平成17年度 行政書士試験 問題56は、「迷惑メール防止法」に関する正誤問題でした。
現行の試験制度(財団法人行政書士試験研究センターが出題するようになった平成12年度 行政書士試験以後)において、初めて出題された法律であり、捨て問としてもかまわないでしょうね。
ただ、今後出題されたときは、得点できるようにしておいてください。
なお、迷惑メール防止法は、平成20年に改正されたので、その点は、必ず押さえておいてください。
一番最後に、概要だけは載せておきます。
では、平成17年度 行政書士試験 問題56の解答解説を載せておきます。
問題56 迷惑メール防止法 (特定電子メールの送信の適正化等に関する法律) に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 受信者が受信拒否の意図を送信者に伝えると、送信者はそれ以降特定電子メールの送信を止めなければならない。
2 大量の架空電子メールアドレスをコンピュータプログラム上で生成し、それらのアドレスに対し、特定電子メールを送信することは禁止されている。
3 特定電子メールを送信する際には、送信者に関する情報 (氏名または名称、住所、メールアドレス) の記述をしなければならない。
4 特定電子メールを送信する際には、メールタイトル部に特定電子メールである旨の記述をしなければならない。
5 特定電子メールを送信者が一時に多数送信した場合であっても、電気通信事業者はこの利用者に対し電気通信役務の提供を拒絶することはできない。
(注) 特定電子メールとは、受信者の同意を得ずに送信される広告宣伝メールを指すものとする。
問題56 正解 4又は5 (なお、平成20年の改正前の法律によれば「5」になる。)
※ 特定電子メールの意味は、平成20年の法改正前は、受信者の同意を得ずに送信される広告宣伝メールを指すものとされていたが、法改正後は、広告宣伝メール一般を指すことになった。これを前提に、解答解説を書くものとする。
1 正しい
迷惑メール防止法3条3項は、「送信者は、第1項各号に掲げる者から総務省令・内閣府令で定めるところにより特定電子メールの送信をしないように求める旨(一定の事項に係る特定電子メールの送信をしないように求める場合にあっては、その旨)の通知を受けたとき(送信委託者がその通知を受けたときを含む。)は、その通知に示された意思に反して、特定電子メールの送信をしてはならない。」と規定している。
2 正しい
迷惑メール防止法6条は、「送信者は、自己又は他人の営業のために多数の電子メールの送信をする目的で、架空電子メールアドレスをそのあて先とする電子メールの送信をしてはならない。」と規定している。
3 正しい
迷惑メール防止法4条1号は、送信者は、特定電子メールの送信に当たっては、総務省令・内閣府令で定めるところにより、その受信をする者が使用する通信端末機器の映像面に、①当該送信者 (当該電子メールの送信につき送信委託者がいる場合は、当該送信者又は当該送信委託者のうち当該送信に責任を有する者) の氏名又は名称、②前条第3項本文の通知を受けるための電子メールアドレス又は電気通信設備を識別するための文字、番号、記号その他の符号であって総務省令・内閣府令で定めるもの、③その他総務省令・内閣府令で定める事項が正しく表示されるようにしなければならないと規定している。また、③の規定をうけて、同法施行規則9条2号は、③の総務省令・内閣府令で定める事項は、①に規定する者の住所とすると規定している
4 誤り (なお、平成20年の改正前の法律によれば「正しい」になる。)
平成20年改正前迷惑メール防止法3条1号は、「送信者は、特定電子メールの送信に当たっては、総務省令で定めるところにより、その受信をする者が使用する通信端末機器の映像面に特定電子メールである旨が正しく表示されるようにしなければならない。」と規定していた。
しかし、平成20年の法改正により、特定電子メールの規制に関し、取引関係にある者への送信等の一定の場合を除き、あらかじめ送信に同意した者に対してのみ送信を認める方式 (いわゆるオプトイン方式) が導入されたため、特定電子メールである旨の表示は、要求されなくなった。
5 誤り
迷惑メール防止法11条は、「電気通信事業者は、送信者情報を偽った電子メールの送信がされた場合において自己の電子メール通信役務の円滑な提供に支障を生じ、又はその利用者における電子メールの送受信上の支障を生ずるおそれがあると認められるとき、一時に多数の架空電子メールアドレスをそのあて先とする電子メールの送信がされた場合において自己の電子メール通信役務の円滑な提供に支障を生ずるおそれがあると認められるとき、その他電子メールの送受信上の支障を防止するため電子メール通信役務の提供を拒むことについて正当な理由があると認められる場合には、当該支障を防止するために必要な範囲内において、当該支障を生じさせるおそれのある電子メールの送信をする者に対し、電子メール通信役務の提供を拒むことができる。」と規定している。
■ 法改正情報
迷惑メール防止法は、平成20年に改正された。主な改正点は、次のとおりである。
① オプトイン方式の導入
() 特定電子メールの規制に関し、取引関係にある者への送信等の一定の場合を除き、あらかじめ送信に同意した者に対してのみ送信を認める方式 (いわゆるオプトイン方式) を導入 (3条1項)
() 同意を証する記録の保存 (3条2項)
() 特定電子メールの送信について、あらかじめ同意した者等からその受信の拒否の通知を受けたときは、以後の送信不可 (3条3項)
② 法の実効性確保
() 送信者情報を偽った電子メールの送信に対する電気通信役務の提供の拒否 (11条)
() 電子メールアドレス等の契約者情報を保有する者 (プロバイダ等) に対する送信者に関する情報提供の求め (29条)
() 送信委託者も報告及び立入検査の対象とする (28条1項)
③ その他
() 海外発国内着の電子メールが法の規律の対象となることを明確化 (2条2号)
() 迷惑メール対策を行う外国執行当局に対し、その職務に必要な情報提供を可能とした (30条)
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