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本日、行政書士試験の指定試験機関である財団法人行政書士試験研究センター(以下「センター」と略称します。)より、令和3年度行政書士試験合格発表がありました。記述式の模範解答も示されたので、雑感を記しておきます。

問題44
 当方の解答は、「行政指導に該当し、文部科学大臣に対し、中止その他必要な措置をとることを求めることができる。」(45字)としました。そして、①「行政指導」、②「文部科学大臣」、③「中止その他必要な措置」がキーワードであり、③については、「勧告の中止だけでなく、勧告する要件を具備していなかった旨の公表等も考えられることから、「中止」のみでは、厳しいかなぁと思います」としました。
 センターの模範解答は、「行政指導に該当し、文部科学大臣に対し、行政指導の中止を求めることができる。」(37字)です。
 上記③については、択一式問題が例年並みだったのか、厳しい採点基準は採られなかったようですね。

問題45
 当方の解答は、、「Cが本件代金債権に譲渡制限がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった場合。」(43 字)としました。そして、①「C」、②「本件代金債権に譲渡制限がされたことを知り」、③「重大な過失によって知らなかった」がキーワードになるとしました。
 センターの模範解答は、「Cが、本件代金債権の譲渡禁止特約につき、知り、又は重大過失により知らなかった場合」(40字)です。
 センターの模範解答では、「譲渡禁止特約につき、知り」となっていますが、初めて出会った表現であり、「譲渡制限特約につき、悪意」の方が自然ではないかと思います。
 また、センターの模範解答では、「重大過失」となっていますが、これまた初めて出会った表現であり、「重大な過失」または「重過失」の方が自然ではないかと思います。
 センターの模範解答により、学ぶこともあります。
 一つは、名詞形で終わるときは、句点は要らないということです。受験指導では、「空欄補充型を除き、句点は、必ず、書いてください。」と指導していましたが、一つ例外が増えましたね。前から気になっていたことなので、一つ疑問が減りました(一般の文章作成のおいては、名詞形で終わるときは、句点をつけませんからね。)
 二つ目は、「Cが」の後に読点を入れる点です。「C」が一つのキーワードになっていることから、これを引き立たせるためにも、入れた方が良いでしょうね。「~が」の後に、読点を入れることは、一般的ではないのですが、読点を入れた文章は、時々見かけます。当方も、執筆の際には、主語を強調する時には入れたりします。そういう意味で、「当方の解答にも、読点を入れた方がよかったなぁ!」と反省しています。。

問題46
 当方の解答は、「Bが責任を負い、Bが損害の発生を防止するのに必要な注意をした場合はAが責任を負う。」(41 字)としました。
そして、①「B」、②「Bが損害の発生を防止するのに必要な注意をした」、③「A」がキーワードになるとしました。
 センターの模範解答は、「甲の占有者Bが責任を負い、Bが損害発生防止のために必要な注意をしたときは所有者Aが負う。」(44字)です。
 センターの模範解答を見て思ったのですが、「占有者」、「所有者」についても配点されているかもしれませんね。当方は、①制限字数、②当然であるとして書きませんでしたが、こうして、模範解答に接してみると、「必要な用語なのかもしれないなぁ!」と反省したところです。

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2022.01.26 Wed l 行政書士試験 令和3年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
 本日、行政書士試験の指定試験機関である財団法人行政書士試験研究センター(以下「センター」と略称します。)より、令和3年度行政書士試験合格発表がありました。

 受験申込者数 61,869 人(令和2年度試験は54,847人、令和元年度試験は52,386人)、受験者総数 47,870人(令和2年度試験は41,681人、令和元年度試験は39,821人)で、合格者は 5,353 人(令和2年度試験は 4,470人、令和元年度試験は4,571人)、合格率は 11.18%(令和2年度試験は10.7%、令和元年度試験は11.5%)でした。
 受験申込者数は、毎年増加中です。自由業に魅力を感じられる方が増えているのでしょうね。

 令和3年度行政書士試験について、試験直後の試験講評において、「令和2年度試験の合格率が10%を少し超えた程度であったため,本年度試験は令和2年度試験並みの難易度であろうと予想していましたが,択一式は予想通りであったものの,記述式はやや易しくなったように感じました。」と書きました、だいたいそのように落ち着いた感じです。

 なお、例年書いていますが、試験当局は、合格率を8%程度(平成26年度試験において救済措置が発動されたことを考えると、「程度」より、「以上」に近い感じがします。) にする意向をもっているように思います 。
 もっとも、合格率が10%を超えたると、これまた問題で、平成29年度試験結果発表後、行政書士のご同輩の方々が、かなり憤っておられたことを覚えています (平成29年度試験の合格率は15.72%)。
 そうなると、試験当局は、センターに合格率8~12%となる問題を作成して欲しいと思っているのではないかと思います(センターも、その範囲で、記述式の採点基準を作っているかもしれませんね。)。
 そういう意味では、本年度試験は、「合格!」なのかもしれません。
 
合格なさった方には、心からおめでとうございますと申し上げます。
努力が実を結びましたね。

 なお、行政書士試験に合格することと、行政書士になる(例えば、行政書士事務所を開業する)こととは、まったく違います。行政書士になることを予定されている方は、きちんと計画を立てられた上で、開業準備をなさってください。

 行政書士になることを予定されている方向けに、例年の記事を修正して再度掲載しておきます(新しい情報があるときは、入れていきます。)

 行政書士になるための費用 (当方が入会当時)は、次のとおりです。
・登録免許税 3万円
・日本行政書士会連合会登録手数料 2万5000円
・福岡県行政書士会入会金 20万円
・行政書士会会費 2万4000円*
・必要諸物品費等(入会式にて)1万2450円
・職印 1万円程度
・名刺 2000円程度
* 福岡県行政書士会福岡中央支部の場合、月8000円であり、1月、4月、7月、10月の3か月ごとに3か月分が徴収されます。内訳は、福岡県行政書士会会費5,500円、福岡県行政書士会福岡中央支部会費2,500円です。なお、最後の支部会費は、各支部ごとに異なっています。福岡中央支部の会費は、福岡県会では、最高額であり、他の支部では、支部会費が1,500円程度のところもあります。
※ 入会手続きは、各単位会(県単位)で異なりますので、まずは、各県の行政書士会のH.P.をご参照ください。

 このほかに、個人開業の場合、原則として、事務所を持たなければなりません(なお、行政書士をしている方の従業員として入る方も多くなりつつあります(この場合は、事務所を持つ必要はありません。)。開業後のことに心配がある方は、こちらも、ご検討なさるとよいかと思います。)。
 自宅で事務所を開業することができますが、いろいろ条件があります(たとえば、①玄関から台所等の家族の生活空間を通らずに事務所としている部屋まで行ける、②お客様のプライバシーに配慮するため事件簿等の秘密とすべき書類を保管できる鍵付きロッカーがあるなど)。ですので、自宅で事務所を開業の方は、まず各都道府県の行政書士会に問い合わせをなさった方がよいでしょう。

 また、今まで学習なさったことと、実務では大きな違いがありますので、各都道府県の行政書士会やその支部で行われている研修などに参加されるのもよいでしょう。
(福岡県会では、支部単位でも積極的に研修会を行っているので、県の行政書士会を通じて、各支部がどのような研修会を行っているのかを聞いて、訪問されるのもよいでしょう。)

 研修などによって行政書士としての技術を磨くことはとても大切なことですが、顧客をつかむ努力は、もっと大変です。 同窓会の幹事になったり、お付き合いの飲み会に自費でたくさん参加したりなど営業努力は並大抵ではありません。
 先輩行政書士に伺った話で印象的な話を一つしておきますね。その方は、行政書士になりたての頃、まったく仕事がなく、建設業の方を電話帳などで調べて、飛込営業に回ったとのことです。それでも、数年は、ほとんど仕事がなく、廃業しようかと思っていたときに、突然電話がかかってきて、建設業許可の更新のご依頼を受け、さらにその方のご紹介などで仕事が増え、現在に至ったとのことでした。 

 でも、行政書士になるとよいこともあります。
 当方であれば、自分で時間の設計をでき、執筆、講義、農業、娘との時間を有意義に送っています。サラリーマンでは、とても困難であり、かつ、許されないことでしょうね。

2022.01.26 Wed l 行政書士試験 令和3年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
令和3年度 行政書士試験 お疲れさまでした。
相当数のアクセスをいただいていたので、記述式の採点基準(笠原の考え)を載せておきます。
ただし、時間との関係で、例年の記事を本年度向けに修正しています。

 毎年書いていることですが、行政書士試験の合格基準①(=行政書士の業務に関し必要な法令等科目の得点が、満点の50パーセント (122点)以上である者)および合格基準②(=行政書士の業務に関連する一般知識等科目の得点が、満点の40パーセント(24点)以上である者)をクリアされた方で、択一式問題 (=5肢択一式+多肢選択式)だけで180点を超えなかった方は、記述式問題の出来如何になりますね。

 記述式問題の採点基準は、公にされていませんが、当方が数年いろいろ試してみた結果や受験生の話を総合すると、キーワードができていれば、点数がもらえる方式(いわゆる「キーワード採点」)になっているように感じます。

 また、近年は、択一式問題が難しかったためか、キーワードもそれほど厳格に採点されていないように感じます(注:本年度、予想される採点基準については、後述します。)。
 例えば、平成26年度行政書士試験では、事例問題であっても、その問題に合わせて記述することが求められていません(たとえば、「A市議会」とすべきところ「議会」でOK。)。
 また、必ずしも法令用語を用いることも要求されていません (たとえば、「指定管理者」とすべきところ、「指定管理団体」でOK!)。

 当方の予想する本年度試験の採点基準は、次のとおりです(あくまでも笠原の私見です)
なお、キーワード採点であり、かつ、各キーワードの配点も記述していますので、当方は採点しません(自己採点をお願いします)。

問題44
当方の解答は、「行政指導に該当し、文部科学大臣に対し、中止その他必要な措置をとることを求めることができる。」(45字)です。
このうち、①「行政指導」、②「文部科学大臣」、③「中止その他必要な措置」がキーワードです。
(当方だったら、①6点、②6点、③8点を振りますね。)
なお、③ですが、勧告の中止だけでなく、勧告する要件を具備していなかった旨の公表等も考えられることから、「中止」のみでは、厳しいかなぁと思います(本年度は、択一式問題の難易度が低下した感じがしますので、記述式問題の採点は厳しくなることが予想されます。)

問題45
当方の解答は、、「Cが本件代金債権に譲渡制限がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった場合。」(43 字)です。
このうち、①「C」、②「本件代金債権に譲渡制限がされたことを知り」、③「重大な過失によって知らなかった」がキーワードです。
(当方だったら、①4点、②8点、③8点を振りますね。)
※「本件代金債権」を入れ忘れたら、4点減点かなぁ。

問題46
当方の解答は、「Bが責任を負い、Bが損害の発生を防止するのに必要な注意をした場合はAが責任を負う。」(41 字)です。
このうち、①「B」、②「Bが損害の発生を防止するのに必要な注意をした」、③「A」がキーワードです。
(当方だったら、①6点、②8点、③6点を振りますね。)
※「B」と「A」を逆にしたら、その部分の点数はないでしょうね。
※「Bが責任を負い」の前に、「まず、」等の言葉を入れるかどうかについてですが、当方は、問題文の聞かれ方から(もし、これを尋ねたいのであれば、例えば、「どのような順序で責任を負うか」という風に聞いてくると思います。)、入れなくてもよい(すなわち、キーワードではない)と考えます。同様の考え方から「過失責任」「無過失責任」に言及する必要はないと考えます。そうは言っても、字数オーバーにならないのであれば、「まず、」という言葉を入れておいた方がよいかもしれません。

★ その他の採点基準
■「誤字・脱字」、「字数制限違反」は減点という感じです。
 ※ 当方が採点基準を設けるとすれば、次のとおりです。
 「誤字・脱字」は、一つについて2点減点。
 「字数制限違反」は、46字~50字は4点減点、50字を超える場合は10点減点。
 なお、文章の最後に付ける句点(=「。」のこと)をつけ忘れた場合は、原則として、誤字・脱字として2点減点になると思います。
 45字のマスを目いっぱいに使っていた場合は、その句点を含めて46字として採点するのが常識的でしょうから、4点減点になると思います(この場合は、誤字・脱字としての2点減点は加算されません。)。

■ 余事記載 (=問題文で問われていないことを書くこと)をしていても、部分点はつきます。
ただ、字数との関係で、キーワードを落としてしまうでしょうから、その部分は得点できないことになりますね。
※  「一つでもキーワードを間違っていると、その問題は、0点とする。」という厳しい採点基準を設けることは理論上可能です。
しかし、記述式問題が40字程度の文章を書かせるようになった平成18年度行政書士試験以降、そのような厳しい基準が設けられたことはありません。

■ 余事記載のうち、キーワードと関連する積極ミスは、そのミスの程度にもよりますが、そのキーワードは0点になると考えます(つまり、誤字のレベルを超えている)。例えば、正答が「家庭裁判所」である場合に、「裁判所」でも点数がもらえるのに、「地方裁判所」と書いたような場合です。

■ 余事記載のうち、キーワードと関連しない積極ミスは、答案の印象を著しく悪くしますが、キーワード採点上、影響しないと考えます。なぜなら、キーワード採点の趣旨は、①時間節約、②採点者ごとのバラツキを抑制することにあると考えられるため、キーワードと関連しない事柄について、採点者の主観を入れたのでは、その趣旨に反するからです。
 最も難しいのは、余事記載がキーワードと関連するかどうかの判断です。本試験において、それをどう処理しているのかは不明です(試験委員に問い合わせるという方法は、試験委員の負担もあり、やっていないでしょうから、基本的に、採点者判断となるのかなぁと考えます。)。当方であれば、キーワードを修飾する言葉かどうかという基準で判断します(例えば、義務付けの訴えの要件を問う問題で、「重大な損害を生ずるおそれ」とすべきところを「著しく重大な損害を生ずるおそれ」としたときは、キーワードと関連する積極ミスと判断します。)。

■ 点数は、2点刻みになっているようです。答案用紙の採点欄は、1から10までのマークシートになっていますからね。

★宣伝1★
来年度も、東京法経学院福岡校にて、本科講義を行います。
(令和4年1月30日(日) 10時から)
本科は、全教科をまんべんなく講義します。
初学者を対象としていますが、本年度試験で知識負けしてしまった方は、本科の受講をご検討なさってください。

★宣伝2★
来年度も、東京法経学院福岡校にて、本科を学ばれた方を対象とする中上級者向け答練と詳細な解説講義の講座を行います。
令和4年1月29日(土)から10時から)。
こちらのコースは、行政書士試験の中心となる行政法・民法の答練から始まる答練中心の講座です。

★宣伝3★
来年度も、東京法経学院「通信講座」にて、上記宣伝2と同じ講義(本科を学ばれた方を対象とする中上級者向け答練と詳細な解説講義の講座)を行います。
令和3年12月下旬から問題発送予定です。

来年度、絶対合格したい方は、いずれかのコースに、ぜひご参加ください。
詳細は、次のサイトをご参照ください。
行政書士 2022年度試験向け 受験対策講座

2021.11.15 Mon l 行政書士試験 令和3年度 l コメント (11) トラックバック (0) l top