本日、行政書士試験の指定試験機関である財団法人行政書士試験研究センター(以下「センター」と略称します。)より、令和4年度行政書士試験合格発表がありました。
受験申込者数 60,479 人(令和3年度試験は61,869人令和2年度試験は54,847人、令和元年度試験は52,386人)、受験者総数 47,850人(令和3年度試験は 47,870人、令和2年度試験は41,681人、令和元年度試験は39,821人)で、合格者は 5,802 人(令和3年度試験は 5,353人、令和2年度試験は 4,470人、令和元年度試験は4,571人)、合格率は 12.13%(令和3年度試験は11.18%、令和2年度試験は10.7%、令和元年度試験は11.5%)でした。
受験申込者数は、毎年増加中でしたが、新型コロナウイルス禍の影響が下火となり、ほぼ横ばいとなったようです。
令和4年度行政書士試験について、試験直後の試験講評において、「令和3年度行政書士試験の合格率が10%を超えたため、令和4年度行政書士試験の難化が予想されていましたが、予想通り、令和4年度行政書士試験は、難化したと感じました。」と書きましたが、記述式の採点がちょっとだけ影響したのか、昨年とそれほど変わらない合格者平均点でした(当方は、合格者平均点は、192点~194点を予想していましたが、センターの発表では197点となっています。)
なお、例年書いていますが、試験当局は、合格率を8%程度(平成26年度試験において救済措置が発動されたことを考えると、「程度」より、「以上」に近い感じがします。) にする意向をもっているように思います 。
もっとも、合格率が10%を超えると、これまた問題で、平成29年度試験結果発表後、行政書士の御同輩の方々が、かなり憤っておられたことを覚えています (平成29年度試験の合格率は15.72%)。
そうなると、試験当局は、センターに合格率8~12%となる問題を作成して欲しいと思っているのではないかと思います(センターも、その範囲で、記述式の採点基準を作っているかもしれませんね。)。
そういう意味では、本年度試験は、「合格!」レベルなのかもしれません(行政書士の御同輩は、「合格率が高い!」と感じられると思いますが・・・)。
合格なさった方には、心からおめでとうございますと申し上げます。
努力が実を結びましたね。
講師としても、合格の報に接すると、「この仕事をやってて、よかったなぁ!」とつくづく感じます。合格の報をありがとう。
それとともに、一抹の不安がよぎります。そうです。「行政書士になる」ことへの不安です。
「行政書士試験に合格する」ことと、「行政書士になる」(すなわち、行政書士名簿に登録される)こととは、まったく違います。
例年、教え子の幾人かが行政書士になっています。開業後数年してお会いすると、成功されている方ばかりではありません(日行連の会誌を読んでいると、行政書士の登録と廃業は、ほぼ同数なのではないかと思うほどです(正確に見れば、登録数が多いとは思いますが・・・)。なお、これは、どの士業もほぼ同じで、土地家屋調査士だろうが、弁護士だろうが、司法書士だろうが、です。要は、営業力のない士業は、自然に淘汰されていく感じです。)。
「行政書士になる」ことを予定されている方は、きちんと計画を立てられた上で、開業準備をなさってください。
①他の士業との兼業か専業か
②専業としたら、何を専門とするか。
遺言・相続、成年後見、契約、内容証明郵便などの民事関連業務のみは、きわめて厳しいと思います(なぜなら、これらの民事関連業務は、単発の仕事になりがちで、常に仕事があるという感じではないからです。したがって、民事関連業務を専門分野とされるのであれば、企業コンサルや企業記帳業務をやりつつ、それらも仕事も受けるのが安定しているのではないかと思います。
昔から行政書士の専門となっている自動車登録関連、帰化等の国際関連は、安定している感じです。
③どのような形態で開業するか(事務所を持って独立開業、自宅で独立開業、使用人として開業)
などです。
余計なことかもしれませんが、「まだ営業力が十分でない方」は、行政書士をしている方の使用人や行政書士法人の従業員としての開業をお勧めします。後でも書きますが、行政書士に登録した後も、会費等で年間10万円程度取られます。そのほかに、結構な経費もかかります。独立開業しても、最初のうち、なかなか仕事はできません。諸々を考えると、「まだ営業力が十分でない方」が独立開業すると、数年で廃業の浮き名を見ることは火を見るよりも明らかです。したがって、「営業力があるか」否かについては、厳格に検討してください。
なお、「行政書士になる」ことを予定されている方向けに、例年の記事を修正して再度掲載しておきます(新しい情報があるときは、入れていきます。)
行政書士になるための費用 (当方が入会当時)は、次のとおりです。
・登録免許税 3万円
・日本行政書士会連合会登録手数料 2万5000円
・福岡県行政書士会入会金 20万円
・行政書士会会費 2万4000円*
・必要諸物品費等(入会式にて)1万2450円
・職印 1万円程度
・名刺 2000円程度
* 福岡県行政書士会福岡中央支部の場合、月8000円であり、1月、4月、7月、10月の3か月ごとに3か月分が徴収されます。内訳は、福岡県行政書士会会費5,500円、福岡県行政書士会福岡中央支部会費2,500円です。なお、最後の支部会費は、各支部ごとに異なっています。福岡中央支部の会費は、福岡県会では、最高額であり、他の支部では、支部会費が1,500円程度のところもあります。
※ 入会手続きは、各単位会(県単位)で異なりますので、まずは、各県の行政書士会のH.P.をご参照ください。
このほかに、個人開業の場合、原則として、事務所を持たなければなりません(なお、行政書士をしている方の使用人や行政書士法人の従業員として入る方も多くなりつつあります(この場合は、事務所を持つ必要はありません。)。開業後のことに心配がある方は、こちらも、ご検討なさるとよいかと思います。)。
自宅で事務所を開業することができますが、いろいろ条件があります(たとえば、①玄関から台所等の家族の生活空間を通らずに事務所としている部屋まで行ける、②お客様のプライバシーに配慮するため事件簿等の秘密とすべき書類を保管できる鍵付きロッカーがあるなど)。ですので、自宅で事務所を開業の方は、まず各都道府県の行政書士会に問い合わせをなさった方がよいでしょう。
また、今まで学習なさったことと、実務では大きな違いがありますので、各都道府県の行政書士会やその支部で行われている研修などに参加されるのもよいでしょう。
(福岡県会では、支部単位でも積極的に研修会を行っているので、県の行政書士会を通じて、各支部がどのような研修会を行っているのかを聞いて、訪問されるのもよいでしょう。)
研修などによって行政書士としての技術を磨くことはとても大切なことですが、顧客をつかむ努力は、もっと大変です。 同窓会の幹事になったり、お付き合いの飲み会に自費でたくさん参加したりなど営業努力は並大抵ではありません。
先輩行政書士に伺った話で印象的な話を一つしておきますね。その方は、行政書士になりたての頃、まったく仕事がなく、建設業の方を電話帳などで調べて、飛込営業に回ったとのことです。それでも、数年は、ほとんど仕事がなく、廃業しようかと思っていたときに、突然電話がかかってきて、建設業許可の更新のご依頼を受け、さらにその方のご紹介などで仕事が増え、現在に至ったとのことでした。
でも、行政書士になるとよいこともあります。
当方であれば、自分で時間の設計をでき、執筆、講義、農業、娘との時間を有意義に送っています。サラリーマンでは、とても困難であり、かつ、許されないことでしょうね。
受験申込者数 60,479 人(令和3年度試験は61,869人令和2年度試験は54,847人、令和元年度試験は52,386人)、受験者総数 47,850人(令和3年度試験は 47,870人、令和2年度試験は41,681人、令和元年度試験は39,821人)で、合格者は 5,802 人(令和3年度試験は 5,353人、令和2年度試験は 4,470人、令和元年度試験は4,571人)、合格率は 12.13%(令和3年度試験は11.18%、令和2年度試験は10.7%、令和元年度試験は11.5%)でした。
受験申込者数は、毎年増加中でしたが、新型コロナウイルス禍の影響が下火となり、ほぼ横ばいとなったようです。
令和4年度行政書士試験について、試験直後の試験講評において、「令和3年度行政書士試験の合格率が10%を超えたため、令和4年度行政書士試験の難化が予想されていましたが、予想通り、令和4年度行政書士試験は、難化したと感じました。」と書きましたが、記述式の採点がちょっとだけ影響したのか、昨年とそれほど変わらない合格者平均点でした(当方は、合格者平均点は、192点~194点を予想していましたが、センターの発表では197点となっています。)
なお、例年書いていますが、試験当局は、合格率を8%程度(平成26年度試験において救済措置が発動されたことを考えると、「程度」より、「以上」に近い感じがします。) にする意向をもっているように思います 。
もっとも、合格率が10%を超えると、これまた問題で、平成29年度試験結果発表後、行政書士の御同輩の方々が、かなり憤っておられたことを覚えています (平成29年度試験の合格率は15.72%)。
そうなると、試験当局は、センターに合格率8~12%となる問題を作成して欲しいと思っているのではないかと思います(センターも、その範囲で、記述式の採点基準を作っているかもしれませんね。)。
そういう意味では、本年度試験は、「合格!」レベルなのかもしれません(行政書士の御同輩は、「合格率が高い!」と感じられると思いますが・・・)。
合格なさった方には、心からおめでとうございますと申し上げます。
努力が実を結びましたね。
講師としても、合格の報に接すると、「この仕事をやってて、よかったなぁ!」とつくづく感じます。合格の報をありがとう。
それとともに、一抹の不安がよぎります。そうです。「行政書士になる」ことへの不安です。
「行政書士試験に合格する」ことと、「行政書士になる」(すなわち、行政書士名簿に登録される)こととは、まったく違います。
例年、教え子の幾人かが行政書士になっています。開業後数年してお会いすると、成功されている方ばかりではありません(日行連の会誌を読んでいると、行政書士の登録と廃業は、ほぼ同数なのではないかと思うほどです(正確に見れば、登録数が多いとは思いますが・・・)。なお、これは、どの士業もほぼ同じで、土地家屋調査士だろうが、弁護士だろうが、司法書士だろうが、です。要は、営業力のない士業は、自然に淘汰されていく感じです。)。
「行政書士になる」ことを予定されている方は、きちんと計画を立てられた上で、開業準備をなさってください。
①他の士業との兼業か専業か
②専業としたら、何を専門とするか。
遺言・相続、成年後見、契約、内容証明郵便などの民事関連業務のみは、きわめて厳しいと思います(なぜなら、これらの民事関連業務は、単発の仕事になりがちで、常に仕事があるという感じではないからです。したがって、民事関連業務を専門分野とされるのであれば、企業コンサルや企業記帳業務をやりつつ、それらも仕事も受けるのが安定しているのではないかと思います。
昔から行政書士の専門となっている自動車登録関連、帰化等の国際関連は、安定している感じです。
③どのような形態で開業するか(事務所を持って独立開業、自宅で独立開業、使用人として開業)
などです。
余計なことかもしれませんが、「まだ営業力が十分でない方」は、行政書士をしている方の使用人や行政書士法人の従業員としての開業をお勧めします。後でも書きますが、行政書士に登録した後も、会費等で年間10万円程度取られます。そのほかに、結構な経費もかかります。独立開業しても、最初のうち、なかなか仕事はできません。諸々を考えると、「まだ営業力が十分でない方」が独立開業すると、数年で廃業の浮き名を見ることは火を見るよりも明らかです。したがって、「営業力があるか」否かについては、厳格に検討してください。
なお、「行政書士になる」ことを予定されている方向けに、例年の記事を修正して再度掲載しておきます(新しい情報があるときは、入れていきます。)
行政書士になるための費用 (当方が入会当時)は、次のとおりです。
・登録免許税 3万円
・日本行政書士会連合会登録手数料 2万5000円
・福岡県行政書士会入会金 20万円
・行政書士会会費 2万4000円*
・必要諸物品費等(入会式にて)1万2450円
・職印 1万円程度
・名刺 2000円程度
* 福岡県行政書士会福岡中央支部の場合、月8000円であり、1月、4月、7月、10月の3か月ごとに3か月分が徴収されます。内訳は、福岡県行政書士会会費5,500円、福岡県行政書士会福岡中央支部会費2,500円です。なお、最後の支部会費は、各支部ごとに異なっています。福岡中央支部の会費は、福岡県会では、最高額であり、他の支部では、支部会費が1,500円程度のところもあります。
※ 入会手続きは、各単位会(県単位)で異なりますので、まずは、各県の行政書士会のH.P.をご参照ください。
このほかに、個人開業の場合、原則として、事務所を持たなければなりません(なお、行政書士をしている方の使用人や行政書士法人の従業員として入る方も多くなりつつあります(この場合は、事務所を持つ必要はありません。)。開業後のことに心配がある方は、こちらも、ご検討なさるとよいかと思います。)。
自宅で事務所を開業することができますが、いろいろ条件があります(たとえば、①玄関から台所等の家族の生活空間を通らずに事務所としている部屋まで行ける、②お客様のプライバシーに配慮するため事件簿等の秘密とすべき書類を保管できる鍵付きロッカーがあるなど)。ですので、自宅で事務所を開業の方は、まず各都道府県の行政書士会に問い合わせをなさった方がよいでしょう。
また、今まで学習なさったことと、実務では大きな違いがありますので、各都道府県の行政書士会やその支部で行われている研修などに参加されるのもよいでしょう。
(福岡県会では、支部単位でも積極的に研修会を行っているので、県の行政書士会を通じて、各支部がどのような研修会を行っているのかを聞いて、訪問されるのもよいでしょう。)
研修などによって行政書士としての技術を磨くことはとても大切なことですが、顧客をつかむ努力は、もっと大変です。 同窓会の幹事になったり、お付き合いの飲み会に自費でたくさん参加したりなど営業努力は並大抵ではありません。
先輩行政書士に伺った話で印象的な話を一つしておきますね。その方は、行政書士になりたての頃、まったく仕事がなく、建設業の方を電話帳などで調べて、飛込営業に回ったとのことです。それでも、数年は、ほとんど仕事がなく、廃業しようかと思っていたときに、突然電話がかかってきて、建設業許可の更新のご依頼を受け、さらにその方のご紹介などで仕事が増え、現在に至ったとのことでした。
でも、行政書士になるとよいこともあります。
当方であれば、自分で時間の設計をでき、執筆、講義、農業、娘との時間を有意義に送っています。サラリーマンでは、とても困難であり、かつ、許されないことでしょうね。
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