福岡地方は、曇り時々晴れ。
少々寒いですね。

さて、講義をつづけましょう。
P44「民事裁判と刑事裁判」ですね。
裁判は、大きく、民事裁判と刑事裁判に分けることができます。
そして、これに対応して、民事訴訟と刑事訴訟の区別がなされます。
(「訴訟」とは、紛争を解決するにあたって、当事者以外の第三者を関与させ、その判断を仰ぐこと、または、その手続をいいます。対義語は「自力救済」です。)
なお、行政事件訴訟は、民事訴訟の例によることとされています(行政事件訴訟法7条)。

民事裁判と刑事裁判の違いは、P45のとおりです。
試験との関係においては、立証責任が重要です。
民事訴訟の場合、ある事実の存在が認められると自己に有利な法律効果の発生が認められる当事者が立証責任を負います。、
おおざっぱですが、不法行為の場合は「原告」が、契約の場合は「被告」がその証明責任を負います。
(契約でも、その成立を主張するときは「原告」がその責任を負いますが、試験で問われるのは、契約の成立を前提に、それにより発生した債務が消滅したことを主張する場面ですので、弁済の証明責任は、「被告」が負います。)


スポンサーサイト
2017.03.22 Wed l 講義 平成29年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
福岡地方は、晴れで、まぁまぁの天気でしたね。

では、講義を続けましょう。
P38「裁判制度」です。
「裁判」とは、裁判所又は裁判官が、司法権を行使してする、「判決」「決定」又は「命令」をいいます。
「判決」は、請求内容に対する終局的判断をいい、「決定」又は「命令」は、訴訟の進め方や判決をする前提となる争点などについての判断をいいます (「決定」と「命令」の違いは、前者は裁判所という合議体がするものであるのに対して、後者は裁判官という独任制の機関が行います。)。P47を参照のこと。

裁判制度に関する歴史・沿革は、流し読みして、裁判所の組織は、覚えることがたくさんあるので、過去問などで確認しておいてください。
最高裁判所と下級裁判所の比較、最高裁判所長官とその他の裁判官の違いなどに注意されるとよいでしょう。

付け加えるとすれば、上訴(=控訴+上告)制度ですね。
まず、民事訴訟。
1 控訴
 第一審裁判所の判決に不服のある当事者は,上級裁判所に対して控訴をすることができます。たとえば、第一審の地方裁判所の判決に対しては,管轄を有する高等裁判所に対して控訴することができ (裁判所法16条1号)、第一審の簡易裁判所の判決に対しては,地方裁判所に対して控訴することができます (同法24条3号。なお、
この場合は、高等裁判所が上告裁判所となる (同法16条3号))。もっとも、第三審の高等裁判所の判決に対しては,例外的に,憲法問題がある場合には,最高裁判所に上訴することができます。この上訴は,「特別上告」と呼ばれています)。
※ 控訴審は、第一審裁判所の判決に対する当事者の不服の限度において、事実問題 (たとえば、事実の確定) 及び法律問題(たとえば、法律の適用) を併せて審理する続審 (=下級審の審理を基礎としながら、上級審においても新たな訴訟資料の提出を認めて事件の審理を続行する審理方法) です。
  なお、続審のほかに覆審があります。ここに覆審とは、上級審において、下級審とは無関係に訴訟資料を集め、これに基づいて事件の審理をやり直す審理方法をいう。
2 上告
 控訴 (第二審) 裁判所の判決に不服のある当事者は,上告をすることができます。
※ 上告審は、事後審 (=下級審の判断の当否を上級審として審査する審理方法) です。そして、上告裁判所は,原判決におい て適法に確定した事実に拘束される (民事訴訟法321条1項) ため、上告審は、法律問題を審査する法律審です。

次に、刑事訴訟です。
1 控訴
 第一審裁判所の判決に不服のある当事者は,上級裁判所に対して控訴をすることができます。たとえば、第一審の地方裁判所の判決に対しては,管轄を有する高等裁判所に対して控訴することができ (裁判所法16条1号)、
第一審の簡易裁判所の判決に対しては,高等裁判所に対して控訴することができます (同法16条1号)。もっとも、
高等裁判所が第一審である内乱罪等に係る訴訟の場合は,最高裁判所への上告だけが可能です。
※ 控訴審は、基本的には事後審です (審理の対象となるのは、第一審の法令違反の有無である。したがって、法律審となります)。 もっとも、控訴審は、一定の場合において事実の取調べをすることができ (刑事訴訟法393条1項)、この場合には、新たな証拠を取り調べることも可能ですし、破棄自判(=審理を原審である地方裁判所などに差し戻すのではなく、自ら判断をすること)のときは、控訴審において取り調べた証拠に基づいて判決することができる (同法400条ただし書) ことから、続審となることもあります (この審理の対象には、事実認定が問題となるから、事実審となります。)。
  なお、刑事訴訟の控訴審が事後審であることにつき、最高裁判所の判決 (最大判昭和46年3月24日) は、「刑訴法はさらに控訴審の性格を原則として事後審たるべきものとしている。すなわち、控訴審は、第一審と同じ立場で事件そのものを審理するのではなく、前記のような当事者の訴訟活動を基礎として形成された第一審判決を対象とし、これに事後的な審査を加えるべきものなのである」と判示しました。
2 上告
 控訴 (第二審) 裁判所の判決に不服のある当事者は,上告をすることができます。
※ 上告審は、事後審 (=下級審の判断の当否を上級審として審査する審理方法) です。そして、上告審は、原則として、憲法違反又は判例違反の有無を審理する法律審ですが、判決に影響を及ぼすべき重大な事実の誤認がある場合等であって、原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認めるとき、上告裁判所は、事実の取調べをすることができ、判決で原判決を破棄することができます。


2017.03.17 Fri l 講義 平成29年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
福岡地方は、ザ~と一雨ありました。

さぁ、講義を続けましょう。
P33「法令用語」ですね。
追加事項を書いておきますね。

❷ 「適用する」「準用する」・「例による」
(1) 「適用する」
 適用するとは、法令の規定にある事項 (事実) を当てはめることをいいます。
(2) 「準用する」
 準用するとは、ある事項に適用することが予定されている法令の規定を、他の事項について、そのまま、あるいは必要な変更を加えた上で当てはめることをいいます。
 この法令用語は、他の事項について、当該ある事項に関する法令の規定と同一ないし類似する規定を設けるとすると、かえって法令の規定が複雑になるなどの不都合があることから、立法技術として用いられます。
 たとえば、民法19条1項は、「後見開始の審判をする場合において、本人が被保佐人又は被補助人であるときは、家庭裁判所は、その本人に係る保佐開始又は補助開始の審判を取り消さなければならない。」と規定し、同条2項は「前項の規定は、保佐開始の審判をする場合において本人が成年被後見人若しくは被補助人であるとき、又は補助開始の審判をする場合において本人が成年被後見人若しくは被保佐人であるときについて準用する。」と規定しています。
※ ある事項に適用することが予定されている法令の規定を、他の事項について、そのまま、あるいは必要な変更を加えた上で当 てはめることは、「例による」場合と同じであるが、「準用する」は、法令の個々の規定を他の事項に当てはめる場合に用いられま す。
(3) 「例による」
 例によるとは、ある事項に適用することが予定されている法令上の制度 (法律の規定のみならず、その法律に基づいて制定された命令等の規定を含む) を他の事項に、そのまま、あるいは必要な変更を加えた上で当てはめることをいいます。
 たとえば、行政事件訴訟法7条は、「行政事件訴訟に関し、この法律に定めがない事項については、民事訴訟の例による。」と規定しています。

❸ 「及び」・「並びに」
 併合 (並列) 的接続が2段階にわたる場合は、次のようになります。
 {(A1及びA2) 並びにB}

❹ 「又は」・「若しくは」
 選択的接続が2段階にわたる場合は、次のようになる。
 {(A1若しくはA2) 又はB}

その他の法令用語について、追加しておきますね。
1 「取消し」・「撤回」
 講学上 (=「法令上」と区別して、「講学上」と呼ばれることがあります。意味は、学問上という意味です。P313参照)、「取消し」と「撤回」とは、区別されます。
 すなわち、いずれも法律行為の効果を消滅させる意思表示ですが、「取消し」は、法律行為そのものの瑕疵を理由として、既に生じている法律行為の効果を消滅させるものであるのに対し、「撤回」は、法律行為そのものに瑕疵は存しませんが、その後の事情により、その法律行為の効果を存続させることが妥当でないということが生じたときに、将来に向かって法律行為の効果を消滅させるものです (たとえば、民法521条1項、530条、540条2項、550条等)。
 しかし、法令上、「取消し」の用語が、講学上の「撤回」の意味に用いられることがあることは注意が必要です。たとえば、建設業法29条1項3号は、国土交通大臣または都道府県知事は、建設業の許可を受けた建設業者が許可を受けてから1年以内に営業を開始せず、又は引き続いて1年以上営業を休止した場合は、当該建設業者の許可を取り消さなければならないと規定していますが、この規定の場合、建設業の許可を与えたことに瑕疵はなく、後発的事情、すなわち、当該許可を受けた建設業者が許可を受けてから1年以内に営業を開始しないこと等を理由に、国土交通大臣又は都道府県知事は、当該建設業者の許可を取り消すものとしています。したがって、当該取消しは、講学上の「(行政行為の) 撤回」に当たります。

2 「権限」・「権原」
(1) 「権限」
 権限とは、ある行為をすることのできる範囲又は限界を画する概念です。
 たとえば、民法99条1項は、「代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる。」と規定しています。
(2) 「権原」
 権原とは、ある行為をすることを正当とする法律上の原因をいいます。
 たとえば、民法242条は、「不動産の所有者は、その不動産に従として付合した物の所有権を取得する。ただし、権原によってその物を附属させた他人の権利を妨げない。」と規定しています。
※ 両者を区別するため、「権原」を「けんばら」と読むことがあります。

3 「科する」・「課する」
 「科する」は、刑罰、行政罰としての過料等の罰を課す場合に用います。これに対して、「課する」は、義務を課す場合に用います。

2017.03.15 Wed l 講義 平成29年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
福岡地方は、晴れでした。
昨日は、頭痛で一日寝ておりました。
皆さんは、健康に気を付けられてください。

さて、講義をつづけましょう。
P32 法の解釈の続きです。
文理解釈・縮小解釈・拡張解釈と狭義・最狭義・広義の関係です。

分類

意味

犯罪例

解釈方法

最広義

有形力が不法に行使される場合のすべてを含み、その対象は、人でも物でもよい。

騒乱罪

拡張解釈

広義

人に対する不法な有形力の行使を意味するが、その有形力は、必ずしも直接に人の身体に対して加えられることは必要でなく、物に対して加えられた有形力でも、それが人の身体に物理的に強い影響を与えうるものであれば足りる。

・公務執行妨害罪

・強要罪

狭義

不法な有形力の行使が人の身体に対して加えられること

暴行罪

文理解釈

最狭義

人に対し、かつ、その反抗を抑圧するに足りる程度に強度の不法な有形力の行使を意味する

強盗罪

縮小解釈



ここで重要なのは、「暴行」の意味ではなく、解釈方法と、「狭義」、「広義」、「最狭義」等との関係です。
ここでは、「文理解釈」が「狭義の~」となる点は、必ず覚えておいてください。
ここでの知識が、国家賠償法1条の「公権力の行使」の意味(P554)を理解するうえで、役に立ちます。

2017.03.14 Tue l 講義 平成29年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
福岡地方は、よく晴れていますね。
明日の講義に向けて、予習をしています。

講義を続けましょう。
P32の「法の解釈」ですね。

法の解釈では、文理解釈を基本に、縮小解釈、拡張解釈があり、
法の欠缺(=法が存在しない)に備えて、勿論解釈、類推(解釈)、反対解釈がなされます。
(恩師渥美東洋先生からは、「安易な反対解釈をしてはないらない!」と口を酸っぱくして言われたことが今でもよく思い出されます。)

その六つの解釈を覚えておけば十分です。

追加情報は、次のとおりです。

縮小解釈

民法第754条は,「夫婦間でした契約は,婚姻中,いつでも,夫婦の一方からこれを取り消すことができる。ただし,第三者の権利を害することはできない。 」と規定しているが,ここにいう「婚姻中」とは,単に形式的に婚姻が継続しているということだけでなく,実質的にもそれが継続していることをいうとする解釈。「婚姻中」の通常の意味は,形式的に婚姻が継続していることであり,これにつき,実質的にもそれが継続していることをいうと解釈することは,「婚姻中」の通常の意味より限定しているから,この解釈は,縮小解釈である。

拡張解釈

刑法第38条第3項は,「法律を知らなかったとしても,そのことによって,罪を犯す意思がなかったとすることはできない。ただし,情状により,その刑を減軽することができる。」と規定しているが,ここにいう「法律」には,政令等が含まれるという解釈。「法律」の通常の意味は,国会が制定した法律であるが,これに政令等が含まれると解釈することは,「法律」について通常の意味より広げているから,この解釈は,拡張解釈である。

勿論解釈

皇室典範21条本文は,「摂政は,その在任中,訴追されない。」と規定しているが,天皇については,当然に,その在任中,訴追されないとする解釈。天皇の訴追に関する規定はないが、摂政でさえ,その在任中,訴追されないから,天皇であれば,なおさら当然に,その在任中,訴追されないとして,天皇についても当然に摂政と同様の法的効果が生じることを認めるものであるから、この解釈は、勿論解釈である。

類推 (解釈)

債務不履行に基づく損害賠償の範囲を「通常生ずべき損害」に限定する民法第416条の規定は,不法行為に基づく損害賠償の場合にも適用することができるとすること。不法行為に基づく損害賠償の範囲に関する規定がないことから,それと類似の事実に適用できる法規 (ここでは,債務不履行に基づく損害賠償の範囲を「通常生ずべき損害」に限定する民法416条の規定) を間接的に適用するものであり,このような解釈は,類推 (解釈) である。

なお、類推 (解釈) を行う場合は、①事実の類似性、②趣旨の共通性が必要である。

※ 「下馬」とは、社寺の境内等で馬から下りることをいうが、この趣旨について、馬は場所をわきまえず糞尿をする恐れがあるからであると解すると、牛についても、当該趣旨は当てはまるから、社寺の境内等では牛からも下りなければならないとする解釈は、類推 (解釈) である。

反対解釈

民法第737条第1項は,「未成年の子が婚姻をするには,父母の同意を得なければならない。」と規定しているが,成人の子であれば,婚姻をするについて,父母の同意を得ることを要しないとする解釈は。成人の子の婚姻に対する父母の同意の規定がないことから、成人の子であれば,婚姻をするについて,父母の同意を得ることを要しないとして,成人した子について,未成年の子とは反対の法的効果が生じることを認めているから,この解釈は,反対解釈である。

※ 「下馬」とは、上記のとおり、社寺の境内等で馬から下りることをいうが、この趣旨について、馬は社寺において忌まわしい生き物とされているからであると解すると、牛については、そのような事情がないから、社寺の境内等では牛から下りる必要はないとする解釈は、反対解釈である。



2017.03.10 Fri l 講義 平成29年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top