株式会社の定款」に関する問題でした。

行政書士試験では、おなじみの条文問題ですね。
ただ、数年前の問題と違って、条文そのものではなく、受験生を迷わせる事情が書かれてあったりして、試験委員の苦労がしのばれます。

さて、正解肢は、著名な判例をベースにしていますから、得点すべきですね。

では、平成21年度 行政書士試験 問題37の解答解説を載せておきます。







問題37 株式会社の定款に関する次の記述のうち、会社法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

1 会社設立時に株式会社が発行する株式数は、会社法上の公開会社の場合には、発行可能株式総数の4分の1を下回ることができないため、定款作成時に発行可能株式総数を定めておかなければならないが、会社法上の公開会社でない会社の場合には、発行株式数について制限がなく、発行可能株式総数の定めを置かなくてよい。

2 株式会社は株券を発行するか否かを定款で定めることができるが、会社法は、株券を発行しないことを原則としているので、株券を発行する旨を定款に定めた会社であっても、会社は、株主から株券の発行を請求された段階で初めて株券を発行すれば足りる。

3 株主総会は株主が議決権を行使するための重要な機会であるため、本人が議決権を行使する場合のほか、代理人による議決権行使の機会が保障されているが、会社法上の公開会社であっても、当該代理人の資格を株主に制限する旨を定款に定めることができる。

4 取締役会は、取締役が相互の協議や意見交換を通して意思決定を行う場であるため、本来は現実の会議を開くことが必要であるが、定款の定めにより、取締役の全員が書面により提案に同意した場合には、これに異議を唱える者は他にありえないため、当該提案を可決する旨の取締役会の決議があったものとみなすことができる。

5 取締役会設置会社は監査役を選任しなければならないが、会社法上の公開会社でない取締役会設置会社の場合には、会計監査人設置会社であっても、定款で、監査役の監査権限を会計監査に限定することができる。





問題37 正解 3
1 妥当でない
 会社法37条1項は、「発起人は、株式会社が発行することができる株式の総数 (以下「発行可能株式総数」という。) を定款で定めていない場合には、株式会社の成立の時までに、その全員の同意によって、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければならない。」と規定している。このように、会社法上の公開会社であっても、株式会社の成立の時までに、発行可能株式総数の定めを設ければ足りる。したがって、会社法上の公開会社の場合には、定款作成時に発行可能株式総数を定めておかなければならないわけではない。
 なお、同条3項は、「設立時発行株式の総数は、発行可能株式総数の4分の1を下ることができない。ただし、設立しようとする株式会社が公開会社でない場合は、この限りでない。」と規定している。したがって、その他の記述は妥当である。

2 妥当でない
 会社法215条1項は、「株券発行会社は、株式を発行した日以後遅滞なく、当該株式に係る株券を発行しなければならない。」と規定し、同条4項は、「前3項の規定にかかわらず、公開会社でない株券発行会社は、株主から請求がある時までは、これらの規定の株券を発行しないことができる。」と規定している。このように、株券発行会社のうちの公開会社は、株式を発行した日以後遅滞なく、当該株式に係る株券を発行しなければならない。したがって、株券を発行する旨を定款に定めた会社であっても、会社は、株主から株券の発行を請求された段階で初めて株券を発行すれば足りるとの記述は妥当でない。
 なお、同法214条1項は、「株式会社は、その株式 (種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式) に係る株券を発行する旨を定款で定めることができる。」と規定している。このように、会社法は、原則として、株券を発行しないこととしている。したがって、株式会社は、株券を発行するか否かを定款で定めることができるが、会社法は、株券を発行しないことを原則としているとの記述は妥当である。

3 妥当である
 会社法310条1項前段は、「株主は、代理人によってその議決権を行使することができる。」と規定している。したがって、株主総会においては、本人が議決権を行使する場合のほか、代理人による議決権行使の機会が保障されている。
 また、判例 (最判昭和43年11月1日) は、「商法239条3項 (現在の会社法310条1項に相当する。) は、議決権を行使する代理人の資格を制限すべき合理的な理由がある場合に、定款の規定により、相当と認められる程度の制限を加えることまでも禁止したものとは解されず、右代理人は株主にかぎる旨の所論上告会社の定款の規定は、株主総会が、株主以外の第三者によつて攪乱されることを防止し、会社の利益を保護する趣旨にでたものと認められ、合理的な理由による相当程度の制限ということができるから、右商法239条3項に反することなく、有効であると解するのが相当である。」とした。この判例の結論は、会社法上の公開会社であっても妥当すると解されている。したがって、会社法上の公開会社であっても、当該代理人の資格を株主に制限する旨を定款に定めることができる。

4 妥当でない
 会社法370条は、「取締役会設置会社は、取締役が取締役会の決議の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき取締役 (当該事項について議決に加わることができるものに限る。) の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたとき (監査役設置会社にあっては、監査役が当該提案について異議を述べたときを除く。) は、当該提案を可決する旨の取締役会の決議があったものとみなす旨を定款で定めることができる。」と規定している。このように、取締役会設置会社においては、取締役が取締役会の決議の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき取締役の全員が書面により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の取締役会の決議があったものとみなす旨を定款で定めることができるが、監査役設置会社にあっては、監査役が当該提案について異議を述べないことを要する。したがって、取締役会は、定款の定めにより、取締役の全員が書面により提案に同意した場合には、当該提案を可決する旨の取締役会の決議があったものとみなすことができるとの記述は妥当でない。
 なお、取締役会は、取締役が相互の協議や意見交換を通して意思決定を行う場であるため、本来は現実の会議を開くことが必要であるとの記述は妥当である。

5 妥当でない
 会社法381条1項前段は、「監査役は、取締役 (会計参与設置会社にあっては、取締役及び会計参与) の職務の執行を監査する。」と規定し、同法389条1項は、「公開会社でない株式会社 (監査役会設置会社及び会計監査人設置会社を除く。) は、第381条第1項の規定にかかわらず、その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨を定款で定めることができる。」と規定している。このように、監査役は、原則として、取締役の職務の執行を監査するが、公開会社でない株式会社 (監査役会設置会社及び会計監査人設置会社を除く。) は、その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨を定款で定めることができる。したがって、会社法上の公開会社でない取締役会設置会社の場合には、会計監査人設置会社であっても、定款で、監査役の監査権限を会計監査に限定することができるとの記述は妥当でない。
 なお、同法327条2項は、「取締役会設置会社 (委員会設置会社を除く。) は、監査役を置かなければならない。ただし、公開会社でない会計参与設置会社については、この限りでない。」と規定している。したがって、取締役会設置会社は、監査役を選任しなければならないとの記述は、基本的には、妥当である。

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2009.12.30 Wed l 行政書士試験 平成21年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
福岡地方は、一日中どんよりとした曇り空で、寒い一日でした。
帰省が本格的に始まったようで、関西方面から友人が戻ってきました。
会う約束をしていたのですが、娘のこともあり、今回は延期することにしました。

さて、娘の病状は、確実に落ち着いてきていますね。
若干熱があるようですが、一昨日に比べると、全く平熱と言ってもよいくらいです。
お風呂に入れるときに、良く観察すると、身体に発疹が出てきていますので、どうやら、多くの子供がなる突発性発疹だったようです。
治療法がないようですが、そのまま放置していても、命を落としたり、障害が残ったりする種類の病気ではないようなので、注意しつつ見守ることにしました。

なお、本日、別の出版社から仕事が降ってきたので、年末年始は、ないに等しい状況ですね。
ありがたいことですが、もうちょっと余裕のある仕事がしたいですね。

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2009.12.30 Wed l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成21年度 行政書士試験 問題36は、「商人間の取引」に関する正誤問題でした。

商法の条文に合わせて事例が設定されており、試験委員の努力の跡がうかがわれます。

正解肢は、予想された条文からの出題ですので、得点すべきですが、事例形式になると難易度は、やはり上がりますね。

なお、肢3については、債務不履行の問題になると思うのですが……。
商法527条に合わせて事例が設定されていたため、そちらで解説を書きましたが、いまだに謎です。

では、平成21年度 行政書士試験 問題36の解答解説を載せておきます。







問題36 商人間の取引に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。

1 A株式会社は、輸入業者Bとの間で牛肉の売買契約を締結し、Aの仕入れ担当者が引渡しに立ち会った。4ヶ月後に、当該牛肉に狂牛病の可能性のある危険部位があることが分かったため、直ちにBに通知した。この場合に、AはBに対して売買契約の解除、代金の減額または損害賠償を請求することができる。

2 A株式会社は、輸入業者Bとの間でコーヒー豆の売買契約を締結した。Aの仕入れ担当者はコーヒー豆の納入に立ち会い、数量の確認および品質の検査を行った。その際、コーヒー豆の品質の劣化を認識していたが、Bに直ちには通知しなかった。この場合に、AはBに対して売買契約の解除、代金の減額または損害賠償を請求することができない。

3 A株式会社は、輸入業者Bとの間でチューリップの球根の売買契約を締結した。Aの仕入れ担当者が引渡しに立ち会ったところ、球根の種類が予定していたものと異なっていた。そこで、Aは直ちに売買契約の解除をBに通知した。Bの営業所が同一市内にあったため、Bが引き取りに来るまでの間、Aは球根を放置していたところ、発芽し、売り物には適さないものになったが、Aには責任はない。

4 A株式会社は、輸入業者Bとの間でバナナの売買契約を締結した。履行期日になったが、Aの加工工場でストライキが起こり、Aは期日にバナナを受領することができなかった。そこでBは、Aへの催告なしに、そのバナナを競売に付し、競売の代金をバナナの代金に充当したが、これについて、Bに責任はない。

5 A株式会社は、輸入業者Bとの間でクリスマス商品の売買契約を締結したが、輸出国の工場での製造工程にトラブルが生じ、商品の製造が遅れたため、納入がクリスマスに間に合わなかった。Aが、Bに対して契約の解除等何らの意向を示さずに、Bからの度重なる連絡を無視し続けた場合、クリスマス商品の受領を拒むことはできない。






問題36 正解 5
1 妥当である
 A株式会社の仕入れ担当者は、売買の目的物である牛肉の引渡しに立ち会っているにもかかわらず、その牛肉に瑕疵があることを通知したのは、4ヶ月後である。この場合でも、A株式会社は、輸入業者Bに対して売買契約の解除、代金の減額又は損害賠償を請求することができるか。
 この点、商法526条1項は、「商人間の売買において、買主は、その売買の目的物を受領したときは、遅滞なく、その物を検査しなければならない。」と規定し、同条2項は、「前項に規定する場合において、買主は、同項の規定による検査により売買の目的物に瑕疵があること又はその数量に不足があることを発見したときは、直ちに売主に対してその旨の通知を発しなければ、その瑕疵又は数量の不足を理由として契約の解除又は代金減額若しくは損害賠償の請求をすることができない。売買の目的物に直ちに発見することのできない瑕疵がある場合において、買主が6箇月以内にその瑕疵を発見したときも、同様とする。」と規定している。
 本肢に当てはめると、売買の目的物である牛肉の中に狂牛病の可能性のある危険部位があることは、買主の専門的能力を考慮しても直ちに発見することができない瑕疵であるといえるから、売買の目的物に直ちに発見することのできない瑕疵がある場合に当たる。この場合、買主は、瑕疵を発見後直ちに売主に対してその旨を通知すれば、契約の解除等をすることができる。
 よって、A株式会社は、輸入業者Bに対して売買契約の解除又は代金の減額若しくは損害賠償の請求をすることができる。

2 妥当である
 商法526条1項は、「商人間の売買において、買主は、その売買の目的物を受領したときは、遅滞なく、その物を検査しなければならない。」と規定し、同条2項は、「前項に規定する場合において、買主は、同項の規定による検査により売買の目的物に瑕疵があること又はその数量に不足があることを発見したときは、直ちに売主に対してその旨の通知を発しなければ、その瑕疵又は数量の不足を理由として契約の解除又は代金減額若しくは損害賠償の請求をすることができない。売買の目的物に直ちに発見することのできない瑕疵がある場合において、買主が6箇月以内にその瑕疵を発見したときも、同様とする。」と規定している。このように、売買の目的物に瑕疵又は数量の不足があることを発見したにもかかわらず、直ちに売主に対してその旨の通知を発しないときは、その瑕疵又は数量の不足を理由として契約の解除等をすることはできない。
 よって、A株式会社は、輸入業者Bに対して売買契約の解除又は代金の減額若しくは損害賠償の請求をすることができない。

3 妥当である
 商法526条1項は、「商人間の売買において、買主は、その売買の目的物を受領したときは、遅滞なく、その物を検査しなければならない。」と規定し、同法527条1項は、「前条第1項に規定する場合においては、買主は、契約の解除をしたときであっても、売主の費用をもって売買の目的物を保管し、又は供託しなければならない。ただし、その物について滅失又は損傷のおそれがあるときは、裁判所の許可を得てその物を競売に付し、かつ、その代価を保管し、又は供託しなければならない。」と規定し、同条4項は、「前3項の規定は、売主及び買主の営業所 (営業所がない場合にあっては、その住所) が同一の市町村の区域内にある場合には、適用しない。」と規定している。
 このように、商人間の売買において、買主がその目的物を受領し、その検査により瑕疵又は数量の不足を発見したため契約を解除したときでも、売主は、原則として、売主の費用をもって売買目的物の保管等をしなければならないが、売主及び買主の営業所が同一の市町村の区域内にある場合には、これを要せず、この場合には、民法の原則に戻って、買主は、原状回復のために目的物を返還する義務を負うにすぎない (同法545条1項本文)。
 本肢に当てはめると、A株式会社は、売買の目的物を受領し、その検査により瑕疵を発見したため契約を解除しているが、A株式会社と輸入業者Bの営業所は、同一の市町村の区域内にあるため、保管義務を負わない。
よって、A株式会社は、輸入業者Bに対して損害賠償等の責任を負わない。

■ なお、本肢は、商法527条に合わせて事例が設定されていたため、当該条文を当てはめて処理した。
しかし、引き渡された物が契約の目的物と異なる場合には、債務不履行の問題となると解されており (多数説)、この場合には、目的物の検査・通知義務 (同法526条) や、これを前提とする目的物の保管・供託義務 (同法527条) は課されないことになる。
 そこで、本肢について、いずれの解説が妥当であるかは、いささか迷うところではある。

4 妥当である
 商法524条1項は、「商人間の売買において、買主がその目的物の受領を拒み、又はこれを受領することができないときは、売主は、その物を供託し、又は相当の期間を定めて催告をした後に競売に付することができる。この場合において、売主がその物を供託し、又は競売に付したときは、遅滞なく、買主に対してその旨の通知を発しなければならない。」と規定し、同条2項は、「損傷その他の事由による価格の低落のおそれがある物は、前項の催告をしないで競売に付することができる。」と規定し、同条3項は、「前2項の規定により売買の目的物を競売に付したときは、売主は、その代価を供託しなければならない。ただし、その代価の全部又は一部を代金に充当することを妨げない。」と規定している。
 よって、輸入業者Bは、A株式会社に対して損害賠償等の責任を負わない。

5 妥当でない
 商法525条は、「商人間の売買において、売買の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、当事者の一方が履行をしないでその時期を経過したときは、相手方は、直ちにその履行の請求をした場合を除き、契約の解除をしたものとみなす。」と規定している。
 本肢に当てはめると、クリスマス商品は、クリスマスの時期にもっとも売れ、その他の時期にあっては、ほとんど売れないというのが実情である。このため、クリスマス商品は、売買の性質により、一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができないものに当たる。このため、クリスマス商品の納入がクリスマスに間に合わなかった場合は、A株式会社が、直ちにその履行の請求をした場合を除き、契約の解除をしたものとみなされ、このことは、A株式会社が、Bに対して契約の解除等何らの意向を示さずに、Bからの度重なる連絡を無視し続けた場合であっても、その結論が異なることはない。
 よって、A株式会社は、輸入業者Bからのクリスマス商品の受領を拒むことができる。

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2009.12.28 Mon l 行政書士試験 平成21年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
さきほど、ちょっと運転したのですが、天神方面へ向かって、道路情報では、真っ赤になっていましたね。
さすがに、年末で、道路は大渋滞のようです。

さて、娘の体調の方ですが、夕方になると熱が出てきますね。
40度を超えたので、さすがに、ビックリ!

医師であるギリ兄に聞いたところ、首が硬直して、頭が前に曲がらなくなると最悪とのこと。
そのような状況にはなかったので、すぐに連れて行く必要はないそうです。
ただ、原因を確定するため、一度病院へ連れて行った方がよいとのアドバイスを受けました。
というわけで、先ほど、病院へ連れて行って結果待ちの状態です。

年末年始は、どの病院もお休みで、緊急外来は一杯でしょうから、それまでに回復して欲しいのですが!?

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2009.12.28 Mon l 福岡便り l コメント (0) トラックバック (0) l top
夜半に娘が熱を出したため、今日は自宅で娘の子守をしています。

来月の10日くらいまでに、50枚程度の執筆を依頼されているので、かなりあせりますが、優先順位の1番は、娘のことなので、それはそれでしょうがない感じです。

自宅で娘と一緒に横になっていると、飛行機がひっきりなしに到着しています。
風向きの関係で、今日は、当方の自宅の上空が飛行ルートになっているようです。
東京に住んでいる従兄弟家族も、本日帰省のようなので、おそらくその中の一つに乗っていることでしょうね。

もう幾つ寝るとお正月、お正月には……♪ の世界ですね。

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2009.12.26 Sat l 福岡便り l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成21年度 行政書士試験 問題35は、「相続欠格と相続人の廃除」に関する組合せ問題でした。

肢ア、イ、エ、オは、基礎知識を問うものですが、肢イの記述が条文とは異なるため、一瞬迷いが生じますね。
落ち着いて考えれば分かるのでしょうけどね……。
その意味では、難しい問題です。

では、平成21年度 行政書士試験 問題35の解答解説を載せておきます。






問題35 相続欠格と相続人の廃除に関する次のア~オの記述のうち、妥当なものの組合せはどれか。

ア 相続欠格においては、その対象者となりうるのは全ての推定相続人であるが、相続人の廃除においては、その対象者となるのは遺留分を有する推定相続人に限られる。

イ 相続欠格においては、その効果は一定の欠格事由があれば法律上当然に生ずるが、相続人の廃除においては、その効果は被相続人からの廃除請求による家庭裁判所の審判の確定によって生ずる。

ウ 相続欠格においては、被相続人および同順位相続人は欠格の宥恕をすることができるが、相続人の廃除においては、被相続人は審判確定後は家庭裁判所にその取消しを請求することはできない。

エ 相続欠格においては、被相続人の子が欠格者となった場合には、欠格者の子は代襲相続人となることができないが、相続人の廃除においては、被相続人の子について廃除が確定した場合でも、被廃除者の子は代襲相続人となることができる。

オ 相続欠格においては、その効果としてすべての相続にかかわる相続能力が否定されるが、相続人の廃除においては、その効果として廃除を請求した被相続人に対する相続権のみが否定される。

1 ア・イ
2 ア・ウ
3 イ・エ
4 ウ・オ
5 エ・オ





問題35 正解 1
ア 妥当である
 民法891条は、故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者等は、相続人となることができないと規定している。このように、相続欠格の対象者となりうるのは全ての推定相続人である。
 また、民法892条は、「遺留分を有する推定相続人 (相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。) が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。」と規定している。このように、相続人の廃除の対象者となるのは遺留分を有する推定相続人に限られる。

■ 「推定相続人」とは、相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。たとえば、配偶者は、常に推定相続人であり (民法890条)、仮にそのほかに子と直系尊属がいれば、子は推定相続人となるが、直系尊属は推定相続人とはならない (同法887条、889条1項)。

■ 相続欠格と相続人の廃除とは、いずれも推定相続人の相続資格を奪う制度であるが、相続欠格は、被相続人の意思いかんにかかわらず法律上当然にその資格を奪うものであるのに対し、相続人の廃除は、被相続人の意思に基づきその資格を奪う制度である。

イ 妥当である
 民法891条は、故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者等は、相続人となることができないと規定している。このように、相続欠格においては、その効果は、一定の欠格事由があれば法律上当然に生ずる。
 また、民法892条は、「遺留分を有する推定相続人 (相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。) が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。」と規定している。このように、相続人の廃除においては、その効果は被相続人からの廃除請求による家庭裁判所の審判の確定によって生ずる。

ウ 妥当でない
 相続欠格においては、欠格の宥恕 (=相続欠格に該当して相続資格を失った者について、被相続人が許すことにより、その資格を回復すること) は認められないという考え方が多数説である。これは、①相続欠格は公益的な制度であり、私人の意思によりこれを覆すことは許されないこと、②推定相続人の廃除と異なり、明文の規定を欠くこと等を理由とする。
 また、民法894条1項は、「被相続人は、いつでも、推定相続人の廃除の取消しを家庭裁判所に請求することができる。」と規定している。

エ 妥当でない
 民法887条2項本文は、「被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。」と規定している。
したがって、相続欠格においては、被相続人の子が欠格者となった場合には、欠格者の子は代襲相続人となることができないとの記述は妥当でない。

オ 妥当でない
 相続は、被相続人の財産法上の地位ないし権利義務を、特定の者に承継する制度である。このように、相続は、被相続人と特定の者との関係において相対的に効力を有するものであるから、相続欠格の効果も相対的であり、特定の者に対する関係で相続人資格を奪うにすぎない。
 したがって、相続欠格においては、その効果としてすべての相続にかかわる相続能力が否定されるとの記述は妥当でない。

以上により、妥当なものは、ア・イであるから、正解は1になる。

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2009.12.25 Fri l 行政書士試験 平成21年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
昨日の夕べは、クリスマスイブでしたね。

皆さんのご家庭では、いかがすごされたことでしょうか?

我が家では、例年通り、ケーキとチキンをデパートに頼んでおいて、家でお食事会でした。
娘は、昨年に比べて、ずいぶん表情が豊かになりましたが、いつもと変わらない様子でしたね。
大人ばかりが、はしゃいでるようです!

久しぶりに、スパークリングワインを飲みましたが、飲み口がよすぎて、当方は、程なくダウンしてしまいました。
楽しい夕べになりました。

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2009.12.25 Fri l 福岡便り l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成21年度 行政書士試験 問題34は、「不法行為の成立」に関する正誤問題でした。

肢1、4及び5は、基礎知識により解けます。
そこで、肢2又は3に絞ることができますが、そのいずれが正解であるかの判断は、難しかったでしょうね。
「得点できれば、ラッキー!」でよいかと思います。

なお、ここ数年、民・商法については、単純な条文問題ではなく、事例問題が増加しています。
実務重視の傾向なのでしょうね。この点は、非常に高く評価することができます。
ただ、適切な事案の設定がむずかしいためか、事例判決(=普遍的な規範を提供する判決ではなく、その事例についてのみ当てはまるような判決)を出題することが増えています。たとえば、本問の肢2、3は、事例判決に近い感じです。
実務重視といっても、受験生に事例判決の知識を求めること(たとえば、事例判決の事案を正解肢とすること。ただし、他の4肢が、基本知識で解けるのなら問題ありません。)は、行き過ぎだと感じますね。

では、平成21年度 行政書士試験 問題34の解答解説を載せておきます。







問題34 不法行為の成立に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

1 鍵が掛けられていた、他人の自転車を盗んだ者が、その自転車を運転している最中に不注意な運転により第三者に怪我を負わせてしまった場合、自転車の所有者は、第三者に対して不法行為責任を負う。

2 責任能力を有する未成年者が不法行為をなした場合、親権者の未成年者に対して及ぼしうる影響力が限定的で、かつ親権者において未成年者が不法行為をなすことを予測し得る事情がないときには、親権者は、被害者に対して不法行為責任を負わない。

3 飲食店の店員が出前に自動車で行く途中で他の自動車の運転手と口論となり、ついには同人に暴力行為を働いてしまった場合には、事業の執行につき加えた損害に該当せず、店員の使用者は、使用者責任を負わない。

4 請負人がその仕事について第三者に損害を与えてしまった場合、注文者と請負人の間には使用関係が認められるので、注文者は、原則として第三者に対して使用者責任を負う。

5 借家の塀が倒れて通行人が怪我をした場合、塀の占有者である借家人は通行人に対して無過失責任を負うが、塀を直接占有していない所有者が責任を負うことはない。









問題34 正解 2
1 妥当でない
 民法709条は、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」と規定している。このように、不法行為責任が成立するためには、①自己の故意又は過失ある行為に基づくこと、②行為者に責任能力があること、③行為が違法であること、④違法な行為によって損害が生じたこと (因果関係) の要件を充たすことが必要である。そして、①の要件については、他人の行為であっても、その者が違法な事実を生ずることにつき故意又は過失があるときは、なお自己の行為による加害行為と解するべきであると解されている (有力説)。
 本肢において、自転車の所有者は、それに鍵を掛けて他人による利用を禁止しており、他人が違法な事実を生ずることにつき故意又は過失があるとはいえない。
 よって、自転車の所有者は、第三者に対して不法行為責任を負わない。

2 妥当である
 判例 (最判平成18年2月24日) は、「未成年者が責任能力を有する場合であっても,その監督義務者に監督義務違反があり,これと未成年者の不法行為によって生じた損害との間に相当因果関係を認め得るときには,監督義務者は,民法709条に基づき損害賠償責任を負う」とした上で、本肢と同様の事案 (親権者の未成年者に対して及ぼしうる影響力が限定的で、かつ、親権者において未成年者が不法行為をなすことを予測し得る事情がない) において、監督義務違反があったとはいえないとして、親権者に対する民法709条に基づく損害賠償責任を認めなかった。
 よって、親権者は、被害者に対して不法行為責任を負わない

3 妥当でない
 判例 (最判昭和46年6月22日) は、すし屋の店員2名が、使用者所有の自動車を運転し、またはこれに同乗して、出前に行く途中、その自動車の方向指示器を点燈したまま直進したため、これと衝突しそうになった他の自動車の運転者と口論になり、そのあげく同人に対し暴行を加えて負傷させたため、同人がその使用者に対して使用者責任 (民法715条) を追及した事案において、「被上告人の被つた原判示の損害は、右訴外人両名が、上告会社の事業の執行行為を契機とし、これと密接な関連を有すると認められる行為をすることによつて生じたものであるから、民法715条1項にいう被用者が使用者の事業の執行につき加えた損害というべきである。」とした。

4 妥当でない
 民法716条は、「注文者は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負わない。ただし、注文又は指図についてその注文者に過失があったときは、この限りでない。」と規定している。
 このように、注文者は、原則として、請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負わない

5 妥当でない
 民法717条1項は、「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。」と規定している。
 このように、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、責任を免れることができる。
 したがって、占有者の責任は、無過失責任ではない。
 また、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。

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2009.12.24 Thu l 行政書士試験 平成21年度 l コメント (2) トラックバック (0) l top
テレビがようやく到着しました。
購入から1週間以上を要しましたが、年末のこの時期であるので、当然でしょうね。

さて、妻のボーナスで買ったので、今回は、妻の意見が全面的に反映され、46型になりました。
今までは21型のブラウン管テレビだったので、どうなるかとは思っていたのですが……。

据え付けたときは、「大きいなぁ!」という印象でしたが、目が慣れてくると、それほど大きく感じなくなりました。
人間の順応力には、驚かされますね。

迫力のある映像を見てみたいですね!

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2009.12.24 Thu l 福岡便り l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成21年度 行政書士試験 問題33は、「転貸借の法律関係」の空欄補入問題でした。

転貸借に関する基礎知識を問うものであり、得点すべきですね。

では、平成21年度 行政書士試験 問題33の解答解説を載せておきます。






問題33 次の文章は、最高裁判所の判決文の一節であるが、文中の空欄 〔 ア 〕 ~ 〔 ウ 〕 に入る語句の組合せとして、正しいものはどれか。

 「賃貸人の承諾のある転貸借においては、転借人が目的物の使用収益につき賃貸人に対抗し得る権原 (転借権) を有することが重要であり、転貸人が、自らの債務不履行により賃貸借契約を解除され、転借人が転借権を賃貸人に対抗し得ない事態を招くことは、転借人に対して目的物を使用収益させる債務の履行を怠るものにほかならない。そして、賃貸借契約が転貸人の債務不履行を理由とする解除により終了した場合において、賃貸人が転借人に対して直接目的物の返還を請求したときは、転借人は賃貸人に対し、目的物の返還義務を負うとともに、遅くとも右返還請求を受けた時点から返還義務を履行するまでの間の目的物の使用収益について、不法行為による損害賠償義務又は不当利得返還義務を免れないこととなる。他方、賃貸人が転借人に直接目的物の返還を請求するに至った以上、転貸人が賃貸人との間で再び賃貸借契約を締結するなどして、転借人が賃貸人に転借権を対抗し得る状態を回復することは、もはや期待し得ないものというほかなく、〔 ア 〕 の 〔 イ 〕 に対する債務は、社会通念及び取引通念に照らして 〔 ウ 〕 というべきである。したがって、賃貸借契約が転貸人の債務不履行を理由とする解除により終了した場合、賃貸人の承諾のある転貸借は、原則として、賃貸人が転借人に対して目的物の返還を請求した時に、〔 ア 〕 の 〔 イ 〕 に対する債務の 〔 ウ 〕 により終了すると解するのが相当である。」
(最三小判平成9年2月25日民集51巻2号398頁以下)

   ア      イ       ウ
1 転貸人    転借人    不完全履行
2 転貸人    賃貸人    履行不能
3 賃貸人    転貸人    履行遅滞
4 賃貸人    転借人    履行遅滞
5 転貸人    転借人    履行不能







問題33 正解 5
 転貸借の要件・効果については、民法612条及び613条に規定が置かれているが、賃貸借契約が転貸人の債務不履行を理由とする解除により終了した場合の法律関係については、明文の規定は存在しない。そこで、この場合につき、いかに解すべきかが問題となる。本判決は、この法律関係のうち、賃貸人の承諾のある転貸借の帰趨が問題となっていることは、問題に掲げられている判決文の最後の一文を見れば明らかである。

ア 転貸人
 問題に掲げられている判決文では、「転貸人が、自らの債務不履行により賃貸借契約を解除され、転借人が転借権を賃貸人に対抗し得ない事態を招くことは、転借人に対して目的物を使用収益させる債務の履行を怠るものにほかならない」と述べられている。
 そこで、「〔 ア 〕 の 〔 イ 〕 に対する債務」は、転貸人の転借人に対する目的物を使用収益させる債務であることが分かる。

イ 転借人
 肢アの解説参照。

ウ 履行不能
 「賃貸人の承諾のある転貸借においては、転借入が目的物の使用収益につき賃貸人に対抗し得る権原 (転借権) を有することが重要であり、転貸人が、自らの債務不履行により賃貸借契約を解除され、転借人が転借権を賃貸人に対抗し得ない事態を招くことは、転借人に対して目的物を使用収益させる債務の履行を怠るものにほかならない。」という冒頭の文からも明らかなように、空欄ウには、「履行不能」が入る。

以上により、空欄アには「転貸人」、空欄イには「転借人」、空欄ウには「履行不能」が入るので、正解は5になる。

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2009.12.23 Wed l 行政書士試験 平成21年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成21年度 行政書士試験 問題32は、「費用償還請求権」に関する横断的問題でした。

問題30を作成した試験委員が作ったものと推測されますが、こちらの方が出来がいい感じがします。
試験委員ががんばってくれているので、当方としても解説の書き甲斐があります。

問題としては、肢イが常識的にみて妥当でないことはわかって欲しいですね。
後は、選択肢との関係で、肢エと肢オですが、肢オが常識的にみて妥当だなぁと感じられれば、得点できますね。

なお、肢エにおいて、「賃借人が増築した部分は、附合により建物所有者に帰属する(最判昭和38・5・31)。なぜなら、賃借人には、建物を増築する権限はないからである 。」旨の解説を見つけました。
この解説は、最判昭和38年10月29日の判例と矛盾します。
最判昭和38年10月29日は、賃借人が増築した部分が、建物と一体となった(つまり建物の構成部分となった)かが争われた事案で、「二階建木造建物の階下の一部を賃借した者が、判示事情のものに賃貸人の承諾をえて賃借部分をとりこわしその跡に自己の負担で店舗を作つた場合には、右店舗の一部に原家屋の二階が重なつており、既存の二本の通し柱および天井の梁を利用していても、他に特段の事情のないかぎり右店舗部分は従前の賃借人の区分所有権に帰すものと解すべきである。」旨を判示しています。
最判昭和38年5月31日は、「所論増築部分が甲建物と別個独立の存在を有せず、その構成部分となつている旨の原審の認定は、挙示の証拠に照し、首肯するに足りる。このような場合には、右増築部分は民法242条により甲建物の所有者である被上告人の所有に帰属し、上告人は右増築部分の所有権を保有しえず、従つて、その保存登記をなしうべきかぎりでない。」としています。
この判例は、賃借人には、建物を増築する権限がないから増築部分の所有権は建物所有者に帰属するとしたものではなく、増築部分が甲建物の構成部分となって独立性を有しないゆえに、その部分の所有権を観念することはできないとしたものです。
誤解を生じやすい部分ですので、ご注意ください。

では、平成21年度 行政書士試験 問題32の解答解説を載せておきます。




問題32 他人の財産に対する費用の支出とその償還請求に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものの組合せはどれか。

ア A・B間の家屋売買契約が解除されても、買主Aは解除前に支出した有益費の償還を受けるまで家屋を留置することができるが、Aは、留置中にこれを使用することにより、法律上の原因なく利得することとなるから、その利得を不当利得として返還する義務がある。

イ Aは、Bに対して自己が所有する土地を売り渡したが、この売買契約と同時に買戻しの特約をしていた場合において、Aが買戻権を行使したときは、この売買契約成立後Aが買戻権を行使するまでにBがその土地につき必要費を支出していたとしても、Bは、Aに対してこの費用の償還請求をすることができない。

ウ Aは、Bから建物を賃借して居住し、その問に同建物につき有益費を支出したが、その後に、B・C間で賃貸人たる地位の移転が生じた場合に、Aは、原則としてBに対しては有益費の償還を請求することができない。

エ Aは、Bに対して自己が所有する建物を賃貸していたが、Bが有益費を支出して同建物に増築部分を付加して同建物と一体とした場合において、後にその増築部分が隣家の火災により類焼して失われたときにも、Bは、Aに対して増築部分につき有益費の償還請求をすることができる。

オ Aは、Bと寄託契約に基づき受寄物を保管していたが、保管事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、Bに対し、その費用および支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる。

1 ア・ウ
2 ア・エ
3 イ・エ
4 イ・オ
5 ウ・オ









問題32 正解 3
ア 妥当である
 判例 (大判昭和10年5月13日) は、家屋の賃借人がその賃借中に支出した必要費若しくは有益費のため留置権を行使し、その償還を受けるまで当該家屋に居住するのは、他に特殊の事情がない限り、民法298条2項ただし書の規定する留置物の保存に必要な使用をすることに当たるとした。
 また、判例 (大判昭和13年12月17日) は、家屋の賃借人であった者が、契約終了後にその建物に対して留置権を有する場合、留置家屋の居住によって得た利益は、不当利得として家屋所有者に償還すべきであるとした。

イ 妥当でない
 民法583条2項本文は、「買主又は転得者が不動産について費用を支出したときは、売主は、第196条の規定に従い、その償還をしなければならない。」と規定している。このように、買戻権者 (売主) は、相手方 (買主又は転得者) に対して必要費等の費用を償還しなければならない。

ウ 妥当である
 判例 (最判昭和46年2月19日) は、「建物の賃借人または占有者が、原則として、賃貸借の終了の時または占有物を返還する時に、賃貸人または占有回復者に対し自己の支出した有益費につき償還を請求しうることは、民法608条2項、196条2項の定めるところであるが、有益費支出後、賃貸人が交替したときは、特段の事情のないかぎり、新賃貸人において旧賃貸人の権利義務一切を承継し、新賃貸人は右償還義務者たる地位をも承継するのであつて、そこにいう賃貸人とは賃貸借終了当時の賃貸人を指し、民法196条2項にいう回復者とは占有の回復当時の回復者を指すものと解する。」とした。

エ 妥当でない
 判例 (最判昭和48年7月17日) は、「民法608条2項、196条2項が、貸借人に有益費償還請求権を与えている法意は、貸借人が貸借物につき有益費を支出してその価値を増加させているときには、増加価値を保持したまま貸借物が返還されると賃貸人は貸借人の損失において増加価値を不当に利得することになるので、現存する増加価値を償還させることにあると解される。そうすると、前述のように増・新築部分が返還以前に滅失したときには、賃貸人が利得すべき増加価値もすでに消滅しているから、特段の事情のないかぎり、有益費償還請求権も消滅すると解すべきである。」とした。

オ 妥当である
 民法665条の規定により準用される同法650条1項は、「受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、委任者に対し、その費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる。」と規定している。このように、受託者は、寄託事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、寄託者に対し、その費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる。

以上により、妥当でないものは、イ・エであるから、正解は3になる。

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2009.12.22 Tue l 行政書士試験 平成21年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
本日火曜日は、最後の公民館まわりに行く予定でしたが、プリンターが壊れてしまい、延期ですね。

プリンターは、8年位前に購入したエプソンのモノクロレーザーなのですが、定価89800円のところ、73500円で購入したと記憶しています。
修理に出そうかとも考えましたが、部品代を除いても1万数千円程度かかりますので、部品代込みだと、2万円程度になりそうです。しかも、若干キュルキュルという音が出てますし、修理しても、長くないうちに再修理となりそうなので、この機会に買い換えることにしました。

当方が使用中のプリンターと同等の機種(性能的には、かなりレベルアップしています!)が、6万円程度で買えます(エプソンでは、今キャンペーン中であるらしく、通常の参考価格は、10万円程度らしいのです。)。しかも、kakaku.com等で探せば、5万円切るか切らないか位です。

最近は、修理代の方が馬鹿だか過ぎますね!
先ほどの、修理代は、持込修理の場合のものであり、出張修理だと、部品代別で25000円程度になります。
もうこれだと、10万円以下の製品で、5年以上使った場合は、「買い替えなさい!」と言っているようなものですね。
使い捨ての時代!なんでしょうね。

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2009.12.22 Tue l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成21年度 行政書士試験 問題31は、「連帯債務」に関する組合せ問題でした。

肢ア及びウは、基礎知識を問うものであり、また、肢イも条文ですし、得点すべきですね。
なお、この機会に連帯の免除について理解しておくようにしてください(肢オの知識は、旧司法試験の択一式レベルのもので、今後ともこの知識は不要です。)。

では、平成21年度 行政書士試験 問題31の解答解説を載せておきます。






問題31 A、B、C三人がDに対して60万円の連帯債務を負っている場合に関する次のア~オの記述のうち、妥当でないものの組合せはどれか。

ア AがDに60万円を弁済した場合に、A、B、C三人の負担部分が平等であるときは、Aは、B、Cに20万円ずつ求償できるが、もしCが無資力のときは、Bに対して30万円の求償をすることができる。

イ AがDに60万円を弁済した場合に、A、B、Cの負担部分が1:1:0であり (Cには負担部分がない)、また、Bが無資力のときは、Aは、B、Cに20万円ずつ求償することができる。

ウ DがAに対して60万円の債務を免除した場合に、A、B、C三人の負担部分が平等であるときは、B、Cは、40万円ずつの連帯債務を負うことになる。

エ DがAに対して連帯の免除をした場合に、A、B、C三人の負担部分が平等であったときは、Aは、20万円の分割債務を負い、B、Cは、40万円ずつの連帯債務を負うことになる。

オ A、B、C三人の負担部分が平等である事情の下で、DがAに対して連帯の免除をした場合に、Bが債務全額を弁済したときに、もしCが無資力であったとすると、Cが弁済することができない部分のうちAが負担すべき10万円はDが負担する。

1 ア・イ
2 ア・ウ
3 イ・エ
4 ウ・エ
5 ウ・オ


問題31 正解 3
ア 妥当である
 民法442条1項は、「連帯債務者の1人が弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得たときは、その連帯債務者は、他の連帯債務者に対し、各自の負担部分について求償権を有する。」と規定している。
 したがって、Aは、B及びCに20万円ずつ求償することができる。
 また、同法444条本文は、「連帯債務者の中に償還をする資力のない者があるときは、その償還をすることができない部分は、求償者及び他の資力のある者の間で、各自の負担部分に応じて分割して負担する。」と規定している。
 したがって、Cが無資力の場合は、その償還をすることができない部分は、A・B間で、各自の負担部分に応じて分割して負担するから、Aは、Bに対して30万円を求償することができる。

イ 妥当でない
 民法442条1項は、「連帯債務者の1人が弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得たときは、その連帯債務者は、他の連帯債務者に対し、各自の負担部分について求償権を有する。」と規定し、同法444条本文は、「連帯債務者の中に償還をする資力のない者があるときは、その償還をすることができない部分は、求償者及び他の資力のある者の間で、各自の負担部分に応じて分割して負担する。」と規定している。
 このように、連帯債務者の1人が弁済をした場合、その者は、負担部分を有する者に求償することができるが、この者が償還をする資力がないときは、求償者及び他の資力のある者の間で、各自の負担部分に応じて負担することになる
 したがって、Aは、負担部分を有しないCに求償することはできず、また、無資力であるBにも求償することはできない。

ウ 妥当である
 Dは、Aに対してその債務の免除をしているから、これにより、Aは、債務を免れる。
 また、民法437条は、「連帯債務者の1人に対してした債務の免除は、その連帯債務者の負担部分についてのみ、他の連帯債務者の利益のためにも、その効力を生ずる。」と規定している。したがって、Aの負担部分20万円について、B及びCも債務を免れる。
 よって、B及びCは、以後Dに対して40万円の連帯債務を負うことになる。

エ 妥当でない
 連帯の免除とは、債権者・連帯債務者間において、連帯債務者の債務額をその負担部分の範囲に制限することである。連帯の免除には、①連帯債務者の全員に対してなされるもの (これを「絶対的連帯の免除」と呼んでいる。)、②連帯債務者の一部の者に対してなされるもの (これを「相対的連帯免除」と呼んでいる。) があり、①においては、連帯債務が各自の負担部分に応じた分割債務となり、②においては、免除を受けた連帯債務者だけが負担部分に応じた分割債務を負担し、他の連帯債務者は、依然と同じ債務を負担する。
 したがって、Aは20万円の分割債務を負担し、B及びCは、60万円の連帯債務を負担する。

オ 妥当である
 民法445条は、「連帯債務者の1人が連帯の免除を得た場合において、他の連帯債務者の中に弁済をする資力のない者があるときは、債権者は、その資力のない者が弁済をすることができない部分のうち連帯の免除を得た者が負担すべき部分を負担する。」と規定している。このように、本来無資力者の負担部分は、他の連帯債務者において負担すべきところ、連帯の免除があったときは、その者の負担部分のうち、連帯の免除を得た者が負担すべき部分については、債権者が負担しなければならない。
 したがって、債権者Dは、償還無資力者であるCの負担部分である20万円のうち、連帯の免除を得たAが負担すべき部分である10万円を負担する。

■ なお、民法445条は、連帯の免除を受けた連帯債務者について、対外関係 (すなわち、債権者・債務者間の関係) だけでなく、対内関係 (すなわち、債務者相互間の関係) においても、負担させないようにしようとする趣旨である。

以上により、妥当でないものは、イ・エであるから、正解は3になる。

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2009.12.21 Mon l 行政書士試験 平成21年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
先週の月曜日に入稿してから、事務所は、基本的に年末モードに突入で、これでゆっくり平成21年度行政書士試験の解答解説の執筆ができるとちょっと気楽に考えていたところに、出版社2社から執筆等の依頼!

おそらく、年末年始で、他の執筆者が見つからなかったのでしょうけど、当方としては、ラッキーですね。
年末年始返上で執筆になりますが、充実していますね。

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2009.12.21 Mon l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成21年度 行政書士試験 問題30は、「催告」に関する組合せ問題でした。

催告に関する横断的問題で、良問だと思います。
ただ、問題28と比較すると、いかにも条文にあわせて事例を作成したことが見え見えで、この点は残念ですね。

なお、肢エは、その肢だけを見れば「正しい」と判断することもできます(大は小を兼ねるという事案です)。
しかし、他の肢との関係で、この肢を「正しい」とすると、正解肢が2つ以上になるので、問題表紙の注意事項に反することになります。なので、肢エは、「Hは、買受け後6ヶ月を経過した後 『にのみ』」というように限定して読まなければなりません。

では、平成21年度 行政書士試験 問題30の解答解説を載せておきます。






問題30 催告に関する次のア~オの各事例のうち、民法の規定および判例に照らし、正しいものの組合せはどれか。

ア Aは成年枝保佐人であるBとの問で、Bの所有する不動産を購入する契約を締結したが、後日Bが制限行為能力者であることを知った。Aは、1ヶ月以上の期間を定めて、Bに対し保佐人の追認を得るべき旨を催告したが、所定の期間を過ぎても追認を得た旨の通知がない。この場合、その行為は追認されたものとみなされる。

イ CはDとの間で、C所有の自動車を、代金後払い、代金額150万円の約定でDに売却する契約を締結した。Cは自動車の引き渡しを完了したが、代金支払期日を経過してもDからの代金の支払いがない。そこでCはDに対して相当の期間を定めて代金を支払うよう催告したが、期日までに代金の支払いがない。この場合、C・D間の売買契約は法律上当然に効力を失う。

ウ Eは知人FがGより100万円の融資を受けるにあたり、保証 (単純保証) する旨を約した。弁済期後、GはいきなりEに対して保証債務の履行を求めてきたので、Eはまずは主たる債務者に催告するよう請求した。ところがGがFに催告したときにはFの資産状況が悪化しており、GはFから全額の弁済を受けることができなかった。この場合、EはGが直ちにFに催告していれば弁済を受けられた限度で保証債務の履行を免れることができる。

エ Hは甲建物を抵当権の実行による競売により買い受けたが、甲建物には、抵当権設定後に従前の所有者より賃借したIが居住している。HはIに対し、相当の期間を定めて甲建物の賃料1ヶ月分以上の支払いを催告したが、期間経週後もIが賃料を支払わない場合には、Hは買受け後6ヶ月を経過した後、Iに対して建物の明け渡しを求めることができる。

オ Jは、自己の所有する乙土地を、その死後、世話になった友人Kに無償で与える旨の内容を含む遺言書を作成した。Jの死後、遺言の内容が明らかになり、Jの相続人らはKに対して相当の期間を定めてこの遺贈を承認するか放棄するかを知らせて欲しいと催告したが、Kからは期間内に返答がない。この場合、Kは遺贈を承認したものとみなされる。

1 ア・イ
2 ア・ウ
3 イ・エ
4 ウ・オ
5 エ・オ







問題30 正解 4
ア 誤り
 民法20条4項は、「制限行為能力者の相手方は、被保佐人又は第17条第1項の審判を受けた被補助人に対しては、第1項の期間内にその保佐人又は補助人の追認を得るべき旨の催告をすることができる。この場合において、その被保佐人又は被補助人がその期間内にその追認を得た旨の通知を発しないときは、その行為を取り消したものとみなす。」と規定している。
 このように、被保佐人が所定の期間内に保佐人の追認を得た旨の通知を発しない場合は、その行為を取り消したものとみなされる。
 したがって、被保佐人が所定の期間内に保佐人の追認を得た旨の通知を発しない場合は、Bの行為は、追認されたものとみなされるとの記述は誤りである。

イ 誤り
 民法541条は、「当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。」と規定している。
 このように、催告期間内に履行がない場合は、相手方は、契約の解除をすることができる。
 したがって、催告期間内に履行がない場合は、C・D間の売買契約は、法律上当然に効力を失うとの記述は誤りである。

ウ 正しい
 民法452条本文は、「債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。」と規定し、同条455条は、「第452条又は第453条の規定により保証人の請求又は証明があったにもかかわらず、債権者が催告又は執行をすることを怠ったために主たる債務者から全部の弁済を得られなかったときは、保証人は、債権者が直ちに催告又は執行をすれば弁済を得ることができた限度において、その義務を免れる。」と規定している。
 このように、まず主たる債務者に催告をすべき旨の保証人の請求があったにもかかわらず、全部の弁済を受けられなかった場合において、債権者が直ちに催告をすれば弁済を得ることができた限度において、保証人は、その義務を免れる。

エ 誤り
 民法395条1項は、抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者であって、競売手続の開始前から使用又は収益をする者、又は強制管理又は担保不動産収益執行の管理人が競売手続の開始後にした賃貸借により使用又は収益をする者 (次項において「抵当建物使用者」という。) は、その建物の競売における買受人の買受けの時から6箇月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しないと規定し、同条2項は、「前項の規定は、買受人の買受けの時より後に同項の建物の使用をしたことの対価について、買受人が抵当建物使用者に対し相当の期間を定めてその1箇月分以上の支払の催告をし、その相当の期間内に履行がない場合には、適用しない。」と規定している。
 このように、抵当建物使用者は、その建物の競売における買受人の買受けの時から6箇月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しないが、買受人の買受けの時より後にその建物の使用をしたことの対価について、買受人が抵当建物使用者に対し相当の期間を定めてその1箇月分以上の支払の催告をし、その相当の期間内に履行がない場合には、競売後の明渡しの猶予を受けることができない。
 したがって、Hは、支払いの催告後、直ちにIに対して建物の明渡しを求めることができるから、Hは、買受け後6ヶ月を経過した後 (にのみ)、Iに対して建物の明け渡しを求めることができるとの記述は誤っている。

オ 正しい
 民法987条は、「遺贈義務者 (遺贈の履行をする義務を負う者をいう。以下この節において同じ。) その他の利害関係人は、受遺者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に遺贈の承認又は放棄をすべき旨の催告をすることができる。この場合において、受遺者がその期間内に遺贈義務者に対してその意思を表示しないときは、遺贈を承認したものとみなす。」と規定している。

以上により、正しいものは、ウ・オであるから、正解は4になる。

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2009.12.20 Sun l 行政書士試験 平成21年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
今日は、土曜日ですが、いつもと同じく出勤です。
雪がちらついていて、本当に寒いですね。
さすがに、今日から手袋をして出勤しています。

話は変わりますが、世の中は、ボーナスが出たようで、電気製品の価格が若干ではありますが上昇している感じです。
先日お話したテレビ購入の件ですが、ネットでの購入になりました。
商品の到着は、23日になるようですが、今から待ち遠しいですね。
娘がボールを投げつけて割らなきゃいいけど!

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2009.12.19 Sat l 福岡便り l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成21年度 行政書士試験 問題29は、「抵当権」に関する組合せ問題である。

根抵当権等の実務的な問題が出題されており、好印象です。

ただ、受験者にとっては、あまり見慣れない条文ですので、捨て問とされた方が多いかもしれません。
もっとも、肢ウ、エ、オに関する知識は、身につけておくべき事柄ですから、得点すべきです。

では、平成21年度 行政書士試験 問題29の解答解説を載せておきます。








問題29 Aに対して債務を負うBは、Aのために、自己が所有する土地に抵当権を設定した(他に抵当権者は存在しない)。この場合における抵当権の消滅に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア Aの抵当権が根抵当権である場合において、Bが破産手続開始の決定を受けたときは、被担保債権は確定して満足し、根抵当権は確定的に消滅する。

イ Aの抵当権が根抵当権である場合において、元本が確定した後に、Bから土地の所有権を取得したCが、極度額に相当する金額をAに支払い、根抵当権の消滅請求をしたときは、確定した被担保債権の額が極度額を超えていたとしても、Aの根抵当権は、確定的に消滅する。

ウ BがAに対し、残存元本に加えて、最後の2年分の利息および遅延損害金を支払った場合には、Aの抵当権は、確定的に消滅する。

エ 第三者Cが、土地の所有権を時効によって取得した場合には、Aの抵当権は、確定的に消滅する。

オ 第三者Cが、BのAに対する債務の全額を弁済し、その弁済と同時にAの承諾を得ていた場合には、CはAに代位することができるが、抵当権は、確定的に消滅する。

1 ア・ウ
2 ア・エ
3 イ・エ
4 イ・オ
5 ウ・オ









問題29 正解 3
ア 妥当でない
 民法398条の20第1項4号は、債務者又は根抵当権設定者が破産手続開始の決定を受けた場合には、根抵当権の担保すべき元本は、確定すると規定している。ここに元本の確定とは、根抵当権の被担保債権がその流動性を失い、元本債権と根抵当権とが結びつき、それ以後において発生する債権は、もはやその根抵当権によっては担保されなくなる状態をいう。
 したがって、Bが破産手続開始の決定を受けた場合には、根抵当権の担保すべき元本が確定するのみで、根抵当権が確定的に消滅するわけではない。

イ 妥当である
 民法398条の22第1項前段は、「元本の確定後において現に存する債務の額が根抵当権の極度額を超えるときは、他人の債務を担保するためその根抵当権を設定した者又は抵当不動産について所有権、地上権、永小作権若しくは第三者に対抗することができる賃借権を取得した第三者は、その極度額に相当する金額を払い渡し又は供託して、その根抵当権の消滅請求をすることができる。」と規定している。
 したがって、Cが、極度額に相当する金額をAに支払い、根抵当権の消滅請求をしたときは、確定した被担保債権の額が極度額を超えていたとしても、Aの根抵当権は、確定的に消滅する。

ウ 妥当でない
 民法375条1項本文は、「抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の2年分についてのみ、その抵当権を行使することができる。」と規定している。この規定は、後順位抵当権者や一般債権者の利益を保護する趣旨であるから、これらの者がいないときは、利息等の全部について弁済を受けることができる。
 したがって、BがAに対し、残存元本に加えて、最後の2年分の利息および遅延損害金を支払った場合でも、Aの抵当権は、消滅しない。

エ 妥当である
 民法397条は、「債務者又は抵当権設定者でない者が抵当不動産について取得時効に必要な要件を具備する占有をしたときは、抵当権は、これによって消滅する。」と規定している。
 したがって、Cが、土地の所有権を時効によって取得した場合には、Aの抵当権は、確定的に消滅する。

■ 抵当不動産について取得時効が完成すると、占有者は、原始的に所有権を取得し、その反射として、従前の所有者は、所有権を失い、当該不動産上の権利 (たとえば、地上権、抵当権等) は消滅する。しかし、本来、債務ないし責任を負う債務者又は抵当権設定者についてこの効果を及ぼすことは不合理である。そこで、民法397条は、債務者及び抵当権設定者について、この効果が及ばないこととした。

オ 妥当でない
 民法499条1項は、「債務者のために弁済をした者は、その弁済と同時に債権者の承諾を得て、債権者に代位することができる。」と規定し、同法501条前段は、「前2条の規定により債権者に代位した者は、自己の権利に基づいて求償をすることができる範囲内において、債権の効力及び担保としてその債権者が有していた一切の権利を行使することができる。」と規定している。このように、第三者による弁済によって消滅するはずの債権及び担保権は、債権者から弁済者に移転し存続する。
 したがって、Cは、Aに代位することができるが、抵当権は消滅しない。

以上により、妥当なものは、イ・エであるから、正解は3になる。

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2009.12.19 Sat l 行政書士試験 平成21年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成21年度 行政書士試験 問題28は、「時効」に関する組合せ問題でした。

久しぶりの試験委員の力作です。
この手の質問は、行政書士実務においても、結構ありそうですね。
その意味でも、良問です。

Eの相談で問題となる程度の条文知識は、身につけておいて欲しいところですから、正解肢を4または5に絞って欲しいですね。

では、平成21年度 行政書士試験 問題28の解答解説を載せておきます。







問題28 時効に関する次のA~Eの各相談に関して、民法の規定および判例に照らし、「できます」と回答しうるものの組合せはどれか。

Aの相談:「私は13年前、知人の債務を物上保証するため、私の所有する土地・建物に抵当権を設定しました。知人のこの債務は弁済期から11年が経過していますが、債権者は、4年前に知人が債務を承認していることを理由に、時効は完成していないと主張しています。民法によれば、時効の中断は当事者及びその承継人の間においてのみその効力を有するとありますが、私は時効の完成を主張して抵当権の抹消を請求できますか。」

Bの相談:「私は築25年のアパートを賃借して暮らしています。このアパートは賃貸人の先代が誤って甲氏の所有地を自己所有地と認識して建ててしまったものですが、これまで特に紛争になることもなく現在に至っています。このたび、甲氏の相続人である乙氏が、一連の事情説明とともにアパートからの立ち退きを求めてきました。私は賃貸人が敷地の土地を時効取得したと主張して立ち退きを拒否できますか。」

Cの相談:「30年程前に私の祖父が亡くなりました。祖父は唯一の遺産であった自宅の土地・建物を祖父の知人に遺贈したため、相続人であった私の父は直ちに遺留分を主張して、当該土地・建物についての共有持分か認められたのですが、その登記をしないまま今日に至っています。このたび父が亡くなり、父を単独相続した私が先方に共有持分についての登記への協力を求めたところ、20年以上経過しているので時効だといって応じてもらえません。私は移転登記を求めることはできますか。」

Dの相談:「私は他人にお金を貸し、その担保として債務者の所有する土地・建物に2番抵当権の設定を受けています。このたび、1番抵当権の被担保債権が消滅時効にかかったことがわかったのですが、私は、私の貸金債権の弁済期が到来していない現時点において、この事実を主張して、私の抵当権の順位を繰り上げてもらうことができますか。」

Eの相談:「叔父は7年ほど前に重度の認知症になり後見開始の審判を受けました。配偶者である叔母が後見人となっていたところ、今年2月10日にこの叔母が急逝し、同年6月10日に甥の私が後見人に選任されました。就任後調べたところ、叔父が以前に他人に貸し付けた300万円の債権が10年前の6月1日に弁済期を迎えた後、来回収のまま放置されていることを知り、あわてて本年6月20日に返済を求めましたが、先方はすでに時効期間が満了していることを理由に応じてくれません。この債権について返還を求めることができますか。」

1 Aの相談とBの相談
2 Aの相談とCの相談
3 Bの相談とDの相談
4 Cの相談とEの相談
5 Dの相談とEの相談











問題28 正解 4
Aの相談 回答することは許されない
 民法167条1項は、「債権は、10年間行使しないときは、消滅する。」と規定している。そこで、Aは、知人の債務は、弁済期から11年が経過しているので、当該債務は、時効により消滅しているから、Aの物上保証の責任も消滅していると主張している。これに対し、債権者は、4年前に知人が債務を承認していることを理由に、時効は完成していないと反論している。そこで、債務者の承認により被担保債権について生じた消滅時効中断の効力が物上保証人にも及ぶか否かが問題となる。
 この点、判例 (最判平成7年3月10日) は、債務者の承認により被担保債権について生じた消滅時効中断の効力を物上保証人が否定することは、担保権の付従性に抵触し、許されないとした。
 よって、Aは時効の完成を主張して抵当権の抹消を請求することはできない。

Bの相談 回答することは許されない
 民法162条1項は、「20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。」と規定している。このため、賃貸人が甲氏の土地の所有権を時効により取得することができる可能性がある。そこで、Bは、賃貸建物の敷地所有権の時効取得を援用することができるか否かが問題となる。
 この点、判例 (最判昭和44年7月15日) は、「上告人らは、本件係争土地の所有権を時効取得すべき者またはその承継人から、右土地上に同人らが所有する本件建物を貸借しているにすぎない、というのである。されば、上告人らは、右土地の取得時効の完成によつて直接利益を受ける者ではないから、右土地の所有権の取得時効を援用することはできない。」とした。
 よって、Bは、賃貸人が賃貸建物の敷地を時効取得したと主張することはできないため、立ち退きを拒否することはできない。

Cの相談 回答しうる
 Cは、本件土地・建物の共有持分権に基づいて、移転登記を請求したものである。これに対し、受遺者は、Cの父が遺留分減殺請求権を行使したのは、20年以上前であり、これによって生じた法律関係 (共有関係) に基づく移転登記請求権は、民法1042条所定の消滅時効に服すると主張している。そこで、遺留分減殺請求権の行使の効果として生じた法律関係に基づく移転登記請求権についても、民法1042条所定の消滅時効に服するか否かが問題となる。
 この点、判例 (最判昭和57年3月4日) は、「遺留分減殺請求に関する消滅時効について特別の定めをした民法1042条にいう『減殺の請求権』は、右の形成権である減殺請求権そのものを指し、右権利行使の効果として生じた法律関係に基づく目的物の返還請求権等をもこれに含ましめて同条所定の特別の消滅時効に服せしめることとしたものではない、と解するのが相当である。」とした。
 よって、Cは、本件土地・建物の共有持分権に基づいて、移転登記を請求することができる。

Dの相談 回答することは許されない
 2番抵当権者であるDは、1番抵当権の被担保債権が消滅時効にかかったことから、当該抵当権は、抵当権の付従性により消滅したことを理由として、抵当権の順位を繰り上げてもらいたい旨を主張している。そこで、後順位抵当権者は、先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用することができるか否かが問題となる。
 この点、判例 (最判平成11年10月21日) は、「民法145条所定の当事者として消滅時効を援用し得る者は、権利の消滅により直接利益を受ける者に限定されると解すべきである。後順位抵当権者は、目的不動産の価格から先順位抵当権によって担保される債権額を控除した価額についてのみ優先して弁済を受ける地位を有するものである。もっとも、先順位抵当権の被担保債権が消滅すると、後順位抵当権者の抵当権の順位が上昇し、これによって被担保債権に対する配当額が増加することがあり得るが、この配当額の増加に対する期待は、抵当権の順位の上昇によってもたらされる反射的な利益にすぎないというべきである。そうすると、後順位抵当権者は、先順位抵当権の被担保債権の消滅により直接利益を受ける者に該当するものではなく、先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用することができないものと解するのが相当である。」とした。
 よって、Dは、抵当権の順位を繰り上げてもらうことはできない。

Eの相談 回答しうる
 叔父の成年後見人となったEは、叔父が貸し付けた金銭の返還を請求している。これに対し、相手方は、債権の時効消滅を主張している。
 確かに、Eの叔父が他人に貸し付けた300万円の債権は、本年の6月1日で10年を経過しているから、消滅時効が完成しているようにみえる (民法167条1項)。
 もっとも、民法158条1項は、「時効の期間の満了前6箇月以内の間に未成年者又は成年被後見人に法定代理人がないときは、その未成年者若しくは成年被後見人が行為能力者となった時又は法定代理人が就職した時から6箇月を経過するまでの間は、その未成年者又は成年被後見人に対して、時効は、完成しない。」と規定している。
これを本肢に当てはめると、叔父の成年後見人は、本年2月10日から6月10日までの間は存在しない状態にあったのであるから、本年6月10日から6箇月を経過するまでの間は、叔父に対して、時効は、完成しない。
 よって、Eは、当該債権について返還を求めることができる。

以上により、「できます」と回答しうるものは、C・Eの相談であるから、正解は4になる。

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2009.12.18 Fri l 行政書士試験 平成21年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
寒いですねぇ!
昨日は、九州のどの山でも、初雪が降ったようです。
公民館まわりは、来週暖かくなってからの方が、お相手の方にはよろしいかと思っています。

なので、一日中執筆でした。
来年向けの講座がもう動き出していて、早めに執筆を行っています。

さて、話は変わりますが、当方の娘は、どうしたことか、帽子が大好きで、いとこのお姉さんからいただいた帽子を一日中かぶっています。
かぶせた当初、皆さんから「かわいい!」とお世辞をいただいたことに気をよくしたようです。
当方が取ろうとすると、わーん!と大泣き。
前が見えないくらいに深くかぶっているので、ちょっと上げてやると、自分で深くかぶり直します。
自分自身でお気に入りのかぶり具合があるようです。
やはり女の子なんでしょうね!

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2009.12.17 Thu l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成21年度 行政書士試験 問題27は、「代理」に関する正誤問題でした。

正解肢は、基礎知識を問うものであり、得点すべきでした。

なお、肢5は、判例と学説との争いがあります。
行政書士試験に限らず、法律系資格試験の書籍は、判例を軽視しがちなような気がします。
しかし、実務は、判例で動いていますので、判例の立場をきちんと書いていないもの (たとえば、民法101条を挙げていないもの)は、失格です。
過去問の選択の際には、参考にしてください。

では、平成21年度 行政書士試験 問題27の解答解説を載せておきます。





問題27 代理に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

1 Aは留守中の財産の管理につき単に妻Bに任せるといって海外へ単身赴任したところ、BがAの現金をA名義の定期預金としたときは、代理権の範囲外の行為に当たり、その効果はAに帰属しない。

2 未成年者Aが相続により建物を取得した後に、Aの法定代理人である母Bが、自分が金融業者Cから金銭を借りる際に、Aを代理して行ったCとの間の当該建物への抵当権設定契約は、自己契約に該当しないので、その効果はAに帰属する。

3 A所有の建物を売却する代理権をAから与えられたBが、自らその買主となった場合に、そのままBが移転登記を済ませてしまったときには、AB間の売買契約について、Aに効果が帰属する。

4 建物を購入する代理権をAから与えられたBが、Cから建物を買った場合に、Bが未成年者であったときでも、Aは、Bの未成年であることを理由にした売買契約の取消しをCに主張することはできない。

5 Aの代理人Bが、Cを騙してC所有の建物を安い値で買った場合、AがBの欺罔行為につき善意無過失であったときには、B自身の欺罔行為なので、CはBの詐欺を理由にした売買契約の取消しをAに主張することはできない。









問題27 正解 4
1 妥当でない
 Aは、留守中の財産の管理につき、単にBに任せるといって海外へ単身赴任しているため、代理人の権限を定めていない。そこで、A所有の現金をA名義の定期預金とした行為 (以下「本件行為」という。) が、Bの代理権の範囲内の行為であるか否かが問題となる。
 この点、民法103条は、権限の定めのない代理人は、①保存行為、②代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為のみをする権限を有すると規定している。ここに「利用を目的とする行為」とは、財産について収益を図る行為をいう。
これを本肢にあてはめると、本件行為は、財産について収益を図る行為に当たるから、Bの代理権の範囲内の行為に当たる。
 よって、本件行為は、代理権の範囲内の行為に当たるから、Aにその効果が帰属する。

2 妥当でない
 Aの法定代理人であるBは、自分がCから金銭を借りる際に、Aを代理してA所有の建物に抵当権を設定する契約をしている。そこで、当該契約は、民法826条の規定する利益相反行為に当たるか否かが問題となる。
 この点、判例 (最判昭和37年10月2日) は、「親権者が子の法定代理人として、子の名において金員を借受け、その債務につき子の所有不動産の上に抵当権を設定することは、仮に借受金を親権者自身の用途に充当する意図であつても、かかる意図のあることのみでは、民法826条所定の利益相反する行為とはいえないから、子に対して有効であり、これに反し、親権者自身が金員を借受けるに当り、右債務につき子の所有不動産の上に抵当権を設定することは、仮に右借受金を子の養育費に充当する意図であつたとしても、同法条所定の利益相反する行為に当るから、子に対しては無効であると解すべきである。」とした。
 これを本肢にあてはめると、Aの法定代理人であるBがCから金銭を借りる際に、Aを代理してA所有の建物に抵当権を設定する契約は、利益相反行為に当たる。
 よって、Bがした抵当権設定行為は、代理権の範囲外の行為に当たり、無権代理行為であるから、Aにその効果は帰属しない。

3 妥当でない
 Aから、A所有の建物を売却する代理権を与えられたBが、自らその買主となり、その移転登記も済ませてしまった場合、AB間の売買契約は、自己契約 (民法108条) に当たる。
 よって、A所有の建物を売却する行為は、自己契約に当たり、無権代理行為であるから、Aにその効果は帰属しない。

4 妥当である
 Aは、代理人Bが未成年であることを理由に、建物の売買契約の取消しをしようとしている。そこで、代理人のした代理行為について制限行為能力を理由として取り消すことができるか否かが問題となる。
 この点、民法102条は、「代理人は、行為能力者であることを要しない。」と規定している。本条の趣旨は、代理の効果は、すべて本人に帰属し、代理人には、何らの不利益も生じないことから、代理人の行為能力の有無を問わないこととしている。このため、代理人のした代理行為について制限行為能力を理由として取り消すこともできないと解されている。
 よって、Aは、代理人Bが未成年であることを理由に、建物の売買契約の取消しをCに主張することはできない。

5 妥当でない
 Aの代理人Bが、CをだましてC所有の建物を買ったが、Aは、Bの欺罔行為につき善意無過失である。そこで、この場合においても、Cは、当該契約を取り消すことができるか否かが問題となる。
 この点、判例・学説は、相手方は、本人の知・不知に関係なく、契約を取り消すことができるとしている。
 よって、Cは、Bの詐欺を理由に売買契約の取消しをAに主張することができる。

■ 代理人が詐欺を行った場合の理論構成には、判例と学説で大きな違いがある。判例 (大判明治39年3月31日、大判昭和7年3月5日) は、民法101条を適用し、相手方は、本人の知・不知に関係なく、契約を取り消すことができるとしている。
 これに対して、学説は、同法101条1項の問題ではなく、同法96条1項を適用して、相手方は、本人の知・不知に関係なく、契約を取り消すことができるとしている (同条3項の「第三者」とは、詐欺の事実を知らずに詐欺による法律行為に基づいて取得された権利について、新たな利害関係を有した者をいうと解されているから、本人が当該「第三者」に当たらないことは当然とされる)。
 なお、民法96条2項の規定する第三者の詐欺も問題とならない。なぜなら、代理においては、本人は、代理人の法律行為の効果を受ける地位にあるから、代理人の詐欺は、相手方にとって第三者の詐欺というべきではないからである。

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2009.12.16 Wed l 行政書士試験 平成21年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
昨日は、母を佐賀に迎えに行ったので、事務所の仕事は、午前中のみでした。
平成21年度 行政書士試験 問題26及び27の執筆をしたくらいで終わりましたね。
年内に、あと1回公民館まわりをしなければならないのですが、急に寒くなったので、かなり気合を入れないとなりませんね。

話は変わりますが、今日の朝のテレビ番組で、住民訴訟(たとえば、市長が公費を私用したので、そのお金を市に返還しろ命じてもらう訴訟です)のお話が取り上げられていました。
何でも、第1審で認容判決(勝訴判決)が出ても、第2審では、棄却判決(敗訴判決)が出る事例が増えたそうです。
というのも、この間に、地方議会が、訴訟で問題となっている請求権を放棄する議決が可決されてしまうからなのです(住民訴訟は、本来地方公共団体が請求すべき仕事を、住民が代わってやっていますからね)
これは、本来、地方自治にあっては、長と議会が牽制しあって、住民のために働くべきところ、実態は、「なぁなぁ!」ということでしょうね。

救いは、先月大阪高裁で、地方議会の請求権放棄の議決は、住民訴訟の意義を無にするものであるから、当該議決は、議決権の濫用に当たり無効であるとしたことでしょうね。
早晩、最高裁判決が出されると思います。

地方分権が叫ばれていますが、まだまだ、任せる程の力量が備わっていないのでしょうか!?

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2009.12.16 Wed l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成21年度 行政書士試験 問題26は、「国の行政組織」に関する正誤問題でした。

正解肢は、基礎知識レベルを超えていますが、内閣法、内閣府設置法、国家行政組織法をきちんと読めば分かる内容ですから、得点すべきでした。

なお、以上の法律が掲載されていない六法は、それだけで失格です。
購入時にはご注意ください。

では、平成21年度 行政書士試験 問題26の解答解説を載せておきます。







問題26 国の行政組織に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 国家行政組織法は、内閣府を含む内閣の統轄の下における行政機関の組織の基準を定める法律である。

2 内閣府は、内閣に置かれる行政機関であって、その長は内閣総理大臣である。

3 省には外局として、委員会及び庁が置かれるが、内閣府にはそのような外局は置かれない。

4 各省および内閣府には、必置の機関として事務次官を置くほか、内閣が必要と認めるときは、閣議決定により副大臣を置くことができる。

5 内閣は、政令を制定するほか、内閣府の所掌事務について、内閣府の命令として内閣府令を発する権限を有する。









問題26 正解 2
1 誤り
 国家行政組織法1条は、「この法律は、内閣の統轄の下における行政機関で内閣府以外のもの (以下「国の行政機関」という。) の組織の基準を定め、もって国の行政事務の能率的な遂行のために必要な国家行政組織を整えることを目的とする。」と規定している。
 このように、国家行政組織法は、内閣の統轄の下における行政機関で内閣府以外のものの組織の基準を定める法律である。
 なお、内閣府の組織の基準については、内閣府設置法に規定が置かれている。

2 正しい
 内閣府設置法2条は、「内閣に、内閣府を置く。」と規定している。
 また、同法6条1項は、「内閣府の長は、内閣総理大臣とする。」と規定している。

3 誤り
 内閣府設置法49条1項は、「内閣府には、その外局として、委員会及び庁を置くことができる。」と規定している。
 なお、国家行政組織法3条3項は、「省は、内閣の統轄の下に行政事務をつかさどる機関として置かれるものとし、委員会及び庁は、省に、その外局として置かれるものとする。」と規定している。

4 誤り
 国家行政組織法16条1項は、「各省に副大臣を置く。」と規定し、内閣府設置法13条1項は、「内閣府に、副大臣3人を置く。」と規定している。
 このように、各省及び内閣府には、必置の機関として副大臣を置かなければならない。
 なお、国家行政組織法18条1項は、「各省には、事務次官1人を置く。」と規定し、内閣府設置法15条1項は、「内閣府に、事務次官1人を置く。」と規定しているから、本肢の前半部分は正しい。

5 誤り
 内閣府設置法7条3項は、「内閣総理大臣は、内閣府に係る主任の行政事務について、法律若しくは政令を施行するため、又は法律若しくは政令の特別の委任に基づいて、内閣府の命令として内閣府令を発することができる。」と規定している。
 このように、内閣府の命令として内閣府令を発する権限を有するのは、内閣ではなく、内閣総理大臣である。
 なお、憲法73条は、内閣は、他の一般行政事務の外、この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定する事務等を行うと規定しているから、本肢の前半部分は正しい。

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2009.12.15 Tue l 行政書士試験 平成21年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
2週間くらい集中してやっていた執筆・校正の仕事がようやく脱稿をむかえました。

最速の校正方法を取ったのですが、結構手間取りました。
他人の書いたものなので、やはり気をつかいますね。
その方が、何でそのように書いたのかを、一応理解してから校正しなければなりませんからね。

話は変わりますが、皆さんは、どこのクレジットカードを使っていらっしゃいますか?
当方は、妻のカードがポイントが多くつくので、これに集めて買い物をしていました。
しかし、プラスα部分のポイント制度がなくなるということで、この度解約して、次のカードを探しています。

退会すると、ポイントも失効するということで、ポイントを交換したのですが、3年間くらいで6万円分くらいの商品券等に換えることが出来ました。
年会費が1万500円でしたので、元が取れた上、お釣りがきましたね。

今度は、マイレージ換算に有利なカードにしようということで、ANAとアメックスの提携カードにしようかと思っています。
もっと有利なカードがあればいいのですが。
楽天カードも十分魅力的なんですけどね。

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2009.12.14 Mon l 事務所日記 l コメント (2) トラックバック (0) l top
平成21年度 行政書士試験 問題25は、「国家公務員」に関する正誤問題でした。

正解肢の知識は、基礎知識レベルを超えており、捨て問としても結構です。

なお、市販の過去問については、条文をきちんと挙げられるかが選択基準ですね。

では、平成21年度 行政書士試験 問題25の解答解説を載せておきます。


問題25 国家公務員についての次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1 国家公務員には、一般職と特別職があるが、国家公務員法は、両者に等しく適用される。

2 独立行政法人は、国とは独立した法人であるから、その職員が国家公務員法上の公務員としての地位を有することはない。

3 その不法行為について国が国家賠償法1条1項により賠償責任を負うのは、国家公務員法上の公務員に限られる。

4 国家公務員の懲戒免職は、行政処分であると解されており、行政不服審査法による不服申立ての対象となる。

5 国家公務員の人事行政に関する各種の事務をつかさどるため、総務省の外局として人事院が設置されている。










問題25 正解 4
1 妥当でない
 国家公務員法2条1項は、「国家公務員の職は、これを一般職と特別職とに分つ。」と規定し、同条2項は、「一般職は、特別職に属する職以外の国家公務員の一切の職を包含する。」と規定し、同条4項前段は、「この法律の規定は、一般職に属するすべての職 (以下その職を官職といい、その職を占める者を職員という。) に、これを適用する。」と規定し、同条5項は、「この法律の規定は、この法律の改正法律により、別段の定がなされない限り、特別職に属する職には、これを適用しない。」と規定している。
 このように、国家公務員の官職には、一般職と特別職があるが、国家公務員法の規定は、原則として、一般職に属する職を占める者にのみ適用される (本法は、特別職に属する職を占める者には、本法の改正法律により、別段の定めがなされない限り、適用されない)。

2 妥当でない
 独立行政法人通則法51条は、「特定独立行政法人の役員及び職員は、国家公務員とする。」と規定している。
 このように、特定独立行政法人の職員は、国家公務員法上の公務員としての地位を有する。
 なお、独立行政法人は、国とは独立した法人である (独立行政法人通則法2条1項) から、本肢の前半部分は妥当である。

■ 独立行政法人通則法2条1項は、「この法律において『独立行政法人』とは、国民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、国が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるもの又は一の主体に独占して行わせることが必要であるものを効率的かつ効果的に行わせることを目的として、この法律及び個別法の定めるところにより設立される法人をいう。」と規定している。
 また、同条2項は、「この法律において『特定独立行政法人』とは、独立行政法人のうち、その業務の停滞が国民生活又は社会経済の安定に直接かつ著しい支障を及ぼすと認められるものその他当該独立行政法人の目的、業務の性質等を総合的に勘案して、その役員及び職員に国家公務員の身分を与えることが必要と認められるものとして個別法で定めるものをいう。」と規定している。

3 妥当でない
 国家賠償法1条1項は、「国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。」と規定している。ここに「公務員」とは、その文言からも明らかなように、国家公務員法上の公務員に限らない。

■ 判例 (広島地判昭和54年6月22日) は、国家賠償法1条1項の「公務員」には、同法の被害者救済の目的に照らし、必ずしも公務員としての身分資格を有する者に限定せず、実質的に公務を執行するすべての者、したがって、すべての国又は公共団体のため公権力を行使する権限を委託された者をも含むとしている。この判例によれば、弁護士会の懲戒委員会の委員等を挙げることができる。

4 妥当である
 国家公務員法89条1項は、「職員に対し、その意に反して、降給し、降任し、休職し、免職し、その他これに対しいちじるしく不利益な処分を行い、又は懲戒処分を行わうとするときは、その処分を行う者は、その職員に対し、その処分の際、処分の事由を記載した説明書を交付しなければならない。」と規定し、同法90条1項は、「前条第1項に規定する処分を受けた職員は、人事院に対してのみ行政不服審査法による不服申立て (審査請求又は異議申立て) をすることができる。」と規定している。
 このように、国家公務員の懲戒免職は、行政不服審査法による不服申立ての対象となっている。
 なお、国家公務員の懲戒免職は、行政処分であると解されている (多数説) から、本肢の前半部分は妥当である。

■ なお、国家公務員法85条は、「懲戒に付せらるべき事件が、刑事裁判所に係属する間においても、人事院又は人事院の承認を経て任命権者は、同一事件について、適宜に、懲戒手続を進めることができる。この法律による懲戒処分は、当該職員が、同一又は関連の事件に関し、重ねて刑事上の訴追を受けることを妨げない。」と規定している。このように、国家公務員の懲戒処分と刑罰は、併科ことが可能である。

■ なお、行政手続法3条1項9号は、公務員 (国家公務員法第2条第1項に規定する国家公務員及び地方公務員法第3条第1項に規定する地方公務員をいう。以下同じ。) 又は公務員であった者に対してその職務又は身分に関してされる処分及び行政指導については、次章から第4章までの規定は、適用しないと規定している。このように、国家公務員の懲戒処分には、行政手続法の規定は適用されない。

5 妥当でない
 国家公務員法3条1項前段は、「内閣の所轄の下に人事院を置く。」と規定し、同条2項は、「人事院は、法律の定めるところに従い、給与その他の勤務条件の改善及び人事行政の改善に関する勧告、採用試験及び任免(標準職務遂行能力及び採用昇任等基本方針に関する事項を除く。)、給与、研修、分限、懲戒、苦情の処理、職務に係る倫理の保持その他職員に関する人事行政の公正の確保及び職員の利益の保護等に関する事務をつかさどる。」と規定している。
 このように、人事院は、国家公務員の給与その他の勤務条件の改善等の事務をつかさどるため、内閣の所轄の下にある行政機関との位置づけがなされている。

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2009.12.14 Mon l 行政書士試験 平成21年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
昨日も終日校正です。
時間の都合上、他の同類の書籍と見比べながらの校正となっていますが、記述が違っている部分が結構ありますね。
その場合、いずれかの書籍が誤っています。
ときどき、どちらの書籍も誤っている場合があるのですが、そういうときは、何か宝物を発見したような気分になりますね。かなり意地悪か?!

話は変わりますが、皆さんは、クリスマスプレゼントを用意しましたか?
当方は、娘の大好きな、「ぐるぐるどっか~ん」(NHKの赤ちゃん向け番組「いないないばぁ!」の中でかかる歌)のCDをプレゼントしようかと思っています。
クリスマスから1週間も経たないうちに誕生日プレゼントも用意しなければならず、パパ業もたいへんです。

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2009.12.12 Sat l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (0) l top
昨日も終日執筆。
ようやく、法令部分の校正を終え、一般知識部分の校正に入りました。
一般知識の部分の記述は、イミダス等の時事百科事典を読んで、書いていましたが、パソコンが普及し、かつ、ウェブサイトが充実してから(特にウィキペディア)は、とても楽になりましたね。
今回も、ほとんどパソコンを使っての作業になっています。

話は変わりますが、年末に向け、家電製品の価格が下がってきていますね。
昨年もそうでした(1月になると1割くらい高くなりますね)。
おそらく、業者さんが年末に向けて越年資金を用意するためや、今年のことは、今年中にという心理が影響しているようです。
家電製品を買うなら、来週あたりが狙い目です。
ということで、我が家でも、妻がテレビを買うということで、当方が機種選択をやっています。
それほど多機能はいらないのですが、大きい画面にすることが条件となっています。
一つ前のブラビアの46型になりそうですが、エコポイントを入れると、これでも10万円を切ってきますね。
ずいぶん安くなったものだ!と、技術革新とともに、デフレの恩恵を受けることに少々戸惑っています。

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2009.12.11 Fri l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成21年度 行政書士試験 問題24は、「住民監査請求」に関する正誤問題でした。

正解肢は、基本知識を問うものであり、得点すべきです。

なお、肢4は、チン解説がたくさん出回りそうです。
たとえば、「住民監査請求の内容は、①~④であり、差止めは、規定されていない。」「住民監査請求の内容は、①監査の請求、②~⑤であり、4類型ではない。」等です。
前者は、当該行為の是正の請求の具体的内容を把握できていない例であり、後者は、住民監査請求の内容が、監査結果を受けて行われる内容であることを理解していない例です。

地方自治法の解説においてチン解説が、続出することは、いまや業界の定説(?)ですが、その理由は謎ですね。
行政書士試験の解説書の執筆を行っている方は、旧司法試験受験者や新司法試験受験者が多いようですが、新司法試験には、行政法はあっても、ほとんど地方自治法を学習しないという実情や、旧司法試験の受験科目には、行政法自体がなかったこと(大昔は選択科目としてあった!)が影響しているのでしょうかね。

では、平成21年度 行政書士試験 問題24の解答解説を載せておきます。







問題24 住民監査請求についての次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1 住民監査請求をすることができる者は、当該地方公共団体の住民に限られ、それ以外の者が請求することは認められていない。

2 住民監査請求の対象は、公金の支出などの地方公共団体の職員等の作為に限られ、公金の賦課徴収を怠るなどの不作為は、対象とならない。

3 地方公共団体の長の行為についての住民監査請求は、長に対してすべきこととなるが、長は、監査委員の意見を聴いて、監査結果を通知すべきこととされている。

4 住民監査請求によって請求できる内容は、当該行為の差止めなど、法定された4類型に限定されている。

5 監査結果などに不服がある場合は、請求人に限らず、何人もこれに対する住民訴訟を提起することが認められている。









問題24 正解 1
1 妥当である
 地方自治法242条1項は、「普通地方公共団体の住民は、当該普通地方公共団体の長若しくは委員会若しくは委員又は当該普通地方公共団体の職員について、違法若しくは不当な公金の支出、財産の取得、管理若しくは処分、契約の締結若しくは履行若しくは債務その他の義務の負担がある (当該行為がなされることが相当の確実さをもつて予測される場合を含む。) と認めるとき、又は違法若しくは不当に公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実 (以下「怠る事実」という。) があると認めるときは、これらを証する書面を添え、監査委員に対し、監査を求め、当該行為を防止し、若しくは是正し、若しくは当該怠る事実を改め、又は当該行為若しくは怠る事実によつて当該普通地方公共団体のこうむつた損害を補塡するために必要な措置を講ずべきことを請求することができる。」と規定している。
 このように、住民監査請求をすることができる者は、当該普通地方公共団体の住民に限られ、それ以外の者が請求することは認められていない。

2 妥当でない
 地方自治法242条1項は、「普通地方公共団体の住民は、当該普通地方公共団体の長若しくは委員会若しくは委員又は当該普通地方公共団体の職員について、違法若しくは不当な公金の支出、財産の取得、管理若しくは処分、契約の締結若しくは履行若しくは債務その他の義務の負担がある (当該行為がなされることが相当の確実さをもつて予測される場合を含む。) と認めるとき、又は違法若しくは不当に公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実 (以下「怠る事実」という。) があると認めるときは、これらを証する書面を添え、監査委員に対し、監査を求め、当該行為を防止し、若しくは是正し、若しくは当該怠る事実を改め、又は当該行為若しくは怠る事実によつて当該普通地方公共団体のこうむつた損害を補塡するために必要な措置を講ずべきことを請求することができる。」と規定している。
 このように、住民監査請求の対象は、違法又は不当な公金の支出等の職員の作為に限らず、違法又は不当に公金の賦課・徴収を怠る等の不作為にも含まれる。

3 妥当でない
 地方自治法242条1項は、地方自治法242条1項は、普通地方公共団体の住民は、当該普通地方公共団体の長若しくは委員会若しくは委員又は当該普通地方公共団体の職員について、違法若しくは不当な公金の支出、財産の取得、管理若しくは処分、契約の締結若しくは履行若しくは債務その他の義務の負担がある (当該行為がなされることが相当の確実さをもつて予測される場合を含む。) と認めるとき、又は違法若しくは不当に公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実 (以下「怠る事実」という。) があると認めるときは、これらを証する書面を添え、監査委員に対し、監査を求め、当該行為を防止し、若しくは是正し、若しくは当該怠る事実を改め、又は当該行為若しくは怠る事実によつて当該普通地方公共団体のこうむつた損害を補塡するために必要な措置を講ずべきことを請求することができる。」と規定している。
 このように、住民監査請求は、監査委員に対してしなければならない。

4 妥当でない
 地方自治法242条1項は、普通地方公共団体の住民は、当該普通地方公共団体の長若しくは委員会若しくは委員又は当該普通地方公共団体の職員について、違法若しくは不当な公金の支出、財産の取得、管理若しくは処分、契約の締結若しくは履行若しくは債務その他の義務の負担がある (当該行為がなされることが相当の確実さをもつて予測される場合を含む。) と認めるとき、又は違法若しくは不当に公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実 (以下「怠る事実」という。) があると認めるときは、これらを証する書面を添え、監査委員に対し、監査を求め、当該行為を防止し、若しくは是正し、若しくは当該怠る事実を改め、又は当該行為若しくは怠る事実によつて当該普通地方公共団体のこうむつた損害を補塡するために必要な措置を講ずべきことを請求することができる。」と規定している。
 このように、住民監査請求によって請求することができる内容は、①当該行為の防止 (たとえば、差止め) 請求、②当該行為の是正 (たとえば、処分の取消し) の請求、③当該怠る事実を改めること (たとえば、滞納処分) の請求、④当該行為又は怠る事実によって当該普通地方公共団体が被った損害の補塡 (たとえば、不当利得の返還) の請求に限らず、たとえば、関係職員の懲戒処分の請求等の必要な措置を講ずべきことの請求も含まれる。

5 妥当でない
 地方自治法242条の2第1項は、普通地方公共団体の住民は、前条第1項の規定による請求をした場合において、同条第4項の規定による監査委員の監査の結果若しくは勧告若しくは同条第9項の規定による普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関若しくは職員の措置に不服があるとき、又は監査委員が同条第4項の規定による監査若しくは勧告を同条第5項の期間内に行わないとき、若しくは議会、長その他の執行機関若しくは職員が同条第9項の規定による措置を講じないときは、裁判所に対し、同条第1項の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもって当該執行機関又は職員に対する当該行為の全部又は一部の差止めの請求をすることができると規定している。
 このように、住民訴訟を提起することができるのは住民監査請求をした住民に限られる。

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2009.12.10 Thu l 行政書士試験 平成21年度 l コメント (1) トラックバック (0) l top
昨日は、終日事務所で執筆。
資格学校から依頼を受けた原稿をほぼ書き終えた。

第2部は、妻の帰りが遅いため、自宅で校正の仕事を続けた。
しかし、娘がいたずら盛りで、机の上の本を引きずり下ろすわ、筆箱の中をガサガサ出すやらで、途中中断が多くなってしまう。
いつまで、娘と遊べるやらと楽しくはあるのだが……。

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2009.12.10 Thu l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成21年度 行政書士試験 問題23は、「一部事務組合」に関する問題でした。

正解肢は、基本知識を問うものであり、得点すべきです。

なお、肢5については、市販の過去問の中には、「地方自治法292条→住民監査請求・住民訴訟の規定も準用される」との記述が予想されます。しかし、準用されるか否かは、規定の性質により異なりますから、上記には、重要な論理が一つ抜けています。
市販の過去問を購入の際には、ご注意ください。

では、平成21年度 行政書士試験 問題23の解答解説を載せておきます。





問題23 一部事務組合についての次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1 一部事務組合は、地方公共団体がその事務の一部を共同して処理するために設ける組織であるが、その例としては、土地区画整理組合、市街地再開発組合などがある。

2 市町村や特別区は、一部事務組合に加入できるが、都道府県は、これに加入することができない。

3 一部事務組合には議会が設置されることはないので、その独白の条例が制定されることもない。

4 地方自治法の定める「地方公共団体の組合」には、一部事務組合のほか、広域連合などがある。

5 一部事務組合自体は、地方公共団体ではないから、その活動について、住民監査請求や住民訴訟が認められることはない。








問題23 正解 4
1 妥当でない
 土地区画整理組合は、土地区画整理法14条以下の規定に基づいて設立されるものであり、市街地再開発組合は、都市再開発法8条以下の規定に基づいて設置されるものであり、地方自治法上の一部事務組合には当たらない。
 なお、地方自治法284条2項前段は、「普通地方公共団体及び特別区は、第6項の場合を除くほか、その事務の一部を共同処理するため、その協議により規約を定め、都道府県の加入するものにあつては総務大臣、その他のものにあつては都道府県知事の許可を得て、一部事務組合を設けることができる。」と規定している。このように、一部事務組合を設けることができるのは、普通地方公共団体及び特別区に限られるから、本肢の前半部分の「地方公共団体」についても、厳密に言えば妥当でない。

■ なお、一部事務組合は、隣接市町村が消防、ゴミ処理等のために設けられることが多いようである。

2 妥当でない
 地方自治法284条2項前段は、「普通地方公共団体及び特別区は、第6項の場合を除くほか、その事務の一部を共同処理するため、その協議により規約を定め、都道府県の加入するものにあつては総務大臣、その他のものにあつては都道府県知事の許可を得て、一部事務組合を設けることができる。」と規定している。ここに「普通地方公共団体」とは、都道府県及び市町村をいう (同法1条の3第2項)。このように、一部事務組合を設立することができるのは、都道府県、市町村及び特別区である。

3 妥当でない
 一部事務組合は、固有の区域・事務・権能を有し、また、その事務を処理するための執行機関や議決機関が設けられる
 なお、一部事務組合に議会が設置されることは、地方自治法287条1項が、一部事務組合の規約には、①一部事務組合の名称、②一部事務組合を組織する地方公共団体、③一部事務組合の共同処理する事務、④一部事務組合の事務所の位置、⑤一部事務組合の議会の組織及び議員の選挙の方法、⑥一部事務組合の執行機関の組織及び選任の方法、⑦一部事務組合の経費の支弁の方法につき規定を設けなければならないと規定していることからも明らかである。

4 妥当である
 地方自治法284条1項は、「地方公共団体の組合は、一部事務組合、広域連合、全部事務組合及び役場事務組合とする。」と規定している。

5 妥当でない
 地方自治法1条の3第1項は、「地方公共団体は、普通地方公共団体及び特別地方公共団体とする。」と規定し、同条3項は、「特別地方公共団体は、特別区、地方公共団体の組合、財産区及び地方開発事業団とする。」と規定しいる。そして、肢4で述べたように、一部事務組合は、地方公共団体の組合の一つである。したがって、一部事務組合は、地方公共団体の一つである。
 また、地方公共団体の組合は、特別地方公共団体の一つではあるが、固有の区域・事務・権能を有し、また、その事務を処理するための執行機関や議決機関が設けられる等のように、普通地方公共団体に類似しているため、普通地方公共団体に関する規定が準用されている (同法292条)。問題は、住民監査請求 (同法242条) に関する規定や住民訴訟 (同法242条の2) に関する規定についても準用される否かであるが、判例 (最判平成1年9月5日) は、これを認めている。

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2009.12.09 Wed l 行政書士試験 平成21年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top