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今日から、当分の間、福岡で母と同居となりそうです。
歩けるようになれば、佐賀に戻したいのですが(友人は、佐賀にしかいませんからね)、いつのことになりますやら。

夫婦が公務員や社員であると、介護休暇くらいは取れそうですが、長期の自宅介護は難しいでしょうね。
ただ、いまのところ予想の範囲にとどまり、当方のように自由業であっても、簡単ではないとは思いますが。

でも、まずは、やってみることが大事でしょう。
それから、問題点を解決に導く方策を考える。
シンプルですが、それが一番いいのかなぁと思います。

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2009.08.31 Mon l 福岡便り l コメント (0) トラックバック (0) l top
今日から三日間、母の介護のための日に費やさなければなりません。

短いコメントぐらいは書けそうですが……。

2009.08.29 Sat l 福岡便り l コメント (0) トラックバック (0) l top
今日は、平成18年度 行政書士試験 問題49に関する資料を集めた後、直ちに社会の作問に入りました。

依頼を受けた題目が、あまり見慣れないものだったため、資料を集めるのに苦労しました。
何とか、予定の2問を済ませ、2時には帰れそうです。

さて、社会分野の出題予想ですが、昨年は、環境というトピカルなものから出題されました。
ですので、この流れからいうと、消費者庁ができた関係で、消費者関連は危険な感じがしますね。
ただし、消費者庁の発足が9月1日ですから、来年かなぁという感じもします。
むしろ、昨年の10月1日に発足した観光庁の関連分野が要注意のような感じがします。
外国人旅行者の出入国者数および日本人海外旅行者数等を見ておくことをお勧めします。

人口が減少局面に入りましたね。
この関係で、人口、少子化対策は、要注意ですね。

また、今年いっぱいで、社会保険庁が解体されることが決まっています。
したがって、年金関係も要注意ですね。

オバマ大統領の核兵器削減提案、北朝鮮のミサイル等で核兵器、軍縮に関する話題は事欠きません。この分野も要注意でしょうね。

あまりにも多すぎて、予想になっていないかもしれません。
社会分野については、毎年この程度までしか絞れません。
あまりにも範囲が広すぎますね!!

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2009.08.29 Sat l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (0) l top
今日は、平成18年度 行政書士試験 問題48の解説を書いた後、直ちに経済の作問に入り、日をまたいだ頃、ようやくノルマとしていた2問の作問を終えました。
昨日も1時過ぎに帰宅し、2時頃寝たので、ちょっとだるいですね。

さて、経済の出題予想ですが、昨年は、道路特定財源というトピカルなものだったのですが、その流れからすると、本年度は、恐慌や景気変動が危険な感じがします。

また、普通国債の発行残高が600兆円に届きそうな勢いなので、公債関係も要注意ですね。
当然のことながら、税源移譲との関連で、地方財政 (計画) も見逃せませんね。

オーソドックスな出題であれば、財政政策または金融政策になるのでしょうがねぇ。

なお、近時は、国際経済からの出題がありません。ドーハラウンドが決着していないようですし、出題は、まだ先になるのでしょうか……。

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2009.08.28 Fri l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成18年度 行政書士試験 問題48は、「日本の地方自治」に関する個数問題でした。

妥当なものは、受験生の基礎知識に属するものであり、妥当でないものは、基礎知識を応用すれば判別できるものですので、得点すべきでした。

なお、市販の過去問の中には、妥当である場合、解説を放棄しているものがあります。確かに、解説時間短縮や紙幅の都合があるかもしれませんが、こういうのはいけませんね。
受験生が買わないことにより、反省を促すしか今のところ方策はないですね!!

では、平成18年度 行政書士試験 問題48の解答解説を載せておきます。






問題48 日本の地方自治に関する次のア~オの記述のうち、妥当なものはいくつあるか。

ア 地方自治体では首長制を採用しているが、議会による首長の不信任議決等の制度を認めているため、議院内閣制の要素も含まれている。

イ 地方自治体で行われている住民投票は、当該自治体の条例に基づかずに実施されているため、法的拘束力のないものとなっている。

ウ いわゆる「平成の大合併」では、人口8,000人をめどに合併をすすめるものとされ、強制合併の制度も導入された。

エ 1999年制定の地方分権一括法に基づく分権改革では、機関委任事務制度の廃止等の大きな成果があったが、地方税財政秩序の再構築などの課題が残された。

オ 一般市が政令指定都市に指定されると、都道府県から独立した地位を与えられるため、市域内の都道府県税は原則として当該市の財源に属することとなる。

1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ
5 五つ




問題48 正解 2
ア 妥当である。
 憲法92条は、「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」と規定し、同法93条1項は、「地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。」と規定し、同条2項は、「地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。」と規定している。このように、地方公共団体の長は、議事機関である議会とは別個独立に、住民によって直接選挙で選ばれるから、それぞれが住民に対して直接責任を負う首長制を採用したものであると解されている。
 ただし、地方自治法178条1項は、「普通地方公共団体の議会において、当該普通地方公共団体の長の不信任の議決をしたときは、直ちに議長からその旨を当該普通地方公共団体の長に通知しなければならない。この場合においては、普通地方公共団体の長は、その通知を受けた日から10日以内に議会を解散することができる。」と規定し、同条2項は、「議会において当該普通地方公共団体の長の不信任の議決をした場合において、前項の期間内に議会を解散しないとき、又はその解散後初めて招集された議会において再び不信任の議決があり、議長から当該普通地方公共団体の長に対しその旨の通知があつたときは、普通地方公共団体の長は、同項の期間が経過した日又は議長から通知があつた日においてその職を失う。」と規定し、地方議会による長の不信任議決等の制度を定め、議院内閣制的要素も含まれている。

イ 妥当でない。
 憲法95条は、「一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。」と規定している。この住民投票には、法的拘束力がある。したがって、「地方自治体で行われている住民投票は、法的拘束力のないものとなっている」との記述は妥当でない。
 地方自治法14条1項は、「普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて第2条第2項の事務に関し、条例を制定することができる。」と規定している。このため、法令に違反しない限りにおいて、地方公共団体が住民投票を条例で定めることができる (いわゆる住民投票条例)。現に、特定の施策の賛否を問うために住民投票条例が設けられ、この条例に基づいて住民投票がなされている。したがって、「地方自治体で行われている住民投票は、当該自治体の条例に基づかずに実施されている」との記述は妥当でない。
 なお、これまでに制定された住民投票条例は、その結果に法的拘束力を持たないもの (いわゆる諮問型) ばかりであり、投票結果に法的拘束力を持たせることができるかについては、現在のところ、否定する考え方が多数説である。
【著名な住民投票条例】
公布年月日
住民投票条例
提案等
住民投票
昭和57年7月22
窪川町原子力発電所設置についての町民投票に関する条例
町長提案
実施されず
昭和63年7月15
中海淡水化賛否についての市民投票に関する条例
住民請求
実施されず
平成7年7月19
巻町における原子力発電所建設についての町民投票に関する条例
議員提案
平成8年8月5日
投票率88.3
賛成38.6
反対60.9
平成9年1月21
御嵩町における産業廃棄物処理施設の設置についての住民投票に関する条例
住民請求
平成9年6月22
投票率87.5
賛成18.8
反対79.7

 




ウ 妥当でない。
 市町村の合併の特例に関する法律 (合併特例法) の改正及び市町村の合併の特例等に関する法律 (新合併特例法) の制定により、住民が直接請求により合併協議会の設置を発議することができる制度の創設、合併特例債の創設、町村の市への移行のための人口要件の緩和、都道府県知事による合併協議会設置の勧告等の規定が整備され、市町村合併が盛んに行われ、市町村の数は、3,232 (平成11年3月31日) から1,753 (平成22年3月31日見通し) に減少する見通しである。この現象をとらえて、平成の大合併と呼んでいる。平成の大合併においては、人口8,000人をめどに合併をすすめるものとされていないし、また、強制合併の制度も導入されていない。
 なお、昭和の大合併を促進した町村合併促進法 (昭和28年法律第258号) 3条1項は、「町村は、おおむね8000人以上の住民を有するのを標準とし、地勢、人口密度、経済事情その他の事情に照らし、行政能率を最も高くし、住民の福祉を増進するようにその規模をできる限り増大し、これによつてその適正化を図るように相互に協力しなければならない。」と規定していた。したがって、人口8,000人をめどに合併をすすめるものとされていたのは、昭和の大合併である。

エ 妥当である。
 1999 (平成11) 年に制定された地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律 (地方分権一括法) は、地方公共団体の事務に関する記述のある法律のうち、地方分権推進委員会の5次にわたる勧告の趣旨から改正が必要なもの475本の法律の改正部分を、1本の法律としてまとめたものである。この法律により、機関委任事務の廃止を伴う事務の再配分、国等からの関与等のルール化等の地方分権改革が行われたが、国税の地方税への税源移譲等の地方税財政制度改革については、手がつけられないまま残された。

オ 妥当でない。
 指定都市制度は、大都市行政の合理的かつ能率的な運営を図ることを目的としており、その具体的な内容としては、①事務配分の特例 (地方自治法252条の19第1項)、②監督の特例 (同条2項)、③組織上の特例 (同法252条の20)、④税財政上の特例 (たとえば、一定の譲与税・交付金については政令指定都市とその他の市町村とで配分基準が異なる等) である。このように、指定都市になったからといって都道府県から独立した地位を与えられるわけではなく、それゆえ市域内の都道府県税が当該市の財源に属することになるわけではない。

以上により、妥当なものは、ア・エの二つであるから、正解は2になる。

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2009.08.27 Thu l 行政書士試験 平成18年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
今日は、平成18年度 行政書士試験 問題47の解説を書いた後、直ちに政治の作問に取り掛かり、何とか予定の2問を作り終えました。

行政改革の歴史についての表を作るのに、非常に手間取り、今日は、この表を皆さんに提供できないのが残念です。

なお、本年度試験の政治分野の出題予想ですが、かなり考え込んでいます。昨年は、稟議制が出題されて、非常にビックリしましたが、本年度も何かやってくれそうな気もしています。

オーソドックスな出題であれば、議院内閣制、政党、国際連合が危険ですね。
また、近時の問題意識からすれば、行政改革、地方分権、軍縮という感じでしょうか。

沼尾波子試験委員、礒崎初仁試験委員が残っているようなので、地方自治関連は、最も注意すべきなんでしょうね。

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2009.08.27 Thu l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成18年度 行政書士試験 問題47は、「行政改革」に関する組合せ問題でした。

本問の解答速報は、肢1か肢2かで割れました。肢アは分かりやすいのですが、肢イの知識がある方はまれで、肢ウは、若干微妙で、冷静に考えればわかるのでしょうが、試験場では、ちょっと難しいかななぁという感じです(常識的には、解説のとおりなのでしょうが、これを冷静に考えられるかどうかは疑問ですね)。
なので、捨問にして下さって結構です。

では、平成18年度 行政書士試験 問題47の解答解説を載せておきます。




問題47 1980年代からの国の行政改革に関する次のア~エの記述のうち、間違ったものが2つある。その組合せとして正しいものはどれか。

ア 中曽根内閣のもとで設置された第2次臨時行政調査会は、「民間活力の活用」をすすめる観点から、旧国鉄、旧電電公社、旧郵政公社の民営化に取り組んだ。

イ 第2次臨時行政調査会のあと、さらに3次にわたる臨時行政改革推進審議会が設置され、第3次の同審議会最終答申で「官から民へ」「国から地方へ」の改革課題が集約された。

ウ 地方分権推進法にもとづいて設置された地方分権推進委員会は、市町村合併の推進を唱えたのに加えて、都道府県制に代わる道州制の検討を提言した。

エ 中央省庁等改革に取り組んだ行政改革会議は、「公共性の空間」は中央の官の独占物ではないとする基本理念に立って最終報告を取りまとめた。

1 ア・イ
2 ア・ウ
3 イ・ウ
4 イ・エ
5 ウ・エ






問題47 正解 2
ア 間違っている。
 第2次臨時行政調査会 (略して第2臨調という。) は、1981年3月に、「鈴木 (善幸) 内閣」の下で設置された。
 また、第2次臨時行政調査会の答申は5回にわたり、3公社 (旧国鉄、旧電電公社、旧専売公社) の改革、特殊法人の整理、国と地方との役割分担等の改革提言がなされた。したがって、「旧郵政公社」ではなく、「旧専売公社」が正しい。なお、3公社の民営化は、中曽根康弘内閣の下で実現した。

イ 間違っていない。
 第2次臨時行政調査会のあと、さらに3次にわたる臨時行政改革推進審議会が設置され、第3次の地方分権推進委員会の最終答申は、21世紀を展望した行政システムの変革の基本方向として、①官主導から民自律への転換 (官から民へ)、②地方分権の推進についての改革の方策 (国から地方へ) を提言した。。

ウ 間違っている。
 地方分権推進法にもとづいて設置された地方分権推進委員会は、勧告及び市町村合併の推進についての意見において、市町村合併の推進方策を述べたにとどまり、これを推進するように提唱したことはない。
また、地方分権推進委員会の最終報告では、「平成17年3月までの時限法である市町村の合併の特例に関する法律に基づいて進められている市町村合併の帰趨を慎重に見極めながら、道州制論、連邦制論、廃県置藩論など、現行の都道府県と市区町村の2層の地方公共団体からなる現行制度を改める観点から各方面においてなされている新たな地方自治制度に関する様々な提言の当否について、改めて検討を深めることである。」と述べている。このように、新たな地方自治制度に関する様々な提言の当否について検討を深めることを提言したのであって、道州制の検討を提言したわけではない。

エ 間違っていない。
 行政改革会議の最終報告 (平成9年12月3日) においては、①行政改革の理念と目標、②内閣機能の強化、③新たな中央省庁の在り方、④行政機能の減量 (アウトソーシング)・効率化等、⑤公務員制度の改革、⑥その他 (行政情報の公開制度、地方行財政制度の改革) が提言された。この行政改革の理念と目標の中において、「『公共性の空間』は、決して中央の『官』の独占物ではないということを、改革の最も基本的な前提として再認識しなければならない。」と述べられている。

以上により、間違っているものは、ア・ウであり、正解は2になる。

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2009.08.26 Wed l 行政書士試験 平成18年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
ネットでニュースを見ていたら、次の記事に当たりました。

通信・放送の法体系の再編成

情報通信分野に関する当方の出題予想部分ですので、読んでおくことをお勧めします。

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2009.08.26 Wed l 行政書士試験 一般知識 l コメント (0) トラックバック (0) l top
今日は、平成18年度 行政書士試験 問題46の解説を書いた後、直ちに情報通信の作問に入りました。今週中に、あと6問の作問が残っており、かなりきつい日程になっています。
当然のことながら、連日第2部の終了時間は、0時を越えています。
母の受け入れ態勢を整えなければならない関係上、少々無理をしている感じです。

さて、情報通信分野からの出題予想ですが、1問は行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律(いわゆる行政手続オンライン化法), 電子署名及び認証業務に関する法律 (いわゆる電子署名法)及び電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律(いわゆる公的個人認証法) の三法の中から出題されると思います

また、もう1問は、迷惑メール防止法から出題されるのではないかと思います。理由は、平成20年に本法が改正され、従来のオプトアウト方式からオプトイン方式に変わったなど重要の変更があったからです。
迷惑メール防止法の改正のポイント

予備として、プロバイダ責任制限法も目を通しておいてください。

さらに、もう一問は、前のブログに書いたとおり、通信・放送の融合からの出題を予想しています。
なお、インターネットに関する用語も要注意です。情報通信白書の用語集を本屋で立ち見しておくことをお勧めします。なお、次のウェブサイトも参照のこと。
情報通信用語集

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2009.08.26 Wed l 未分類 l コメント (0) トラックバック (0) l top

平成18年度 行政書士試験 問題46は、「抵当権の物上代位性」に関する記述式問題でした。

抵当権の物上代位性は、受験生の基礎知識に属するものですから、得点すべきですね。
(いつも言うことですが、択一式と異なり、書くのは難しいですけどね)

では、平成18年度 行政書士試験 問題46の解答解説を載せておきます。



問題46 AはBに対して3000万円の貸金債権を有しており、この債権を被担保債権としてB所有の建物に抵当権の設定を受けた。ところが、この建物は、抵当権設定後、Cの放火により焼失してしまった。BがCに対して損害賠償の請求ができる場合に、Aは、どのような要件のもとであれば、この損害賠償請求権に対して抵当権の効力を及ぼすことができるか。40字程度で記述しなさい。






問題46 正解例 CがBに対して払い渡す前に、損害賠償請求権をAが差し押さえなければならない。(38字)
<参考>「Bに対して払い渡す前」「差し押さえ」がキーワードとなる。
 民法372条の準用する同法304条は、「先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。」と規定している (物上代位性)。ここに抵当目的物の滅失又は毀損によって債務者が受けるべき金銭その他の物には、抵当目的物の滅失又は毀損についてその所有者が第三者に対して取得する損害賠償請求権を含むと解されている。そして、抵当権者が担保目的物の所有者に代位して第三者に対して損害賠償請求権を行使するためには、第三者が担保目的物の所有者に対して損害の賠償をする前に、抵当権者が損害賠償請求権の差押えをしなければならない。
■ 担保物権の性質
担保物権は、債権を担保するために存在するから、次のような性質を有する。

付従性
担保物権は、債権の存在が前提となるという性質である。たとえば、担保物権は、債権があってはじめて存在し、債権が弁済等により消滅すれば、担保物権も消滅する。
随伴性
債権が他人に移転すれば、当該債権を担保する担保物権もそれに伴って移転するという性質である。たとえば、債権者Aが債務者Bに対する債権をCに譲渡すれば、担保物権もCに移転する。
不可分性
担保物権者は、債権全部の弁済を受けるまで担保目的物の上に権利を行使することができるという性質をいう。たとえば、被担保債権額の一部が弁済された場合でも、担保物権者は、被担保債権額の全額が弁済されるまでは、なお担保目的物の全部を留置することができる。
物上代位性
担保物権者は、担保目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、権利を行使することができるという性質をいう。

■ 担保物権の効力

留置的効力
債権担保のため、目的物を債権者の手許に留置させ、債務者に心理的圧迫を加えることにより間接的に債務の弁済をうながす効力をいう。
優先弁済的効力
債権者は、債務の弁済が得られない場合に、担保目的物を換価したうえ、他の債権者に先だって弁済を受けうる効力をいう。

■ 担保物権の性質・効力のまとめ

 
留置権
先取特権
質権
抵当権
付従性
随伴性
不可分性
物上代位性
×1
留置的効力
×
2
×
優先弁済的効力
×1

 

 

 



*1 留置権は、担保目的物を留置することによって債務者に心理的圧迫を加え、それにより債務の弁済をうながすものであり、その目的物の交換価値を把握するものではないから、物上代位性を有せず、また、優先弁済的効力を有しない。
*2 質権は、優先弁済的効力のみならず留置的効力を有する点で特異な担保物権である。

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2009.08.25 Tue l 行政書士試験 平成18年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
昨日の事務所日記を書いています。

昨日は、平成18年度 行政書士試験 問題45の解説を書いた後、企画書の文字校正、続いて来週頭に締切が迫っている作問の続きをしました。

行政書士試験は、司法試験や司法書士試験と異なり、法務省ではなく、総務省がいろいろな形でかかわってきます。このため、出題法令も総務省が所管する法令が出題されるようです。
なお、次の法令は注意すべきですね。
目を通しておいてください。

情報セキュリティ関連の法律

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2009.08.25 Tue l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成18年度 行政書士試験 問題45は、「解約手付」に関する記述式問題でした。

解約手付に関する本条文は、受験生の基礎知識に属する部分ですので、得点すべきでした。

なお、受験生的には、これに関する判例が重要ですから、その判例を参照しておいてください。

では、平成18年度 行政書士試験 問題45の解答解説を載せておきます。




問題45 売買契約において買主が売主に解約手付を交付した場合に、このことによって、買主は、どのような要件のもとであれば、売買契約を解除することができるか。40字程度で記述しなさい。





問題45 正解例 ① 当事者の一方が契約の履行に着手するまでに、手付を放棄して、契約解除の意思表示をする。(42字)
② 相手方が契約の履行に着手するまでに、手付を放棄して、契約解除の意思表示をする。(39字)
<参考>「当事者の一方が契約の履行に着手するまで」「手付を放棄」がキーワードとなる。

 民法557条1項は、「買主が売主に手付を交付したときは、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を償還して、契約の解除をすることができる。」と定め、解約手付について規定している。このように、買主が売主に手付を交付したときは、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄して、契約を解除することができる。

■ 履行に着手した者からの解除権行使の可否 (最大判昭和40年11月24日)
 「解約手附の交付があつた場合には、特別の規定がなければ、当事者双方は、履行のあるまでは自由に契約を解除する権利を有しているものと解すべきである。然るに、当事者の一方が既に履行に着手したときは、その当事者は、履行の着手に必要な費用を支出しただけでなく、契約の履行に多くの期待を寄せていたわけであるから、若しかような段階において、相手方から契約が解除されたならば、履行に着手した当事者は不測の損害を蒙ることとなる。従つて、かような履行に着手した当事者が不測の損害を蒙ることを防止するため、特に民法557条1項の規定が設けられたものと解するのが相当である。
 同条項の立法趣旨を右のように解するときは、同条項は、履行に着手した当事者に対して解除権を行使することを禁止する趣旨と解すべく、従つて、未だ履行に着手していない当事者に対しては、自由に解除権を行使し得るものというべきである。このことは、解除権を行使する当事者が自ら履行に着手していた場合においても、同様である。すなわち、未だ履行に着手していない当事者は、契約を解除されても、自らは何ら履行に着手していないのであるから、これがため不測の損害を蒙るということはなく、仮に何らかの損害を蒙るとしても、損害賠償の予定を兼ねている解約手附を取得し又はその倍額の償還を受けることにより、その損害は填補されるのであり、解約手附契約に基づく解除権の行使を甘受すべき立場にあるものである。他方、解除権を行使する当事者は、たとえ履行に着手していても、自らその着手に要した出費を犠牲にし、更に手附を放棄し又はその倍額の償還をしても、なおあえて契約を解除したいというのであり、それは元来有している解除権を行使するものにほかならないばかりでなく、これがため相手方には何らの損害を与えないのであるから、右557条1項の立法趣旨に徴しても、かような場合に、解除権の行使を禁止すべき理由はなく、また、自ら履行に着手したからといつて、これをもつて、自己の解除権を放棄したものと擬制すべき法的根拠もない。」

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2009.08.24 Mon l 行政書士試験 平成18年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
昨日の福岡便りを書いています。

昨日は、背振山経由で、妻の実家と入院中の母を見舞ってきました。
「山の恵み」と書くと、きのことかを想起される方がいらっしゃるでしょうが、昨日のは、冷たい水でした。

最近、水遊びが大好きなった娘を川で遊ばせようと思って、背振山の麓の背振神社前の川で遊ばせたのですが、本当に水が冷たかったです。
湧き水が集まって結構な量が流れているので、注意しないと危険なのですが、娘と二人1時間ほど中州に池を作って遊びました。
どこの家も同じだと思うのですが、当方が土木工事屋で、娘が壊し屋ですね。
作った先から壊されて、悲しいというか、楽しいというか、よい時間をすごすことができました。

最後に、娘を川にドボンしたのですが、冷たかったのでしょう。ブルブル震える状態になったので、さっさと切り上げました。
やはり川の水は、泳ぐには冷たすぎるようです。
川で泳ぐ方は、くれぐれもご注意あれ!

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2009.08.24 Mon l 福岡便り l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成18年度 行政書士試験 問題44は、「原告適格」に関する記述式問題でした。

原告適格は、基礎知識に関する部分ですから、原告適格があるかないかは、書いて欲しいですね。却下判決も出てきて当然でしょう。したがって、得点して欲しいですね。

では、平成18年度 行政書士試験 問題44の解答解説を載せておきます。





問題44 保健所長がした食品衛生法に基づく飲食店の営業許可について、近隣の飲食店営業者が営業上の利益を害されるとして取消訴訟を提起した場合、裁判所は、どのような理由で、どのような判決をすることとなるか。40字程度で記述しなさい。





問題44 正解例 原告は、法律上の利益を有せず、原告適格を欠くという理由で、却下の判決をする。(38字)
<参考>キィワードは、「法律上の利益を有せず、原告適格を欠く」「却下の判決」である
 行政事件訴訟法9条1項は、「処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴え (以下「取消訴訟」という。) は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者 (処分又は裁決の効果が期間の経過その他の理由によりなくなつた後においてもなお処分又は裁決の取消しによつて回復すべき法律上の利益を有する者を含む。) に限り、提起することができる。」と規定している。ここに当該処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者とは、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうが、当該処分を定めた行政法規が、不特定多数者の具体的利益をもっぱら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず、それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には、このような利益もここにいう法律上保護された利益に当たり、当該処分によりこれを侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者は、当該処分の取消訴訟における原告適格を有する (最判平成1年2月17日―新潟空港訴訟)。そして、同条2項は、「裁判所は、処分又は裁決の相手方以外の者について前項に規定する法律上の利益の有無を判断するに当たつては、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するものとする。この場合において、当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たつては、当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌するものとし、当該利益の内容及び性質を考慮するに当たつては、当該処分又は裁決がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案するものとする。」と規定している。
 これを本問についてみると、食品衛生法は、飲食店営業その他公衆衛生に与える影響が著しい営業 (食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律第2条第5号に規定する食鳥処理の事業を除く。) を営もうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならないと規定している (同法52条1項) ところ、公衆浴場法2条のように、「設置の場所が配置の適正を欠く」と認められるときは許可を拒み得る旨を定めていない。そうすると、食品衛生法52条1項の立法趣旨は、食品の安全性の確保のために公衆衛生の見地から必要な規制その他の措置を講ずることにより、もっぱら飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、もつて国民の健康の保護を図るものである (同法1条参照) と解される。
 したがって、食品衛生法は、競業者の具体的利益を保護すべきものとする趣旨を含むものとは解されない。
 よって、近隣の飲食店営業者が営業上の利益を害されるとして取消訴訟を提起した場合、近隣の飲食店営業者は、法律上の利益を有せず、原告適格を有しない。
 このため、裁判所は、訴えが不適法であるため却下判決により訴訟を終局させなければならない。

■ 競業者の原告適格が認められた判例 (最判昭和37年1月19日―公衆浴場営業許可処分無効確認訴訟判決)
 公衆浴場法は、公衆浴場の経営につき許可制を採用し、第2条において、「設置の場所が配置の適正を欠く」と認められるときは許可を拒み得る旨を定めているが、その立法趣旨は、「公衆浴場は、多数の国民の日常生活に必要欠くべからざる、多分に公共性を伴う厚生施設である。そして、若しその設立を業者の自由に委せて、何等その偏在及び濫立を防止する等その配置の適正を保つために必要な措置が講ぜられないときは、その偏在により、多数の国民が日常容易に公衆浴場を利用しようとする場合に不便を来たすおそれを保し難く、また、その濫立により、浴場経営に無用の競争を生じその経営を経済的に不合理ならしめ、ひいて浴場の衛生設備の低下等好ましからざる影響を来たすおそれなきを保し難い。このようなことは、上記公衆浴場の性質に鑑み、国民保健及び環境衛生の上から、出来る限り防止することが望ましいことであり、従つて、公衆浴場の設置場所が配置の適正を欠き、その偏在乃至濫立を来たすに至るがごときことは、公共の福祉に反するものであつて、この理由により公衆浴場の経営の許可を与えないことができる旨の規定を設け」たのであることは当裁判所大法廷判決の判示するところである (最高裁判所30年1月26日大法廷判決)。そして、同条はその第3項において右設置場所の配置の基準については都道府県条例の定めるところに委任し、京都府公衆浴場法施行条例は各公衆浴場との最短距離は250米間隔とする旨を規定している。
 これら規定の趣旨から考えると公衆浴場法が許可制を採用し前述のような規定を設けたのは、主として「国民保健及び環境衛生」という公共の福祉の見地から出たものであることはむろんであるが、他面、同時に、無用の競争により経営が不合理化することのないように濫立を防止することが公共の福祉のため必要であるとの見地から、被許可者を濫立による経営の不合理化から守ろうとする意図をも有するものであることは否定し得ないところであつて、適正な許可制度の運用によつて保護せらるべき業者の営業上の利益は、単なる事実上の反射的利益というにとどまらず公衆浴場法によつて保護せられる法的利益と解するを相当とする。

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2009.08.22 Sat l 行政書士試験 平成18年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
昨日の事務所日記を書いています。

昨日は、平成18年度 行政書士試験 問題43の解説を書いた後、企画書の続きを書いていました。

企画書のアピールポイントは、何と言っても、類書にはない本書の優位性にありますから、この点に結構時間がかかるんですよね。
今回は、既に本のはしがきを流き終えていましたから、それを流用しました。
後は、類書の内容や版型等を調べて、添付書類としてつけることにしました。

新規の取引先というのは、どの会社も基本的に注意するでしょうから、結構気を使いますね。
でも、営業をかけないよりかけておけば、何かの拍子で依頼が来ますからね(今の取引先がそうですね)。
恥ずかしがらないでやることが大事だと思っています。

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2009.08.22 Sat l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成18年度 行政書士試験 問題43は、「行政上の義務の履行確保手段」に関する多肢選択式問題でした。

行政上の義務の履行確保手段については、行政書士試験においても多く出題されており、基礎知識としておくべきところですから、すべて得点すべきでした。

では、平成18年度 行政書士試験 問題43の解答解説を載せておきます。





問題43 行政上の義務の履行確保手段に関する次の文章の空欄 [ ア ] ~ [ エ ] に当てはまる言葉を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

 行政代執行法によれば、代執行が行われるのは、[ ア ] の場合に限られるので、その他の義務の履行確保については、別に法律で定めることを必要とする。例えば、代執行以外の義務の履行確保手段の一つとして [ イ ] が挙げられるが、これは、義務者の身体又は財産に直接実力を行使して、義務の履行があった状態を実現するものである。
 [ イ ] に類似したものとして、[ ウ ] がある。[ ウ ] も、直接私人の身体又は財産に実力を加える作用であるが、義務の履行強制を目的とするものでないところにその特徴がある。[ ウ ] の例としては、警察官職務執行法に基づく保護や避難等の措置などが挙げられる。
 さらに行政上の義務の履行確保手段には、間接的強制手段として、行政罰がある。その中で [ エ ] は、届出、通知、登記等の義務を懈怠した場合などに科される罰である。

1 反則金  2 課徴金  3 直接強制  4 法定受託事務  5 執行罰
6 自治事務  7 秩序罰  8 即時強制  9 金銭給付義務  10 行政刑罰
11 機関委任事務   12 直接執行  13 自力執行  14 非代替的作為義務
15 間接強制  16 滞納処分  17 代替的作為義務  18 職務命令違反
19 不作為義務  20 延滞金







問題43 正解 ア 17 代替的作為義務
       イ 3 直接強制
       ウ 8 即時強制
       エ 7 秩序罰
ア 17 代替的作為義務
 行政代執行法2条は、「法律 (法律の委任に基く命令、規則及び条例を含む。以下同じ。) により直接に命ぜられ、又は法律に基き行政庁により命ぜられた行為 (他人が代つてなすことのできる行為に限る。) について義務者がこれを履行しない場合、他の手段によつてその履行を確保することが困難であり、且つその不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、当該行政庁は、自ら義務者のなすべき行為をなし、又は第三者をしてこれをなさしめ、その費用を義務者から徴収することができる。」と規定している。このように、行政代執行が行われるのは、他人が代わってなすことのできる義務の不履行がある場合、すなわち [17 代替的作為義務] の不履行がある場合に限られる。

■ なお、行政代執行法1条は、「行政上の義務の履行確保に関しては、別に法律で定めるものを除いては、この法律の定めるところによる。」と規定し、行政代執行法が行政上の義務の履行確保に関する一般法であることをあきらかにしている。金銭支払義務の不履行に関しては、国税徴収法47条以下に行政上の強制徴収の規定が置かれているため、前記 [17 代替的作為義務] から金銭支払義務は除かれる。

イ 3 直接強制
 行政上の義務の履行確保手段としては、①行政上の強制執行、②行政罰、③給付拒否、公表、課徴金等のその他の義務履行確保の制度の三つが挙げられる。このうち、行政上の強制執行には、行政代執行、行政上の強制徴収、執行罰及び [3 直接強制] が含まれる。ここに [3 直接強制] とは、義務者が義務を履行しない場合に、義務者の身体又は財産に直接実力を行使して、義務の履行があったのと同一の状態を実現するものをいう。[3 直接強制] は、義務者の身体又は財産に直接実力を行使するものであり、人権侵害の虞があるため、個別の法律に定めが置かれているにすぎない (たとえば、成田国際空港の安全確保に関する緊急措置法3条6項)。

■ 行政上の強制徴収とは、国税、地方税等の公法上の金銭債権が履行されない場合において、国、地方公共団体等が滞納者の財産の差押え、公売による差押財産の換価、換価代金の配当という一連の手続による滞納処分をすることをいう。国税については、国税徴収法47条以下に規定が置かれており、地方税については、国税徴収法に規定する滞納処分の例により滞納処分をする旨の規定が各税ごとに置かれている。

■ 執行罰とは、義務の不履行に対して、一定額の過料を課すことを通告して間接的に義務の履行を促し、なお義務を履行しないときに、これを強制的に徴収するものをいう。戦前においては、不作為義務、非代替的作為義務の不履行に対して一般的に認められていたが、戦後、不作為義務等の履行確保手段として刑事罰が広く取り入れられた結果、これに比較して抑止効果が薄いため、執行罰は、次第に廃止され、条文の整理漏れの形で砂防法36条の規定が残存するのみである。

ウ 8 即時強制
 行政目的の実現のために、行政機関が国民の身体、財産等に対し実力を行使する行為を行政強制と呼んでいる。この行政強制は、国民にあらかじめ義務を課しておき、その義務が履行されないために行政機関が実力を行使する行政上の強制執行とあらかじめ国民に義務を課すことなく、いきなり行政機関が実力を行使する [8 即時強制] に分けることができる。ここに [8 即時強制] とは、目前急迫の障害を除く必要上、義務を命ずる暇のない場合又はその性質上義務を命ずることによってはその目的を達しがたい場合に、直接に国民の身体又は財産に実力を加え、もって行政目的を実現するものをいう。

エ 7 秩序罰
 前記のとおり、行政上の義務の履行確保手段としては、①行政上の強制執行、②行政罰、③給付拒否、公表、課徴金等のその他の義務履行確保の制度の三つがある。このうち、行政罰とは、行政上の義務違反行為に対して一定の刑罰を課すことにより行政上の義務の履行を確保するものをいう。この行政罰は、刑法典上に刑名のある刑罰を科す行政刑罰と、届出義務を怠る行為のように行政上の秩序を侵害する程度が比較的軽微な行為に対して過料を科す (行政上の) [7 秩序罰] に分けられる。

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2009.08.21 Fri l 行政書士試験 平成18年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
昨日の事務所日記を書いています。

昨日は、平成18年度 行政書士試験 問題42の解説を書いた後、書籍の企画書を書きました。
書籍の企画書というのは、通例の企画書とさほど変わりなく、次の順序で書いています。
①今回企画した本の目的・特徴・内容
②市場において競合しそうな本の内容(書名、著編者、出版社、頁数、版型、価格、特徴、その評価)
③競合本に勝る点

それに、資格試験ですから、その試験の概要くらいはつけるようにしています。

最初に書いた本の企画書を作るのに3週間程度かかった記憶がありますが、今回は2日くらいでできそうです。また、内容も、ずいぶん進歩しましたね。

この企画書の本が皆さんに読まれることを願っています!

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2009.08.21 Fri l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成18年度 行政書士試験 問題42は、「行政事件訴訟法における各種の訴訟類型」に関する多肢選択式問題でした。

行政事件訴訟法においては、訴訟類型を把握することは、非常に重要なことですので、すべて得点すべきでした。
ただ、これが出題された当時、争点訴訟についてその性質が民事訴訟であることまで知っていた方は少ないので、これを機会に理解しておくようにしましょう

なお、毎回のことながら、市販の過去問には、「解説を書けよ!」「問題文を写すだけでなく、丁寧に解説しろよ!」という感じでした。

では、平成18年度 行政書士試験 問題42の解答解説を載せておきます。






問題42 次の文章の空欄 [ ア ] ~ [ エ ] に当てはまる言葉を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

 地方財政の適正を確保するために地方自治法242条の2が規定する住民訴訟は、行政事件訴訟法2条の規定する基本的な訴訟類型のうちの [ ア ] 訴訟の一例である。このような原告の権利利益の保護を目的としない訴訟は、一般に、[ イ ] 訴訟と呼ばれるが、こうした訴訟は、法律が特別に認めている場合に限って提起できることとなる。ちなみに、行政事件訴訟法45条の規定する [ ウ ] 訴訟は、同法2条の規定する訴訟類型のいずれにも属しない訴訟であるから、行政事件訴訟ではないが、行政処分の効力を前提問題として争う [ エ ] 訴訟である。

1 民事  2 納税者  3 有権者  4 刑事  5 客観
6 民衆  7 給付  8 抗告  9 無効等確認  10 取消
11 義務付け  12 形成  13 確認  14 機関  15 差止め
16 無名抗告  17 争点  18 当事者  19 不作為の違法確認  20 主観







問題42 正解 ア 6 民衆
         イ 5 客観
         ウ 17 争点
         エ 1 民事
ア 6 民衆
 地方財政の適正を確保するため、地方自治法242条の2は、住民訴訟について規定している。
この住民訴訟は、地方公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟であり、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものであるから、行政事件訴訟法2条の規定する基本的な訴訟類型のうちの [6 民衆] 訴訟に当たる。

イ 5 客観
 国民の個人的権利利益の保護を目的とする訴訟のことを主観訴訟(主観的訴訟)といい、客観的な法秩序の適正維持を目的とする訴訟のことを [5 客観] 訴訟(客観的訴訟)という。
 [5 客観] 訴訟は、国民の個人的権利利益の保護を目的としていないため、裁判所法3条1項の規定する「法律上の争訟 (=当事者間の具体的な権利義務に関する紛争であって、法律の適用によって解決されるべきもの)」に該当しない。このため、同条項の規定する「その他法律において特に定める権限」といえる場合、すなわち、法律がが特別に認めている場合に限って提起することができる

ウ 17 争点
 行政事件訴訟法45条の規定する訴訟は、処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無が前提問題として争われている私法上の法律関係に関する訴訟であり、処分の効力等を争点とする訴訟 (省略して [17 争点] 訴訟) と呼ばれている。争点訴訟とは、たとえば、土地収用の裁決の無効を前提として、当該裁決に基づいて土地所有権を失った土地所有者が起業者に対して提起する土地所有権の確認訴訟である。

エ 1 民事
 争点訴訟は、私法上の法律関係を訴訟物とするものであるから、その性質は、[1 民事] 訴訟である。

■ 争点訴訟においては、処分の効力等が争点となる限りで、抗告訴訟に準ずる特別の取扱いが必要であるため、行政事件訴訟法の規定が準用されている。

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2009.08.20 Thu l 行政書士試験 平成18年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
昨日の事務所日記を書いています。

昨日は、午後に私用が入っていたため、7時に出勤し、10時までに平成18年度 行政書士試験 問題41を書き上げました。

その後、佐賀でケアマネジャーの方との打ち合わせや、妻の実家での農業実習、母の見舞いを終え、22時くらいに戻ってきました。

9月から、基本的に母を福岡で預かる予定なので、その前に、出版社への営業や福岡では入手しがたい書籍やデータを得るために東京に2日程行きたいなぁと思っています。

出版社をまわるに当たっては、単に名刺一枚で依頼がくるようなものではなく、企画書、執筆原稿の見本、入稿期日等をそろえていかなければなりません。

このため、作問と並行して、企画書の作成がひつようとなりそうですので、優先順位を公民館回りからそちらへ変えなければならないなぁ等と考えながら出勤しました。

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2009.08.20 Thu l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成18年度 行政書士試験 問題41は、「違憲審査制の法的性格」に関する多肢選択式問題でした。

基礎知識の部分からの出題ですし、著名な判例の事案ですから、すべて得点すべきでした。

なお、市販の過去問は、よく書けているものと、「判例名は暗記すること」「『具体的』の反対語である『抽象的』が入る」等というようにほとんど解説らしい解説をしていないものがあります。後者は、精神論、技術論としては傾聴に値するとも思われますので、そちらが合う方は、いいかもと思います。

では、平成18年度 行政書士試験 問題41の解答解説を載せておきます。






問題41 憲法81条の定める違憲審査制の性格に関する次の文章の空欄 [ ア ] ~ [ エ ] に当てはまる言葉を、枠内の選択肢 (1~20) から選びなさい。

 違憲審査制の性格に関する最高裁判所のリーディングケースとされるのは、1952年のいわゆる [ ア ] 違憲訴訟判決である。ここで最高裁は次のように判示し、[ ア ] の憲法違反を主張する原告の訴えを却下した。「わが裁判所が現行の制度上与えられているのは司法権を行う権限であり、そして司法権が発動するためには [ イ ] な争訟事件が提起されることを必要とする。我が裁判所は [ イ ] な争訟事件が提起されないのに将来を予想して憲法及びその他の法律命令等の解釈に対し存在する疑義論争に関し [ ウ ] な判断を下すごとき権限を行い得るものではない。けだし最高裁判所は法律命令等に関し違憲審査権を有するが、この権限は司法権の範囲内において行使されるものであり、この点においては最高裁判所と下級裁判所との間に異るところはないのである(憲法七六条一項参照)。……要するにわが現行の制度の下においては、特定の者の [ イ ] な法律関係につき紛争の存する場合においてのみ裁判所にその判断を求めることができるのであり、裁判所がかような [ イ ] 事件を離れて [ ウ ] に法律命令等の合憲性を判断する権限を有するとの見解には、憲法上及び法令上何等の根拠も存しない」。かような性格の違憲審査制を通例は付随的違憲審査制と呼び、これを採用している最も代表的な国としては [ エ ] を挙げることができる。

1 治安維持法  2 独立的  3 直接的  4 ドイツ  5 抽象的
6 一時的  7 客観的  8 フランス  9 付随的  10 オーストリア
11 間接的   12 アメリカ  13 政治的  14 不敬罪  15 警察予備隊
16 具体的  17 終局的  18 主観的  19 農地改革  20 イギリス





問題41 正解 ア 15 警察予備隊
         イ 16 具体的
         ウ 5 抽象的
         エ 12 アメリカ
 憲法81条は、最高裁判所に「一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限」を与えている。この権限を違憲審査権と呼び、この裁判所の有する違憲審査権を通じて個々の国民の憲法上の権利を保障する制度を違憲審査制と呼んでいる。
 この違憲審査制の法的性格に関しては、大きく次の二つの考え方がある。一つは、通常の裁判所が、具体的な訴訟事件を裁判する際に、その前提として当該事件の解決に必要な限りにおいて違憲審査権を行使すべきである (付随的違憲審査制) という考え方である。もう一つの考え方は、特別に設けられた憲法裁判所が、具体的な訴訟事件とは関係なく、法令その他の国家行為の違憲審査を行うべき (抽象的違憲審査制) とする考え方がある。
 この点、判例 (最大判昭和27 (1952) 年10月8日―警察予備隊違憲訴訟判決) は、「わが裁判所が現行の制度上与えられているのは司法権を行う権限であり、そして司法権が発動するためには具体的な争訟事件が提起されることを必要とする。我が裁判所は具体的な争訟事件が提起されないのに将来を予想して憲法及びその他の法律命令等の解釈に対し存在する疑義論争に関し抽象的な判断を下すごとき権限を行い得るものではない。けだし最高裁判所は法律命令等に関し違憲審査権を有するが、この権限は司法権の範囲内において行使されるものであり、この点においては最高裁判所と下級裁判所との間に異るところはないのである(憲法76条1項参照)。……。要するにわが現行の制度の下においては、特定の者の具体的な法律関係につき紛争の存する場合においてのみ裁判所にその判断を求めることができるのであり、裁判所がかような具体的事件を離れて抽象的に法律命令等の合憲性を判断する権限を有するとの見解には、憲法上及び法令上何等の根拠も存しない。」と判示した。この判決は、付随的違憲審査制を採ることを明らかにしたものであると解されている。

ア 15 警察予備隊
 前記のとおり、違憲審査制の法的性格に関する最高裁判所のリーディングケースとされるのは、[
15 警察予備隊] 違憲訴訟判決 (最大判昭和27 (1952) 年10月8日) である。
イ 16 具体的
 前記のとおり、わが国の違憲審査制の法的性格に関しては、通常の裁判所が、[16 具体的] な訴訟事件を裁判する際に、その前提として当該事件の解決に必要な限りにおいて違憲審査権を行使すべきである (付随的違憲審査制) という考え方がある。

ウ 5 抽象的
 前記のとおり、わが国の違憲審査制の法的性格に関しては、特別に設けられた憲法裁判所が、具体的な訴訟事件を離れて、[5 抽象的] に法令その他の国家行為の違憲審査を行うべき (抽象的違憲審査制) とする考え方がある。

■ 抽象的違憲審査制においては、具体的な訴訟事件とは関係なく違憲審査権が行使されるため、その「具体的な訴訟事件とは関係がな」いという点をとらえて「抽象的」と呼ばれている。

エ 12 アメリカ
 付随的違憲審査制は、[12 アメリカ] において確立した制度であり、抽象的違憲審査制は、ドイツ等の大陸法系の諸国で採られている制度である。

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2009.08.19 Wed l 行政書士試験 平成18年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
今日は、午前中妻の実家で農業実習を行った後、午後からの仕事開始となりました。

基本的には、平成18年度 行政書士試験 問題40の解説しか書けなかったのですが、その間に、介護のことについて、地域包括支援センターに伺って、お話を聞いてきました。

要支援と要介護について何となく知っている方もいらっしゃるでしょうが、程度の差以上に、その後の手続に大きな違いがありました。

要支援の方は、地域包括支援センターに依頼し、同センターが介護予防ケアプランを作成します。
これに対して、要介護の方には、居宅介護支援事業者に依頼し、ケアマネジャーがケアプラン(介護サービス計画)を作成します。

このため、要支援から要介護になった方については、基本的に窓口が異なることになるため、新たに居宅介護支援事業者に依頼しなければなりません。

その他、諸々の問題が生じるようで、病院から退院したときに、タイムラグを生じないでリハビリ等のサービスを受けることは、結構たいへんな感じですね。

明日も佐賀で打ち合わせです。
今月は、ガソリン代が高くつきそうです!

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2009.08.19 Wed l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成18年度 行政書士試験 問題40は、「会社の種類」に関する正誤問題でした。

合名会社や合資会社については、資格学校でもほとんど学習しない部分であり、その点では難しい問題の部類に入ります。ただし、正解肢は、基礎知識の部分から出題されていますから、得点すべき問題でした。

なお、市販の過去問は、悲惨!の一言ですね。
問題文自体が稚拙なこと、平成17年商法改正により変わった部分があること等の理由によるものですが、解説者自身の能力にも問題ありです。たとえば、①「規定はない」を連発して、解説をしていないもの、②解説の中にたくさんの余事記載をして受験生を迷わせるもの(こういう類のものは、解説者自身の頭の中がごちゃごちゃになっているのであろう!)、③実力がありすぎて、旧法からの解説をしているが、逆に新法をおろそかにして、現行法からの解説をきちんとしていないもの、④誤っている部分のみの指摘にとどまり、正しい部分の解説をしていないもの、⑤解説を放棄して、余事記載のみをしているもの等です。
当方には、なぜこんなにひどい解説が書けるのか不思議でしょうがありませんね!!

では、平成18年度 行政書士試験 問題40の解答解説を載せておきます。




問題40 会社の種類に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 合名会社と合資会社の持分は、定款の定めにより1持分につき複数の議決権を与えることができるが、株式会社でも、1株に複数の議決権を有する種類株式を発行する旨を定款に定めることができる。

2 合名会社の無限責任社員は、各社員が会社債務全額につき連帯責任を負うが、会社債権者に対して、まず会社資産から弁済を受けるように求めることができる。

3 合資会社の有限責任社員は、定款記載の出資額までしか責任を負わないため、有限責任社員となる時点で出資全額の履行が要求されている。

4 株式会社は、株式会社を表章する有価証券を発行しなければならず、合名会社と合資会社でも持分を表章する有価証券を発行しなければならない。

5 合資会社では、無限責任社員から業務執行権と会社代表権を有する代表社員を選任することを要し、株式会社では、取締役から業務執行権と会社代表権を有する代表取締役を選任する。






問題40 正解 2
1 誤り
 会社法308条1項は、「株主 (株式会社がその総株主の議決権の4分の1以上を有することその他の事由を通じて株式会社がその経営を実質的に支配することが可能な関係にあるものとして法務省令で定める株主を除く。) は、株主総会において、その有する株式1株につき1個の議決権を有する。ただし、単元株式数を定款で定めている場合には、1単元の株式につき1個の議決権を有する。」と規定している (一株一議決権の原則)。この原則は、株主平等の原則に基づくものであるから、その例外は、法が特に規定するもの (たとえば、同条2項等) に限られ、定款で例外を定めることは許されない。したがって、株式会社では、定款で、1株に複数の議決権を有する種類株式を発行する旨を定めることはできない。
 なお、持分会社 (合名会社、合資会社及び合同会社) における社員の持分は、株式会社とは異なり、均一の割合的単位の形がとられず、社員ごとに一個であり、それに量的な差異があるに過ぎない (持分単一主義)。このため、社員の持分ごとに複数の議決権を認める方が社員の平等に資するといえる。このため、持分会社においては、定款の定めにより1持分につき複数の議決権を与えることができると解されている。したがって、前半部分は正しい。

■ 江頭憲治郎『株式会社法』には、「議決権に関し認められる株式内容の差異は、ある事項につき議決権を行使できるか否かという形のみであって、一株に複数議決権を付与するとか、一定以上の株式を有する株主の議決権に上限制・逓減制を敷く等の形は認められない (会社法109条2項・105条1項3号対比)。」と記述されている。

2 正しい
 会社法580条1項1号は、持分会社の社員は、当該持分会社の財産をもってその債務を完済することができない場合には、連帯して、持分会社の債務を弁済する責任を負うと規定している。このように、合名会社の無限責任社員を含む持分会社の社員は、連帯して、会社債務全額を弁済する責任を負うが、会社債権者に対して、まず会社資産から弁済を受けるように求めることができる。

3 誤り
 会社法576条1項6号は、持分会社の定款に社員の出資の価額を記載し、又は記録しなければならないと規定し、同法580条2項は、「有限責任社員は、その出資の価額 (既に持分会社に対し履行した出資の価額を除く。) を限度として、持分会社の債務を弁済する責任を負う。」と規定している。このように合名会社の有限責任社員を含む持分会社の有限責任社員は、定款記載の出資の価額を限度として、持分会社の債務を弁済する責任を負うが、前記580条2項の条文が有限責任社員となった後の出資義務の履行を予定しているため、有限責任社員となる時点で出資の価額の全額の履行が要求されるわけではないと解されている。

■ なお、会社法578条は、「設立しようとする持分会社が合同会社である場合には、当該合同会社の社員になろうとする者は、定款の作成後、合同会社の設立の登記をする時までに、その出資に係る金銭の全額を払い込み、又はその出資に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければならない。ただし、合同会社の社員になろうとする者全員の同意があるときは、登記、登録その他権利の設定又は移転を第三者に対抗するために必要な行為は、合同会社の成立後にすることを妨げない。」と規定している。このように、合同会社においては、設立時の出資の履行が義務づけられているから、以後、合同会社の社員 (会社法576条4項の規定からも明らかなように、すべての社員が有限責任社員である。) は、持分会社の債務を弁済する責任を負わない (間接有限責任)。

4 誤り
 会社法214条は、「株式会社は、その株式 (種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式) に係る株券を発行する旨を定款で定めることができる。」と規定している。このように、株式会社においては、株式を表章 (ヒョウショウ。証券上に一定の権利が表されているということ。) する有価証券を発行する必要はない。
 また、合同会社においては、持分を表章する有価証券を発行しなければならないという規定は存在しないし、株式を証券に結合するのは、株式の流通性を高めるためであるところ、持分については、むしろその譲渡は制限されている (会社法585条等) から、持分の流通性を高める必要はない。このため、持分会社は、持分を表章する有価証券を発行する必要はないと解されている。

■ なお、平成17年改正前商法226条1項は、「会社ハ成立後又ハ新株ノ払込期日以後遅滞ナク株券ヲ発行スルコトヲ要ス但シ株式ノ譲渡ニ付取締役会ノ承認ヲ要スル旨ノ定款ノ定アル場合ニ於テ株主ヨリ株券発行ノ請求ナキトキハ此ノ限ニ在ラズ」と規定し、原則として、株券を発行しなければならないとしていたが、平成17年の商法の改正により、不発行が原則になった。

■ 本肢の「株式会社を表章する有価証券」という表現は、厳密に言えば誤りである。たとえば、前田庸『会社法入門』には、「株券とは株式―株主の地位―を表章する有価証券である。」と記述されている。このように、表章するものは、一定の権利でなければならない。

5 誤り
 会社法590条1項は、「社員は、定款に別段の定めがある場合を除き、持分会社の業務を執行する。」と規定し、同法599条1項は、「業務を執行する社員は、持分会社を代表する。ただし、他に持分会社を代表する社員その他持分会社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。」と規定している。このように、持分会社においては、原則として、社員が持分会社の業務を執行し、会社代表権を有している。したがって、合資会社では、無限責任社員の中から業務執行権と会社代表権を有する代表社員を選任しなければならないわけではない。
 なお、同法349条3項は「株式会社 (取締役会設置会社を除く。) は、定款、定款の定めに基づく取締役の互選又は株主総会の決議によって、取締役の中から代表取締役を定めることができる。」と規定し、同法362条3項は、「取締役会は、取締役の中から代表取締役を選定しなければならない。」と規定している。このように、株式会社では、取締役の中から代表取締役を選定しなければならない。したがって、後半部分は正しい。

■ なお、会社法420条1項前段は、「取締役会は、執行役の中から代表執行役を選定しなければならない。」と規定している。このため、この規定をも考慮するとすれば、本肢の後半部分は、誤っていることになる。

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2009.08.18 Tue l 行政書士試験 平成18年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
今日の午前中までかかって、資格学校から依頼を受けた作問を作り終え、午後は、平成18年度行政書士試験 問題39を書きおえました。

予定では、これから、公民館回りをするはずでしたが、残念ながら優先順位の高い家事が入ったため、そちらに2週間ほど忙殺されそうです(作問もあと9問ほど残っています)。

老人介護が現実化するとは思ってもいませんでしたが、家族の誰かがやらなければならないわけで、時間に自由の利く者がやるのが一番だろうと思っています。

どんなことが立ちはだかるかわからない状況の中で、ちょっと不安ですね。
まぁ、後悔するくらいなら、やってしまえ!というのが今の感想です。

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2009.08.17 Mon l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成18年度 行政書士試験 問題39は、「会社の合併」に関する組合せ問題でした。

会社の合併は、どの資格学校でも、それほど時間をかけない部分ですが、正解肢がかなりはっきりと正しいと判断することができるため、得点すべき問題でした。

なお、解説を書くのにかなり手間取りました。
問題文がかなり稚拙なことと(まぁ、条文自体が内容豊富なので、それを問題にするのは容易ではないですからね!)、条文が吸収合併(吸収会社及び存続会社)・新設合併のおよそ三つに分かれているため、適切な条文を探すのに一苦労しました。
そのためか、市販の過去問のうち、法律系資格に強い学校以外の条文操作にかなり誤りを見つけました(肢アの解説において、新設合併の条文を出すなよ!!)。
受験生の方は惑わされないように注意してください。

では、平成18年度 行政書士試験 問題39の解答解説を載せておきます。





問題39 会社の合併に関する次のア~オの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

ア 会社が合併するには、各当事会社の株主総会の特別決議による承認を要するが、存続会社に比べて消滅会社の規模が著しく小さい場合には、各当事会社は株主総会決議を省略することができる。

イ 合併の各当事会社は、会社債権者に対して、合併に異議があれば一定の期間内に述べるように官報に公告し、かつ電子公告をした場合であっても、知れたる債権者には個別催告する必要がある。

ウ 合併決議前に反対の意思表示をし、かつ合併承認決議に反対した株主は、合併承認決議が成立した場合には、株式買取請求権を行使することができる。

エ 会社の合併が違法である場合に、各当事会社の株主、取締役等、または合併を承認しなかった債権者は、その無効を合併無効の訴えによってのみ主張することができ、合併無効の判決が確定した場合には、将来に向かってその合併は無効となる。

オ 会社の合併により、消滅会社の全財産が包括的に存続会社に移転するため、財産の一部を除外することは許されないが、消滅会社の債務については、消滅会社の債権者の承諾が得られれば、存続会社は消滅会社の債務を引き継がないとすることも可能である。

1 ア・エ
2 ア・オ
3 イ・ウ
4 イ・エ
5 ウ・エ





問題39 正解 5
ア 誤り
 会社が合併するには、原則として、各当事会社の株主総会の特別決議による承認が必要である (会社法783条1項、795条1項、309条2項12号 3項2号)。
 しかし、存続会社に比べて消滅会社の規模が著しく小さい場合には、存続会社の株主に及ぼす影響が軽微であるため、株式会社を存続会社とする吸収合併であって、①合併に際し交付する存続会社の株式の数に1株当たり純資産額を乗じて得た額、②合併に際し交付する存続会社の社債、新株予約権又は新株予約権付社債の帳簿価額の合計額、及び、③合併に際し交付する存続会社の株式等以外の財産の帳簿価額の合計額が存続会社の純資産額の5分の1 (存続会社の定款でこれを下回る割合を定めた場合にあっては、その割合) を超えない場合には、原則として、存続会社につき、合併承認の株主総会決議 (会社法795条1項) をすることなしに合併を行うことができる (同法796条3項本文。簡易合併)。ただし、この場合でも、消滅会社においては、株主総会の特別決議が必要である。

イ 誤り
 会社法789条2項は、消滅会社の債権者の全部又は一部が異議を述べることができる場合には、消滅会社は、吸収合併をする旨等の一定の事項を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならないと規定し (同法799条2項及び810条2項にも同様の規定がある)、同条3項は、消滅会社が公告を、官報のほか、会社の公告方法に関する定款の定めに従い、時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法又は電子公告によりするときは、各別の催告は、することを要しないと規定している (同法799条3項及び810条3項にも同様の規定がある)。このように、合併の各当事会社は、会社債権者に対して、合併に異議があれば一定の期間内に述べるように、原則として、官報に公告し、かつ、知れている債権者には、個別にこれを催告しなければならないが、各当事会社が公告を、官報のほか、会社の公告方法に関する定款の定めに従い、時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法又は電子公告によりするときは、個別の催告は、することを要しない。
 したがって、各当事会社が官報に公告し、かつ、会社の公告方法に関する定款の定めに従い、電子公告をした場合には、たとえ知れている債権者であっても、個別に催告する必要はない。

ウ 正しい
 会社法785条1項は、吸収合併をする場合には、反対株主は、消滅株式会社等に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができると規定し、同条2項1号イは、当該反対株主とは、当該株主総会に先立って当該吸収合併に反対する旨を当該消滅株式会社に対し通知し、かつ、当該株主総会において当該吸収合併に反対した株主 (当該株主総会において議決権を行使することができるものに限る。) と規定している (同法797条1項 2項1号イ及び806条1項 2項1号にも同様の規定がある)。

エ 正しい
 会社法828条1項7号は、会社の吸収合併又は新設合併の無効は、吸収合併の効力が生じた日から6箇月以内に、訴えをもってのみ主張することができると規定し、同条2項7号は、当該無効の訴えは、当該行為の効力が生じた日において吸収合併をする会社の株主等若しくは社員等であった者又は吸収合併後存続する会社の株主等、社員等、破産管財人若しくは吸収合併について承認をしなかった債権者に限り、提起することができると規定している (会社の新設合併についても、同法828条1項8号、2項8号に同様の規定がある。)。
 さらに、同法839条は、「会社の組織に関する訴え (第834条第1号から第12号まで、第18号及び第19号に掲げる訴えに限る。) に係る請求を認容する判決が確定したときは、当該判決において無効とされ、又は取り消された行為 (当該行為によって会社が設立された場合にあっては当該設立を含み、当該行為に際して株式又は新株予約権が交付された場合にあっては当該株式又は新株予約権を含む。) は、将来に向かってその効力を失う。」と規定している。

オ 誤り
 会社法750条1項は、「吸収合併存続株式会社は、効力発生日に、吸収合併消滅会社の権利義務を承継する。」と規定している。このように、存続会社は、合併によって消滅会社の権利義務を承継するから、たとえ消滅会社の債務について、消滅会社の債権者の承諾が得られたとしても、存続会社は、消滅会社の債務を引き継がないとすることはできない。

以上により、正しいものは、ウ・エであり、正解は5になる。

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2009.08.17 Mon l 行政書士試験 平成18年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
お盆の時期の官報を見ていたら、やたら法律の施行時期が出ていて、お盆前にそういうことを切りよく仕上げたかったのが見え見えですね。
これだけ集中すると、官報を読む方は、やたら大変なんですけど!

その中でも、重要なのは、9月1日から「消費者庁及び消費者委員会設置法」が施行されることでしょう。
消費者庁の発足

確か、来年の7月位までに施行予定だったので、随分早まった気がしますね。
変なおじさんが、最後に実績を残して去りたかったので、施行を早めさせたのかなぁとうがった見方をしています。

消費者庁関連3法が今年の行政書士試験に出題される可能性は、まずありませんが、消費者関連の法律(たとえば、消費者契約法、特定商取引法等)が出題される可能性はありますので、ちょっとだけ注意しておいてください。
なお、来年の試験では、かなりの確率で出題されますのでご注意ください。

今年受かって、実務用に学習なさることを期待します!

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2009.08.17 Mon l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (0) l top
13日の夕方から15日のお昼まで、お盆休みとしました。

13日は、妻の一族が集まって夕食会を佐賀の「季楽」で開きました。
佐賀牛なら「季楽」でというくらい有名なお店で、銀座および福岡の中洲近くに支店があります。
季楽

鉄板焼き・せいろ蒸し・しゃぶしゃぶの各コースの好きなものを選んでよかったので、せいろ蒸しをいただきました。
鉄板焼き・しゃぶしゃぶも、少し分けてもらいましたが、いずれもおいしいですね。
ただ、三つの中では、やはりせいろ蒸しが好きですね。

14日は、盆行のため、朝から実家に行きました。
母が入院中であるため、庭一面、雑草(主にペンペン草)が生えています。
母が入院から帰ってきたときに備えて、草刈をしましたが、1日仕事でした。
終わった後の庭を眺めて、一人悦に入ってしまいました。
ただ、母の具合は、相当悪く、この後どうすべきか、兄弟して悩んでいます。

今日は、午前中母を見舞ってから福岡に戻ってきました。
福岡と佐賀を結ぶ道は、主に5本あるのですが、そのうちの3本は、二日市・大宰府を通るもので、今日は大渋滞です。
そこで、国道263号線または385号線になるのですが、今回の台風で385号線は通行止めで、263号線に回ったのですが、かなり渋滞してましたね。
やはり、今日が帰省の一つの山場のようですね。
明日も、同様に混むようなので、帰省される方は、注意して運転などをしてください。

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2009.08.15 Sat l 福岡便り l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成18年度 行政書士試験 問題38は、「株主総会」に関する正誤問題でした。

判例の知識を問うものですが、肢4及び肢5の判例を知っている方は少ないでしょうから、かなり難しい問題といえ、捨て問にした方がよいでしょう。

なお、肢1の判例の基本的な考え方は、平成17年の商法改正により条文化されたものもありますから、これに関する横断的問題が出題される可能性は高いと思います。
どういう手続であれば省略できるのかという点について、意識しながら学習するようにしてください。

では、平成18年度 行政書士試験 問題38の解答解説を載せておきます。






問題38 株主総会に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当でないものはどれか。

1 招集権者による株主総会の招集の手続を欠く場合であっても、株主全員がその開催に同意して出席したいわゆる全員出席総会において、株主総会の権限に属する事項について決議をしたときには、この決議は株主総会の決議として有効に成立する。

2 株主総会において議決権を行使する代理人を株主に限る旨の定款の規定は、株主総会が第三者により撹乱されることを防止して、会社の利益を保護する趣旨にでた合理的理由による相当程度の制限であって、有効である。

3 株主は、自己に対する株主総全の招集手続に瑕疵がなくとも、他の株主に対する招集手続に瑕疵がある場合には、株主総会の決議取消しの訴えを提起することができる。

4 株主総会の決議取消しの訴えを提起した場合においては、その提訴期間が経過した後であっても、新たな取消事由を追加して主張することができる。

5 株主総会の決議の内容自体に法令または定款違背の瑕疵がなく、単に決議の動機または目的において公序良俗に反する不法がある場合は、その株主総会の決議は無効とならない。







問題38 正解 4
1 妥当である
 判例 (最判昭和60年12月20日) は、「商法が、231条 (現在の会社法298条に相当する。) 以下の規定により、株主総会を招集するためには招集権者による招集の手続を経ることが必要であるとしている趣旨は、全株主に対し、会議体としての機関である株主総会の開催と会議の目的たる事項を知らせることによつて、これに対する出席の機会を与えるとともにその議事及び議決に参加するための準備の機会を与えることを目的とするものであるから、招集権者による株主総会の招集の手続を欠く場合であつても、株主全員がその開催に同意して出席したいわゆる全員出席総会において、株主総会の権限に属する事項につき決議をしたときには、右決議は有効に成立する」と判示した。

■ 株主総会の招集等については、各種の規制がなされている (会社法296条以下) が、このうち、株主の利益保護の観点からの規制であるものは、株主自身がその利益を放棄することができる。たとえば、本判決の全員出席総会、招集手続の省略 (会社法300条。たとえば、招集期間の短縮、招集通知の省略等)、株主総会の決議の省略 (会社法319条) 等である。

2 妥当である
 判例 (最判昭和43年11月1日) は、「所論は、議決権行使の代理人を株主にかぎる旨の定款の規定は、商法239条3項 (現在の会社法310条1項に相当する。) に違反して無効である旨主張する。しかし、同条項は、議決権を行使する代理人の資格を制限すべき合理的な理由がある場合に、定款の規定により、相当と認められる程度の制限を加えることまでも禁止したものとは解されず、右代理人は株主にかぎる旨の所論上告会社の定款の規定は、株主総会が、株主以外の第三者によつて攪乱されることを防止し、会社の利益を保護する趣旨にでたものと認められ、合理的な理由による相当程度の制限ということができるから、右商法239条3項に反することなく、有効であると解するのが相当である。」と判示した。

3 妥当である
 判例 (最判昭和42年9月28日) は、「株主は自己に対する株主総会招集手続に瑕疵がなくとも、他の株主に対する招集手続に瑕疵のある場合には、決議取消の訴を提起し得る」と判示した。

4 妥当でない
 判例 (最判昭和51年12月24日) は、「株主総会決議取消しの訴えを提起した後、商法248条1項 (現在の会社法831条1項に相当する。) 所定の期間経過後に新たな取消事由を追加主張することは許されないと解するのが相当である。けだし、取消しを求められた決議は、たとえ瑕疵があるとしても、取り消されるまでは一応有効のものとして取り扱われ、会社の業務は右決議を基礎に執行されるのであつて、その意味で、右規定は、瑕疵のある決議の効力を早期に明確にさせるためその取消しの訴えを提起することができる期間を決議の日から3カ月と制限するものであり、また、新たな取消事由の追加主張を時機に遅れない限り無制限に許すとすれば、会社は当該決議が取り消されるのか否かについて予測を立てることが困難となり、決議の執行が不安定になるといわざるを得ないのであつて、そのため、瑕疵のある決議の効力を早期に明確にさせるという右規定の趣旨は没却されてしまうことを考えると、右所定の期間は、決議の瑕疵の主張を制限したものと解すべきであるからである。」と判示した。

5 妥当である
 判例 (最判昭和35年1月12日) は、「株主総会の決議の内容自体には何ら法令又は定款違背の瑕疵がなく、単に決議をなす動機、目的に公序良俗違反の不法があるにとどまる場合は、議決権を無効たらしめるものではない。」と判示した。

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2009.08.13 Thu l 行政書士試験 平成18年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
昨日の福岡便りを書いています。

九州地方のお盆は、場所によっては7月中ですが(蚕を飼っている地域などが多いようです)、基本的には、8月13日から15日までです。

この時期に合わせて、親戚や友人が帰省してくるので、こちらも、それに合わせてお休みをいただくことにしています。

昨日は、北海道からの友人が訪ねてきてくれました。
奥様が福岡の方なので、ご実家を経由して、旧七山村の観音の滝、浜玉町にあるステーキハウス「蜂」(福岡市内のリバレインの中にも支店があります。)で昼食、鏡山、名護屋城址および加部島を巡って、虹ノ松原駅前で松原おこしを、浜玉町の「茂八」でけいらんを、さらに金武でぶどうを買い求めて帰途につきました。
ステーキハウス 蜂

先日来てくれた友人とまわった二日分の日程を一日でまわったので、結構疲れました。
ただ、収穫も多く、いろいろな裏道の探索ができました。特に、二丈浜玉有料道路を使わないで、唐津と福岡を往復する道が見つかったことが最大の収穫ですね。

行政書士試験の裏道は、「ない」と思いますが、試験に出る確率の高い部分を効率的に学習し、何度もそれを見ることによって記憶を定着させることが試験合格への一番の近道かと思います。

されど、「言うは易く、行なうは難し」ですね。

法令に関しては、過去問を中心に、それに関連する部分を重点的に学習し、一般知識等については、法律に基づく科目を中心に学習されることをお勧めします。

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2009.08.13 Thu l 福岡便り l コメント (2) トラックバック (0) l top
今日は、平成18年度 行政書士試験 問題37を書いた後、来週あたまに締切が迫っている作問の続きをしました。

個人情報保護分野では、個人情報保護法の第三者提供の制限についての問題が出題される可能性が高いことはお話しましたが、情報通信分野では、予想を立てにくい感じです。

新新試験となった平成18年度以降毎年2~3問程度が出題されています。
出題分野は、情報通信関連技術から1~2問、情報通信関連法律から1~2問が一般的です。
数年前から、情報通信白書等において取り上げられている「通信と放送の融合」が危ないと思っているのですが、まだ出題されませんね。
あと、試験委員の好みの問題なんでしょうけど、著作権関連も危ないですね。
法律については、基本となる3法(情報通信技術利用法、電子署名法、公的個人認証法)を押さえておくことは当然のこととして、各論的には、プロバイダ責任制限法、電子消費者契約法を押さえておくことをお勧めします。

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2009.08.11 Tue l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成18年度 行政書士試験 問題37は、「商行為」に関する個数問題でした。

条文問題ですが、手薄になりがちな部分であり、また、個数問題であることも手伝って、捨て問にしてもかまわない感じですね。特に、肢エは、商人間の留置権について、なぜこのような特殊の留置権が認められるのか(つまり商法521条の趣旨)を知らないと、難しいでしょうね。
肢ア~肢ウで決着をつけられるかが決定的ですね。

なお、市販の過去問の中には、無駄又は人を迷わす余事記載が多く見受けられます。解答を導く解説のみを読んで、そのほかは、無視するようにしましょう。

では、平成18年度 行政書士試験 問題37の解答解説を載せておきます。



問題37 商行為に関する次のア~オの記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。

ア 商人が平常取引をする者からその営業の部類に属する契約の申込みを受け、申込みとともに受け取った物品がある場合において、その申込みを拒絶するときは、相当の期間内にその物品を相手方の費用により返還しなければならない。

イ 数人がその一人または全員のために商行為である行為によって債務を負担した場合は、その債務は各自が連帯してこれを負担する。

ウ 商人がその営業の範囲内において他人のために行為をした場合は、報酬に関する契約がなくとも、相当の報酬を請求することができる。

エ 当事者の一方のために商行為となる行為によって生じた債権が弁済期にあるときは、債権者は、債権の弁済を受けるまで、債権者が占有する債務者所有の物または有価証券を留置することができる。

オ 商行為によって生じた債権を担保するために設定した質権については、質権者に弁済として質物の所有権を取得させることを契約で定めることができる。

1 ア・ウ
2 ア・エ
3 イ・エ
4 イ・オ
5 ウ・オ





問題37 正解 2
ア 誤り
 商法510条は、「商人がその営業の部類に属する契約の申込みを受けた場合において、その申込みとともに受け取った物品があるときは、その申込みを拒絶したときであっても、申込者の費用をもってその物品を保管しなければならない。ただし、その物品の価額がその費用を償うのに足りないとき、又は商人がその保管によって損害を受けるときは、この限りでない。」と規定している。このように、商人がその営業の部類に属する契約の申込みを受けた場合において、その申込みとともに受け取った物品があるときは、その申込みを拒絶したときであっても、原則として、申込者の費用をもってその物品を保管しなければならない。

イ 正しい
 商法511条1項は、「数人の者がその1人又は全員のために商行為となる行為によって債務を負担したときは、その債務は、各自が連帯して負担する。」と規定している。

ウ 正しい
 商法512条は、「商人がその営業の範囲内において他人のために行為をしたときは、相当な報酬を請求することができる。」と規定している。

エ 誤り
 商法521条本文は、「商人間においてその双方のために商行為となる行為によって生じた債権が弁済期にあるときは、債権者は、その債権の弁済を受けるまで、その債務者との間における商行為によって自己の占有に属した債務者の所有する物又は有価証券を留置することができる。」と規定している。このように、商人間の留置権が成立するためには、被担保債権については、①取引の当事者双方が商人であること、②取引の当事者双方のために商行為となる行為によって生じた債権であること、③債権が弁済期にあることが、留置の目的物については、④債務者の所有する物又は有価証券であることが必要である。
 したがって、当事者の一方のために商行為となる行為によって生じた債権については、①及び②の要件をみたすことができないため、債権者が占有する債務者所有の物又は有価証券を留置することはできない。

オ 正しい
 民法349条は、「質権設定者は、設定行為又は債務の弁済期前の契約において、質権者に弁済として質物の所有権を取得させ、その他法律に定める方法によらないで質物を処分させることを約することができない。」と規定し、商法515条は、「民法第349条の規定は、商行為によって生じた債権を担保するために設定した質権については、適用しない。」と規定している。このように、質権設定者は、商行為によって生じた債権を担保するために設定した質権について、設定行為又は債務の弁済期前の契約において、質権者に弁済として質物の所有権を取得させ、その他法律に定める方法によらないで質物を処分させることを約することができる。

以上により、誤っているものは、ア・エであり、正解は2になる。

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2009.08.11 Tue l 行政書士試験 平成18年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top