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昨日は、妻の実家の苦役のお手伝いをしてきました。

田舎では、今でも、地区の住民が集まって、年に1~2回程度、地区内の河川の泥やゴミの清掃をしたり、雑草の駆除を行っているようです。
昔は、1週間程度かかってやっていたらしいのですが、今時、サラリーマンがそのような時間を取れるはずもなく、今では、基本的に、1日だけ(しかも午前中だけ)の拘束になっているようです。

8時30分から、まず雑草の駆除を行い、その後2時間程度かかって、河川にたまった泥やゴミの清掃を行いました。河川には、たくさんの泥がたまっていて、それをスコップでかきとり、両岸に揚げるため、結構体力が必要でした(今日は、筋肉痛でたいへんです!)。

苦役をしていて驚いたのは、私がもっとも若手の部類に入ることでした。ギリパパの86歳は例外であるとしても、ほとんどが70歳・60歳代なのです。
どうやら若い連中は、親任せなのか、地区外に出ていってしまって、こういう行事には戻ってこないようです。結構よく聞く話ですよねぇ!

苦役の後は、公民館に集まって、昼食とともにご苦労会が催されました。同年代の若手の方とお酒をいただきましたが、ビールのなんとも美味しかったこと!

かなり疲れましたが、それなりに得るものが多い一日でした。

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2009.04.30 Thu l 福岡便り l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成19年度 行政書士試験 問題27は、他人物売買及び無権代理行為に関する正誤問題でした。

問題は、条文や判例に関する基本知識を問うものであり、得点すべき問題でした。

では、平成19年度 行政書士試験 問題27の解答解説を載せておきます。




問題27 AがB所有の土地をCに売却した場合に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 AがBから土地の所有権を取得してCに移転できない場合、Cは、契約時にAに土地の所有権がないことを知っていたとしても、契約の解除ができる。

2 Cは、悪意または有過失であっても、20年間、所有の意思をもって平穏かつ公然とBの土地を占有継続すれば、Cは土地の所有権を時効取得する。

3 AがBの代理人と称して売却した場合、代理権のないことを知らなかったCがこの売買契約を取り消せば、BはもはやAの代理行為を追認することはできない。

4 AがBの代理人と称して売却した場合、Cは、Aに代理権のないことを過失によって知らなかったとしても、無権代理を行ったAに対して責任を追及できる。

5 所有権者Bが自らA名義で登記をして虚偽の外形を積極的に作出し、そのまま放置していた場合には、Bは、Aを所有者だと信頼して買ったCに対抗できない。






問題27 正解 4
1 正しい
 民法561条は、「前条の場合において、売主がその売却した権利を取得して買主に移転することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の時においてその権利が売主に属しないことを知っていたときは、損害賠償の請求をすることができない。」と規定している。このように、買主が、契約の時においてその権利が売主に属しないことを知っていたときでも、 契約の解除をすることができる。
 したがって、買主Cが、契約時に売主Aに土地の所有権がないことを知っていたとしても、契約の解除をすることができる。

2 正しい
 民法162条は、所有権の取得時効について、①所有の意思をもってする占有 (自主占有)であること、②占有の取得及び保持が平穏かつ公然であること、③他人の物を占有すること、④占有の開示の時に善意かつ無過失であれば10年間、悪意又は有過失であれば20年間その占有を継続することを要件として規定している。
 したがって、Cは、悪意または有過失であっても、20年間、所有の意思をもって平穏かつ公然とBの土地を占有継続すれば、Cは土地の所有権を時効取得する。

3 正しい
 無権代理行為が取り消されれば、当該行為はその初めにさかのぼって無効となる (民法121条本 文) から、もはや当該行為を追認することはできない。
 したがって、Cが売買契約を取り消せば、Bは、もはやAの代理行為を追認することはできない。

4 誤り
 民法117条1項は、「他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明することができず、かつ、本人の追認を得ることができなかったときは、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。」と規定し、同条2項は、「前項の規定は、他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が知っていたとき、若しくは過失によって知らなかったとき、又は他人の代理人として契約をした者が行為能力を有しなかったときは、適用しない。」と規定している。このように、取引の相手方が他人の代理人として契約をした者に代理権がないことを過失によって知らなかったときは、無権代理人の責任を追及することはできない。
 したがって、買主Cが、Aに代理権のないことを過失によって知らなかったときは、無権代理を行ったAに対して責任を追及することはできない。

5 正しい
 不動産の公示手段である登記 (民法177条参照) には公信力がないため、これを信頼して取引を行った者であっても、保護されないのが原則である。しかし、取引の安全を図るため、虚偽の外形が作出されたことについて本人に何らかの帰責性がある場合には、本人の犠牲において、その外形を信頼して取引をした善意の第三者を保護する判例法理が確立している。たとえば、ある判例 (最判昭和44年5月27日) は、自ら仮装行為をした者が、このような外形を除去しない間に、善意の第三者がその外形を信頼して取引関係に入った場合には、その取引から生ずる物権変動について、登記が第三者に対する対抗要件とされているときでも、仮装行為者としては、第三者の登記の欠缺を主張して、物権変動の効果を否定することはできないとしている。
 したがって、所有権者Bが自らA名義で登記をして虚偽の外形を積極的に作出し、そのまま放置していた場合には、Bは、Aを所有者だと信頼して買ったCに対抗できない。

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2009.04.28 Tue l 行政書士試験 平成19年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
昨日の事務所日記を書いている。

昨日第2部は、久しぶりに午前2時を越えてしまった。
先週、花粉症の影響による休みを取ったためか、身体がそれに慣れてしまい、ここ2日~3日は、23時位になると睡魔が襲ってくる。
このため、掛け布団と枕を持参しての第2部への出勤となったが、いつもどおりの睡魔が襲ってきたので、一眠りして、情報通信関連の作問を行った。

ただ、情報通信関連は、そのシステム自体を理解していないため、読んでいても眠くなり、筆が遅々として進まない。
来週に締切が迫っているが、今回ばかりは緊急事態になりそうで、どうすべきか思案中である。

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2009.04.28 Tue l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成19年度 行政書士試験 問題26は、「開発指導要綱に基づく金銭負担を要求した市の行為の違法性に関する、最高裁判所判決の考え方から導かれる内容」に関する正誤問題でした。

この手の問題は、選択肢を流し読みした上で、設問の見解を読み、選択肢の記述が①設問と矛盾する、②設問の見解と矛盾しないが、述べられていない、③設問の見解に一致するという三つに分けることが重要です。
特に、②の見極めは重要ですから、よく訓練しておきましょう。

なお、本問に関する解答解説をいくつか読みましたが、設問の見解によらず、一般論からの記述がなされているものが多数ありました。一般論の知識をもとに問題を解くとしても、それは補助的な限度で使うべきであり、やはり問題の指示通り、設問の見解を基準にして上記①~③の判断をすべきであると思います。
その点で、平成19年度 行政書士試験 問題26は、過去問に関する出版物を選ぶ上で基準となる問題だと思いました。

では、平成19年度 行政書士試験 問題26の解答解説を載せておきます。



問題26 次の文章は、開発指導要綱に基づく金銭負担を要求した市の行為の違法性に関する、最高裁判所判決の一節である。この判決の考え方から導かれる内容として、妥当なものはどれか。
なお、文章中のXは上告人 (住民)、Yは被上告人 (市) を指す。

「指導要綱の文言及び運用の実態からすると、本件当時、Yは、事業主に対し、法が認めておらずしかもそれが実施された場合にはマンション建築の目的の達成が事実上不可能となる水道の給水契約の締結の拒否等の制裁措置を背景として、指導要綱を遵守させようとしていたというべきである。YがXに対し指導要綱に基づいて教育施設負担金の納付を求めた行為も、Yの担当者が教育施設負担金の減免等の懇請に対し前例がないとして拒絶した態度とあいまって、Xに対し、指導要綱所定の教育施設負担金を納付しなければ、水道の給水契約の締結及び下水道の使用を拒絶されると考えさせるに十分なものであって‥ (中略) ‥Xに教育施設負担金の納付を事実上強制しようとしたものということができる。‥ (中略) ‥右行為は、本来任意に寄付金の納付を求めるべき行政指導の限度を超えるものであり、違法な公権力の行使であるといわざるを得ない。」
(最一小判平成5年2月18日民集47巻2号574頁以下)

1 事業主に対して教育施設負担金の納付を求める行政指導の内容を指導要綱によって定めることは、行政指導の限度を超える違法な公権力の行使である。

2 Yは、Xが行政指導に従わない場合には、水道の給水契約の締結の拒否等の制裁措置を背景として行政指導に従うことを強制することが許される。

3 事業主に対して教育施設負担金の納付を求めること自体は、事業主による納付の任意性を損なうことがない限り、違法ということはできない。

4 教育施設の充実にあてるために事業主に対して寄付金の納付を求める場合には、行政指導によるのではなく条例を制定して行わなければならない。

5 教育施設負担金の減免の前例がない場合には、Yは他の事例との平等を期すため、Xの懇請を拒絶しなければならない。




問題26 正解 3
1 妥当でない
 この判決は、「YがXに対し指導要綱に基づいて教育施設負担金の納付を求めた行為も、Yの担当者が教育施設負担金の減免等の懇請に対し前例がないとして拒絶した態度とあいまって、Xに対し、指導要綱所定の教育施設負担金を納付しなければ、水道の給水契約の締結及び下水道の使用を拒絶されると考えさせるに十分なものであって‥ (中略) ‥Xに教育施設負担金の納付を事実上強制しようとしたものということができる。‥ (中略) ‥右行為は、本来任意に寄付金の納付を求めるべき行政指導の限度を超えるものであり、違法な公権力の行使であるといわざるを得ない。」としている。このように、この判決は、「事業主に対して教育施設負担金の納付を求める行政指導の内容を指導要綱によって定めること」をもって行政指導の限度を超える違法な公権力の行使であるとしているのではなく、YがXに教育施設負担金の納付を事実上強制しようとしたことをもって行政指導の限度を超える違法な公権力の行使であるとしている。

2 妥当でない
 この判決は、「YがXに対し指導要綱に基づいて教育施設負担金の納付を求めた行為も、Yの担当者が教育施設負担金の減免等の懇請に対し前例がないとして拒絶した態度とあいまって、Xに対し、指導要綱所定の教育施設負担金を納付しなければ、水道の給水契約の締結及び下水道の使用を拒絶されると考えさせるに十分なものであって‥ (中略) ‥Xに教育施設負担金の納付を事実上強制しようとしたものということができる。‥ (中略) ‥右行為は、本来任意に寄付金の納付を求めるべき行政指導の限度を超えるものであり、違法な公権力の行使であるといわざるを得ない。」としている。このように、この判決は、行政指導が強制にわたる場合は、行政指導の限界を超えるものとして違法な公権力の行使に当たると考えている。
 したがって、Yは、Xが行政指導に従わない場合に、水道の給水契約の締結の拒否等の制裁措置を背景として行政指導に従うことを強制することは許されない。

3 妥当である
 この判決は、「YがXに対し指導要綱に基づいて教育施設負担金の納付を求めた行為も、Yの担当者が教育施設負担金の減免等の懇請に対し前例がないとして拒絶した態度とあいまって、Xに対し、指導要綱所定の教育施設負担金を納付しなければ、水道の給水契約の締結及び下水道の使用を拒絶されると考えさせるに十分なものであって‥ (中略) ‥Xに教育施設負担金の納付を事実上強制しようとしたものということができる。‥ (中略) ‥右行為は、本来任意に寄付金の納付を求めるべき行政指導の限度を超えるものであり、違法な公権力の行使であるといわざるを得ない。」としている。このように、この判決は、YがXに対し指導要綱に基づいて教育施設負担金の納付を求める行為は、それが任意性を損なうことがない限り、行政指導の限界を超えるものとはいえず、違法ということはできないと考えている。

4 妥当でない
 この判決は、教育施設負担金の納付を求めるのに条例によるべきことについて何ら述べていない。
したがって、この判決の考え方から導かれる内容として、妥当なものとはいえない。

5 妥当でない
 この判決は、「YがXに対し指導要綱に基づいて教育施設負担金の納付を求めた行為も、Yの担当者が教育施設負担金の減免等の懇請に対し前例がないとして拒絶した態度とあいまって、Xに対し、指導要綱所定の教育施設負担金を納付しなければ、水道の給水契約の締結及び下水道の使用を拒絶されると考えさせるに十分なものであって‥ (中略) ‥Xに教育施設負担金の納付を事実上強制しようとしたものということができる。」としている。このように、この判決は、教育施設負担金の減免の前例がない場合に採るべきYの措置について何ら述べていない。
 したがって、この判決の考え方から導かれる内容として、妥当なものとはいえない。

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2009.04.27 Mon l 行政書士試験 平成19年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top

一昨日、昨日の事務所日記を書いている。

一昨日は、福岡中央支部の定時総会が開催された。
2時間の予定であるが、例年1時間程度で終わって、懇親会に移るそうである。しかし、今回は、役員の再任の件を巡って、予定より1時間程度オーバーする程の白熱した議論になった。

現在のところ、福岡中央支部の運営規則では、福岡県行政書士会の会則と同様に3期までの再任を限度としているが、執行部から、これを外したい旨の議案が提出された。

旧7条2項
新7条2項
役員の任期は県会の任期に準ずる。
役員の任期は、就任後の第2回目の定時総会の終結の日までとする。ただし、再任を妨げない。

* なお、福岡県行政書士会会則20条1項は、「役員の任期は、就任後の第2回目の定時総会の終結の日までとする。ただし、連続3期(6年)を限度として再任を妨げない。」と規定している。

「役員」には、支部長・副支部長・理事が含まれるため、理事を2期やった後に副支部長をやった場合、続けて支部長になることができないことになる。この内容は、県会であれば、合理的なのであろうが、支部にはいささか不合理な内容であるらしい。役員のなり手がいないのである。

年間数万円の手当てが出るようであるが、支部運営の雑務や理事会等の煩瑣な事項を処理しなければならないことを考えると、忙しい行政書士にとっては、迷惑事項この上ないのであろう。

私は、この案に基本的に賛成であった(若干疑問あり)が、入会後まだ日も浅く、その本質的問題の判断ができないため賛否の表決を辞退させてもらった。

なお、もう一つ議案が上程されたが、そちらは事前に書面として届けられた「定時総会会議案」にない議案であったために、手続的に問題があるのではないかと感じ、一応当方の意見を申し述べた上で賛否の表決を辞退させてもらった。
定時総会会議案に載せていない議案に関する緊急動議を、包括委任されているということで処理してよいのだろうか?今でも疑問が残っている。

総会後の懇親会は、先ほどの議論がウソのように和やかに執り行われた。私が会員名簿では最後に載っていたので、その後の入会員はいないと思っていたが、4月に2人の方が入会したようで、御挨拶をいただいた。お互いがんばりましょう!

追伸
上記の件については、いずれも疑問があったので調べてみた。参考までに結果を載せておく。

役員の再任の件であるが、私が疑問に感じたのは、支部長が3期を越えて多選されることへの疑問であった。
福岡県行政書士会の上部団体である日本行政書士会連合会規則8条1項は、「役員の任期は就任後第2回目の定時総会の終結のときまでとする。ただし、再任を妨げないが、会長は、連続して3期6年を限度とする。」と規定している。これをそのまま使えばよいのに!!

また、 もう一つの点に関しては、次のブログが参考になった。

NPO法人総会における緊急動議

マンション管理組合総会における緊急動議

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2009.04.27 Mon l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成19年度 行政書士試験 問題25は、「地方自治法の定める住民監査請求、住民訴訟」に関する個数問題でした。

個数問題は、その設問一つ一つで正誤を決定しなければならないので、問題自体の正確性が厳しく問われますが、本問は、その点で問題があると感じました。
たとえば、設問イですが、「原則として」といっていますが、例外があるのでしょうか?
また、設問オですが、期間制限があっても、正当理由がある場合は、例外が認められており、「これを徒過すると提起することはできなくなる」とは、いえないので、設問では、「原則として」とすべきではないのでしょうか。
財団法人行政書士試験研究センターの発表に係る解答では、正解が2となっているので、この解答に合わせましたが、今でも疑問です

では、平成19年度 行政書士試験 問題25の解答解説を載せておきます。



問題25 地方自治法の定める住民監査請求、住民訴訟に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア 住民監査請求は事務監査請求とは異なり、当該地方公共団体の住民に限らず、何人であっても一人で提起することができる。

イ 住民訴訟を提起するには、原則として住民監査請求を経ている必要があり、これを住民監査請求前置 (主義) という。

ウ 住民訴訟においては、当該地方公共団体の執行機関または職員に対して行為の全部または一部の差止めの請求をすることは認められていない。

エ 住民訴訟の対象は、当該地方公共団体の長等の違法な財務会計上の行為または怠る事実であるが、不当な行為または怠る事実は対象とできない。

オ 住民監査請求にも住民訴訟にも期間の制限があり、これを徒過すると提起することはできなくなる。

1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ
5 五つ




問題25 正解 2
ア 誤り
 地方自治法242条1項は、「普通地方公共団体の住民は、当該普通地方公共団体の長若しくは委員会若しくは委員又は当該普通地方公共団体の職員について、違法若しくは不当な公金の支出、財産の取得、管理若しくは処分、契約の締結若しくは履行若しくは債務その他の義務の負担がある (当該行為がなされることが相当の確実さをもつて予測される場合を含む。) と認めるとき、又は違法若しくは不当に公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実 (以下「怠る事実」という。) があると認めるときは、これらを証する書面を添え、監査委員に対し、監査を求め、当該行為を防止し、若しくは是正し、若しくは当該怠る事実を改め、又は当該行為若しくは怠る事実によつて当該普通地方公共団体のこうむつた損害を補塡〔●ほてん〕するために必要な措置を講ずべきことを請求することができる。」と規定しており、住民監査請求は、当該地方公共団体の住民に限って提起することができる。
 また、同法75条1項は、「選挙権を有する者 (道の方面公安委員会については、当該方面公安委員会の管理する方面本部の管轄区域内において選挙権を有する者) は、政令の定めるところにより、その総数の50分の1以上の者の連署をもつて、その代表者から、普通地方公共団体の監査委員に対し、当該普通地方公共団体の事務の執行に関し、監査の請求をすることができる。」と規定しており、「選挙権を有する者」とは、普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する者をいう (同法74条1項) から、事務監査請求についても、当該地方公共団体の住民に限って提起することができる。
 なお、住民監査請求は1人で提起することができるが、事務監査請求については、1人で提起することはできない。

イ 正しい
 地方自治法242条の2第1項柱書は、「普通地方公共団体の住民は、前条第1項の規定による請求をした場合において、同条第4項の規定による監査委員の監査の結果若しくは勧告若しくは同条第9項の規定による普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関若しくは職員の措置に不服があるとき、又は監査委員が同条第4項の規定による監査若しくは勧告を同条第5項の期間内に行わないとき、若しくは議会、長その他の執行機関若しくは職員が同条第9項の規定による措置を講じないときは、裁判所に対し、同条第1項の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもつて次に掲げる請求をすることができる。」と規定している。このように、住民訴訟を提起するには、住民監査請求を経ている必要があり、これを住民監査請求前置 (主義) という。

ウ 誤り
 地方自治法242条の2第1項1号は、「当該執行機関又は職員に対する当該行為の全部又は一部の差止めの請求」と規定している。このように、住民訴訟においては、当該地方公共団体の執行機関又は職員に対して行為の全部または一部の差止めの請求をすることは認められている。

エ 正しい
 地方自治法242条の2第1項柱書は、「普通地方公共団体の住民は、前条第1項の規定による請求をした場合において、同条第4項の規定による監査委員の監査の結果若しくは勧告若しくは同条第9項の規定による普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関若しくは職員の措置に不服があるとき、又は監査委員が同条第4項の規定による監査若しくは勧告を同条第5項の期間内に行わないとき、若しくは議会、長その他の執行機関若しくは職員が同条第9項の規定による措置を講じないときは、裁判所に対し、同条第1項の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもつて次に掲げる請求をすることができる。」と規定している。このように、住民訴訟の対象となるのは、当該地方公共団体の長等の「違法」な財務会計上の行為又は怠る事実であり、「不当」な行為又は怠る事実は対象とできない。

オ 正しい
 住民監査請求について、地方自治法242条2項は、「前項の規定による請求は、当該行為のあつた日又は終わつた日から1年を経過したときは、これをすることができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。」と規定しており、また、住民訴訟について、同法242条の2第2項は、一定の期間内に訴訟を提起しなければならない旨を定めている。
■ なお、住民訴訟について、同法242条の2第3項は、その出訴期間を定める同条2項をうけて「前項の期間は、不変期間とする。」と規定している。ここに「不変期間」とは、裁判所が法定の期間又はその定めた期間を伸長し、又は短縮することができないものをいう (民事訴訟法96条1項参照)。ただし、不変期間であっても、裁判所は、遠隔の地に住所又は居所を有する者のために付加期間を定めることができるものとされている (同条2項)。

以上により、誤っているものは、ア・ウであり、正解は2になる。

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2009.04.25 Sat l 行政書士試験 平成19年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成19年度 行政書士試験 問題24は、「地方自治法の定める地方公共団体の契約」に関する問題でした。

地方自治法の定める地方公共団体の契約締結の方法としては、一般競争入札、指名競争入札、随意契約又はせり売りの方法があり、一般競争入札が原則的方法とされていることを知っていることは、受験生の常識ですから、得点すべき問題でした。
なお、国においても、一般競争入札が原則的方法であること (会計法29条の3第1項) も合わせて覚えておきましょう。

では、平成19年度 行政書士試験 問題24の解答解説を載せておきます。



問題24 地方自治法の定める地方公共団体の契約に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 指名競争入札とは、資産、信用その他についてあらかじめ適切と認める特定多数の者を通知によって指名し、入札により競争させる方法であり、政令に特段の定めのない場合にはこの方法によるものとされる。

2 随意契約とは、競争の方法によらないで、特定の相手方を任意に選択して締結する方法であり、政令で定められる場合に該当するときに限り、この方法によることができる。

3 予算の執行としての契約締結行為の効力は、原則として当該予算の会計年度内にとどまるが、電気の供給や水道の供給のように、年度を超えて長期の契約を締結することも許される場合がある。

4 せり売りとは、入札の方法によらないで、不特定多数の者を口頭または挙手によって競争させる方法であり、遺失物等の売り払いのような場合にこの方法がとられることもある。

5 一般競争入札とは、不特定多数の者を入札に参加させ契約の相手方とするために競争させる方法であり、地方公共団体にとって有利な相手方を広く募ることができるという長所があるとされる。




問題24 正解 1
1 誤り
 売買、貸借、請負その他の契約は、一般競争入札、指名競争入札、随意契約又はせり売りの方法により締結するものとされており (地方自治法234条1項)、このうち、指名競争入札、随意契約又はせり売りは、政令で定める場合に該当するときに限り、これによることができる (同条2項)。
なお、前半部分は正しい。

2 正しい
 随意契約とは、競争の方法によらないで、特定の相手方を任意に選択して締結する方法をいい、政 令で定める場合に該当するときに限り、これによることができる (地方自治法234条2項)。

3 正しい
 地方自治法234条の3前段は、「普通地方公共団体は、第214条の規定にかかわらず、翌年度以降にわたり、電気、ガス若しくは水の供給若しくは電気通信役務の提供を受ける契約又は不動産を借りる契約その他政令で定める契約を締結することができる。」と規定している。
 したがって、予算の執行としての契約締結行為の効力は、原則として、当該予算の会計年度内にとどまるが、電気の供給や水道の供給のように、年度を超えて長期の契約を締結することも許される場合がある。

4 正しい
 せり売りとは、入札の方法によらないで、不特定多数の者を口頭または挙手によって競争させる方法をいい、政令で定める場合に該当するときに限り、これによることができる (地方自治法234条2項)。
 なお、この規定をうけて定められた地方自治法施行令167条の3は、「地方自治法234条2項の規定によりせり売りによることができる場合は、動産の売払いで当該契約の性質がせり売りに適しているものをする場合とする。」と規定しており、たとえば、遺失物等の売り払いのような場合がこれに当たる。

5 正しい
 一般競争入札とは、不特定多数の者を入札に参加させ契約の相手方とするために競争させる方法をいい、地方公共団体にとって有利な相手方を広く募ることができるという長所がある。
 一般競争入札は、契約締結方法のうち原則的方法であり、それ以外の方法は、政令で定める場合に該当するときに限り、これによることができる (地方自治法234条2項)。

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2009.04.24 Fri l 行政書士試験 平成19年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
今日は、最新判例の検討に時間を取られ、講演用原稿の執筆ができなかった。
講演用原稿は、相続税の執筆部分で時間を取られており、その部分は、制度自体の複雑さも手伝って、遅々として筆が進まない。「執筆ができなかった」というより、「執筆をしたくない」というのが正直な感想である。

さて、最新判例であるが、重要なものが2つ出ていた。
一つは商法関連で、もう一つは行政法関連である。
要旨は、次のとおり。
①商法の判例 
<判旨>
 会社法362条4項は,同項1号に定める重要な財産の処分も含めて重要な業務執行についての決定を取締役会の決議事項と定めているので,代表取締役が取締役会の決議を経ないで重要な業務執行をすることは許されないが,代表取締役は株式会社の業務に関して一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有することにかんがみれば,代表取締役が取締役会の決議を経ないでした重要な業務執行に該当する取引も,内部的な意思決定を欠くにすぎないから,原則として有効であり,取引の相手方が取締役会の決議を経ていないことを知り又は知り得べかりしときに限り無効になると解される。
 そして,同項が重要な業務執行についての決定を取締役会の決議事項と定めたのは,代表取締役への権限の集中を抑制し,取締役相互の協議による結論に沿った業務の執行を確保することによって会社の利益を保護しようとする趣旨に出たものと解される。この趣旨からすれば,株式会社の代表取締役が取締役会の決議を経ないで重要な業務執行に該当する取引をした場合,取締役会の決議を経ていないことを理由とする同取引の無効は,原則として会社のみが主張することができ,会社以外の者は,当該会社の取締役会が上記無効を主張する旨の決議をしているなどの特段の事情がない限り,これを主張することはできないと解するのが相当である。

②行政法の判例
<事案>
 上告人父は,世田谷区長に対し,自らを届出人として上告人子に係る出生届(以下「本件出生届」という。)を提出したが,非嫡出子という用語を差別用語と考えていたことから,届書中,嫡出子又は嫡出でない子(以下「非嫡出子」という。)の別を記載する欄(戸籍法49条2項1号参照)を空欄のままとした。このため,本件出生届には,上記の欄が空欄になっており,かつ,同法52条2項所定の届出義務者である上告人母ではなく,上告人父が届出人として記載されているという不備が認められた。区長は,上告人父に対し,これらの不備の補正を求めたが,拒否され,前者の不備については,届書の記載が上記のままでも,区長において届書のその余の記載事項から出生証明書の本人と届書の本人との同一性が確認されれば,その認定事項(例えば,父母との続柄を「嫡出でない子・女」と認める等)を記載した付せんを届書に貼付するという内部処理(以下「付せん処理」という。)をして受理する方法を提案したものの,この提案も拒絶された。そこで,区長は,同日,本件出生届を受理しないこととした(以下,これを「本件不受理処分」という。)。
 上告人父は,区長に対し,同年5月19日,上告人子につき住民票の記載を求める申出をしたが,区長は,本件出生届が受理されていないことを理由に,上記記載をしない旨の応答(以下「本件応答」という。)をした。
<判旨>
 原審は,本件応答が抗告訴訟の対象となる行政処分に当たり,その取消しを求める上告人子の訴えが適法な取消訴訟であることを前提として,同訴えに係る請求を棄却した。
 しかし,上告人子につき住民票の記載をすることを求める上告人父の申出は,住民基本台帳法(以下「法」という。)の規定による届出があった場合に市町村(特別区を含む。以下同じ。)の長にこれに対する応答義務が課されている(住民基本台帳法施行令(以下「令」という。)11条参照)のとは異なり,申出に対する応答義務が課されておらず,住民票の記載に係る職権の発動を促す法14条2項所定の申出とみるほかないものである。したがって,本件応答は,法令に根拠のない事実上の応答にすぎず,これにより上告人子又は上告人父の権利義務ないし法律上の地位に直接影響を及ぼすものではないから,抗告訴訟の対象となる行政処分に該当しないと解される。そうすると,本件応答の取消しを求める上告人子の訴えは不適法として却下すべきである。


さて、もうすぐ1時なので、今日は、これくらいにしておきます。おやすみなさい。

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2009.04.24 Fri l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成19年度 行政書士試験 問題23は、「普通地方公共団体の議会」に関する問題でした。

正解肢は、基本知識を問うものであり、得点すべき問題でしたが、「選択肢3は?」と迷った方が多かったと思います。
選択肢3で問題となる法律は、過去問で出題されたことがなく、その意味では、難しい問題だったかもしれません。

では、平成19年度 行政書士試験 問題23の解答解説を載せておきます。



問題23 普通地方公共団体の議会に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 予算を定めることは議会の議決事件とされているが、議会は、予算について増額して議決することはできない。

2 議会の議決がその権限を超え、または法令もしくは会議規則に違反すると認めるとき、長は、高等裁判所に当該議決の取消しを求めて出訴しなければならない。

3 議会の解散は、議会が長の不信任の議決を行ったとき、または住民から解散請求がなされたときにありうるが、議会が自らの議決に基づき自主解散することはできない。

4 私法上の契約の締結は、非権力的行為であるので、普通地方公共団体の契約締結は議会の議決事件には属さない。

5 議会の議長および議員は、自己の一身上に関する事件または自己の従事する業務に直接関係のある事件については、原則として、その議事に参与することができない。




問題23 正解 5
1 誤り
予算を定めることは議会の議決事件とされている (地方自治法96条1項2号)。そして、同法97条2項本文は、「議会は、予算について、増額してこれを議決することを妨げない。」と規定している。

2 誤り
地方自治法176条4項は、「普通地方公共団体の議会の議決又は選挙がその権限を超え又は法令若しくは会議規則に違反すると認めるときは、当該普通地方公共団体の長は、理由を示してこれを再議に付し又は再選挙を行わせなければならない。」と規定している。
■ なお、当該規定による議会の議決又は選挙がなおその権限を超え又は法令若しくは会議規則に違反すると認めるときは、都道府県知事にあっては総務大臣、市町村長にあっては都道府県知事に対し、当該議決又は選挙があった日から21日以内に、審査を申し立てることができる (同条5項)、当該規定による申立てがあった場合において、総務大臣又は都道府県知事は、審査の結果、議会の議決又は選挙がその権限を超え又は法令若しくは会議規則に違反すると認めるときは、当該議決又は選挙を取り消す旨の裁定をすることができる (同条6項)。そして、当該裁定に不服があるときは、普通地方公共団体の議会又は長は、裁定のあつた日から60日以内に、裁判所に出訴することができる (同条7項)。

3 誤り
議会の解散は、議会が長の不信任の議決を行ったとき、または住民から解散請求がなされたときにありうる (地方自治法178条1項、78条)。そして、議会が自らの議決に基づき自主解散をすることもできる (地方公共団体の議会の解散に関する特例法2条1項)。
■ 地方公共団体の議会の解散に関する特例法 (昭和40年法律第118号)
第1条 (この法律の趣旨)
 この法律は、地方公共団体の議会の解散の請求に関する世論の動向にかんがみ、当該議会が自らすすんでその解散による選挙によつてあらたに当該地方公共団体の住民の意思をきく方途を講ずるため、地方公共団体の議会の解散について、地方自治法の特例を定めるものとする。
第2条 (議会の解散)
1 地方公共団体の議会は、当該議会の解散の議決をすることができる。
2 前項の規定による解散の議決については、議員数の4分の3以上の者が出席し、その5分の4以上の者の同意がなければならない。
3 第1項の議決があつたときは、当該地方公共団体の議会は、その時において解散するものとする。

4 誤り
普通地方公共団体の議会は、その種類及び金額について政令で定める基準に従い条例で定める契約を締結することを議決しなければならない (地方自治法96条1項5号) が、この契約には、私法上の契約も含まれる。

5 正しい
地方自治法117条は、「普通地方公共団体の議会の議長及び議員は、自己若しくは父母、祖父母、配偶者、子、孫若しくは兄弟姉妹の一身上に関する事件又は自己若しくはこれらの者の従事する業務に直接の利害関係のある事件については、その議事に参与することができない。但し、議会の同意があつたときは、会議に出席し、発言することができる。」と規定している。

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2009.04.23 Thu l 行政書士試験 平成19年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
昨日の事務所日記を書いている。

昨日は、出勤~掃除~平成19年度 行政書士試験 問題22の解答解説~事務所日記で午前中を終了し、午後から妻と食事に西新へ行った。

西新は、学生街であるためか、非常に安い値段で美味しいものを出す店が多いことで有名だが、昨日は、定食を中心に、ラーメンやちゃんぽんも出してくれる(家庭内で)話題の朝美食堂 (下記参照)に行ってきた。
朝美食堂

ちゃんぽんと餃子、それに高菜チャーハンをいただいたが、ちゃんぽんは『味のかつえだ』のレベルには達していないものの、値段(500円)からは十分納得できる味、餃子はにんにくがたくさん入っていて懐かしい味、高菜チャーハンはご飯がふっくらで非常に美味しくいただくことができた。
味のかつえだ

福岡に来て思うのは、昼食が非常に安くあがることである(といっても、昼食は、ほとんど事務所でパンか、カップめんだが)。
東京では、週に2~3回は、『大戸屋』で食事をしたが(美味しく、かつ、安く昼食をいただくことができた)、その『大戸屋』でさえも、高いと評価される位である(こちらでは、『大戸屋』は、高いけど、美味しく、かつ、接客が良いと評価されている)。

東京辺りから来ると、接客態度にいまいち不満を持たれる方がいらっしゃるかもしれないが、そういう店は、基本的に地元民を対象としているわけであるし、「郷に入っては、郷に従え」の格言どおり、こちらが心持を変えるしかないのであろうよ!
ただ、態度の悪い店が少なくないから、そのときは、心の中でちゃぶ台をひっくり返して、店を出て行こう!

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2009.04.23 Thu l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成19年度 行政書士試験 問題22は、「条例の制定改廃請求権」に関する問題でした。

問題自体は、条文に関する基本知識を問うものであり、得点すべき問題でした。
なお、本問も、問題を作り慣れていないという感じがしました。選択肢4は選択肢5のヒントとなりますからね。

では、平成19年度 行政書士試験 問題22の解答解説を載せておきます。


問題22 条例の制定改廃請求権に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1 地方自治法上、条例の制定改廃請求権は、普通地方公共団体の議会の議員および長の選挙権を有する住民に限られず、選挙権を有さない外国人に対しても認められている。

2 住民は、その属する普通地方公共団体のあらゆる条例について、条例制定改廃請求権を行使することができる。

3 条例の制定改廃の請求を行う場合については、住民は一人でも請求をなすことができる。

4 条例の制定改廃の請求は、普通地方公共団体の長に対して行われ、長から議会に対して付議される。

5 条例の制定改廃請求が行われた後、その内容について住民投票が行われ、賛成が多数であれば当該条例の制定改廃が行われる。





問題22 正解 4
1 妥当でない
 地方自治法12条1項は、「日本国民たる普通地方公共団体の住民は、この法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の条例 (地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収に関するものを除く。) の制定又は改廃を請求する権利を有する。」と規定している。このように、条例の制定改廃請求権を有するのは、日本国民に限られている。

2 妥当でない
 地方自治法74条1項は、「普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する者 (以下本編において「選挙権を有する者」という。) は、政令の定めるところにより、その総数の50分の1以上の者の連署をもつて、その代表者から、普通地方公共団体の長に対し、条例 (地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収に関するものを除く。) の制定又は改廃の請求をすることができる。」と規定している。このように、条例改廃請求権の対象となる条例から地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収に関するものは除かれている。

3 妥当でない
 地方自治法74条1項は、「普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する者 (以下本編において「選挙権を有する者」という。) は、政令の定めるところにより、その総数の50分の1以上の者の連署をもつて、その代表者から、普通地方公共団体の長に対し、条例 (地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収に関するものを除く。) の制定又は改廃の請求をすることができる。」と規定している。このように、条例改廃請求権を行使する場合は、選挙権を有する者の総数の50分の1以上による請求が必要となる。

4 妥当である
 地方自治法74条1項は、「普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する者 (以下本編において「選挙権を有する者」という。) は、政令の定めるところにより、その総数の50分の1以上の者の連署をもつて、その代表者から、普通地方公共団体の長に対し、条例 (地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収に関するものを除く。) の制定又は改廃の請求をすることができる。」と規定し、同条3項は、「普通地方公共団体の長は、第1項の請求を受理した日から20日以内に議会を招集し、意見を附けてこれを議会に付議し、その結果を同項の代表者に通知するとともに、これを公表しなければならない。」と規定している。このように、条例の制定改廃の請求は、普通地方公共団体の長に対して行われ、長から議会に対して付議される。

5 妥当でない
 地方自治法74条3項は、「普通地方公共団体の長は、第1項の請求を受理した日から20日以内に議会を招集し、意見を附けてこれを議会に付議し、その結果を同項の代表者に通知するとともに、これを公表しなければならない。」と規定している。このように、条例は、①住民による発案、②議会の議決、③地方公共団体の長による結果の公表の三つの制定過程からなっている。
 したがって、住民投票が行われるという記述は妥当でない。

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2009.04.22 Wed l 行政書士試験 平成19年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
一昨日と昨日の事務所日記を書いている。

一昨日・昨日は、淡々と執務をこなしただけで、特記することはない。
強いてあげれば、追加経済対策で、父母等から住宅取得資金等の贈与を受けた場合に、500万円まで贈与税が非課税となる制度が導入された記事を書いたこと(レジュメを最後に掲げておきます)。

事務所の窓から眺める福岡城址の青葉は、日に日に濃さを増していっており、今日はまぶしいくらいのお天気で、午後は、妻と西新で昼食をとることになっている。

花粉症の症状は相変わらずで、後輩からは、仕事疲れではないかとのアドバイスをいただいた(後輩は、既にヒノキの花粉症から脱した旨のメールをもらった)。一昨日・昨日は、休養も兼ねて第2部をお休みにしたが、そろそろ期日が迫っていることから、第2部をせざろう得ない状況にある。

<追加景気対策>
(a) 総 説
 政府・与党は、2009 (平成21) 年4月10日に追加経済対策を正式に決定しました。この追加経済対策の目玉の一つとして、父母等から住宅取得資金等の贈与を受けた場合に、500万円まで贈与税が非課税となる制度が導入されました。この措置は、2009 (平成21) 年1月1日から2010 (平成22) 年12月31日までの贈与が対象となります。

(b) 暦年課税の場合
 父母等から住宅取得資金等の贈与を受けた場合は、現行の基礎控除額の110万円と追加経済対策として導入された500万円を合算した610万円が非課税となります。

(c) 相続時精算課税の場合
 父母等から住宅取得資金等の贈与を受けた場合は、現行の特別控除額の3500万円と追加経済対策として導入された500万円を合算した4000万円が非課税となります。

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2009.04.22 Wed l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成19年度 行政書士試験 問題21は、「条例」に関する問題でした。

正解肢は、基本知識を問うものであり、得点すべき問題でした。
なお、本問を解いて思ったのは、典型的な問題の問い方をしていない、かつ、不正確な記述が多い分、問題が難しくなったということです。
「典型的な問題の問い方」とは、条文や判例の内容やそれを規範としてあてはめを問うものであり、また「不正確な記述」とは、たとえば地方公共団体を「自治体」と呼んでいる点などです。

では、平成19年度 行政書士試験 問題21の解答解説を載せておきます。



問題21 条例に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1 自治体の処理する事務のうち、自治事務に関しては法律で内容的な定めを設けることはできず、このような定めは法定受託事務に限定される。

2 自治事務に関する条例は法律の個別授権を受けることなく定めることができるが、私人の権利義務に直接かかわる規定は、必ず法律の個別授権を受けなければならない。

3 地方自治法14条に基づく地方議会の条例制定権限は、当該事務が自治事務である場合のみならず、法定受託事務である場合にも及ぶ。

4 法律の規定を具体化するのは、地方公共団体の機関が定める規則等であり、具体化の規定が条例に置かれることはない。

5 法律により規制の対象とされている事項について、法律の明示の授権がなくとも、規制の適用を除外する特例措置を条例により設けることは可能である。




問題21 正解 3
1 妥当でない
 憲法92条は、「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」と規定しており、自治事務に関しては法律で内容的な定めを設けることはできない旨の定めは存在しない。
 なお、地方自治法2条8項は、「この法律において『自治事務』とは、地方公共団体が処理する事務のうち、法定受託事務以外のものをいう。」と規定している。

2 妥当でない
 自治事務・法定受託事務を問わず、法律の個別授権を受けることなく、条例で定めることができる (選択肢3の解説参照)。
 そして、地方自治法14条2項は、「普通地方公共団体は、義務を課し、又は権利を制限するには、法令に特別の定めがある場合を除くほか、条例によらなければならない。」と規定するのみであり、私人の権利義務に直接かかわる規定を条例でもうける場合は、必ず法律の個別授権を受けなければならない旨の規定は存在しない。また、判例 (最大判昭和37年5月30日) は、憲法31条は必ずしも刑罰がすべて法律そのもので定められなければならないとするものでなく、法律の授権によってそれ以下の法令によって定めることもできると解すべきで、このことは憲法73条6号ただし書によっても明らかであるとした上で、ただ、法律の授権が不特定な一般的の白紙委任的なものであってはならないことはいうまでもないが、条例は、法律以下の法令といっても、公選の議員をもって組織する地方公共団体の議会の議決を経て制定される自治立法であって、行政府の制定する命令等とは性質を異にし、むしろ国民の公選した議員をもって組織する国会の議決を経て制定される法律に類するものであるから、条例によって刑罰を定める場合には、法律の授権が相当な程度に具体的であり、限定されていれば足りるとし、必ず法律の個別授権を受けなければならないとはしていない。
 したがって、私人の権利義務に直接かかわる規定は、必ず法律の個別授権を受けなければならないとの記述は妥当でない。

3 妥当である
 地方自治法14条1項は、「普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて第2条第2項の事務に関し、条例を制定することができる。」と規定している。そして、自治事務と法定受託事務のいずれも同法2条2項の規定する「地域における事務」である。したがって、同法14条1項に基づく地方議会の条例制定権は、当該事務が自治事務である場合のみならず、法定受託事務である場合にも及ぶ。
■ 平成11年改正前地方自治法2条2項は、「普通地方公共団体は、その公共事務及び法律又はこれに基づく政令により普通地方公共団体に属するものの外、その区域内におけるその他の行政事務で国の事務に属しないものを処理する。」と規定していたため、機関委任事務については、地方公共団体が条例を制定することはできなかった。

4 妥当でない
 条例と規則の違いは、条例は住民の公選した議員をもって組織する地方議会の議決を経て制定されるものである (地方自治法14条1項、96条1項1号) のに対して、規則は住民の公選した地方公共団体の長によって単独で制定されるものである (同法15条1項) という制定主体に違いがあるにすぎない。
 なお、現に地方自治法は、その規定を具体化する規定を条例に置くとしている。たとえば、同法158条1項は、「普通地方公共団体の長は、その権限に属する事務を分掌させるため、必要な内部組織を設けることができる。この場合において、当該普通地方公共団体の長の直近下位の内部組織の設置及びその分掌する事務については、条例で定めるものとする。」と規定している。
 したがって、法律の規定を具体化する規定が条例に置かれることはないとの記述は妥当でない。

5 妥当でない
 判例 (最大判昭和50年9月10日―徳島市公安条例事件) は、地方自治法14条1項は、普通地方公共団体は法令に違反しない限りにおいて同法2条2項の事務に関し条例を制定することができる、と規定しているから、普通地方公共団体の制定する条例が国の法令に違反する場合には効力を有しないことは明らかであるが、条例が国の法令に違反するか否かは、両者の対象事項と規定文言を対比するのみでなく、それぞれの趣旨、目的、内容及び効果を比較し、両者の間に矛盾牴触があるか否かによってこれを決しなければならないとしている。
 法律により規制の対象とされている事柄について、法律の明文の授権がないにもかかわらず、規制の適用を除外する特例措置を条例に設けることは、法令と条例の間に矛盾牴触があるといえるから、条例が国の法令に違反する場合にあたる。
したがって、本選択肢の記述は妥当でない。

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2009.04.21 Tue l 行政書士試験 平成19年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成19年度 行政書士試験 問題20は、「国家賠償法2条の定める営造物管理責任」に関する正誤問題でした。

正解肢は、有名判例の事案ですので、得点すべき問題でした。
なお、本問題は、選択肢1、4及び5が基礎知識を問う問題(そのうち選択肢4及び5は、受験生の常識として知っておくべき知識を問う問題)、選択肢2及び3が基本書にも載っていないような事柄を問う問題であり、試験問題を作るうえで理想とされている問題形式でした。ただ、復習される方は、選択肢2、3については、二度と見てはなりません(時間の無駄ですし、無駄な知識をインプットすることになるからです)。
■ 選択肢2については、「正規に管理されている」という意味が判然としないため、資格学校及び出版社の解説がまちまちになっています。

平成19年度 行政書士試験 問題20の解答解説を載せておきます。




問題20 国家賠償法2条の定める営造物管理責任に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1 国家賠償法2条に定める営造物は、道路・河川などの不動産を指し、公共団体が管理する動産の瑕疵については、それを管理する公務員の同法1条に基づく責任が問題となるほかは、同法2条の適用を受けることはない。

2 営造物の管理責任は、公物として正規に管理されている行政財産についてのみ及び、事実上私人によって道路として利用されているに過ぎない公有地の管理責任については、国家賠償法2条の適用を受けることはない。

3 営造物の管理責任は、営造物の物理的瑕疵を問うものであり、営造物を管理する公務員の管理義務違反は国家賠償法1条の責任であって、同法2条の責任が問われることはない。

4 営造物の瑕疵は、営造物そのものに物理的瑕疵がある場合を元来指すが、第三者の行為により営造物が瑕疵ある状態になった場合にも、その状態を速やかに改善して瑕疵のない状態に回復させる責任が営造物管理者にはある。

5 営造物の管理責任は、その営造物を設置し、管理する責任を有する公共団体が負い、営造物の設置、管理の費用を負担するに過ぎない公共団体が負うことはない。




問題20 正解 4
1 妥当でない
 判例 (大阪高判昭和62年11月27日) は、けん銃保管のための保管箱は、国家賠償法2条1項の「営造物」に当たるのみならず、けん銃は、それ自体動産であるが、本来的に人身等を殺傷する用に供されるために作製されたいわゆる性質上の凶器であり、しかもその威力は強大で、一旦使用されると相手に容易に致命傷を与える高度の危険性を持つ武器であるから、これもまた「営造物」に当たるとしている。
 したがって、公共団体が管理する動産の瑕疵についても、同条の適用を受ける。
■ 別の判例 (東京高判昭和29年9月15日) は、国家賠償法2条の規定する「営造物」とは、広く公の目的に供せられる物的施設を指称し、必ずしも建物ないし土地の定着物に限らない解すべきであるとした上で、臨海学校において使用された飛込台について営造物であると解している (ただし、古崎博士『判例営造物管理責任法』においては、飛込台は屋外の営造物の例とされており、動産の例には入れられていない)。

2 妥当でない
 国家賠償法2条1項の規定する「公の」営造物とは、国又は公共団体が直接に公の目的をもって管理し、公の用に供されていることを意味するが、完成されて完全な形で公用に供されていることは必要でなく、たとえば、道路予定地、崩落による道路の欠損部分等の公共用財産でありながら、公共の用に供されていない時期に起きた事故についても、国又は公共団体は、同条項の責任を負うと解されている (仮排水用の用水路に幼児が転落死亡した事案につき千葉地判昭和53年12月4日同旨)。
 したがって、事実上私人によって道路として利用されているに過ぎない公有地の管理責任についても、同条の適用を受ける場合がある。

3 妥当でない
 判例 (名古屋高判昭和49年11月20日―飛騨川バス転落事件) は、所論は、本件事故当夜通行規制を行わなかったことをもって、道路管理の瑕疵とすることは誤りであると主張するものであるが、防護施設のみによって災害を完全に防止することが至難であって、本件事故の後に実施されている通行規制そのものは合理的な避難対策の一つであるということができるのであるから、所論は採用し難いものであるとし、営造物自体に何らかの物理的瑕疵がある場合だけでなく、公務員が営造物の管理を誤る場合であっても、営造物の設置又は管理の瑕疵があることを認めたものである。

4 妥当である
 判例 (最判昭和50年6月26日―奈良赤色灯事件) は、本選択肢の考え方を前提として、本件事故発生当時、道路管理者 (Y) において設置した工事標識板、バリケード及び赤色灯標柱が道路上に倒れたまま放置されていたから、道路の安全性に欠如があったといわざるを得ないが、それは夜間、しかも事故発生の直前に先行した他車によって惹起されたものであり、時間的にYにおいて遅滞なくこれを原状に復し道路を安全良好な状態に保つことは不可能であったのであるから、Yの道路管理に瑕疵がなかったと認めるのが相当であると判示した。

5 妥当でない
国家賠償法3条1項は、「前2条の規定によつて国又は公共団体が損害を賠償する責に任ずる場合において、公務員の選任若しくは監督又は公の営造物の設置若しくは管理に当る者と公務員の俸給、給与その他の費用又は公の営造物の設置若しくは管理の費用を負担する者とが異なるときは、費用を負担する者もまた、その損害を賠償する責に任ずる。」と規定している。

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2009.04.20 Mon l 行政書士試験 平成19年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
昨日は、娘をレンゲ畑で遊ばせたいと思って、福岡市郊外のレンゲ畑へ行ってきました。

福岡市郊外には、まだまだ田んぼや畑が広がっており、東京から戻ってきた当初は、どこへ行ってもレンゲ畑かと思っていましたが、ないんです!レンゲ畑が!
どうやら、レンゲの種をまいて、根粒菌に窒素を固定化してもらう手間を惜しんでいるのでしょうね。
そういうわけで、昔のように一面ピンクのレンゲ畑という畑は、探さないとないくらい少なくなりました。

12時位に出発して、海岸沿いに伊都国を回って、先週目をつけていたレンゲ畑へ行きました。
途中、安全食堂で食事をし、おさかな天国で夕食用の刺身を、伊都菜彩でデコポンや朝摘みのイチゴを入手しました。このコースは、わが家の定番コースで、ドライブを兼ねて食材の仕入れができるという優れたコースです。各お店の紹介は、下記をご覧下さい。

安全食堂
 ラーメンは、長浜系で、あっさりとしたスープで美味しいです。1杯500円は、福岡市内より若干安い感じですね。
 焼き飯いただきました。しょうゆ系の焼き飯で、これだったら、妻的には、私が作る焼き飯の方が美味しいと言っていました。

◎おさかな天国
 漁師さんがやっているLLP(有限責任事業組合)で、基本的に毎日、その日に水揚げした魚を1匹丸ごと包装して売っています。購入後、刺身にしたい方は、その旨を調理場に言えば、三枚におろしてくれます。
 値段は、安いの一言で、福岡市内の半額程度という感じです。

伊都菜彩
 JA糸島の産直市場で、この時期、朝摘みのイチゴ、ブロッコリー、キャベツ等を買うことができます。JA糸島で扱っている米、肉、魚、野菜、果物、花等が売ってあり、みずみずしい野菜や果物を購入することができます。わが家では、月に1~2回程、ドライブを兼ねて通っています。

さて、目をつけていたレンゲ畑ですが、ないんです。どうやら、1週間の間に、耕されてしまったようです。もうそろそろ、田植えですね。先週行った山間部では、もう田植えを終わっていましたからね。

「来年まで持ち越しか……」などと多少悲観的になりつつ車を走らせていると、遠くにピンクの畑があるではありませんか!!
そういうわけで、私の希望は、今年中にかなえられ、娘の楽しそうな笑顔を見れて、親バカパパは、大満足でした。

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2009.04.20 Mon l 福岡便り l コメント (1) トラックバック (0) l top
昨日の事務所日記を書いている。

昨日は、出勤~掃除~平成19年度 行政書士試験 問題19の解答解説の執筆で終わってしまった。

市町村の境界に関する訴訟 (地方自治法9条8項) について、「従来は、確認訴訟としての当事者訴訟とされてきたが、これについては純粋な民事訴訟上の訴えであるとする形成訴訟とみなす見解もある」旨の解答解説を見つけ、そういう考え方ができるのか、深く検討してみた。

まず、伝統的な行政法理論(「行政主体」と「私人」との対立、そして、行政の「内部関係」と「外部関係」との区別、という二元的な思考に立つ理論)からすれば、次のように考えることになるのであろう。
①訴訟物が私法上の権利義務に関するものとはおよそいえないから、純粋な民事訴訟によるべきことにはならない。
②抗告訴訟・当事者訴訟で問題となるのは個人の権利義務であるから、これによるべきではないことになる(民衆訴訟または機関訴訟によるべき)。
③民衆訴訟は、その要件から無理。となると、機関訴訟によるべきことになる。

しかし、次のような若干の疑問がある。
①市町村の境界に関する訴訟は、原告である市町村は機関ではないこと
②市町村の境界に関する訴訟は、地方公共団体の存立の基礎に関わるものであるから自治権に関する紛争として主観的訴訟 (主観訴訟) の性質を有すること

そこで、次のような見解が出てくる。
①市町村の境界に関する訴訟は、その性質上主観的訴訟に属するが、制定法上特に機関訴訟として規定されたものであるとする見解(塩野教授)
②?

上記「②?」については、書かれた物がなく(手元にあるコンメンタール等10冊くらいをみた!)、これについて数時間思考格闘していた。
相変わらず、学者のまねをしていて、お恥ずかしい限りである。
「性格は変わらず」とうそぶけば格好はつくのであろうが、なんとバランスの悪いことか!
分かっちゃいるけどやめられない!!

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2009.04.18 Sat l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (1) l top
平成19年度 行政書士試験 問題19は、「行政事件訴訟法4条の当事者訴訟」に関する個数問題でした。

当事者訴訟は、新試験制度となった平成12年度試験以降出題されたことがなかったため、結構ビックリしましたが、正解肢は、比較的分かりやすいので得点できたことでしょう。

ただ、設問エについては、機関訴訟であることについて争われている事柄であり、今回、結構深く研究しましたが、まだはっきりと分からない部分です(問題を解くにあたっては、それほど重要でないですから、皆さんは、解答解説をザーと読んで理解されればよいかと思います)。

では、平成19年度 行政書士試験 問題19の解答解説を載せておきます。



問題19 次のア~オの記述のうち、行政事件訴訟法4条の当事者訴訟に当たるものの組合せとして、正しいものはどれか。

ア 土地収用法に基づいて、土地所有者が起業者を被告として提起する損失補償に関する訴え

イ 公職選挙法に基づいて、選挙人または候補者が中央選挙管理会を被告として提起する衆議院議員選挙の効力に関する訴え

ウ 食品衛生法に基づいて、都道府県知事に対して行った飲食店営業許可の申請に対して、相当の期間内に何らの処分も行われない場合に、その不作為の違法確認を求める訴え

エ 地方自治法に基づいて、市町村の境界に係る都道府県知事の裁定に対して関係市町村が提起する訴え

オ 日本国籍を有することの確認の訴え

1 ア・エ
2 ア・オ
3 イ・ウ
4 イ・エ
5 ウ・オ




問題19 正解 2
 行政事件訴訟法4条は、「この法律において『当事者訴訟』とは、当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするもの及び公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟をいう。」と規定している。このうち、本条前段の「当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするもの」は、処分又は裁決という公権力の行使を争うものであり、本来は抗告訴訟として提起されるべきものであるが、立法政策により、法令の規定により形式的に当事者訴訟とされていることから「形式的当事者訴訟」と呼ばれている。また、本条後段の「公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟」は、行政庁の処分その他公権力の行使を争うものでなく (その意味で抗告訴訟の性質を有しない)、現在の公法上の法律関係に関する訴訟であることから「実質的当事者訴訟」と呼ばれている。そして、本条に基づく当事者訴訟は、公法上の法律関係を対象とするものであることから、私法上の法律関係に関する民事訴訟と区別して、「公法上の当事者訴訟」と呼ばれている。

ア 当事者訴訟に当たる
 土地収用法48条1項2号は、権利取得裁決においては、土地又は土地に関する所有権以外の権利に対する損失の補償について裁決しなければならないと規定し、これをうけて、同法133条3項は、収用委員会の裁決のうち損失の補償に関する訴えは、これを提起した者が起業者であるときは土地所有者又は関係人を、土地所有者又は関係人であるときは起業者を、それぞれ被告としなければならないと規定している。
 このように、本選択肢の訴訟は、形式的当事者訴訟である。

イ 当事者訴訟に当たらない
 行政事件訴訟法5条は、「この法律において『民衆訴訟』とは、国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものをいう。」と規定している。
 本選択肢の訴訟 (選挙の効力に関する訴訟 (公職選挙法203条、204条)) は、この民衆訴訟である。
■ 公職選挙法
第203条 (地方公共団体の議会の議員及び長の選挙の効力に関する訴訟)
1 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙において、前条第1項の異議の申出若しくは同条第二項の審査の申立てに対する都道府県の選挙管理委員会の決定又は裁決に不服がある者は、当該都道府県の選挙管理委員会を被告とし、その決定書若しくは裁決書の交付を受けた日又は第215条の規定による告示の日から30日以内に、高等裁判所に訴訟を提起することができる。
2 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙の効力に関する訴訟は、前条第1項又は第2項の規定による異議の申出又は審査の申立てに対する都道府県の選挙管理委員会の決定又は裁決に対してのみ提起することができる。
第204条 (衆議院議員又は参議院議員の選挙の効力に関する訴訟)
 衆議院議員又は参議院議員の選挙において、その選挙の効力に関し異議がある選挙人又は公職の候補者(衆議院小選挙区選出議員の選挙にあつては候補者又は候補者届出政党、衆議院比例代表選出議員の選挙にあつては衆議院名簿届出政党等、参議院比例代表選出議員の選挙にあつては参議院名簿届出政党等又は参議院名簿登載者)は、衆議院(小選挙区選出)議員又は参議院(選挙区選出)議員の選挙にあつては当該都道府県の選挙管理委員会を、衆議院(比例代表選出)議員又は参議院(比例代表選出)議員の選挙にあつては中央選挙管理会を被告とし、当該選挙の日から30日以内に、高等裁判所に訴訟を提起することができる。

ウ 当事者訴訟に当たらない
 行政事件訴訟法3条5項は、「この法律において『不作為の違法確認の訴え』とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいう。」と規定している。
 本選択肢の訴訟は、この不作為の違法確認の訴えである。

エ 当事者訴訟に当たらない
 行政事件訴訟法6条は、「この法律において『機関訴訟』とは、国又は公共団体の機関相互間における権限の存否又はその行使に関する紛争についての訴訟をいう。」と規定している。
 本選択肢の訴訟は、市町村の境界に係る都道府県知事の裁定を争うものであるから「公共団体の機関相互間における権限の行使に関する紛争についての訴訟」に当たるとして、機関訴訟の一つに当たると解されている (多数説)。
■ 地方自治法
第9条
1 市町村の境界に関し争論があるときは、都道府県知事は、関係市町村の申請に基づき、これを第251条の2の規定による調停に付することができる。
2 前項の規定によりすべての関係市町村の申請に基いてなされた調停により市町村の境界が確定しないとき、又は市町村の境界に関し争論がある場合においてすべての関係市町村から裁定を求める旨の申請があるときは、都道府県知事は、関係市町村の境界について裁定することができる。
3から7まで 〔省略〕
8 第2項の規定による都道府県知事の裁定に不服があるときは、関係市町村は、裁定書の交付を受けた日から30日以内に裁判所に出訴することができる。
9から11まで 〔省略〕
■ なお、市町村の境界に関する訴訟 (地方自治法9条8項) は、原告である市町村は機関ではないこと、地方公共団体の存立の基礎に関わるものであるから自治権に関する紛争として主観的訴訟 (主観訴訟) の性質を有すること等を理由に、機関訴訟に当たらないとする見解も存在する。

オ 当事者訴訟に当たる
 日本国籍を有するという現在の公法上の法律関係 (権利義務) に関する訴訟であるから、本選択肢の訴訟は、実質的当事者訴訟に当たる。
 なお、判例 (最判平成9年10月17日) も、日本国籍を有することの確認について、確認訴訟としての公法上の当事者訴訟を認めている。

以上により、当事者訴訟に当たるものは、ア・オであり、正解は2になる。

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2009.04.17 Fri l 行政書士試験 平成19年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
久しぶりに第2部ができました。
ただ、アルバイトの内容が、情報通信に関する作問であるため、全然頭がついていきません。
本をボーと眺めながら、問題が浮かんでくるのをまっている状態で、もう午前0時を回ってしまいました。

本日は、出勤後、掃除、平成19年度 行政書士試験 問題18の解答解説の執筆、事務所日記の執筆、空気洗浄器の残りの部品の洗浄、後輩へのメールで終わってしまいました。

さて、空気洗浄器の件ですが、早く結果を知りたくて (歳をとって、ますます短気になっています)、プラグをコンセントに入れてみました。
爆発しないかとおっかなびっくりでしたが、何ともなく、ちょっと安心して、今度はスイッチを入れたら動き出しましたよ!

どうやら、汚れだけ落ちて、内部の電気回路には、いまのところ損傷はないようです
(中古製品で動かなくなったものを水洗いすると、基盤についていた埃が取れて、また動き出すのをテレビで見たことがありますが、やはりその方法は有用でしたね。ただ、そこでは、最終手段として行っていたので、皆さんは、まねをなさらないほうが賢明だと思われます)。

ただ、炭の臭いなのでしょうか、若干異臭がしますね。
原因の部分は、分かっているので、これが続くようなら、その部分を替える必要がありそうです。
今回の件では、かなり疲労しましたが、いい勉強をしましたね!

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2009.04.17 Fri l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (0) l top
昨日の事務所日記を書いている。

昨日は、14時頃まで資格学校から依頼された個人情報保護法の問題を作成し、送信後、事務所日記を書き、標記のとおり、空気洗浄器のタバコのヤニを落としに家に帰った。

タバコのヤニに関しては、WEB上でたくさんの書き込みがあり、中性洗剤でも落ちるようなので、台所の洗剤を使ったが、あまり溶けなかった。

そこで、台所の換気扇の洗浄用に使っているマジックリンを使ったところ、効果てきめんで、黄色くなった液体がドロドロと流れ出した。どうやら、タバコのヤニには、マジックリンが非常に合うようである。
ただ、奥までヤニがこびりついているので、機械を分解するのに結構手間がかかった。

あとは、乾燥させて、電源を入れて動かすことになるが、果たして動きますやら?!

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2009.04.16 Thu l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成19年度 行政書士試験 問題18は、「行政事件訴訟法における処分無効確認訴訟」に関する正誤問題でした。

内容自体は、条文知識を問うものですが、処分無効確認訴訟というややマイナーな分野からの出題であるため、若干難しかったかもしれません。
なお、無効確認訴訟について出題されたのは、新試験制度となった平成12年度試験以降、初めてでした(それまでは、平成15年と平成18年に選択肢の一つとして出題されています)

では、平成19年度 行政書士試験 問題18の解答解説を載せておきます。



問題18 行政事件訴訟法における処分無効確認訴訟に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1 無効確認訴訟は、処分の無効確認を求める法律上の利益を有する者に限って提起することができる。

2 処分が無効であることは、無効確認訴訟によってのみ主張でき、民事訴訟などにおいて、これを主張することはできない。

3 無効な処分の違法性は重大かつ明白であるから、無効確認訴訟が提起されると、原則として、処分の執行は停止される。

4 無効確認訴訟については、出訴期間の制限の規定はないが、取消訴訟の出訴期間の規定が準用される。

5 取消訴訟について不服申立ての前置が要件とされている処分については、無効確認訴訟についても、それが要件となる。




問題18 正解 1
1 妥当である
 行政事件訴訟法36条は、「無効等確認の訴えは、当該処分又は裁決に続く処分により損害を受けるおそれのある者その他当該処分又は裁決の無効等の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者で、当該処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによつて目的を達することができないものに限り、提起することができる。」
 したがって、本選択肢は妥当である。

2 妥当でない
 行政事件訴訟法45条の規定する処分の効力等を争点とする訴訟 (いわゆる争点訴訟) は、処分の無効を前提とする民事訴訟である。
 したがって、本選択肢は妥当でない。
■ 争点訴訟の具体例としては、土地収用裁決の無効を前提として、土地収用裁決に基づく土地収用により土地所有権を失った土地所有者が、起業者に対して提起する所有権確認訴訟等がある。

3 妥当でない
 行政事件訴訟法38条3項は、無効等確認の訴えについて、執行停止に関する規定 (同法25条) を準用している。そして、この規定においては、執行不停止原則を採っている。
 したがって、本選択肢は妥当でない。

4 妥当でない
 取消訴訟の出訴期間に関するの規定 (行政事件訴訟法14条) は、取消訴訟以外の抗告訴訟(例えば、無効等確認の訴え、不作為の違法確認の訴え、義務付けの訴え等)には準用されない (同法38条)。
 したがって、本選択肢は妥当でない。

5 妥当でない
 行政事件訴訟法8条1項ただし書は、取消訴訟について審査請求前置を定めているが、この規定は、無効等確認の訴えには準用されない (同法38条)。
 したがって、本選択肢は妥当でない。

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2009.04.16 Thu l 行政書士試験 平成19年度 l コメント (2) トラックバック (0) l top
非常に遅くなったが、昨日の事務所日記を書いている。

昨日は、出勤後、直ちに個人情報保護法の作問にとりかかり、その作問が先ほどようやく終わったので、このブログを書いている。

個人情報保護法の施行以来、企業は、この分野に非常に神経を使っているようで、Webを検索しても、各企業の取り組みのオンパレードである。
ただ、企業によっては、個人情報保護に名を借りて、企業外への情報の持ち出しを広範囲に規制している例もあるようである。このため、企業内で遅くまで残業しなければならなくなったという事例を耳にする。
個人情報保護や企業秘密の保護は、非常に重要なことだが、「これを機会に……」ということにならないように、各人がきちんと学習すべきことのように感じる。
ただ、いまだに個人情報保護に関する意識が低すぎる事例が多すぎるが……。

さて、標記のとおり、「おまけ」には注意が必要である。
オークションに参加していることは、当ブログでも何度書いたが、今回は、大失敗をしてしまった。
オークションに出品されているのは、空気洗浄器のフィルターであり、そのおまけとして空気洗浄器をつけるという内容のものだった。
当方としては、空気洗浄器が欲しかったが、中古のものは、中のフィルターを替えなければ使いたくなかったので、替えフィルター付きの空気洗浄器を探していた。
そのため、上記出品されたものは、この要求に合うと思って購入した(当然、フィルターの市場価格以上の値段をつけた)が、おまけの品は、タバコのヤニで汚れており、とてもそのままでは使えそうにない。やはり、おまけはおまけであった。
出品するものは、「フィルターのみ」との限定があったので、錯誤を主張することもできない感じである。
次の点を勉強したと思い、今回は、高い授業料を払ったと思うことにする。
①思い込みを戒め、取引内容をよく確認すること(売買対象の商品だけでなく、おまけであっても、商品の内容をよく確認すること)
②喫煙下の環境の物は、基本的に取引をしないこと

なお、「電気製品を水に濡らすことは厳禁」という掟を破って、これから、この空気洗浄器を洗うことにします。
さて、吉とでるか、凶とでるか?

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2009.04.15 Wed l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (0) l top
昨日の事務所日記を書いています。

昨日の第1部は、平成19年度 行政書士試験 問題17の解答解説を書いただけで終わった感じです。周辺領域まで深く研究したため、大幅に時間が取られました。ただ、問題17に関しては、これに関して出版されている本の解説が、あまりにも出鱈目であるまで(ちょっと言い過ぎか?!)、リキが入ってしまったという感じです。

さて、昨日は、複合機の無料貸出の件で、某大手メーカーの方のご訪問を受けました。複合機とは、プリンター、コピー、ファックス、スキャナーの4つの機能が1台に納められている機械で、各機能を有する機械を1台づつそろえるより、省スペースになる優れものです。デメリットとしては、一つの機能が壊れると、買い換え費用が高かったりする点でしょうか。この点、レンタルだと、その費用面を補ってくれるので助かりますね。

ただ、ご説明を受けたのですが、我が事務所の使用形態でも、レンタル費用が月当たり1万円~1万5千円、紙1枚当たり5円程のランニングコストを請求されるようで、合計で月当たり2万円位になりそうです。

我が事務所では、プリンターは、執筆する関係上、レーザープリンターが前からありますし、また、スキャナー(コピーもできる)は、昨年末年賀状作成用に買ったものがありますし、さらに、ファックスは、大学時代の友人たちからいただいたため、今のところ不自由はないですね。
ただ、コピーやスキャナーの読み込みが遅いので、大量のコピー等があるときは、どうしようかと思っています。おそらく、これに関する不満がつのった頃に、レンタルへ移行しようかと考えました。

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2009.04.14 Tue l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成19年度 行政書士試験 問題17は、「行政事件訴訟法の訴訟類型の選択」に関する問題でした。

この手の、訴訟類型の選択やその要件については、新司法試験では常に問題とされますが、行政書士試験では、これまでは出題がなされたことは少なかったです。
平成20年度試験の記述式も、これに関するものから出題されましたから、今後は、訴訟類型の選択に関する問題は、要注意だと思います。

ただ、この分野は、条文そのままでなく、本問の選択肢2や選択肢4のように、具体的事例と絡めて問題となった場合、非常に難しくなるので、解説を書ける人がほとんどいないような気がします。

現に、本問に関する数社の解答解説は、選択肢2の判例すら載せていませんでした。当方が間違っているのかとも思いますが、非常に驚いています。

したがって、過去問の解答解説を買われるときは、本問の選択肢2や選択肢4の解説がきちんと書かれているかを基準に購入なさるとよいかと思います。

では、平成19年度 行政書士試験 問題17の解答解説を載せておきます。



問題17 行政事件訴訟法上の訴訟類型の選択に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 Xの家の隣地にある逮築物が建築基準法に違反した危険なものであるにもかかわらず、建築基準法上の規制権限の発動がなされない場合、Xは、当該規制権限の不行使につき、不作為違法確認訴訟を提起することができる。

2 Xらの近隣に地方公共団体がごみ焼却場の建設工事を行っている場合、建設工事は処分であるから、Xらは、その取消訴訟と併合して、差止め訴訟を提起し、当該地方公共団体に対して建設工事の中止を求めることができる。

3 Xが市立保育園に長女Aの入園を申込んだところ拒否された場合において、Xが入園承諾の義務付け訴訟を提起する場合には、同時に拒否処分の取消訴訟または無効確認訴訟も併合して提起しなければならない。

4 Xが行った営業許可申請に対してなされた不許可処分について、同処分に対する取消訴訟の出訴期間が過ぎた後においてなお救済を求めようとする場合には、Xは、公法上の当事者訴訟として、当該処分の無効の確認訴訟を提起することができる。

5 X所有の土地について違法な農地買収処分がなされ、それによって損害が生じた場合、Xが国家賠償請求訴訟を提起して勝訴するためには、あらかじめ、当該買収処分の取消訴訟または無効確認訴訟を提起して請求認容判決を得なければならない。




問題17 正解 3
1 妥当でない
 不作為の違法確認訴訟は、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいい (行政事件訴訟法3条5号)、行政庁の不作為一般に対処するものではない。本問のように、行政庁が第三者に対して規制権限を発動しないという不作為が違法であると主張してする訴訟は、もっぱら義務付けの訴えによるべきである。ここに「義務付けの訴え」とは、①行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないとき (②の場合を除く。)、②行政庁に対し一定の処分又は裁決を求める旨の法令に基づく申請又は審査請求がされた場合において、当該行政庁がその処分又は裁決をすべきであるにかかわらずこれがされないときにおいて、行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟をいう (同法3条6号)。
 したがって、Xの家の隣地にある逮築物が建築基準法に違反した危険なものであるにもかかわらず、建築基準法上の規制権限の発動がなされない場合、Xは、当該規制権限の不行使につき、前記①の義務付けの訴えを提起することになる。

2 妥当でない
 判例 (最判昭和39年10月29日) は、「行政事件訴訟特例法1条にいう行政庁の処分とは、所論のごとく行政庁の法令に基づく行為のすべてを意味するものではなく、公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち、その行為によつて、直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められているものをいうものであることは、当裁判所の判例とするところである (最判昭和30年2月24日)。」としている。本判決は、行政事件訴訟特例法1条の「行政庁の違法な処分」についての判例であるが、この判断は、行政事件訴訟法3条2項の「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」の解釈についても基本的に妥当すると解されている。このため、行政事件訴訟法3条2項の規定する「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」とは、公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち、その行為によって、直接国民の権利義務を形成し、又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいうと解されている。
 したがって、仮にXらがゴミ焼却場の建設工事によって、騒音、交通渋滞等の不利益を被ることがあるとしても、当該工事は地方公共団体が公権力の行使により直接Xらの権利義務を形成し、又はその範囲を確定することを法律上認められている場合に該当するものということはできないから、行政事件訴訟法3条2項の規定する「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」にあたらない。よって、Xらは、取消訴訟を提起することはできない (前記昭和39年判決同旨)。
 同様に、差止めの訴えは、行政庁が一定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合に限り、提起することができる (行政事件訴訟法37条の4) のであって、ごみ焼却場の建設工事が行政庁の処分にあたらない以上、当該差止めの訴えも提起することはできない。
■ なお、前記昭和39年判決は、ごみ焼却場の設置という一連の行為を、①用地の買収、②ごみ焼却場の設置の計画、③当該計画案を議会に提出した行為、④建築会社との請負契約、⑤建築工事に分解して一つ一つ分析し、①及び④については私法上の契約であり、②及び③については内部的手続行為であり、⑤については単なる事実行為であるとして処分性を認めなかった。

3 妥当である
 行政庁に対し一定の処分を求める旨の法令に基づく申請がされた場合において、当該行政庁がその申請を拒否する処分を行ったときは、申請をした者は、(拒否処分対応型) 義務付けの訴えを提起することができる (行政事件訴訟法3条6号2号、37条の3第1項2号、同条2項)。
 そして、当該義務付けの訴えを提起するときは、拒否処分に係る取消訴訟又は無効等確認の訴えをその義務付けの訴えに併合して提起しなければならない (同条3項)。
 よって、Xが市立保育園に長女Aの入園を申込んだところ拒否された場合において、Xが入園承諾の義務付け訴訟を提起する場合には、同時に拒否処分の取消訴訟または無効確認訴訟も併合して提起しなければならない。

4 妥当でない
 行政事件訴訟法4条は、「この法律において『当事者訴訟』とは、当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするもの及び公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟をいう。」と規定している。このうち、本条前段の「当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするもの」は、処分又は裁決という公権力の行使を争うものであり、本来は抗告訴訟として提起されるべきものであるが、立法政策により、法令の規定により形式的に当事者訴訟とされていることから「形式的当事者訴訟」と呼ばれている。また、本条後段の「公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟」は、行政庁の処分その他公権力の行使を争うものでなく (その意味で抗告訴訟の性質を有しない)、現在の公法上の法律関係に関する訴訟であることから「実質的当事者訴訟」と呼ばれている。そして、この訴訟は、公法上の法律関係を対象とするものであることから、私法上の法律関係に関する民事訴訟と区別して、「公法上の当事者訴訟」と呼ばれている。
 本選択肢においては、「Xは、公法上の当事者訴訟として、当該処分の無効の確認訴訟を提起することができる」かどうかが問われており、これは、行政庁の処分その他公権力の行使を争うものであるから、形式的当事者訴訟として許されるかが問題となる。
 この形式的当事者訴訟の「当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分」とは、選択肢2で述べた処分性と同様と解されているが、「当事者間の法律関係」とされていることから、当事者間の相互的な権利義務関係 (たとえば、私人相互間の法律関係 (具体例としては、土地の収用等に伴う損失補償をめぐる起業者と土地所有者の関係 (土地収用法48条1項2号、133条))、国民と行政主体の法律関係 (具体例としては、自衛隊の訓練のため漁船の操業の制限等を受けた漁業者の損失補償をめぐる漁業者と国の関係 (自衛隊法105条2項、9項、10項))) を確認等する処分に限られ、国民の権利義務のみを確認等する処分は、これに含まれないと解されている。
 本選択肢において、無効確認の対象は、Xが行った営業許可申請に対してなされた不許可処分であり、当事者間の相互的な権利義務関係を確認等する処分ではない。
 したがって、Xは、公法上の当事者訴訟として、Xに対してなされた営業許可申請に対する不許可処分の無効の確認訴訟を提起することはできない。

5 妥当でない
 判例 (最判昭和36年4月21日) は、行政処分が違法であることを理由として国家賠償の請求をするについては、あらかじめ当該行政処分につき取消し又は無効確認の判決を得なければならないものではないとしている。
 したがって、Xが国家賠償請求訴訟を提起して勝訴するためには、あらかじめ、当該買収処分の取消訴訟又は無効確認訴訟を提起して請求認容判決を得ることを要しない。

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2009.04.13 Mon l 行政書士試験 平成19年度 l コメント (2) トラックバック (0) l top
昨日は、ギリママのお手伝いで、福岡県豊前市(大分県中津市の隣の市)へ、本日は、家族サービスで、佐賀市の北山ダムへ行ってきました。

連日、行楽日和で、どの道路も、いつも以上に混雑していて、運転がしんどかったです。
(関東の道路情報を見て、とてもビックリ! ゴールデンウイークでもないのに、中央道は、八王子から大月まで渋滞していたようです。1,000円の効果ですかねぇ。ちなみに、小生の料金は、900円と800円であるため、いまだ景気浮揚策の恩恵に預かっていません)

昨日は、初めてスマートインターチェンジを通過して高速道路に入りました。
ご存じない方も多いかと思いますが、ETC登載車は、インターチェンジ(I.C.)以外に、高速道のパーキングエリア(P.A.)の裏口からも、高速道路に入ることができるのです。
ショピンクセンターの駐車場の入口の開閉器とほとんど差がない、とてもショボイ代物でしたが、非常に便利だと感じました。
どのP.A.にも設置されてもよさそうなものですが、結構限られたP.A.にしかないんですよねぇ。なぜなんでしょう(設置費用は、さほどかからないように思えますが)?

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2009.04.13 Mon l 福岡便り l コメント (0) トラックバック (0) l top
4日ぶりに第2部をすることができ、1問作成して、気分よく事務所日記を書いている。

本日は、9時15分出勤~掃除~昨日の事務所日記~平成19年度行政書士試験問題16~行政書士業務~第2部は問題作成を行った。

行政書士業務は、成年後見制度の書き足しを行ったが、いまいちのりが悪く、気分転換を兼ねて、かねてより懸案の報酬額表の作成を行った。

報酬額表については、行政書士法10条の2第1項により、その掲示が義務づけられており、罰則も規程されている。
今月号の会報誌「行政書士ふくおか」において、立入調査が行われたこと、事件簿の作成義務及び報酬額の掲示義務違反者があった旨の記事が載っていた。
立入調査などは、当分先のことであろうと思うが、指導を受けるのも癪に障るので、主要な事件名と希望金額を書いて掲示した。
「希望」金額と書いたが、実際のところは、その金額が取れるはずもないので、ちょっと高めにしておいて、お客様の協力の度合いに応じて、その金額から減額していくというのが交渉ごととして良いらしく、当分の間、その手段を使わせていただくことにしている。

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2009.04.11 Sat l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成19年度 行政書士試験 問題16は、「行政不服審査法における審査請求と異議申立て」に関する正誤問題でした。

問題自体は、条文の知識を問うものであり、正解肢で問われている審査請求中心主義は、受験生の常識として知っておくべき事柄でしたから、得点すべき問題でした。

では、平成19年度 行政書士試験 問題16の解答解説を載せておきます。



問題16 行政不服審査法における審査請求と異議申立てに関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1 大臣または外局の長がした処分については、審査請求はできるが、異議申立てはできないのが原則である。

2 審査請求と異議申立ての両方が認められている処分については、そのいずれかを自由に選択できるのが原則である。

3 申請に対する不作為については、審査請求のみが認められ、異議申立てはできないのが原則である。

4 審査請求においては、口頭審理が原則であるが、異議申立てにおいては、書面審理が原則である。

5 処分について、審査請求が認められている場合には、異議申立てはできないのが原則である。





問題16 正解 5
1 妥当でない
 行政庁の処分についての審査請求は、処分庁に上級行政庁があるときにすることができる (行政不服審査法5条1項1号本文) が、処分庁が主任の大臣又は宮内庁長官若しくは外局若しくはこれに置かれる庁の長であるときは、これをすることができない (同号ただし書)。
 処分庁が主任の大臣であるときは内閣が、外局の長であるときは各府省大臣及び内閣が上級行政庁になる (国家行政組織法3条3項等) が、各大臣の行政責任を明確にし、職務上の独立性を尊重する等の観点から、異議申立てを原則とする趣旨である (行政不服審査法6条2号)。

2 妥当でない
 審査請求は、当該処分につき異議申立てをすることができるときは、原則として、異議申立てについての決定を経た後でなければ、することができない (行政不服審査法20条本文)。

3 妥当でない
 行政不服審査法7条は、「行政庁の不作為については、当該不作為に係る処分その他の行為を申請した者は、異議申立て又は当該不作為庁の直近上級行政庁に対する審査請求のいずれかをすることができる。ただし、不作為庁が主任の大臣又は宮内庁長官若しくは外局若しくはこれに置かれる庁の長であるときは、異議申立てのみをすることができる。」と規定している。このように、申請に対する不作為に対しては、原則として、異議申立て又は審査請求のいずれかをすることができる。

4 妥当でない
 審査請求の審理は、原則として、書面による (行政不服審査法25条1項本文)。したがって、「審査請求においては、口頭審理が原則である」との記述は、妥当でない。
 なお、同条項は、処分についての異議申立てにも準用されている (同法48条) から、後半部分は妥当である。

5 妥当である
 行政不服審査法は、処分庁に上級行政庁があるときは原則として審査請求だけをすることができるとし (同法5条1項)、上級行政庁がなくとも法律で審査請求が認められているときには異議申立てをすることができないとし (同法6条)、審査請求中心主義を採っている。
 したがって、処分について、審査請求が認められている場合には、異議申立てはできないのが原則である。

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2009.04.10 Fri l 行政書士試験 平成19年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top

昨日の事務所日記を書いている。

昨日も第2部は、なしとなったが、第1部は、9時15分出勤~掃除~事務所日記~平成19年度行政書士試験問題15~業務といつもどおりとなった。

原稿料の件で先方に御礼を申し上げたところ、次回の仕事をいただけるとのことであった。執筆関係の仕事は、少しずつ増えつつあり、嬉しい限りだが、行政書士業務関係の仕事を早く受けられるように、種まきをしなければと、少々あせっている。

行政書士業務関係では、昨日は、成年後見制度について執筆を行ったが、実務では、制度の法的性格等の学問的事柄よりも、手続・期間・費用の点に関心があると予想されるため、その手の資料集めが結構たいへんである。
法務省のホームページと公証人連合会のホームページとで内容的に若干の違いがあったりすると、もはや当方では、いずれが正しいか判断することはできず、誤魔化して執筆せざるを得ないのが悲しいところである。

成年後見制度の概要(成年後見制度をご存じない方のために!)

 精神上の障害 (精神障害,知的障害,認知症等) によって判断能力が十分でない方にとっては,預貯金等の財産を管理したり,身のまわりの世話のために介護等のサービスや施設への入所に関する契約を結んだり,遺産分割の協議をしたりする必要があっても,自分でこれらのことをするのが難しい場合があります。また,自分に不利益な契約であってもよく判断ができずに契約を結んでしまい,悪徳商法の被害にあうおそれもあります。このような判断能力が十分でない方を保護し,支援するために設けられているのが成年後見制度です。
 成年後見制度は、大きく分けると、本人等の請求に基づいて家庭裁判所が成年後見人等を選任する法定後見制度と本人との契約により任意後見人を選任する任意後見制度の二つがあります。

【成年後見制度】

 
成年後見人等の選任
選任時期
仕事開始時期
法定後見制度
本人が成年後見人等を選任することは困難
→家庭裁判所が選任
判断能力が衰えた後
判断能力が衰えた後
任意後見制度
本人が任意後見人を選任することが可能
→本人との契約により選任
判断能力が衰える前
判断能力が衰えた後

なお、成年後見制度は、本人の判断能力が衰えた後に成年後見人等の仕事が開始されます。判断能力が衰えていないが身体能力が衰えて不自由を感じ (たとえば、足が不自由になって、銀行に行くこともできない)、誰かに財産管理等の事務をお願いする場合は、委任契約という別個の制度を利用することになります。

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2009.04.10 Fri l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成19年度 行政書士試験 問題15は、「行政不服審査法の定める執行停止」に関する空欄補充問題でした。

処分の執行不停止が原則であることは、この世界では、常識として知っておくべき事柄であり、他の空欄も、若干細かい条文知識は要求されるものの、論理的に考えればそれほど難しいものでなく、得点すべき問題でした。

では、平成19年度 行政書士試験 問題15の解答解説を載せておきます。



問題15 次の文章の空欄 〔 ア 〕 ~ 〔 キ 〕 のうち空欄 〔 A 〕 と同じ言葉が入るものはいくつあるか。

 行政不服審査法に基づき審査請求がなされたとき、処分の効力、処分の執行、手続の続行の全部又は一部の停止その他の措置を行うか行わないかに関して、行政不服審査法34条1項は、行政事件訴訟法と同様、〔 A 〕 原則を選択している。私人の権利利益救済の観点からは 〔 ア 〕 原則が望ましく、公益を重視する観点からは 〔 イ 〕 原則が望ましいといえる。
 行政不服審査法の下においては、処分庁の上級行政庁である審査庁は職権により〔 ウ 〕 をすることができる。これに対して、処分庁の上級行政庁以外の審査庁は、審査請求人の申立てにより〔 エ〕 とすることができるのみであり、裁判所と同様、職権により 〔 オ 〕 とすることはできない。これは、処分庁の上級行政庁である審査庁は、処分庁に対して一般的指揮監督権を有するから、職権に基づく 〔 カ 〕 も一般的指揮権の発動として正当化されるという認識による。
 なお、国税通則法105条1項のように、個別法において 〔 キ 〕 原則に修正が加えられている場合もある。

1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ
5 五つ

(参考) 国税通則法105条1項「国税に関する法律に基づく処分に対する不服申立ては、その目的となった処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない。ただし、その国税の徴収のため差し押えた財産の滞納処分 (その例による処分を含む。以下この条において同じ。) による換価は、その財産の価額が著しく減少するおそれがあるとき、又は不服申立人 (不服申立人が処分の相手方でないときは、不服申立人及び処分の相手方) から別段の申出があるときを除き、その不服申立てについての決定又は裁決があるまで、することができない。」




問題15 正解 2
 行政不服審査法34条1項は、「審査請求は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない。」と規定し、執行不停止原則を定めている。私人の権利救済という観点からは、審査請求の対象となった処分について執行を停止することが望ましいが、濫訴の誘発を防止し、行政の停廃や行政運営の不当な阻害を防ぐという公益を重視する観点からは執行不停止原則が望ましいといえ、行政不服審査法は、立法政策として執行不停止原則を採ったものといえる。
 しかし、私人の権利救済の実効性を保つために処分の執行を停止すべき場合もあることから、同法34条2項は、「処分庁の上級行政庁である審査庁は、必要があると認めるときは、審査請求人の申立てにより又は職権で、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止その他の措置 (以下「執行停止」という。) をすることができる。」と規定し、執行停止を定めている。このように、処分庁の上級行政庁である審査庁が職権により執行停止をすることができるのは、当該審査庁が処分庁に対して一般的指揮監督権を有するからである。
 これに対して、処分庁の上級行政庁以外の審査庁は、職権による執行停止をすることができず、審査請求人の申立てをまって執行停止をすることができるにすぎない。同法34条3項本文は、「処分庁の上級行政庁以外の審査庁は、必要があると認めるときは、審査請求人の申立てにより、処分庁の意見を聴取したうえ、執行停止をすることができる。」とし、これを確認している。
 なお、国税通則法105条1項は、「国税に関する法律に基づく処分に対する不服申立ては、その目的となつた処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない。ただし、その国税の徴収のため差し押えた財産の滞納処分 (その例による処分を含む。以下この条において同じ。) による換価は、その財産の価額が著しく減少するおそれがあるとき、又は不服申立人 (不服申立人が処分の相手方でないときは、不服申立人及び処分の相手方) から別段の申出があるときを除き、その不服申立てについての決定又は裁決があるまで、することができない。」と規定し、個別法において執行不停止原則に修正を加えている。
■ 執行停止の内容としては、①処分の効力の停止、②処分の執行の停止、③手続の続行の停止、④その他の措置 (たとえば、原処分に代わる仮の処分をする等。具体的には、営業許可取消処分に代えて一定期間の営業停止処分をする等) があり、処分庁の上級行政庁である審査庁は、このすべてをすることができるが、処分庁の上級行政庁以外の審査庁は、④のその他の措置をすることはできない (行政不服審査法34条3項ただし書)。

以上により、空欄A及び空欄ア~キは、次のようになる。
A 執行不停止
ア 執行停止
イ 執行不停止
ウ 執行停止
エ 執行停止
オ 執行停止
カ 執行停止
キ 執行不停止

以上により、空欄Aには「執行不停止」が入り、これと同じ言葉が入るものは、イ・キの二つであり、正解は2になる。

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2009.04.09 Thu l 行政書士試験 平成19年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
昨日の事務所日記を書いている。

昨日は、9時15分出勤~掃除~事務所日記~平成19年度行政書士試験問題14~講演会用の原稿の執筆を行った。

講演会用の原稿については、成年後見制度を書き終え、内容の足りない部分や見やすいメリハリをつける段階になった。
自民党では、住宅の購入・改修資金に充てることを条件に贈与税の非課税枠を現行の110万円から610万円へ500万円上積みする案がでているようだが、その部分も付け加えておこう。

第2部は、娘の添い寝で当方が眠ってしまい、なしとなった。
当ブログでは、何度か書いているが、九州地方はヒノキのカフンが最盛期で、くしゃみや咳でよく眠れない日々が続いている疲れがあるようである。
一昨日もそうだったが、今日も妻の残業のため、第2部をすることができそうにない。
そろそろ、作問の締切が迫っているので、第1部に食い込ませて執筆せざるを得ない状況になりつつある。

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2009.04.09 Thu l 事務所日記 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成19年度 行政書士試験 問題14は、「行政不服審査法」全般に関する正誤問題でした。

条文レベルの問題であり、得点すべき問題でした。

では、平成19年度 行政書士試験 問題14の解答解説を載せておきます。


問題14 行政不服審査法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 処分についての審査請求は、処分庁以外の行政庁に対して行うものであるが、審査請求書を処分庁に提出して、処分庁を経由する形で行うこともできる。

2 行政不服審査法は、不服申立ての対象となる「行政庁の処分」につき、いわゆる一般概括主義をとっており、不服申立てをすることができない処分を、同法は列挙していない。

3 再審査請求は、処分についての審査請求の裁決により権利を害された第三者で、自己の責めに帰することができない理由により手続に参加できなかった者が行うものであるから、再審査請求期間についての規定はない。

4 行政不服審査法は、行政の適正な運営の確保も目的としているので、裁決で処分を変更する場合、審査庁は、審査請求人の不利益に当該処分を変更することを命じることもできる。

5 審査請求人の地位は、一身専属的な法的地位であるので、審査請求人が死亡した場合には、相続人等に承継されることはなく、当該審査請求は、却下裁決をもって終結する。





問題14 正解 1
1 正しい
 処分についての審査請求は、①処分庁に上級行政庁があるとき (処分庁が主任の大臣又は宮内庁長官若しくは外局若しくはこれに置かれる庁の長であるときを除く。) にあっては、法律 (条例に基づく処分については、条例を含む。) に特別の定めがある場合を除くほか、処分庁の直近上級行政庁に、②①に該当しない場合であった、法律 (条例に基づく処分については、条例を含む。) に審査請求をすることができる旨の定めがあるときにあっては、当該法律又は条例に定める行政庁に対してする (行政不服審査法5条2項)。
 また、審査請求は、処分庁を経由してすることもできる (同法17条1項)。

2 誤り
 行政不服審査法は、不服申立ての対象となる「行政庁の処分」につき、いわゆる一般概括主義をとっている (同法4条1項本文) が、不服申立てをすることができない処分についても列挙している (同項ただし書)。
 したがって、「不服申立てをすることができない処分を、同法は列挙していない」との記述は誤りであ。

3 誤り
 再審査請求は、処分についての審査請求の裁決に不服がある者がすることができる (行政不服審査法8条1項)。したがって、「再審査請求は、処分についての審査請求の裁決により権利を害された第三者で、自己の責めに帰することができない理由により手続に参加できなかった者が行う」との記述は誤りである。
 また、当該請求は、審査請求についての裁決があつたことを知つた日の翌日から起算して30日以内にしなければならない (同法53条)。したがって、「再審査請求期間についての規定はない」との記述も誤りである。

4 誤り
 行政不服審査法は、行政の適正な運営の確保も目的としている (同法1条1項)。しかし、裁決で処分を変更する場合、審査庁は、審査請求人の不利益に当該処分を変更することはできない (同法40条5項)。
 したがって、「裁決で処分を変更する場合、審査庁は、審査請求人の不利益に当該処分を変更することを命じることもできる」との記述は誤っている。
 なお、審査庁は、処分を変更することはできるが、処分を変更することを「命ずる」ことはできない点でも誤っている。

5 誤り
 行政不服審査法37条1項は、「審査請求人が死亡したときは、相続人その他法令により審査請求の目的である処分に係る権利を承継した者は、審査請求人の地位を承継する。」と規定している。

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2009.04.08 Wed l 行政書士試験 平成19年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top