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交通事故の示談の件で、事務所に相談者の方がいらっしゃいました。

まず初めに、事件の概要をうかがった後、事件処理にまつわる各種の情報をレクチャーし、最後に示談に必要な書類や示談のための相手方との接触における注意点等をお話しました。

やはりというべきか、相手方との示談の分だけの金銭的負担に限られ、それ以上の金銭的負担はないと思われていたようです。、
労災の給付による求償についてお話をしたら、本当にビックリとなさっていらっしゃいました(事案によるのでしょうが、平均で80万円程の求償がされているようです)。

「労災の給付による求償は、制度がそうなってますから、こちらとしては、適正な給付がなされる限り、どうしようもないですね。ただ、事件の内容、被求償者の経済事情等を考慮することもあるので……。」というようなお話をしたところ、最終的には納得されていました。

1時間半程お話をしましたが、示談書を作成することを依頼され、事件を受任することができました。

以下、今回の件で、工夫したり、思ったり、考えたり、分かったことを箇条書きします。
①事件1件につき、1冊のノートブック(A5判40頁)を使って事件を記録し、一件書類としてまとめよう。

②依頼者とのお話のなかで、書類作成のために必要とされる事項を思いつきで聞いても、どうしても漏れが出てくるので、上記ノートに、必要とされる事項を予め記載しておき、それを埋める形で依頼者のお話を聞くべきだ。

③依頼者の方とお話をするにあたって、かなりの下調べをしておかないと、相手方の満足のいくお話をすることができない。したがって、依頼者からきちんとしたお話をうかがう前に電話等で概要なりをうかがい、下調べをきちんとしておく。 

④Webページ等で下調べをするだけでなく、やはり実務的な裏話まで仕入れておいたほうが良い(「ちゃんと仕事をしているな」とか、「かなり経験をつんでいるな」みたいな好印象を与えるような気がする)。したがって、必ず、当該事項の関係官公署にお話をうかがいに行くべき(そういう意味で、事務所は、やはり官公署の近くがよい!)。

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2009.05.30 Sat l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (0) l top
示談の件で、労働基準監督署へ行ってきました。

第三者行為災害に関する手続等についてうかがい、Webサイトでは分からなかったことや、新たに教えられたことがあり、実りの多い訪問になりました。

うかがったことで、ここに載せておいてもよいものについて箇条書きしておきます。

①示談をする場合は、災害者(「第一行為者」と呼ぶようです。)が以後の保険給付を受けられなくならないように、政府の求償権を侵害しないような形にするように注意すること。

②第三者行為災害による給付に当たっては、災害者だけでなく、相手方当事者(「第二行為者」と呼ぶようです。)にも、書類が送付され、事故状況等の聞き取りをし、この双方の書類を下に、警察署等に問い合わせて、両者の過失割合を独自に判定し、求償を行う。このため、当事者が合意した過失割合とは、別個の過失割合になることがある(当然といえば当然か!)。

③求償については、相手方当事者の経済状況等にかんがみて、非求償となることもある。なお、具体的にどういう場合に、そのように判断されるかは、労働基準監督署の上部組織である労働局で判断するため、ここでは分からない。

政府の求償が最も気になる事柄であったのですが、これなら、政府の求償権を侵害しない形で示談書を作成すれば、問題はなさそうです。
ただし、示談内容如何では、話がまとまりそうにないため、どの時期に、どのような内容の示談をするかという点が、今後の問題点となりそうです。

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2009.05.28 Thu l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (0) l top
示談に関するご相談を受け、自転車事故でも何らかの保険の適用を受けないかと思って調べてみた。

そうしたら、自転車保険に加入している場合はもちろんのこと、交通事故傷害保険、個人賠償責任保険,TSマーク、クレジットカードに附帯する保険等の各種の保険によりカバーすることができることがわかった。

このうち、個人賠償責任保険は、日常生活で起こりうるさまざまな事故をカバーしてくれ、しかも保険料がかなり安いのでお勧めである。
ただ、示談代行サービスが附帯されていないようなので、一般の方には、その辺りが難点となるのであろう。

任意保険には、「あれ!」と驚くくらい保険でカバーされる場合がある。

自分自身の体験で恐縮だが、数年前に、ゴルフのボールをぶつけられたことがある。相手方がゴルフ保険に入っていたので、保険会社から医療費の給付を受けた。
基本的に損害は、医療費だけだったので、これで終わったと思っていたが、6か月位して、ゴルフ場が保険をかけている保険会社から電話があり、特約部分の給付が受けられるという申出だった(この時期、損保の未払いが発覚して、自社で調査しているときに未払いが見つかったのであろう)。
このように、特約部分も注意が必要であると思う。

皆さんにも、事故等を起こされたときは、自分の加入している保険でカバーできないかを一応確かめることをお勧めしたい。

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2009.05.28 Thu l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (0) l top
昨日の事務所日記を書いている。

昨日も、風邪のため、体調が悪く、第2部は、自宅でのネット検索に費やした。

標記の件で、昨日事故当事者のお父様からお話を聞くことができたが、細部については、ご存知でなかった。後遺障害を含めての示談を要望されており、その文言を付け加えればよいので、それほど難しくないなぁと感じたが、実際は、それほど甘くないようだ。

というのも、相手方が有する損害賠償請求権を、政府が保険給付の支給と引換えに代位取得しているからである。どうやら、労働基準監督署を含めた形での話し合いが必要のようである。

ただ、療養給付や休業給付を受けない部分(たとえば、慰謝料)については、和解が可能なのであろうが……。

なお、政府が求償してくることはないというWebサイトを見たが、本当のところどうなっているのだろうか?

政府が求償してくることはないことを前提に、依頼者が過失割合を多く被ったということがないように、過失割合を含めてもう一度きちんとお話を伺う必要がありそうである。

また、今日か、明日にも、労働基準監督署に出向いて、そのあたりを確認しておく必要がありそうである。

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2009.05.27 Wed l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (0) l top
昨日の事務所日記を書いている。

昨日は、娘からうつされた風邪で思うように仕事ができず、第2部は、中止にした。
今日も、いまいち体調が悪いが、標記の件で、質問がありそうなので、急ぎつつ仕事をしている。

標記の件は、妻の知人の息子さんが自転車同士の事故で双方怪我を負った事案での話であるが、双方同程度の過失ということで、息子さんの会社の方がなかに入って、和解が成立したらしい(まだ、妻の話しか聞いていないので……)。

ただ、最近になって、相手方から休業補償給付の残りの分を持って欲しい旨の申出があったようで、いつまでも、ダラダラ続くのは困るので、どうしたらよいかというような話であるらしい。

この手の話は、いつも聞くことだが、生半可な法律知識を持つ者が、中途半端な解決をしていて、その後、大きな問題が生じるというパターンである。
事故当時にきちんとした法的処理をしておけば、こんな話がいつまでもダラダラと問題となり、悩ましい時間を過ごさねばならないということはなくなるのにと痛切に思うのである。

ただ、示談書の作成に当たって、相手方の主張する通勤労災関係の事柄をいろいろ調べたが、給付関係が複雑で、素人には、理解できないであろうと思われる。

もうちょっと、窓口を一本化して、適用関係を簡便にすべきように思える。

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2009.05.26 Tue l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成19年度 行政書士試験 問題42は、「行政立法」に関する空欄補充問題でした。

行政立法については、法規命令と行政規則の違いは必ず押さえておくべき事柄ですが、行政規則に関して、ここまで細かい事項が問われることは、正直予想していませんでした。
ただ、与えられた用語のうち、設問文章との関連で限定することができるものが多かったため、得点することができた方が多かったのではなかったかと感じました。

では、平成19年度 行政書士試験 問題42の解答解説を載せておきます。



問題42 行政立法に関する次の文章の空欄 〔 ア 〕~〔 エ 〕 に当てはまる語句を、枠内の選択肢 (1~20) から選びなさい。

 行政立法は、学説上、法規命令と 〔 ア 〕 の二つに分類される。〔 ア 〕 にはさまざまな内容のものがある。例えば、地方公務員に対する懲戒処分について、「正当な理由なく10日以内の間勤務を欠いた職員は、減給又は戒告とする。」といった形の基準が定められることがあるが、これもその一例である。
 このような基準は、処分を行う際の 〔 イ 〕 としての性格を有するものであるが、それ自体は 〔 ウ 〕 としての性格を有するものではなく、仮に7日間無断欠勤した公務員に対して上掲の基準より重い内容の懲戒処分が行われたとしても、当該処分が直ちに違法とされるわけではない。しかし、もし特定の事例についてこの基準より重い処分が行われたとき、場合によっては、〔 エ 〕 などに違反するものとして違法とされる余地がある。

1 執行命令 2 罪刑法定主義 3 条例 4 権利濫用 5 裁判規範
6 公定力 7 自力執行力 8 平等原則 9 指導要綱 10 行政規則
11 組織規範 12 適正手統 13 所掌事務 14 営造物規則
15 委任命令 16 特別権力関係 17 裁量基準 18 告示 19 施行規則
20 法令遵守義務






問題42 正解 ア 10 行政規則
       イ 17 裁量基準
       ウ 5 裁判規範
       エ 8 平等原則
ア 10 行政規則
 行政立法とは、行政機関によって定立される一般的抽象的な定めをいう。 
 このうち、当該定めが外部的効果を有するもの、すなわち、行政主体と相手方たる私人との関係を規律するものを法規命令と呼び、当該定めが外部的効果を有しないもの、すなわち、行政機関の相互の関係を規律する等の内部的効果を有するにすぎず、私人に対する直接的な効果を有しないものを 〔ア=10 行政規則〕 と呼んでいる。

イ 17 裁量基準
 法治主義を徹底すれば、行政庁がいかなる場合にいかなる処分をすべきかの判断は、法律により定められ、行政庁は、当該法律を機械的に執行する義務を負うにすぎないことになる。
 しかし、これを貫いた場合、合理的かつ適時の処分を実現することができない虞がある。
 そこで、行政庁がいかなる場合にいかなる処分をすべきかの判断を行政庁自身に委ねる場合がある。
 ただし、その裁量を行政庁のまったく自由な判断に任せたのでは、恣意的な裁量判断がなされる危険があるため、予め裁量の基準を設定することがある。これを、〔イ=17 裁量基準〕 と呼んでいる。

ウ 5 裁判規範
 〔ア=10 行政規則〕 は、国民の権利・義務に直接的な効果を及ぼすものでないため、〔ウ=5 裁判規範〕 性を有しないと解されている。

エ 8 平等原則
 行政庁がその裁量に任された事項について裁量権行使の準則を定めた場合において、その準則に違反する処分がなされたときの処分の効力について、判例 (最大判昭和53年10月4日‐マクリーン事件判決)は、「行政庁がその裁量に任された事項について裁量権行使の準則を定めることがあつても、このような準則は、本来、行政庁の処分の妥当性を確保するためのものなのであるから、処分が右準則に違背して行われたとしても、原則として当不当の問題を生ずるにとどまり、当然に違法となるものではない。」としている。
 ただし、このような 〔イ=17 裁量基準〕 に違背した処分が法の認める裁量権の範囲をこえ又はその濫用があったと認められるときは違法となることは、前記判例が認めているし、また、裁量基準を示しておきながら、正当な理由もなく特定の者だけに当該基準を適用しない場合や特定の事例について当該基準より重い処分が行われた場合は、〔エ=8 平等原則〕 (憲法14条等) に違反するものとして違法とされる余地がある。

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2009.05.25 Mon l 行政書士試験 平成19年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
昨日は、妻の実家に農業実習に行ってきました。

娘の具合が悪かったため、こちらを11時に出発して、1時間程で着きましたが、既に玉ねぎとニンニクを引く仕事やジャガイモを掘る仕事は、ほとんど終了しており、着いて早々に、トラクター運転となりました。

トラクターの運転は、これで5度目くらいになると思うのですが、最初の頃のおっかなびっくり時代が懐かしいほどに上達して(あくまでも私的な評価です)、思い通りに動かすことができて非常に楽しかったですね。

その後、ギリパパから「そがんことせんでんよか!(=そういうことは、しなくてもよい!)」とおらばれる(=言われる)中、既にジャガイモが掘られたところをスコップで掘り返したのですが、結構大きなジャガイモが残っていて、肉ジャガ2回分程の量が取れました。農家の方々は、あまりその当たりは、どうでも良いらしいのですが、都会に住んだ経験があると、このどうでもよいことが、重要だったりします。これで、自分で掘った美味しい肉ジャガにありつけそうです。

昼食をはさんで、梅もちぎって(=取って)きました。直径3~4cm位の大きな梅で、少しピンクがかってきていて、梅酒作りにはもってこいです。200~300個位になったでしょうか。これで、6リットル程の梅酒が作れます。2ヶ月ほどで飲めますので、8月以降のお客様には、お出しすることができますね。

昨日の収穫は、玉ねぎ、じゃがいも、ニンニク、イチゴ(近くの農家からギリママと甥っ子ちゃんたちが500個程摘んできていたので、200個程もらってきました)、梅でした。
わが家では、野菜は、ほとんど妻の実家からの頂き物で(米も然り)、飢えることだけはなさそうです。

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2009.05.25 Mon l 福岡便り l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成19年度 行政書士試験 問題41は、「議員定数の不均衡」に関する最高裁判所の判例の空欄補充問題でした。

もっとも著名な判例の一つであり、当然その内容は、押さえておくべきものでした。なので、得点すべき問題でした。

なお、市販の過去問には、解説を書いていないものがいくつかあり、金を返せといいたくなりますね
(まぁ、本判決だったら許されるか!?)。

では、平成19年度 行政書士試験 問題41の解答解説を載せておきます。



問題41 次の文章は、ある最高裁判所判決の一節である。空欄 〔ア 〕~〔 エ 〕に当てはまる語句を、枠内の選択肢 (1~20) から選びなさい。

 「公職選挙法の制定又はその改正により具体的に決定された選挙区割と議員定数の配分の下における選挙人の投票の有する 〔 ア 〕 に不平等が存し、あるいはその後の〔 イ 〕 の異動により右のような不平等が生じ、それが国会において通常考慮し得る諸般の要素をしんしやくしてもなお、一般に 〔 ウ 〕 性を有するものとは考えられない程度に達しているときは、右のような不平等は、もはや国会の 〔 ウ 〕 的裁量の限界を超えているものと推定され、これを正当化すべき特別の理由が示されない限り、憲法違反と判断されざるを得ないものというべきである。
 もつとも、制定又は改正の当時合憲であつた議員定数配分規定の下における選挙区間の議員一人当たりの選挙人数又は 〔 イ 〕 (この両者はおおむね比例するものとみて妨げない。) の較差がその後の 〔 イ 〕 の異動によつて拡大し、憲法の選挙権の平等の要求に反する程度に至つた場合には、そのことによつて直ちに当該議員定数配分規定が憲法に違反するとすべきものではなく、憲法上要求される 〔 ウ 〕 的 〔 エ 〕 内の是正が行われないとき初めて右規定が憲法に違反するものというべきである。」
(最大判昭和60年7月17日民集39巻5号1100頁以下)

1 羈束 2 数量 3 地域 4 人事 5 権力
6 価値 7 人工 8 結果 9 票決 10 厳格
11 期間 12 効果 13 機関 14 囲繞 15 合理
16 関連 17 人口 18 明確 19 要件 20 秩序






問題41 正解 ア 6 価値
         イ 17 人口
         ウ 15 合理
         エ 11 期間
ア 6 価値
 衆議院議員又は参議院議員の議員定数の不均衡について、最高裁判所は、当初、「議員定数、選挙区および各選挙区に対する議員数の配分の決定に関し立法府である国会が裁量的権限を有する以上、選挙区の議員数について、選挙人の選挙権の享有に極端な不平等を生じさせるような場合は格別、各選挙区に如何なる割合で議員数を配分するかは、立法府である国会の権限に属する立法政策の問題であつて、議員数の配分が選挙人の人口に比例していないという一事だけで、憲法14条1項に反し無効であると断ずることはできない。」とし (最大判昭和39年2月5日)、選挙権の平等について一定の配慮は示したものの、選挙権の平等に選挙権の内容の平等、換言すれば、各選挙人の投票の〔ア=6 価値〕、すなわち各投票が選挙の結果に及ぼす影響力においても平等であることを含むかいなかについて明らかにしなかったが、本設問判決は、これを真正面から認めた。
■ なお、「選挙権の平等」に、男女の別、納税額の多寡等の選挙人資格に対する制限の撤廃が含まれることは、本設問の判決以前から当然のこととされていた。

イ 17 人口
 当該議員定数の不均衡の問題は、各選挙区における議員数の配分が、選挙人数又は〔イ=17 人口〕に比例していないという問題である。

ウ 15 合理
 裁量権の〔ウ=15 合理〕的な行使である限り、その濫用・逸脱はなく、裁量権の行使が違法・違憲となることはない。
 逆に、〔ウ=15 合理〕的裁量の限界を超えるときは、その濫用・逸脱が認められ、裁量権の行使は違法・違憲となる。

エ 11 期間
 本設問判決は、公職選挙法の議員定数配分規定が憲法の保障する選挙権の平等を侵害したとしても、これにより直ちに憲法違反となるのではなく、憲法上要求される〔ウ=15 合理〕的〔エ=11 期間〕内の是正が行われないとき初めて当該規定は憲法違反となるとした。
 この考え方は、合理的期間論と呼ばれており、この理論的根拠について、本設問判例は、「人口の異動は不断に生じ、したがつて選挙区における人口数と議員定数との比率も絶えず変動するのに対し、選挙区割と議員定数の配分を頻繁に変更することは、必ずしも実際的ではなく、また、相当でもないことを考えると、右事情によつて具体的な比率の偏差が選挙権の平等の要求に反する程度となつたとしても、これによつて直ちに当該議員定数配分規定を憲法違反とすべきものではなく、人口の変動の状態をも考慮して合理的期間内における是正が憲法上要求されていると考えられるのにそれが行われない場合に始めて憲法違反と断ぜられるべきものと解するのが、相当である。」としている。

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2009.05.23 Sat l 行政書士試験 平成19年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
事務所をなるべく落ち着ける場所にしたいと思って、いろいろ試してみたが、やはり観葉植物やお花がこの要求に一番合うように感じる。

テレビで手入れの行き届いたガーデンを見るたびに、「こんな所で仕事ができればなぁ」などと思ったものだが、クリエーティブな仕事ならいざ知らず、私の仕事のようにドンくさい仕事は、そのようなところでは、ほとんどはかどらないであろう。時間に追われて、頭脳をギューギュー絞らないとね。

それでも、お客様がいらっしゃった際に、殺風景な所では申し訳ないなぁと思い、極力お花を飾っておくようにはしているが、夏場は、お花の日持ちが悪く、なかなか、そうは言っていられない。

今週は、妻が葬式に出席した折に、たくさんのお花をもらってきてくれたので、事務所も、その御裾分けに預かったが、やはり、カーネーション等は、色あせてきて、捨てざるを得ない。

蘭やシダ類は、とても日持ちがよく、来週まで持ちそうであるが、如何せん、花瓶が合わない。
一定の量がないと、花瓶の中に落ち込んでしまうのである。

ただ、これ以上、小さな口の花瓶となると、一輪挿しの花瓶しかなく、それはそれで、事務所には似合わないような気がする。

明日、妻の実家で農業研修なので、野原に咲いている花でも摘んでこよう!

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2009.05.23 Sat l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成19年度 行政書士試験 問題40は、「場屋営業等」に関する正誤問題でした。

本問は、規範定立部分を問う単純な問題ですが、場屋営業について学習された方は、ほとんどいないでしょうから、その意味では面食らった方も多かったことでしょう。

問題自体は、常識的に考えれば、分かるものなので、得点すべきでした。
■ なお、客の携帯品につき責任を負わない旨の告示を、よく見ますが、免責特約として効力は認められないものの、携帯品の保管に関する注意を促すという意味で、損害賠償額の算定に当たって過失相殺が認められる場合があるようです。

では、平成19年度 行政書士試験 問題40の解答解説を載せておきます。



問題40 場屋営業等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 商人がその営業の範囲内において物品の寄託を受けた場合には、報酬を受けないときであっても、善良な管理者の注意をもってその物品を保管する義務を負う。

2 場屋の主人は、客より寄託を受けた物品が滅失または毀損した場合には、それが不可抗力によることを証明しない限り、損害賠償の責任を免れることができない。

3 場屋の主人は、客から高価品の寄託を受けた場合には、客がその種類および価額を明告して寄託したときでなければ、その物品の滅失または毀損によって生じた損害を賠償する責任を負わない。

4 客が物品を特に寄託することなく場屋中に携帯した場合において、場屋の主人または使用人の不注意によってその物品が滅失または毀損したときは、場屋の主人は、損害賠償の責任を負う。

5 客が携帯する物品について責任を負わない旨を告示した場合には、場屋の主人は、損害賠償の責任を負うことはない。





問題40 正解 5
1 正しい
 商法593条は、「商人カ其営業ノ範囲内ニ於テ寄託ヲ受ケタルトキハ報酬ヲ受ケサルトキト雖モ善良ナル管理者ノ注意ヲ為スコトヲ要ス」と規定している。

2 正しい
 商法594条1項は、「旅店、飲食店、浴場其他客ノ来集ヲ目的トスル場屋ノ主人ハ客ヨリ寄託ヲ受ケタル物品ノ滅失又ハ毀損ニ付キ其不可抗力ニ因リタルコトヲ証明スルニ非サレハ損害賠償ノ責ヲ免ルルコトヲ得ス」と規定している。

3 正しい
 商法595条は、「貨幣、有価証券其他ノ高価品ニ付テハ客カ其種類及ヒ価額ヲ明告シテ之ヲ前条ノ場屋ノ主人ニ寄託シタルニ非サレハ其場屋ノ主人ハ其物品ノ滅失又ハ毀損ニ因リテ生シタル損害ヲ賠償スル責ニ任セス」と規定している。

4 正しい
 商法594条2項は、「客カ特ニ寄託セサル物品ト雖モ場屋中ニ携帯シタル物品カ場屋ノ主人又ハ其使用人ノ不注意ニ因リテ滅失又ハ毀損シタルトキハ場屋ノ主人ハ損害賠償ノ責ニ任ス」と規定している。

5 誤り
 商法594条3項は、「客ノ携帯品ニ付キ責任ヲ負ハサル旨ヲ告示シタルトキト雖モ場屋ノ主人ハ前二項ノ責任ヲ免ルルコトヲ得ス」と規定している。
 したがって、客が携帯する物品について責任を負わない旨を告示した場合であっても、場屋の主人は、損害賠償の責任を負わなければならない。

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2009.05.22 Fri l 行政書士試験 平成19年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
自宅に福岡税務署から封筒が届けられていました。

税金の督促かと思いつつ、特別送達郵便でもないので、何だろうといぶかしく思いつつ封を切ると、「無料の記帳指導等のご案内」と題される封書が入っていました。
標題にわざわざ「無料」と入っているあたりは、上手い導入だなぁと思いました。
これだったら、一応目を通そうと思いますからね!

内容は、
Aコース 税理士による個別記帳指導 計4回(1回1時間30分程度)
Bコース 外部委託業者による説明会方式の記帳指導 計5回(1回2時間程度)
Cコース 外部委託業者による会計ソフトを利用した記帳指導 計5回(1回2時間程度)
Dコース 福岡商工会議所等との共催による記帳開始説明会 1回のみ(2時間程度)

A~Cのいずれか1コースと、DコースはA~Cコースと併合受講可という内容です。

当事務所では、会計ソフトを利用した記帳を行っているので、Cコース+Dコースを選択しました。
(「税理士」さんと「外部委託業者」さんとの間に格段の能力の差があるのであれば、Aコースがいいなぁとも思いつつ……)

面白かったのは、「この文書による行政指導の責任者は、福岡税務署長です。」との一文が入っていたことです。
行政指導といえば、すぐ思い出されるのは、武蔵野市開発負担金事件で問題となったような規制的行政指導ですが、この手の助成的行政指導は、本当にありがたい気がしますね。

税務署としても、これにより記帳に関する質問回答の手間が省けるため、利益がありますね。

このような、WIN・WINの関係になる行政のあり方って、注目すべき分野かもしれませんね!

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2009.05.22 Fri l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成19年度 行政書士試験 問題39は、「会社と取締役の利益相反取引」に関する正誤問題でした。

問題自体は、規範定立部分を問うものであり、しかも、正解肢において問われている知識は、基礎知識のレベルであり、得点すべき問題でした。

なお、選択肢5に関する市販の過去問の解説ですが、初学者には、何を言っているのか分からないのではないかと思われるものが多数ありました。
過去問は、行政書士受験生であれば、誰でも見るものですから、初学者の方でも分かるように書いて欲しいですね。

では、平成19年度 行政書士試験 問題39の解答解説を載せておきます。



問題39 取締役会設置会社の代表取締役Aが、取締役会の承認を得て、会社から金銭の貸付を受けた場合に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 取締役会の承認を得て金銭の貸付を受けた場合であっても、Aは、事後にその貸付に関する重要な事実を取締役会に報告しなければならない。

2 Aが自ら会社を代表してA自身を借主とする契約を締結することは、自己契約に当たるため、他の取締役が会社を代表しなければならない。

3 Aが金銭の返済を怠った場合には、取締役会で金銭の貸付を承認した他の取締役は、Aと連帯して会社に対する弁済責任を負う。

4 Aへの金銭貸付に関する承認決議に参加した他の取締役は、取締役会の議事録に当該貸付について異議をとどめなければ、決議に賛成したものと推定される。

5 金銭の貸付を受けたAの損害賠償責任は、株主総会の特別決議によっても一部免除することができない。




問題39 正解 2
 取締役は、取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとする場合には、取締役会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない (会社法356条1項2号、365条1項)。
 そして、当該承認を受けた場合でも、当該取引により会社に損害が生じたときは、その取引に関し任務懈怠のある取締役は、会社に対する損害賠償責任を負う (同法423条1項3項)。
 なお、利益相反取引のうち直接取引の相手方である取締役 (本問のA)は、当該賠償責任について、任務懈怠が当該取締役の責めに帰することができない事由によるものであることをもって免れることができない (同法428条1項)。
 以下、これを前提に解説を行う。

1 正しい
 会社法365条2項は、「取締役会設置会社においては、第356条第1項各号の取引をした取締役は、当該取引後、遅滞なく、当該取引についての重要な事実を取締役会に報告しなければならない。」と規定している。

2 誤り
 会社法356条2項は、「民法第108条の規定は、前項の承認を受けた同項第2号の取引については、適用しない。」と規定している。
 したがって、Aが自ら会社を代表してA自身を借主とする契約を締結することは、自己契約に当たらないため、他の取締役が会社を代表することを要しない。

3 正しい
 会社法423条1項は、「取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人 (以下この節において「役員等」という。) は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」と規定している。したがって、会社から金銭の貸付を受けたAが金銭の返済を怠った場合には、損害賠償責任を負う。
 また、同法423条3項3号は、同法356条1項2号の取引によって株式会社に損害が生じたときは、当該取引に関する取締役会の承認の決議に賛成した取締役は、その任務を怠ったものと推定すると規定し、同法430条は、「役員等が株式会社又は第三者に生じた損害を賠償する責任を負う場合において、他の役員等も当該損害を賠償する責任を負うときは、これらの者は、連帯債務者とする。」と規定している。したがって、Aが会社に対する損害賠償責任を負うときは、取締役会で金銭の貸付を承認した他の取締役は、Aと連帯して会社に対する弁済責任を負う。

4 正しい
 会社法369条5項は、「取締役会の決議に参加した取締役であって第3項の議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定する。」と規定している。

5 正しい
 取締役の会社に対する責任は、取締役が職務を行うにつき善意・無重過失であったときは、賠償額の一部を株主総会の決議によって免除することができる (会社法425条)。
 この責任の一部免除の規定は、利益相反取引のうち直接取引の相手方である取締役については、適用されない (同法428条2項)。すなわち、利益相反取引のうち直接取引の相手方である取締役が負う会社に対する任務懈怠の責任 (同法423条1項) は、当該取締役が職務を行うにつき善意・無重過失であったときでも、賠償額の一部を株主総会の決議によって免除することはできない。
 したがって、金銭の貸付を受けたAの損害賠償責任は、株主総会の特別決議によっても一部免除することができない。
■ なお、利益相反取引のうち直接取引の相手方である取締役が負う会社に対する任務懈怠の責任は、総株主の同意があれば、これを免除することができる (会社法424条)。

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2009.05.21 Thu l 行政書士試験 平成19年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
Webサイトを見ていたら、次の記事にあたった。
「真島のわかる社労士 おわび文

100箇所以上の正誤表がつく参考書を見ることは稀であり、このレベルになると、どういう校正を行っていたのか非常に興味を覚える。自己の経験から、いくつか考えてみた。
① 執筆者自身の思い違い、単純な打ち間違い
② 前年度のものの未校正
② 執筆者は正しく記述したが、執筆した手書き原稿を打ち直した編集者または制作者が誤った。
③ 機械のトラブル

法改正部分のミスが目立つことや「解雇」を「雇用」としていることなどを考えると、①および②が重なったことによるものであると思われる。

このミスは、第三者による校正により、ほとんど防ぐことができるが、それをやっていなかったのであろう。

確かに、校正する第三者の能力は、執筆者と同等またはそれ以上でなければならないので人材を得にくい場合があるが、それは内容校正であって、この本の誤植のレベルは、文字校正レベルであり、その程度の能力が要らないことを考えると、同情の余地はないであろう。

受験生への言い訳が、「校正の時間がなかった」では済まされない問題である。

来年は、猛反省をして、日本一すばらしい参考書にして欲しい!

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2009.05.21 Thu l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成19年度 行政書士試験 問題38は、「株式会社の機関等」に関する正誤問題でした。

本問は、規範定立部分を問うものであり、しかも正解肢は基本知識レベルであり、得点すべき問題でした。
なお、市販の過去問では、選択肢3の「業務を執行し代表権を有する執行役」について、会社法402条2項と同法420条1項前段のいずれか一方を挙げているものが多数ありました(問題文の表現自体が稚拙なのか、受験生を惑わすようにしたのか分かりませんが、解説もそれに伴ってまちまちです)。
また、選択肢4の「役員」という部分に配慮していない解説が大多数で、ちょっと驚きました。

では、平成19年度 行政書士試験 問題38の解答解説を載せておきます。


問題38 株式会社の機関等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 株主総会の招集手続および決議方法を調査するため、総会検査役が選任されることがある。

2 取締役が6名以上で、1名以上の社外取締役がいる会社は、特別取締役を取締役会決議で選定することができる。

3 委員会設置会社の業務を執行し代表権を有する執行役は、指名委員会が指名する候補者の中から株主総会で選任される。

4 会計参与は、会計監査人とは異なる会社役員であり、取締役と共同して計算書類等を作成する。

5 取締役会または監査役を設置していない株式会社も設立することができる。





問題38 正解 3
1 正しい
 会社法306条1項は、「株式会社又は総株主 (株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。) の議決権の100分の1 (これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合) 以上の議決権を有する株主は、株主総会に係る招集の手続及び決議の方法を調査させるため、当該株主総会に先立ち、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをすることができる。」と規定している。

2 正しい
 会社法373条1項は、第369条第1項の規定にかかわらず、取締役会設置会社 (委員会設置会社を除く。) が、①取締役の数が6人以上であること、②取締役のうち1人以上が社外取締役であることのいずれにも該当する場合には、取締役会は、第362条第4項第1号及び第2号に掲げる事項についての取締役会の決議については、あらかじめ選定した3人以上の取締役 (以下この章において「特別取締役」という。) のうち、議決に加わることができるものの過半数 (これを上回る割合を取締役会で定めた場合にあっては、その割合以上) が出席し、その過半数 (これを上回る割合を取締役会で定めた場合にあっては、その割合以上) をもって行うことができる旨を定めることができると規定している。

3 誤り
 会社法402条2項は、「執行役は、取締役会の決議によって選任する。」と規定し、同法420条1項前段は、「取締役会は、執行役の中から代表執行役を選定しなければならない。」と規定している。
 したがって、委員会設置会社の業務を執行し代表権を有する執行役は、取締役会の決議によって選任される。
■ なお、同法404条1項は、「指名委員会は、株主総会に提出する取締役 (会計参与設置会社にあっては、取締役及び会計参与) の選任及び解任に関する議案の内容を決定する。」と規定している。

4 正しい
 会社法329条1項は、取締役、会計参与及び監査役を「役員」と呼んでいる。
また、同法374条1項前段は「会計参与は、取締役と共同して、計算書類 (第435条第2項に規定する計算書類をいう。以下この章において同じ。) 及びその附属明細書、臨時計算書類 (第441条第1項に規定する臨時計算書類をいう。以下この章において同じ。) 並びに連結計算書類 (第444条第1項に規定する連結計算書類をいう。第396条第1項において同じ。) を作成する。」と規定している。

5 正しい
会社法は、株主総会以外の機関の設置について、同法326条1項は、「株式会社には、1人又は2人以上の取締役を置かなければならない。」と規定し、同条2項は、「株式会社は、定款の定めによって、取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人又は委員会を置くことができる。」と規定している。
 このように、株式会社においては、株主総会及び取締役の設置は義務づけられているが、他の機関の設置は任意である。

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2009.05.20 Wed l 行政書士試験 平成19年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
今日も、平成19年度 行政書士試験 問題37の解答解説を書いた後は、講演会用の原稿の校正を行った。

図表を4つ程作成して、どうにかこうにか、レジュメの形が整ってきた感じがする。

問題は、その内容で、昨日書いたように、税金関係の執筆部分がいまいちしっくりこないので、非常にストレスがたまっていて、あまり進まない。
多くのウェブサイトを見るが、一長一短がある。満足できない点をいくつかあげると、
① 用語の使い方がまちまち
② なぜ、そのような制度になっているのかが書かれていない。
③ (自分の能力不足が大いに起因しているが)素人には分かりにくい
等である。
これらの欠点を解決してくれるものがあれば、5,000円の本でも買おうと思っていたが、思わぬところから手に入った。
税務大学校が出している講義本である。
早速ダウンロードし、プリントアウトして読んでいるが、先ほどまでの悩みがすべて氷解していく。
すばらしい本である!

というわけで、90頁程の本であるが、1時間ほどで20頁ほど読んだ。
ただ、さすがに今日は、妻の出勤の関係で1時間ほど早く起きたため、頭がついていかない。
なので、この続きは、明日にまわすことにした。

とても幸せな気分で終われた日であった!!

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2009.05.19 Tue l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成19年度 行政書士試験 問題37は、「株式買取請求権」に関する組合せ問題でした。

本問は、規範定立部分を問う問題ですが、細かな知識を問うものもあり、難易度は高いと思いました(肢ウと肢エが正しいと分かっても、肢アの「いつでも」が悩ましてくれたことでしょう)。
そういう意味では、正解すればラッキーという感じでいいのではないでしょうか。

なお、肢イですが、これが認められないのは、①株式買取請求権は、会社財産の流出を招くものであるため、合併等の会社の基礎的変更の場合や、株主に直接の財産的損害が発生する場合に限られ、共益権の制限については認める必要がないこと、②議決権制限株式の発行数の制限(会社法115条)により濫用的な変更については一定の歯止めがあることなどが理由となっているようです。

では、平成19年度 行政書士試験 問題37の解答解説を載せておきます。



問題37 株式買取請求権に関する次のア~オの記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。

ア 単元未満株式を有する者は、投下資本の回収を保証するため、いつでも会社に対して単元未満株式の買取りを請求できる。

イ 議決権制限株式を発行する旨の定款変更決議に反対する株主は、株式買取請求権を行使することができる。

ウ 株主総会決議に反対する株主が買取請求権を行使するには、原則として、その決議に先立ち反対の旨を会社に通知し、かつ、その総会において反対しなければならない。

エ 株式の買取りを会社に対して請求した株主であっても、会社の承諾があれば、買取請求を撤回することができる。

オ 合併承認決議に反対する株主からの買取請求により支払った金額が分配可能額を超えた場合には、取締役はその超過額について責任を負う。

1 ア・ウ
2 ア・オ
3 イ・エ
4 イ・オ
5 ウ・エ




問題37 正解 4
ア 正しい
 会社法192条1項は、「単元未満株主は、株式会社に対し、自己の有する単元未満株式を買い取ることを請求することができる。」と規定している。

イ 誤り
 議決権制限株式を発行する旨の定款変更決議 (同法108条1項3号、同条2項3号) が行われた場合に、反対株主は、株式買取請求権を行使することができる旨の規定は存在しない (会社法116条1項参照)。

ウ 正しい
 会社法116条1項は、反対株主の株式買取請求権を規定し、同条2項1号イは、同条1項に規定する「反対株主」とは、同条1項各号の行為をするために株主総会 (種類株主総会を含む。) の決議を要する場合における当該株主総会に先立って当該行為に反対する旨を当該株式会社に対し通知し、かつ、当該株主総会において当該行為に反対した株主 (当該株主総会において議決権を行使することができるものに限る。) をいうと規定している。

エ 正しい
 会社法116条6項は「株式買取請求をした株主は、株式会社の承諾を得た場合に限り、その株式買取請求を撤回することができる。」と規定している。

オ 誤り
 合併承認決議に反対する株主からの買取請求による会社の自己株式の取得については、分配可能額による制約 (会社法461条) を受けず、その取得に関する職務を行った業務執行者の責任 (同法464条1項) も生じない。

以上により、誤っているものは、イ・オであり、正解は4になる

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2009.05.19 Tue l 行政書士試験 平成19年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
妻の帰宅時間が21時を超えたため、第2部はお休みにして、自宅で事務所日記を書いています。

今日は、相続税の計算に関する部分を校正しましたが、何度やっても分からない部分です。税理士さんでも、専門にやっている方以外は、難しい部分らしいので、あまり深入りをせず、概要だけにとどめることにしました(財産の評価の部分や一部の税額控除については捨てました)。

でも、困った事態が発生しましたね。
当分の間、人の集まる講座等は、どの機関でも自粛しそうですから、どの時点でどこに提案すべきか悩むところではあります。
さすがに、こういう危機管理はしておかなかったですねぇ。
どうしましょうか?!

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2009.05.18 Mon l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成19年度 行政書士試験 問題36は、「株式会社の設立」に関する組合せ問題でした。

本問は、肢オを除き条文に明確に規定されていない部分を問う問題であり、条文の趣旨から考えさせる問題でした(肢アを例にとると、「募集設立に創立総会があるのに、発起設立でそれがないのはなぜか?」)。

株式会社の設立については、行政書士実務において重要な地位を占める(登記以外の設立手続をサポートすることができますからね!)ことから、条文の細かな知識まで問われる可能性があると思っていましたが、良い意味でこの予想がはずれてしまいました。

規範定立部分を問うだけの問題でしたが、前述のように、きちんと学習なさった方にしか解けない問題であり、良問であると考えます。

なお、毎度のことながら、市販の過去問には、①問題文をそのままコピペして、解説を書いていないもの、②解釈の範囲を超えるもの(①よりは悪質)等が散見され、解釈能力を問う問題に関する解説者の実力を測ることができる点でも有意義な問題でした。

では、平成19年度 行政書士試験 問題36の解答解説を載せておきます。



問題36 株式会社の設立に関する次のア~オの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

ア 会社の設立に際しては、発起設立または募集設立のいずれの方法による場合も、創立総会を開催しなければならない。

イ 会社の設立に際して現物出資を行うことができるのは発起人のみであるが、財産引受については、発起人以外の者もその相手方となることができる。

ウ 設立時募集株式の引受人が払込みをせず、当該引受人が失権した場合には、発起人は、自らその株式を引き受けなければならない。

エ 設立時取締役は、その選任の日から会社の設立の登記がなされるまでの期間において、発起人に代わって設立中の会社のすべての業務を行う権限を有する。

オ 会社の設立手続が行われたにもかかわらず会社が成立しなかったときは、発起人は、連帯して、会社の設立に関してした行為についてその責任を負い、会社の設立に関して支出した費用を負担する。

1 ア・エ
2 ア・オ
3 イ・ウ
4 イ・オ
5 ウ・エ







問題36 正解 4
ア 誤り
 会社法65条1項は、「第57条第1項の募集をする場合には、発起人は、第58条第1項第3号の期日又は同号の期間の末日のうち最も遅い日以後、遅滞なく、設立時株主 (第50条第1項又は第102条第2項の規定により株式会社の株主となる者をいう。以下同じ。) の総会 (以下「創立総会」という。) を招集しなければならない。」と規定している。したがって、募集設立にあっては、創立総会の開催が義務づけられている。
 これに対し、発起設立にあっては、創立総会の開催は、義務づけられていない。
この違いは、発起設立にあっては、発起人だけが株主になるのに対し、募集設立にあっては、発起人のほかに募集に応じて株式引受人となった者も株主となるべき者に含まれるため、株式引受人の集会としての創立総会の招集が要求されている。

イ 正しい
 会社の設立に際する現物出資に関して、会社法34条1項本文は、「発起人は、設立時発行株式の引受け後遅滞なく、その引き受けた設立時発行株式につき、その出資に係る金銭の全額を払い込み、又はその出資に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければならない。」と規定し、同法63条1項は、「設立時募集株式の引受人は、第58条第1項第3号の期日又は同号の期間内に、発起人が定めた銀行等の払込みの取扱いの場所において、それぞれの設立時募集株式の払込金額の全額の払込みを行わなければならない。」と規定している。このように、会社の設立に際する現物出資に関して、発起人以外の者 (設立時募集株式の引受人) については、金銭の払込みを行うことしか規定されておらず (同法63条1項)、金銭以外の財産の給付は予定されていない (同法34条1項本文との対比)。なぜなら、現物出資財産の価額が定款に記載された価額に著しく不足する場合、法は、発起人に不足額の支払義務を負わせている (同法52条1項) が、発起人以外の者 (設立時募集株式の引受人) にその不足額の支払いを担保する資力があるかどうか不明では困るからであると解されている。
 これに対し、財産引受けについては、会社の設立に際する現物出資に関する規制と同様の規制はなく、発起人以外の者であっても、その相手方 (財産の譲渡人) となることができる。

ウ 誤り
 会社法63条3項は、「設立時募集株式の引受人は、第1項の規定による払込みをしないときは、当該払込みをすることにより設立時募集株式の株主となる権利を失う。」と規定している。このように、当該引受人が払込期日に当該払込みをしないときは、当然に当該払込みをすることにより設立時募集株式の株主となる権利を失う (発起人の場合と異なり、失権手続をとることを必要としないため、「当然失権」と呼ばれている)。
 そして、当該引受人が失権した場合であっても、他の出資者が出資した財産の価額が定款に記載等された「設立に際して出資される財産の価額又はその最低額」(同法27条4号) を充たすときは、設立手続を進めることができる。なお、出資された財産の価額が定款において定めた額又は最低額にみたないときは、設立無効原因となる (平成17年改正前商法192条1項は、「会社ノ設立ニ際シテ発行スル株式ニシテ会社ノ成立後仍引受ナキモノアルトキハ発起人及会社成立当時ノ取締役ハ共同シテ之ヲ引受ケタルモノト看做ス株式ノ申込ガ取消サレタルトキ亦同ジ」と規定し、同条2項は、「会社ノ成立後払込又ハ現物出資ノ給付ノ未済ナル株式アルトキハ発起人及会社成立当時ノ取締役ハ連帯シテ其ノ払込ヲ為シ又ハ給付未済財産ノ価額ノ支払ヲ為ス義務ヲ負フ」と規定し、発起人等の引受・払込担保責任を定めていたが、当該規定は、平成17年の商法改正により廃止されたので、この瑕疵が治癒されることはない)。
 したがって、「発起人は、自らその株式を引き受けなければならない」との記述は誤りである。

エ 誤り
 設立時取締役は、発起人に対する監督機関の役割を担っており、設立手続に関する調査 (会社法46条、93条) 等の監督権限を有するにすぎない。なお、発起人の権限の範囲について争いはあるものの、基本的に、設立中の会社の業務を行う権限を有する。
 したがって、設立時取締役は、「発起人に代わって設立中の会社のすべての業務を行う権限を有する」との記述は誤っている。

オ 正しい
 会社法56条は、「株式会社が成立しなかったときは、発起人は、連帯して、株式会社の設立に関してした行為についてその責任を負い、株式会社の設立に関して支出した費用を負担する。」と規定している。

以上により、正しいものは、イ・オであるから、正解は4になる。

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2009.05.18 Mon l 行政書士試験 平成19年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
土曜日の夕方に、高校時代の同級生の息子さんの高校合格祝いの宴をしました。
その子が、まだ数ヶ月頃に抱いた記憶があり、本当に15年はあっという間という感じです。

自分たちの高校時代の話題に話が及び、ずいぶん盛り上がりました。
奥様は、福岡出身の年上の方なので、いろいろ面白い話をうかがうことができました。
特筆すべきは、今は伝説となったライブハウス「SHOWA(照和」の話を聴くことができた点です。
その頃は、チューリップ、甲斐バンド、武田鉄矢という面々がいたらしく、その方々の若い頃のお話をうかがうことができました。その中でも、チューリップの財津さんは神様的存在だったらしいですね。
SHOWA(照和)

久しぶりに楽しい時間を過ごすことができ、お酒がすすんでしまいました。
というわけで、翌日は、お約束の二日酔いで、昨日は、一日お休みをいただきました。

新型インフルエンザが上陸しましたね。
マスク会社は、ストップ高でこの手の話題には、市場は敏感ですね。
でも、福岡では、一人もマスクをした人がいなかったとのこと(妻よりのメール)。
罹ってから後悔しても遅いのに!!

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2009.05.18 Mon l 福岡便り l コメント (0) トラックバック (0) l top
昨日の事務所日記を書いています。

昨日は、娘の添い寝で、こちらが撃沈してしまい、第2部はお休みとしました。

さて、昨日は、講演会用の原稿の校正の続きをやっていました。修正点・補充点が多く、時間がかかっています。
出版社に入った当時、文字を打っただけの原稿を提出して、ずいぶん叱られたことが今ではいい勉強になっていて、レイアウトを整え、図表を多く挿入して視覚に訴えるように努力しています。

標記の件ですが、公正証書遺言を作成するのに、結構な値段がかかることに分かりました。
次のようになるようです。

【公正証書遺言の作成費用】

財産の価額
手数料額
100万円まで
5,000
200万円まで
7,000
500万円まで
11,000
1,000万円まで
17,000
3,000万円まで
23,000
5,000万円まで
29,000
1億円まで
43,000
1億円を超え3億円まで
5,000万円毎に13,000円を加算 (56,000円~95,000)
3億円を超え10億円まで
5,000万円毎に11,000円を加算 (106,000円~249,000)
10億円を超える部分
5,000万円毎に8,000円を加算(257,000円以上)

※1 財産の相続又は遺贈を受ける人ごとにその財産の価額を算出し,これを上記基準表に当てはめて,その価額に対応する手数料額を求め,これらの手数料額を合算して,全体の手数料額を算出します。
※2 全体の財産が1億円未満のときは,遺言加算として、※1によって算出された全体の手数料額に11,000円を加えます。
※3 遺言書は,原本,正本および謄本の3部を作成し,原本を公証役場に保管し,正本および謄本は遺言者に交付されます。この遺言書の作成に必要な用紙の枚数分 (ただし,原本については4枚を超える分) について,1枚250円の割合の費用がかかります。
※4 遺言者が病気、高齢等のため公証役場に出向くことができないため,公証人が,自宅等に赴いて公正証書を作成する場合には,※1によって算出された全体の手数料額が50%加算されるほか,公証人の日当と,現地までの交通費がかかります。

これだと、遺言者が、公証役場に出向き、配偶者に5,000万円、子に3,000万円の財産を相続させる旨の遺言を作成した場合の費用は、次のようになります (なお、遺言書に必要な用紙は2枚とします。)。
29,000円+23,000円+11,000円+250円×2×2=64,000円

これで、紛争の種がなくなるのであれば、安い費用なのでしょうね。
(ただ、最近は、公正証書遺言について争う人が増えているとかいうウェブサイトを見ましたが、ほんとうですかねぇ?!)

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2009.05.16 Sat l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成19年度 行政書士試験 問題35は、「法定相続」に関する組合せ問題でした。

行政書士試験受験生の常識とすべき知識を問う問題であり、必ず得点すべき問題でした。

では、平成19年度 行政書士試験 問題35の解答解説を載せておきます。

問題35 Aが死亡した場合の法定相続に関する次のア~オの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
なお、Aの死亡時には、配偶者B、Bとの間の子CおよびAの母Dがいるものとする。

ア Aの死亡と近接した時にCも死亡したが、CがAの死亡後もなお生存していたことが明らかでない場合には、反対の証明がなされない限り、Aを相続するのはBおよびDである。

イ Aが死亡した時点でCがまだ胎児であった場合には、Aを相続するのはBおよびDであるが、その後にCが生まれてきたならば、CもBおよびDとともにAを相続する。

ウ Aにさらに養子Eがいる場合には、Aを相続するのはB、CおよびEであり、Eの相続分はCの相続分に等しい。

エ Aが自己に対する虐待を理由に家庭裁判所にCの廃除を請求して、家庭裁判所がこれを認めた場合には、たとえCに子Fがいたとしても、FはCを代襲してAの相続人となることはできず、Aを相続するのはBおよびDである。

オ Cが相続の放棄をした場合において、Cに子Fがいるときには、Aを相続するのはBだけでなく、FもCを代襲してAの相続人となる。

1 ア・ウ
2 ア・エ
3 イ・エ
4 イ・オ
5 ウ・オ





問題35 正解 1
ア 正しい
 民法32条の2は、「数人の者が死亡した場合において、そのうちの1人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は、同時に死亡したものと推定する。」と規定している。
 したがって、CがAの死亡後もなお生存していたことの証明がなされない限り、Aを相続するのはB及びDである。

イ 誤り
 民法886条1項は、「胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。」と規定している。
 したがって、Aが死亡した時点でCがまだ胎児であった場合でも、Aを相続するのはB及びCである。

ウ 正しい
 民法887条1項は、「被相続人の子は、相続人となる。」と規定し、同法890条前段は、「被相続人の配偶者は、常に相続人となる。」と規定し、同法900条4号本文は、「子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。」と規定している。そして、同法887条1項及び900条4号本文の規定する「子」とは、実子だけでなく、養子も含まれると解されている。
 したがって、Aを相続するのはB、C及びEであり、Eの相続分はCの相続分に等しい。

エ 誤り
 民法887条2項は、「被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。」と規定している。
 したがって、FはCを代襲してAの相続人となることができる。

オ 誤り
 民法887条2項は、「被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。」と規定している。このように、被相続人の子が相続の放棄をした場合においては、その者の子がこれを代襲して相続人となることはない。
 したがって、Fは、Cを代襲してAの相続人となることはない。

以上により、正しいものは、ア・ウであり、正解は1になる。

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2009.05.15 Fri l 行政書士試験 平成19年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
昨日の事務所日記を書いています。

昨日は、疲れの為、第2部をお休みにしました。睡眠時間が5時間程度だったのが原因のようです。

さて、標記の件ですが、公正証書遺言に関する執筆原稿を校正している段階で感じました。
公正証書遺言について、民法969条は、次のように規定しています。
第969条 (公正証書遺言)
 公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
(1) 証人2人以上の立会いがあること。
(2) 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
(3) 公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。
(4) 遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
(5) 公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。

この規定によれば、遺言者が事前に遺言書に近いものを作成して、公証人の面前で、その趣旨を口授し、公証人が法律的に問題がないように書き取って、遺言者及び証人に読み聞かせるということになっています。したがって、遺言者は、原則として、1回公証役場に出向けばよさそうです。

しかし、公証実務では、次のようになっているようです。
① 必要書類を用意します。
↓ ※ 必要書類のほかに、遺言のおおまかな内容を書いたメモを作っておくとよいでしょう。
② 公証役場に連絡し、公正証書遺言の作成に関する相談日時を決定します。

③ 公証役場において、公証人に遺言の内容についての相談をします。
↓ ※ 必要書類のほか、遺言のおおまかな内容を書いたメモ、関連資料を持参するとよいでしょう。
④ 公証役場から公正証書ができあがった旨の連絡があります。
↓ ※ 手数料についても連絡があります。
⑤ 署名・押印の日時を決め、公証役場に連絡します。

⑥ 公証役場において署名・押印をします。
※ 遺言者本人と証人2人以上の同行が必要です。遺言者本人は、実印で押印しなければなりません (証人は実印で押印する必要はありません。)。なお、連絡された費用についても持参することが必要です。

このように、事前のリハーサルを経て、公証人が作成したものを、遺言者及び証人に読み聞かせるということになっています。

これだと、公証役場に出向くのは2回になりますが、公証人に相談しつつ、遺言書を作成することができるので、安心ですね。

なお、公証人は、裁判官,検察官等の法律実務に携わってきた法律の専門家であり、正確な法律知識と豊富な経験を有していますので、この点でも安心です。

ただ、税金面の相談にはのってくれませんから、メモを作成する段階で、「相続を専門とする」税理士さんに相談しておいた方が良いですね(相続税は、かなり特殊であり、それを専門にしている税理士さん以外の方に相談すると話が進まない危険があります)。

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2009.05.15 Fri l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成19年度 行政書士試験 問題34は、「使用者責任」に関する空欄補充問題でした。

本件は、暴力団抗争において流れ弾に当たって民間人が殺傷されたという痛ましい事案です。殺傷された方を救ってあげたいのですが、使用者責任の要件との関係でその要件のクリアーがとても難しく、どういう理論構成で最高裁判所が救ってあげるのかと気になっていた事案でした。
これを機に、民間人を巻き込む事件は、皆無にして欲しいですね。

さて、問題自体は、使用者責任の要件を問うものであり、得点すべき問題でした。
なお、市販の解答解説の中には、「本判例では、空欄アには「指揮監督」~空欄エには「事業の執行」が入り、答えは4」というように解説を書いていないもの(これは、まったく論外ですね!「金返せ」と言いたくなりますね!!)、本判例の評釈をした後に、「したがって、空欄アには「指揮監督」~空欄エには「事業の執行」が入り、答えは4」というようなものがありましたが、さすがにこの場合も単に「したがって」でつないだだけではいただけませんね!
もうちょっと、受験生に優しくなって欲しいという感じです!!

では、平成19年度 行政書士試験 問題34の解答解説を載せておきます。



問題34 次の文章は、民法715条1項の適用が争点となった最高裁判所判決の一節である。空欄 [ ア ] ~ [ エ ] に当てはまる語句として、正しいものの組合せはどれか。なお、文章中のYは上告人 (被告) を指す。

「①甲組は、その威力をその暴力団員に利用させ、又はその威力をその暴力団員が利用することを容認することを実質上の目的とし、下部組織の構成員に対しても、甲組の名称、代紋を使用するなど、その威力を利用して資金獲得活動をすることを容認していたこと、②Yは、甲組の1次組織の構成員から、また、甲組の2次組織以下の組長は、それぞれその所属組員から、毎月上納金を受け取り、上記資金獲得活動による収益がYに取り込まれる体制が採られていたこと、③Yは、ピラミッド型の階層的組織を形成する甲組の項点に立ち、構成員を擬制的血縁関係に基づく服従統制下に置き、Yの意向が末端組織の構成員に至るまで伝達徹底される体制が採られていたことが明らかである。以上の諸点に照らすと、Yは、甲組の下部組織の構成員を、その直接間接の [ ア ] の下、甲組の威力を利用しての資金獲得活動に係る事業に従事させていたということができるから、Yと甲組の下部組織の構成員との間には、同事業につき、民法715条1項所定の [ イ ] と [ ウ ] の関係が成立していたと解するのが相当である。
また、上記の諸点及び①暴力団にとって、縄張や威力、威信の維持は、その資金獲得活動に不可欠のものであるから、他の暴力団との間に緊張対立が生じたときには、これに対する組織的対応として暴力行為を伴った対立抗争が生ずることが不可避であること、②甲組においては、下部組織を含む甲組の構成員全体を対象とする慶弔規定を設け、他の暴力団との対立抗争に参加して服役した者のうち功績のあった者を表彰するなど、その資金獲得活動に伴い発生する対立抗争における暴力行為を賞揚していたことに照らすと、甲組の下部組織における対立抗争においてその構成員がした殺傷行為は、甲組の威力を利用しての資金獲得活動に係る [ エ ] と密接に関連する行為というべきであり、甲組の下部組織の構成員がした殺傷行為について、Yは、民法715条1項による [ イ ] 責任を負うものと解するのが相当である。」
(最二小判平成16年11月12日民集58巻8号2078頁以下)

    ア        イ        ウ            エ
1 指揮監督    使用者    被用者      代理権の範囲
2 代理関係    本人     履行補助者    事業の執行
3 代理関係    本人     代理人      代理権の範囲
4 指揮監督    使用者    被用者      事業の執行
5 代理関係    使用者    履行補助者   代理権の範囲





問題34 正解 4
 民法715条1項は、「ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。」と規定している。
 本条の規定する責任を使用者責任と呼んでいるが、この責任が成立するための要件としては、①ある事業のために他人を使用すること (使用者と被用者の関係に立つこと)、②被用者がその事業の執行について第三者に損害を加えたこと、③被用者の加害行為が不法行為の一般的要件 (同法709条の要件、すなわち、() 自己の故意又は過失ある行為に基づくこと、() 行為者に責任能力があること、() 行為が違法なものであること、() 違法な行為によって他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され損害が生じたこと) を備えること、④使用者が免責事由 (=使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたこと、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったこと) があることの挙証をしないことの四つである。

ア 指揮監督
 設問前段で問題となっているのは、階層的に構成されている暴力団において、最上位の組織である甲組の組長Yと甲組の下部組織の構成員との間に当該暴力団の威力を利用しての資金獲得活動に係る事業について民法715条1項所定の使用者と被用者の関係が成立するかという点である。単純に考えれば、甲組と下部組織である暴力団は、別個の組織であるから、下部組織の構成員の使用者は、下部組織のの暴力団の組長ということになる。しかし、本判決は、甲組の組長Yと甲組の下部組織の構成員との間に民法715条1項所定の使用者と被用者の関係が成立することを認めたが、その最大の理由は、設問前段の①~③のような直接又は間接の指揮監督が認められるという点である
 以上から明らかなように、空欄アには、「指揮監督」が入る。

イ 使用者
 空欄アの解説から明らかなように、空欄イには、「使用者」が入る。

ウ 被用者
 空欄アの解説で明らかなように、空欄ウには、「被用者」が入る。

エ 事業の執行
 設問後段で問題となっているのは、階層的に構成されている暴力団において、その下部組織における対立抗争においてその構成員がした殺傷行為が民法715条1項所定の「事業の執行について」した行為に当たるかという点である。この点、暴力団の事業とは、その威力を利用しての資金獲得活動等に限られ、暴力団の下部組織における対立抗争はこれに含まれないと考えることも可能であろう。しかし、本判決は、設問前段諸点及び設問後段の①及び②を理由として、「甲組の下部組織における対立抗争においてその構成員がした殺傷行為は、甲組の威力を利用しての資金獲得活動に係る [ エ ] と密接に関連する行為というべき」とした。
 以上から明らかなように、空欄エには、「事業の執行」が入る。

以上により、正解は4になる。

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2009.05.14 Thu l 行政書士試験 平成19年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
昨日書いたとおり、今日は、遺言書と内容証明郵便のサンプルを書く予定だったが、そのサンプルの参考になるものがないかとウェブサイトを訪ねているうちに、修正すべき点や、付け加えるべき点が多数でてきて、予定のうちやれたのは、遺言書のサンプルを一つ書くだけだった。

遺言書のうち、最もシンプルに作れそうなものは、遺留分の侵害が問題になりそうにない事案であろう。たとえば、被相続人が土地と家屋を2軒所有していて、それが同等の価値であり、相続人が妻と子1人という事例となるのだろう。
講演用には、これで十分だが、実務はそれほど甘くないので、これからの課題である。

さて、講演用原稿に付け加えた内容で皆さんに興味をもっていただけそうなのは、次のものであろう。

 
昭和50
昭和60
平成10
平成15
平成19
遺産分割調停事件
4,396
5,141
8,707
9,582
10,317
遺言書の検認
1,870
3,301
8,825
11,364
13,309
遺言公正証書の作成
 
 
54,973
64,376
74,160

見てお分かりのとおり、遺産をめぐって生じている争いや、遺言によりこれを予防しようとする傾向が年々増加しているということである。なお、「遺言書の検認」というのは、遺言の種類としては、自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言の三つがあるが、このうち公正証書遺言を除く二つは、裁判所の検認を請求しなければならないことになっている。そこで、遺言書の検認とは、自筆証書遺言及び秘密証書遺言の数ということになる。
遺言をする方が、全国で年間8万件を超えている事実をどのように評価すべきか(なお、年間の死亡者数が100万人を超えている)。

権利意識の高まりから遺産分割調停事件が年々増加の一歩をたどっていると推測されるが、年間数万人が遺産相続で争っている現状は、悲しすぎる!

遺言があればよかったのにねぇ!

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2009.05.14 Thu l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成19年度 行政書士試験 問題33は、「契約の成立」に関する問題でした。

本問は、「事実認定-規範定立-当てはめ」という法的三段論法と呼ばれる力を試すものです(解説は、段落を分けて、その順序で書いています)。
※ なお、「規範定立」部分には、条文・判例・多数説のいずれかが入ります。

新旧司法試験の問題は、ほとんどこの手のものですが、行政書士試験では、ほとんど見ませんね(行政書士試験では、ほとんど、規範定立部分しか聞いてきません)。実務上必要とされる能力を試すのであれば、今後この手の問題を増やすべきだと思うのですが、解説を書く方からすれば、事実認定部分まで書かないとならないので、その分たいへんです。
本問は、言わずもがな、良問だと思います。

問題自体は、隔地者間の契約に関する基本的知識を問うものであり、得点すべき問題でした。
なお、肢オについては、規範定立とあてはめが合っていない解答解説を多数見つけました。規範定立において、民法526条1項をあげておきながら、あてはめにおいて「Aの配偶者によって受領されているから到達している」としているものです。この誤りは、肢オの解説に書いた■部分が影響しているからであると思います。
そこで、市販の過去問を選択する基準として、次の2点について本問を見ると良いかもしれません。
①法的三段論法にしたがって解説が書かれているか。
②肢オの規範定立とあてはめが一致しているか。

では、平成19年度 行政書士試験 問題33の解答解説を載せておきます。


問題33 AはBから中古車を購入する交渉を進めていたが、購入条件についてほぼ折り合いがついたので、Bに対して書面を郵送して購入の申込みの意思表示を行った。Aは、その際、承諾の意思表示について「8月末日まで」と期間を定めて申し入れていたが、その後、契約の成否について疑問が生じ、知り合いの法律家Cに相談を持ちかけた。次のア~オのAの質問のうち、Cが「はい、そのとおりです。」と答えるべきものの組合せは、1~5のどれか。

ア 「私は、申込みの書面を発送した直後に気が変わり、今は別の車を買いたいと思っています。Bが承諾の意思表示をする前に申込みを撤回すれば、契約は成立しなかったということになるでしょうか。」

イ 「Bには、『8月末日までにご返事をいただきたい』と申し入れていたのですが、Bの承諾の意思表示が私に到着したのは9月2日でした。消印を見るとBはそれを9月1日に発送したことがわかりました。そこで私は、これをBから新たな申込みがなされたものとみなして承諾したのですが、契約は成立したと考えてよいでしょうか。」

ウ 「Bからは8月末を過ぎても何の通知もありませんでしたが、期間を過ぎた以上、契約は成立したと考えるべきでしょうか。実は最近もっとよい車を見つけたので、そちらを買いたいと思っているのですが。」

エ 「Bは、『売ってもよいが、代金は車の引渡しと同時に一括して支払ってほしい』といってきました。Bが売るといった以上、契約は成立したのでしょうが、代金一括払いの契約が成立したということになるのでしょうか。実は私は分割払いを申し入れていたのですが。」

オ 「Bの承諾の通知は8月28日に郵送されてきました。私の不在中に配偶者がそれを受け取り私のひきだしにしまい込みましたが、そのことを私に告げるのをうっかり忘れていましたので、私がその通知に気がついたのは9月20日になってからでした。私は、Bが車を売ってくれないものと思って落胆し、すでに別の車を購入してしまいました。もう、Bの車は要らないのですが、それでもBとの売買契約は成立したのでしょうか。」

1 ア・ウ
2 イ・エ
3 イ・オ
4 ウ・エ
5 エ・オ







問題33 正解 3
ア 答えるべきでない
 Aのした申込みは、「8月末日まで」というように、承諾の期間を定めてした契約の申込みということができる。
 民法521条1項は、「承諾の期間を定めてした契約の申込みは、撤回することができない。」と規定している。
 したがって、Bが承諾の意思表示をする前に、Bは、申込みを撤回することはできない。

イ 答えるべき
 Bのした承諾は、9月1日に発送されており、承諾の期限は、8月末日までであることから、遅延した承諾ということができる。
 民法523条は、「申込者は、遅延した承諾を新たな申込みとみなすことができる。」と規定している。
 したがって、Aは、Bのした承諾を新たな申込みとみなすことができる。

ウ 答えるべきでない
 Aのした申込みの期限は、8月末日までであり、その期間内に、Aは、承諾の通知を受け取っていない。
 民法521条2項は、「申込者が前項の申込みに対して同項の期間内に承諾の通知を受けなかったときは、その申込みは、その効力を失う。」と規定している。
 したがって、Bからは8月末を過ぎても何の通知もない以上、Aのした申込みは、その効力を失い、契約は成立しない。

エ 答えるべきでない
 AのしたB所有の中古車の購入の申込みに対して、Bは、「売ってもよいが、代金は車の引渡しと同時に一括して支払ってほしい。」というように、申込みに条件を付している。
 民法528条は、「承諾者が、申込みに条件を付し、その他変更を加えてこれを承諾したときは、その申込みの拒絶とともに新たな申込みをしたものとみなす。」と規定している。
 したがって、Aは、Bの回答について、Aの申込みを拒絶するとともに、新たな申込みをしたものとみなすことができるのであって、契約は成立しない。

オ 答えるべき
 Aのした申込みに対するBの承諾の通知は、(8月28日にA宅に郵送されていることから、承諾の通知は、それ以前に発信されていることになるから) 承諾の期限の8月末日までに発信されている。
 民法526条1項は、「隔地者間の契約は、承諾の通知を発した時に成立する。」と規定している。
 したがって、A・B間の売買契約は成立している。
■ なお、同法521条2項は、「申込者が前項の申込みに対して同項の期間内に承諾の通知を受けなかったときは、その申込みは、その効力を失う。」と規定していることから、承諾期間の定めのある申込みについては、承諾期間内に承諾の到達があることを承諾適格要件としていると解されている。このため、同法526条1項との関係については、諸説あるところである (多数説は、解除条件説で、この説は、承諾並びに契約は、承諾期間内に承諾が到達しないことを解除条件として、発信時にその効力を生じるとする考え方である)。ただ、本肢においては、Aに対して郵送されたものを、Aの配偶者が受け取っていることから、Aの了知可能な状態に置かれたものといえることから、Bの承諾は、Aに到達したものと認められ、前記争点は、そもそも問題とならない。

以上により、Cが「はい、そのとおりです。」と答えるべきものは、イ・オであるから、正解は3になる。

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2009.05.13 Wed l 行政書士試験 平成19年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top

先週末まで情報通信関連の作問で忙しかったため、なかなか行政書士業務に戻れませんでしたが、ここ4日ほどで、公民館の講演用の原稿を仕上げ、残りは、遺言書のサンプルや内容証明郵便のサンプルを書くことくらいになりました。

ここ数日、妻の体調が悪く、翌朝の仕事に差し支えないよう娘を寝かしつける作業をしたため、久しぶりの第2部となりました。

ただ、第2部は、アルバイト用の時間であり、いまいち行政書士業務関連の執筆はノリが悪いですね。オークションサイトを見たり、日経の記事を読んだりで、そんなにはかどった感じはしません。
今日の第2部でやったことといえば、クーリングオフができる取引をまとめる作業だけでした(でも、法文の文言が浮世離れしていて、一般の方に分かりやすく書くのは難しかったです)。

まとめたものを、少しだけ載せておきます。

【クーリングオフの対象となる主な取引】

対象となる取引
要  件
期  間
訪問販売
販売業者の営業所以外の場所 (営業所であっても、営業所以外の場所で誘引を含む) での指定の商品、権利、役務 (サービス) の契約
書面受領日から8日間
電話勧誘販売
販売業者の電話勧誘行為により指定の商品、権利、役務 (サービス) の契約
書面受領日から8日間
連鎖販売取引
マルチ商法 (この会に入会すると売値の3割引で商品を買えるので、他人を誘ってその人に売れば儲かります」とか「他の人を勧誘して入会させると1万円の紹介料がもらえます」等と言って勧誘し、取引を行うための条件として1円以上の負担をさせる商法) による契約。指定商品制なし
書面受領日から20日間
業務提供誘引
販売取引
内職商法 (仕事を提供するのに必要だと言って、商品を購入させたり、有償でサービスの提供を受けさせたり、登録料の名目で金銭を支払わせる等の商法) による契約。
書面受領日から20日間
特定継続的役務提供
エステ、学習塾、パソコン教室等の継続的に有償でサービスを提供する契約
書面受領日から8日間
投資顧問契約
投資顧問契約 (当事者の一方が相手方に対して有価証券の価値等又は有価証券の価値等の分析に基づく投資判断に関し、口頭、文書その他の方法により助言を行うことを約束し、相手方がそれに対し報酬を支払うことを約束する契約)。店舗での契約を含む
書面受領日から10日間
生命保険・損害保険契約
店舗外での契約期間1年を超える生命保険・損害保険契約
書面受領日から8日間
() 自ら店に出向いて契約をした場合、広告を見て自ら電話やパソコンで契約をした場合、通信販売においては、クーリングオフ制度を利用することはできません。


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2009.05.13 Wed l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成19年度 行政書士試験 問題32は、「直接強制」に関する個数問題でした。

本問は、強制執行の方法に関する事例問題であり、強制執行に関する三つの方法の関係についてきちんと押さえておかなければ解くことができないため、良問であると思います。
なお、設問イについて、間接強制をすることができるという解答解説を見つけましたが、手元にある基本書で、そのような内容が書かれてあるものは、ついぞ見つかりませんでした。

問題自体は、直接強制ができるものという単純な問題であり、得点すべき問題でした。

では、平成19年度 行政書士試験 問題32の解答解説を載せておきます。




問題32 次のア~オの事例のうち、直接強制の方法によって債務者の債務の強制的実現を図ることができるものは、いくつあるか。

ア 銀行から500万円を借り入れた企業が、返済の期限が到来したにもかかわらず、返済をしない事例

イ 画家が、顧客との間で顧客の似顔絵を描く契約を結んだにもかかわらず、似顔絵を描こうとしない事例

ウ カラオケボックスの経営者と周辺住民との間で騒音をめぐって紛争が起こり、夜12時から朝10時まではカラオケボックスの営業をしないとの合意が両者の間で成立したにもかかわらず、夜12時を過ぎてもカラオケボックスが営業を続けている事例

エ ある者の名誉を毀損する記事を雑誌に掲載した出版社が、名誉毀損を理由として謝罪広告の掲載を命じる確定判決を受けたにもかかわらず、謝罪広告の掲載をしない事例

オ 建物の賃貸借契約が終了し、賃借人が建物を明け渡さなければならないにもかかわらず、賃惜人が建物を占有し続けている事例

1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ
5 五つ




問題32 正解 2
 直接強制とは、債務者が任意に債務を履行しない場合において、債権者の請求に基づいて、国家機関が債権の内容を直接的・強制的に実現するものをいう (民法414条1項本文)。この直接強制は、金銭の支払い、物の引渡し等の与える債務の強制に適しており、為す債務については、代替執行や間接強制の方法によらなければならない (同項ただし書)。

※ 代替執行
 代替執行とは、債務者が任意に債務を履行しない場合において、債権者の請求に基づいて、第三者に債権の内容を実現させ、その費用を国家機関が債務者から取り立てるものをいう (民法414条2項本文、3項)。この代替執行は、為す債務のうち、債務者本人が行わなくても債務の内容の実現が可能な場合、すなわち、代替的作為義務の執行、不作為義務のうち義務違反により何らかの物的状態を生じた場合 (たとえば、建物を建てない義務に違反して建物を建てた場合) においてこの方法によることになる。

※ 間接強制
 間接強制とは、債務者が任意に債務を履行しない場合において、債権者の請求に基づいて、債務者が債務を履行するまでの間、国家機関が債務者に対して一定の金銭の支払義務を課すことによって、債務者を心理的に圧迫して、間接的に債権の内容を実現させようとするものをいう (民事執行法172条)。作為又は不作為を目的とする債務で、代替執行の方法によることができないものについての強制執行は、この方法によることとされており (同条1項)、不代替的作為義務の執行や不作為義務のうち義務違反によって何らの物的状態を残さない場合 (たとえば、競業の継続等) は、この方法によることになる。

ア できる
 貸金返還債務のような金銭債務は、与える債務であるから、直接強制をすることができる。

イ できない
 似顔絵を描く債務は、為す債務であるから、直接強制をすることはできない。
 なお、当該債務を強制しても、本来の債権の内容の実現が期待できないことから、強制執行 (直接強制・代替執行・間接強制) をすることはできず、損害賠償を請求するしかないと解されている。

ウ できない
 夜12時から朝10時までは、カラオケボックスの営業をしないとの債務は、為す債務の一つである不作為債務であるから、直接強制をすることができない。
 なお、当該債務は、不作為義務のうち義務違反によって何らの物的状態を残さない場合に当たるから、間接強制の方法によることになる

エ できない
 謝罪広告を掲載する債務は、為す債務であるから、直接強制をすることはできない。
 なお、当該債務は、代替的作為債務に当たるから、代替執行の方法によることになる (大決昭和10年12月16日、最大判昭和31年7月4日)。

オ できる
 賃借人が建物を明け渡す債務は、与える債務であるから、直接強制をすることができる。

 以上により、直接強制の方法によって債務者の債務の強制的実現を図ることができるものは、ア・オの二つであり、正解は2になる。

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2009.05.12 Tue l 行政書士試験 平成19年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
5月は、自動車税の支払い月で、小生の車でも4万数千円の支払いをしなければならない。

自動車税は、昔の行政書士試験受験生ならご存知のように、都道府県税である。
小生の車は相変わらず、東京のナンバーなので、東京都に支払いをしなければならない。
昨年は、支払おうと思ってゆうちょ銀行に行ったら、納付場所が「ゆうちょ銀行の営業所及び郵便局については東京都内並びに関東各県及び山梨県に所在する店舗」であるので断られた記憶がある。
今年は、「郵便局でも納付することができます」となっており、全国どこでも支払うことができるようになって便利である。

郵便局に行ったときに支払おうと思っていたが、その前に、友人のブログを見ていたら、自動車税の支払いの話が載っていた。
友人は、情報通信系のプロで、何かとお教えを乞うているが、さすがにこの関係でも、有益な情報をご存知であった。
ペイジーを利用して税金を支払えば、300名の方に1万円が当たる可能性があるというのである。
ペイジーを利用して1万円を当てよう

行政書士試験問題の作成過程において、ペイジーを出題しようと思ったことがあって、一応のことは知っているが、このようなキャンペーンをやっているとは思わなかった。
ペイジーとは
ペイジーの仕組み

早速利用させてもらった。メリット・デメリットは、次のようになるのであろう。

<メリット>
① 銀行に行くことなく、自宅からインターネットバンキングができる。

② 税金を支払って、お金がもらえる可能性がある。

<デメリット>
① インタネットバンキングの項目では、「振込」ではなく、「ネット決済」になるため、知らないと、「振込」の中で「ペイジーはどこだ?」とうろうろ探さなければならない。

② ペイジーの収納機関番号(東京都主税局であれば「13001」)がどこに書かれているのか、見つけられず一苦労(コメントのご指摘の後、納付書に書いてあるのを発見。納付書以外の、受領書等には書かれてない)

③ 車検用の自動車税納付証明書は後日、東京都より送付されるらしいが、6月中旬が目途なので、それまでに車検を受ける人は使えないかも?!

④ このペイジーが使えるのは、東京都(なんと佐賀県でも使える!)等の一部都府県であり、福岡県に納税する場合は、利用できない。

最後になるが、当たる確率の分母を一つ増やした点は、お許し願いたい!

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2009.05.12 Tue l 事務所日記 l コメント (3) トラックバック (0) l top
平成19年度 行政書士試験 問題31は、「不特定物の売買」に関する正誤問題でした。

種類債権(不特定物の給付を目的とする債権。不特定物の売買に関する債権は、種類債権の一つである。)については、民法401条に規定があるものの、その性質等の大半については、解釈に委ねられています。そこで、きちんと学習しない限り、正確な知識を身に付けことができません。なので、この分野から出題することは、非常に良いことだと思います。

問題自体は、特定の効果を知っていれば良いだけなので、きちんと学習なさった方は、得点すべき問題でした。なお、特定の効果は、①債務者は、以後特定したものについてだけ債務を負う、②売買等の双務契約においては、特定の時から危険は債権者に移る、③債務者は、特定した物を善良なる管理者の注意義務をもって保存し、その物を給付しなければならない、④目的物の所有権は、特約のない限り、特定によって移転するの四つです。

なお、「種類債権であっても、目的物が特定した後は、特定物債権となる。」という誤った考え方をする方がいます。資格学校や出版社の解答解説にも、この手の解説を見ることがあります。しかし、種類債権は、特定した後であっても、取引観念上相当と認められる場合には、他の物をもってこれに代えることができるという変更権があると解されているので、種類債権は、特定した後も種類債権であることには変わりがありません(したがって、上記③の善管注意義務は、せいぜい民法400条「類推適用」になるかと思います)。

では、平成19年度 行政書士試験 問題31の解答解説を載せておきます。



問題31 Aが「もち米」を50キロ買う契約をB米店との間で行い、Bによる引渡しの準備がまだ終わっていない場合に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 引渡し場所についてA・B間で決めていなかった場合に、BはAが取りに来るまで待っていればよい。

2 Bは、目的物が特定されるまでの間は、B米店にある「もち米」の保管について善管注意義務を負うことはない。

3 目的物が特定される前に、隣家の火災によりB米店の「もち米」がすべて焼失してしまった場合、その焼失はBの責任ではないので、Bは他から「もち米」を再調達して引き渡す義務はない。

4 A・B間で取り決めがなければ、Bは上等な「もち米」を50キロ引き渡さなければならない。

5 「もち米」50キロの所有権は、目的物が特定される前でも、特約がなければ、A・B間の売買契約をした時に移転する。




問題31 正解 2
1 誤り
 民法484条は、「弁済をすべき場所について別段の意思表示がないときは、特定物の引渡しは債権発生の時にその物が存在した場所において、その他の弁済は債権者の現在の住所において、それぞれしなければならない。」と規定している。
 したがって、もち米50キロ買う契約は、不特定物の引渡しを目的する種類債権 (種類債務) であるから、債権者Aの現在の住所において弁済をしなければならない。
よって、「BはAが取りに来るまで待っていればよい」との記述は誤っている。

2 正しい
 不特定物の引渡しを目的とする種類債権 (種類債務) にあっては、目的物が特定されるまでは、その取替えが可能であるから、これについて善管注意義務を負わないと解されている。

3 誤り
 不特定物の引渡しを目的とする種類債権 (種類債務) にあっては、目的物が特定されるまでの間において、その物が滅失したとしても、市場において調達が可能である以上、その物の調達義務を負うと解されている。
 したがって、「隣家の火災によりB米店の『もち米』がすべて焼失してしまった場合、その焼失はBの責任ではないので、Bは他から「もち米」を再調達して引き渡す義務はない。」との記述は誤っている。

4 誤り
 民法401条1項は、「債権の目的物を種類のみで指定した場合において、法律行為の性質又は当事者の意思によってその品質を定めることができないときは、債務者は、中等の品質を有する物を給付しなければならない。」と規定している。
 したがって、「A・B間で取り決めがなければ、Bは上等な「もち米」を50キロ引き渡さなければならない。」との記述は誤っている。

5 誤り
 判例 (最判昭和35年6月24日) は、不特定物の売買においては原則として目的物が特定した時 (民法401条2項参照) に所有権は当然に買主に移転するものと解すべきであるとしている。
 したがって、「『もち米』50キロの所有権は、目的物が特定される前でも、特約がなければ、A・B間の売買契約をした時に移転する。」との記述は誤っている。

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2009.05.11 Mon l 行政書士試験 平成19年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
自動車保険の件で付け加えておきます。

<自動車保険の見積りの件>
プレゼントをもらうためには、「自動車保険 見積り プレゼント」で検索すると結構出てきますので、そちらからご利用になるとよいかと思います。
なお、当方にメールをいただければ、アメリカンホーム保険会社から500円分の図書券がプレゼントされるようです(当方も500円分の図書券が紹介料としていただけますが…) 


<保険会社の事故対応能力>
保険会社の事故対応能力に関しては、事故ってみないと分からない世界で、口コミのサイトもありますが、あまり参考になりません(印象の悪かったことを基本的には書き込むのが通常でしょうからね)

なお、自分自身や相談を受けた件を参考にすると、当事者がゴネると、保険会社は、基本的に、「御自身で裁判をなさってください。」という対応をしてきますので、当事者の代わりに示談交渉を行ってくれるという事故対応能力に期待をすることはいかがかと思います。

参考になるのは、その前段階である部分、たとえば、①事件解決に関する法律的知識がある、②当事者の話をきちんと聞いてくれる、③対応が迅速・丁寧、④適格な弁護士を紹介してくれる等であり、この部分は、当然そうあるべきなのでしょうが、できていない点に問題がある感じがします(つまり、最低限すらやっていない保険会社、保険担当者がいるという点です。)。

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2009.05.10 Sun l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (0) l top