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平成20年度 行政書士試験 問題55は、「e-文書通則法」に関する問題であった。

(本法は、平成17年4月1日に施行されたが)平成17年度本試験以来、毎年出題予想をしていた法律であり、ようやく出題された! という感じである。
今後も出題される可能性のある法律であり、注意を要する(ただ、本年度試験は、情報通信技術利用法が出題されるのではないかと予想している)。

この法律を学習なさっている方にとっては、それほど難しい問題ではなかったのではないかと思うが、法律の条文そのままでなく、「紙で作成された書類をスキャナで読み込んだイメージファイルなど (電子化文書)」「情報のディスプレイ表示」などというように条文が具体化された形で出題されたため、若干とまどったのではないかと推測される。
なお、選択肢4の表現とWeb上の文章とが、まったく一致しているのは、なぜだろうか?

では、平成20年度 行政書士試験 問題55の解答解説を載せておく。

問題55 いわゆる「e‐文書通則法」*に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1 この法律は、法令の規定により民間事業者等が行う書面の保存等に関し、電磁的方法により行うことを義務づけるに際しての共通事項を定めるものである。

2 この法律は、文書内容の重要性や改ざんのおそれ等に応じて、書面の電子保存の具体的な方法や要件を統一的に定めている。

3 この法律は、地方公共団体が条例や規則により書面による保存等を義務づけている文書についても直接に適用される。

4 この法律は、紙で作成された書類をスキャナで読み込んだイメージファイルなど (電子化文書) も一定の技術要件を満たせば原本とみなすことを認めている。

5 この法律は、書類の作成と保存については電磁的方法によることを認めたが、利用段階で書面の縦覧等に代えて情報のディスプレイ表示を利用することは認めていない。

(注)  *民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律


問題55 正解 4
1 妥当でない
 e‐文書通則法は、法令の規定により民間事業者等が行う書面の保存等に関し、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法 (以下「電磁的方法」という。) により行うことができるようにするための共通する事項を定めることにより、電磁的方法による情報処理の促進を図るとともに、書面の保存等に係る負担の軽減等を通じて国民の利便性の向上を図り、もって国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする (同法1条)。
 このように、電磁的方法により行うことを義務づけるものではない。

2 妥当でない
 e‐文書通則法は、民間事業者等は、保存のうち当該保存に関する他の法令の規定により書面により行わなければならないとされているもの (主務省令で定めるものに限る。) については、当該法令の規定にかかわらず、主務省令で定めるところにより、書面の保存に代えて当該書面に係る電磁的記録の保存を行うことができると規定するのみである (同法3条)。

3 妥当でない
 e‐文書通則法は、法令の規定により民間事業者等が行う書面の保存等を対象としており (同法1条)、ここに「法令」とは、法律及び法律に基づく命令をいう (同法2条2号)。したがって、地方公共団体が条例や規則により書面による保存等を義務づけている文書については、直接には適用されない。

4 妥当である
 e‐文書通則法は、初めから電子的に作成された文書 (電子文書) の保存だけではなく、紙で作成された書類をスキャナ等で読み込んだイメージファイルなど (電子化文書) も、個別の法令が求める一定の技術要件を満たせば原本とみなすことができるとしている (同法3条2項、4条2項、5条2項、6条2項)。
※ 電子署名及び認証業務に関する法律は、電子文書を対象としている。

5 妥当でない
 e‐文書通則法は、書面の作成と保存について電磁的方法によることを認めた (同法3条、4条) だけでなく、書面の縦覧等に代えて情報のディスプレイ表示を利用することを認めている (同法5条)。

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2009.03.09 Mon l 行政書士試験 平成20年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成20年度 行政書士試験 問題54は、「個人情報保護法と行政機関個人情報保護法の比較」に関する問題でした。

このような比較の問題は、実質的に2問分の問題を解くのと同じであり、かなりたいへんです。知らない知識が出題されていたら、時間をかけることなく、より妥当らしい選択肢を選んで、時間を節約するようにして下さい。

では、平成20年度 行政書士試験 問題54の解答解説を載せておきます。



問題54 個人情報保護法*1と行政機関個人情報保護法*2とを比較した次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1 個人情報の定義について、個人情報保護法における「個人情報」は死者を含まないが、行政機関個人情報保護法における「個人情報」は死者を含む概念である、と定められている。

2 行政機関個人情報保護法にいう「個人情報ファイル」とは、保有個人情報を含む情報の集合物で体系性、検索性のあるもののことをいい、これは個人情報保護法にいう「保有個人データ」という概念にほぼ等しい。

3 行政機関個人情報保護法では、法人が個人と同様に自己を本人とする情報の開示・訂正等を請求することはできないが、民間部門を対象とする個人情報保護法ではこれが認められている。

4 行政機関個人情報保護法に基づく訂正請求は、その前に開示請求を行わなければならないが、個人情報保護法に基づく訂正の求めの場合には、開示の求めを前置することは要件ではない。

5 開示決定等についての不服申立て案件に関して、行政機関個人情報保護法は情報公開・個人情報保護審査会への、個人情報保護法は認定個人情報保護団体への諮問を予定している。

(注) *1 個人情報の保護に関する法律
   *2 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律

問題54 正解 4
1 妥当でない。
 個人情報保護法において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの (他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。) をいう (同法2条1項)。
 また、行政機関個人情報保護法も同様である (同法2条2項)。

2 妥当でない。
 前半部分は正しい (行政機関個人情報保護法2条4項)。
 これに対して、個人情報保護法にいう「保有個人データ」とは、個人情報取扱事業者が、開示、内容の訂正、追加又は削除、利用の停止、消去及び第三者への提供の停止を行うことのできる権限を有する個人データであって、その存否が明らかになることにより公益その他の利益が害されるものとして政令で定めるもの又は1年以内の政令で定める期間以内に消去することとなるもの以外のものをいう (同法2条5項)。

3 妥当でない。
 個人情報保護法及び行政機関個人情報保護法は、個人に関する情報のみを保護の対象としており、法人その他の団体の情報はこれに含まれない (個人情報保護法2条1項、行政機関個人情報保護法2条2項参照)。

4 妥当である。
 行政機関個人情報保護法は、これに基づく訂正請求について開示請求前置主義を採っている (同法27条)。なぜなら、開示請求に基づいて開示決定がなされ、これにより開示された保有個人情報について訂正請求を認めるほうが、その対象を限定することができ、制度の安定的運用に資することができるからである。
 これに対して、個人情報保護法は、開示の求めを前置することを訂正の求めの要件とはしていない (同法26条参照)。

5 妥当でない。
 個人情報保護法には、開示決定等についての不服申立ての規定は存在しない。
これに対して、行政機関個人情報保護法は、開示決定等について行政不服審査法による不服申立てがあったときは、当該不服申立てに対する裁決又は決定をすべき行政機関の長は、原則として、情報公開・個人情報保護審査会に諮問しなければならない (同法42条)。

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2009.03.08 Sun l 行政書士試験 平成20年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成20年度 行政書士試験 問題53は、「行政機関個人情報保護法」に関する問題でした。

本ブログの「行政書士試験 試験対策」において書いたように、一般知識の政治・経済・社会の問題は、あまりにも広範囲に及び、かつ、難易度の高い問題が出題される可能性が高いため、確実に得点をすることができる情報通信・個人情報保護に関する法令問題を必ず押さえるようにすることが合格への近道であると私は考えています。

本問も基本的には、条文そのままの問題であり、条文になじんでいる方なら、得点することができただろうと思います。
ただ、個数問題であり、かつ、設問イの記述が若干曖昧であるため、この設問でつまづいた方がいらっしゃるかもしれません、行政書士試験では、若干曖昧な記述がなされることがあるので、その場合の個数問題は、「完全に誤りでないので、疑義を残しつつ、妥当であると判断」位に思って解いて行ってください。

では、平成20年度 行政書士試験 問題53の解答解説を載せておきます。


問題53 行政機関個人情報保護法*に関する次のア~オの記述のうち、妥当なものはいくつあるか。

ア この法律は、個人情報を取り扱う国の行政機関の遵守義務を定めることにより、行政の適正かつ円滑な運営を図りつつ、個人の権利利益を保護することを目的とする。

イ この法律における「行政機関」とは、個人情報データベース等を行政運営に用いる国の行政機関であって、独立行政法人等を除いたものをいう。

ウ 行政機関の長は、利用目的の達成に必要な範囲内で、保有個人情報を過去または現在の事実と合致させるよう努めなければならない。

エ 保有個人情報の開示請求は、行政機関の長に対し、開示請求者の氏名および住所等の所定事項を記載した開示請求書を提出して行わなければならない。

オ 行政機関の長は、開示請求に係る保有個人情報に不開示情報が含まれている場合には、開示請求者に対し、原則として当該保有個人情報を開示してはならない。

1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ
5 五つ

(注)  *行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律


問題53 正解 4
ア 妥当である。
 行政機関個人情報保護法1条は、「この法律は、行政機関において個人情報の利用が拡大していることにかんがみ、行政機関における個人情報の取扱いに関する基本的事項を定めることにより、行政の適正かつ円滑な運営を図りつつ、個人の権利利益を保護することを目的とする。」と規定している。

イ 妥当である。
 行政機関個人情報保護法2条1項は、この法律において「行政機関」とは、①法律の規定に基づき内閣に置かれる機関 (内閣府を除く。) 及び内閣の所轄の下に置かれる機関、②内閣府、宮内庁並びに内閣府設置法第49条第1項及び第2項に規定する機関 (これらの機関のうち第4号の政令で定める機関が置かれる機関にあっては、当該政令で定める機関を除く。)、③国家行政組織法第3条第2項に規定する機関 (第5号の政令で定める機関が置かれる機関にあっては、当該政令で定める機関を除く。)、④内閣府設置法第39条及び第55条並びに宮内庁法第16条第2項の機関並びに内閣府設置法第40条及び第56条 (宮内庁法第18条第1項において準用する場合を含む。) の特別の機関で、政令で定めるもの、⑤国家行政組織法第8条の2の施設等機関及び同法第8条の3の特別の機関で、政令で定めるもの、⑥会計検査院をいうと規定している。このように、本法は、基本的には、内閣を除く国のすべての行政機関を対象にしている。したがって、本法の行政機関とは、個人情報データベース等を行政運営に用いる国の行政機関であるということができる。
 また、独立行政法人等については、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律により規律されているため、当該行政機関には含まれない。

ウ 妥当である。
 行政機関個人情報保護法5条は、「行政機関の長 (第2条第1項第4号及び第5号の政令で定める機関にあっては、その機関ごとに政令で定める者をいう。以下同じ。) は、利用目的の達成に必要な範囲内で、保有個人情報が過去又は現在の事実と合致するよう努めなければならない。」と規定している。

エ 妥当である。
 行政機関個人情報保護法12条1項は、「何人も、この法律の定めるところにより、行政機関の長に対し、当該行政機関の保有する自己を本人とする保有個人情報の開示を請求することができる。」と規定し、行政機関個人情報保護法13条1項は、開示請求は、①開示請求をする者の氏名及び住所又は居所、②開示請求に係る保有個人情報が記録されている行政文書の名称その他の開示請求に係る保有個人情報を特定するに足りる事項を記載した書面 (以下「開示請求書」という。) を行政機関の長に提出してしなければならないと既定している。

オ 妥当でない。
 行政機関の長は、開示請求に係る保有個人情報に不開示情報が含まれている場合において、不開示情報に該当する部分を容易に区分して除くことができるときは、開示請求者に対し、当該部分を除いた部分につき開示しなければならない (行政機関個人情報保護法15条1項)。

以上により、妥当なものは、ア・イ・ウ・エの四つであり、正解は4になる。

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2009.03.06 Fri l 行政書士試験 平成20年度 l コメント (1) トラックバック (0) l top
平成20年度 行政書士試験 問題52は、「循環型社会の形成に関わる法制度」に関する問題であった。

環境関連の問題は、平成19年度本試験にも出題されており、今後とも、出題可能性が高い分野である。ニュースの記事などにおいて、これに関連するものが載っているときは、スクラップする等の方法でまとめておくことをお勧めする。

さて、本問の難易度であるが、設問イ、ウ、エの順番については、設問との関係で、論理的に考えれば分かることであるし、設問アの法律名を知っていなくとも、最近の立法制度(まず、「基本法」と呼ばれる法律を制定し、これを一般法として、各分野の特殊事情については個別法によって対応するという立法制度)を知っていれば、「基本法」とされているものではないかとの推測がつく。
ただ、本問では、厄介なことに、設問ア~エまででは、決着がつかない。そこで、設問オを見ると、「拡大生産者責任」と「拡大製造物責任」とあり、「拡大製造物責任」は、製造物責任法との関連用語であり、本問で問題となっている循環型社会形成推進基本法とは、関連がないのではないかと推測して選択肢2であることを確定すればよい。それほど難しい問題ではない感じがする。なお、「拡大製造物責任」という用法は、存在しないようである。

では、平成20年度 行政書士試験 問題52の解答解説を載せておきます。


問題52 次の文章は、循環型社会の形成に関わる法制度を説明しているが、文中の空欄〔 ア 〕~〔 オ 〕 に当てはまる語句の組合せとして最も妥当なものはどれか。

 循環型社会の形成に関する施策の基本となる事項を定め、循環型社会の形成のための施策を総合的・計画的に推進することを目的として、2000年に 〔 ア 〕 が制定された。これより先、1991年には、廃棄物の増加を背景に、資源の有効利用を促進するために「再生資源の利用の促進に関する法律」 (通称リサイクル法) が制定されていたが、新しい 〔 ア 〕 の下では、天然資源の消費を抑制し、環境への負荷をできるだけ抑制するために、一般に「3R」と言われているように、まずは 〔 イ 〕 が、次いで 〔 ウ 〕 が、そして第三に 〔 エ 〕 が確保されるべきであり、さらに第四として熱回収、最後に適正処分という優先順位が明確に法定されたことが重要である。また国や地方公共団体の責務のほかに、事業者の責任については 〔 オ 〕 の考え方が採用された。

      ア        イ       ウ     エ        オ
1 循環型社会形成  再使用  再生利用 資源回収 拡大製造物責任
  推進基本法    

2 循環型社会形成  発生抑制 再使用  再生利用 拡大生産者責任
  推進基本法    

3 循環型社会形成の 再生利用 発生抑制 再商品化 拡大瑕疵担保責任
  推進に関する法律 

4 循環型社会形成  発生抑制 再使用  再生利用 拡大製造物責任
  推進基本法    

5 循環型社会形成の 発生抑制 再使用  資源回収 拡大生産者責任
  推進に関する法律 




問題52 正解 2
ア 循環型社会形成推進基本法

イ 発生抑制
 循環型社会形成推進基本法において「循環型社会」とは、製品等が廃棄物等となることが抑制され、並び に製品等が循環資源となった場合においてはこれについて適正に循環的な利用が行われることが促進され、及び循環的な利用が行われない循環資源については適正な処分 (廃棄物としての処分をいう。) が確保され、もって天然資源の消費を抑制し、環境への負荷ができる限り低減される社会をいうと規定している (同法2条1項)。
 この規定からも明らかなように、3Rの第1は、「発生抑制 (Reduce)」である。

ウ 再使用
 循環型社会形成推進基本法は、循環資源の循環的な利用及び処分の基本原則についても定めを置いており、その7条は、循環資源の循環的な利用及び処分に当たっては、技術的及び経済的に可能な範囲で、かつ、次の①~④に定めるところによることが環境への負荷の低減にとって必要であることが最大限に考慮されることによって、これらが行われなければならないと定めている。
① 循環資源の全部又は一部のうち、再使用をすることができるものについては、再使用がされなければならない。
② 循環資源の全部又は一部のうち、①による再使用がされないものであって再生利用をすることができるものについては、再生利用がされなければならない。
③ 循環資源の全部又は一部のうち、①による再使用及び②による再生利用がされないものであって熱回収をすることができるものについては、熱回収がされなければならない。
④ 循環資源の全部又は一部のうち、①~③による循環的な利用が行われないものについては、処分されなければならない。
 この規定からも明らかなように、3Rの第2は、「再使用 (Reuse)」である。

エ 再生利用
 設問ウの解説参照。3Rの第3は、「再生利用 (Recycle)」である。

オ 拡大生産者責任
 拡大生産者責任 (Extended Producer Responsibility: EPR) とは、生産者が製品の生産の段階だけでなく、処分に至るまで一定の責任を負うことをいう。循環型社会形成推進基本法は、「事業者は、基本原則にのっとり、その事業活動を行うに際しては、原材料等がその事業活動において廃棄物等となることを抑制するために必要な措置を講ずるとともに、原材料等がその事業活動において循環資源となった場合には、これについて自ら適正に循環的な利用を行い、若しくはこれについて適正に循環的な利用が行われるために必要な措置を講じ、又は循環的な利用が行われない循環資源について自らの責任において適正に処分する責務を有する。」と規定している (同法11条1項)。

以上により、正解は2になる。

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2009.03.05 Thu l 行政書士試験 平成20年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成20年度 行政書士試験 問題51は、「日本の社会保障制度」に関する問題でした。

社会保障の分野から出題されるのは、平成15年本試験以来実に5年ぶりのことで、本当に待っていましたという感じです。

社会保障全般からの出題でしたが、組合せ問題であったため、設問アが妥当であると判断された方にとっては、設問イと設問ウのいずれがより妥当かという判断を求められるにすぎず、その意味では簡単な問題だったのではないかと思います。

では、平成20年度 行政書士試験 問題51の解答解説を載せておきます。

問題51 日本の社会保障制度に関する次のア~オの記述のうち、妥当なものの組合せはどれか。

ア 社会保障制度は、社会保険、公的扶助、公衆衛生、社会福祉の四つの柱から成り立つとされている。

イ 医療保険は、民間の給与所得者などを対象とする健康保険、農業・自営業者などを対象とする国民健康保険、公務員などを対象とする共済組合保険などに分立している。

ウ 生活保護の受給者については、生活保護による給付があるため、介護保険の披保険者にならない制度がとられている。

エ 介護保険法では、介護サービスを利用する際の利用者負担として費用の1割を負担する原則がとられているが、市町村の条例によってこの負担割合を増減することができる。

オ 年金保険の財源調達方式について、かつては賦課方式を採用していたが、制度改正により、しだいに積立方式に移行している。

1 ア・イ
2 ア・ウ
3 イ・エ
4 ウ・オ
5 エ・オ

問題51 正解 1
ア 妥当である。
 1950 (昭和25) 年の社会保障制度審議会勧告において、「社会保障制度とは、疾病、負傷、分娩、廃疾、死亡、老齢、失業、多子その他困窮の原因に対し、保険的方法又は直接公の負担において経済保障の途を講じ、生活困窮に陥ったものに対しては、国家扶助によって最低限度の生活を保障するとともに、公衆衛生及び社会福祉の向上を図り、もってすべての国民が文化的成員たるに値する生活を営むことができるようにすることをいう」と定義されている。
※ 「保険」と「扶助」が対比的に用いられることがある。この場合、一般的には、拠出型を「保険」、無拠出型を「扶助」と呼んでいる (たとえば、社会保険と社会扶助 (公的扶助))。

イ 妥当である。

ウ 妥当でない。
 介護保険法は、介護保険の被保険者は、①市町村の区域内に住所を有する65歳以上の者 (以下「第1号被保険者」という。)、②市町村の区域内に住所を有する40歳以上65歳未満の医療保険加入者 (以下「第2号被保険者」という。) のいずれかに該当する者である (同法9条) と規定しており、生活保護の受給者について、これを除外する旨の規定を置いていない。
 なお、市町村は、条例で定めるところにより、特別の理由がある者に対し、保険料を減免し、又はその徴収を猶予することができる (介護保険法142条) から、これにより生活保護の受給者については、その保険料を減免し、又はその徴収を猶予することができる。
※ 第1号被保険者と第2号被保険者では、保険料の負担方法、サービスを受ける条件等が異なる。

エ 妥当でない。
 介護保険法は、介護サービスの利用者は、原則として、費用の1割を負担することとしており (同法41条4項1号等)、これについて市町村の条例によってこの負担割合を増減することができる旨の規定は存在しない。

オ 妥当でない。
 年金保険の主な財源調達方式には、賦課方式 (=その時点の現役世代がその時点の高齢者の年金を負担する方式) と積立方式(=現役世代の間に自分で年金の掛け金を積み立てておき、高齢になってから自分で受け取っていく方式) がある。
 わが国の国民年金を例にとると、その制度の発足時には積立方式が採用されていたが、その後1960~70年代にインフレが続いたことと、制度が生まれた時点ですでに中高年となっていた人々が積み立て不足で年金を十分受けられなくなってしまうため、賦課方式との折衷的な方式 (修正積立方式) に変わり、現在においては賦課方式を基本としている。
※賦課方式によれば、インフレによる悪影響を受けないというメリットがある反面、高齢化が急速に進むと、現役世代の負担が重くなりすぎる (年金保険料が低い水準から急激に上昇し、世代間における保険料負担の格差が大きくなる) というデメリットがある。
これに対して、積立方式によれば、少子高齢化が進んでもその影響を受けにくい (高齢化社会への移行過程の初期においては、積立金を保有することにより、世代間における保険料負担の格差を小さくすることができる) というメリットがある反面、インフレが続くと積み立てたお金の価値が目減りし、老後の生活に必要な年金を受け取れなくなってしまうというデメリットがある。

以上により、妥当なものは、ア・イであり、正解は1になる。

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2009.03.03 Tue l 行政書士試験 平成20年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top