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次年度の改定等に忙しい年度末です。
昨日は、暑かったですね!

ところで、一般知識等の問題56が没問になりましたね。
当方が解いた限りでは、選択肢4が妥当でないとして正解となると思いますが、
「選択肢1、選択肢4及び選択肢5の表現が的確でないおそれがあり、複数の正答が考えられることが判明いたしました」
とのことです。

平成30年度行政書士試験 問題56

確かに、行政書士試験研究センターのおっしゃる通りなのですが、丁寧に読めば、やはり、選択肢4しか「妥当でない」となるものはないので、正直驚きました。
これについては、試験後、㈱東京法経学院の行政書士担当責任者の方から、何度も質問を受け、また、教えられることがあり(その方が、選択肢5については、指針の中で同じ文章を見つけとの報告を受けました)、かなり細かく詰めた上で、選択肢4が「妥当でない」という見解を維持してきました。
そのため、行政書士試験研究センターがどのような理由で没問にしたのかを知りたいのですが、その質問は受け付けられないでしょうね。

行政書士試験研究センターが作問するようになった平成12年度試験以降、これで6問目の没問です。
平成13年、平成14年、平成16年(すべて一般知識等)の没問は、ちょっと気をつければ、ミスに気が付くものでした。また、平成24年、平成27年のものは、いずれも法令科目(行政事件訴訟法)のものであり、法律担当者が作問している以上、内容間違いは許されないものでした。

本年度試験の没問は、明らかにそれらとは異なります。「受験生に(資格学校の答えが割れるような)不適切な問題を出してはならない」との当機関の意思が感じられるものであり、その点では、一定の評価ができると思います。
(でも、資格学校の答えが割れなかったら、どうなっていたのかしら?)

さて、これにより、記述式問題に与える影響ですが、採点基準が厳しくなるかどうかは分かりません。
ただ、過去の例に照らせば、採点基準が厳しくなったということはないように記憶しています。
(今でも、合格発表後に、「本年度は、没問があって、合格率が高くなりました」という旨の講評を書いた覚えがありますからね。)


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2018.12.05 Wed l 行政書士試験 平成30年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成30年度行政書士試験から2週間が経ちましたね。
当方の元にも、(予測)結果報告が入っています。

次年度試験の合格を目指される方から、方向性に関する意見を求められたので、参考になればと思うことを書いておきます。

当方が一番大切だと思うのは、敗因の分析です。そのうえで、対策を立てましょう。

1 基礎的学習力
まず、次の三つをクリアーすることができましたか。
本年度試験において、
①行政法択一式19問のうち、8割程度の15問は取れましたか?
②記述式問題で5割の30点は取れましたか?
③文章理解(問題58~60)で2問は取れましたか?

上記①~③のうち、一つでも満たされないものがある方は、学習不足または学習方法に問題があると考えます。
来年度合格を目指されるのであれば、基礎的な講座(上記②については、記述式講座も)に通われることをお勧めします。
もし、独学をされるのであれば、まず、行政法について、次の2の学習法を参考に、学習なさってください。

2 分野ごとの学習力
上記1①~③を満たされる方は、「ある程度学習された方」であろうと考えます。
さらに、次の点は、いかがでしょうか。
本年度試験において、
①基礎法学および憲法択一式7問のうち、6割程度の4問は取れましたか?
②民法および商法択一式14問のうち、5割の7問は取れましたか?

この基準を満たされない方は、その分野の学習不足が疑われます。
「来年度合格を目指されるのであれば、その分野のみ基礎的な講座に通われることをお勧めします。」と申し上げたいのですが、資格学校では、ある分野のみの講座は、用意されていないのが実情です。
資格学校の講座を受講することができない(受講しない)のであれば、やはり、受験道の王道である「過去問を解きながら、間違った点や疑問に思った点については、基本書で確認する」という学習をなさってください。

この場合、いくつかアドバイスがあります。
①必ず選択肢ごとに解いた痕跡を残してください。
②解くことができなかった問題は、何度も解き直してください。

以上の①および②を総合すると、例えば、次のようになります。
①選択肢ごとに「正答+理由付けができた」→青色、「正答のみ(理由付けができない)」→黄色、「誤答」→ピンク色のマーカーで、選択肢の横にチェックする。
②2度目以降は、黄色およびピンク色のみを解き、最終的に、すべて青色になるまで何度も解く(当方の経験上、試験当日になっても、全部青色になることはないと思います。)

また、次の点は、いかがでしょうか。
本年度試験において、
①一般知識等の40%ルールの6問は取れましたか?

この基準を満たされない方については、その原因が多数考えられるため、その特定は、難しいように思います。
まずは、前回のブログを参考に学習なさってはいかがでしょうか。

なお、平成30年度行政書士試験では、問題54、問題55、問題57~問題60の6問は、取って欲しい問題でした。
また、問題49、問題52、問題53も落ち着いて解けば、取れる可能性の高い問題でした。


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2018.11.26 Mon l 行政書士試験 平成31年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
平成30年度試験を踏まえて,平成31年度(仮)試験の対策をいくつか挙げておきます。

1 法令択一式
 問題数が多い行政法および民法を中心に学習して下さい。特に,行政法は,高得点を取ることができる科目ですので,十分な学習時間をこれに割くようにしてください。

 また,自分がやってきた学習を信じることができる程度まで,しっかりと準備をしてください。例年,受験生が知らないような知識問題がたくさん出題されます。その際、自分のやってきた学習を信じ切ることができないと、足をすくわれます

2 多肢選択式
 問題の主題をつかみ,それに従って,ある程度,空欄に入れるべき語句を絞り,空欄の前後の文章から空欄に入れるべき語句を確定するという作業を短時間で行ってください

3 記述式
 内容面のみならず形式面にも配慮してください。形式面に配慮をすれば,解答が空欄補充式になるため,キーワードを入れるだけで済み,また,採点においても,採点ミスを減らすことができると考えています。
 なお,内容面は,法令択一式の学習とまったく異なるものではなく,その学習プラスαで足ります。40字程度で書けるような内容の部分があれば,テキストなどに印を付けておかれるとよいでしょう。

4 一般知識等
 文章理解については,接続詞,指示語,キーワードに注目して解けば,例年,2問程度は解ける問題が出題されていますので,これを落とさないことが重要です
 
 文章理解以外は、①法律を素材として出題される問題があることから,過去に出題された法律については,必ず確認をしておく,②各国の政治制度,選挙制度,国際連合,日本銀行,日本の経済,介護保険,環境問題などの基本的事項については,最低限の知識を押さえておくようにしましょう。

 個人情報保護法および行政機関個人情報保護法については,法改正部分を中心に,丁寧な学習を行ってください

※特に強調しておきたいこと
 記述式問題は、形式面に配慮してください。記述式問題では、例年、試験委員が書くべき内容をある程度、指定していますが、平成30年度試験では、さらに、記述すべき用語まで指定してきました(問題44の「本件契約」)。この指定に従わないと、その部分は、0点となると思います。試験である以上、合格することが目的になりますので、その目的に向かって、最善の努力をなさってください。
 なお、形式面に配慮するためには,問題文の問われ方に従って解答を作成することができるようにならなければなりません。その練習のため,記述式対策講座のような特別の講座を受けられることをお勧めします。


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2018.11.22 Thu l 行政書士試験 平成31年度 l コメント (0) トラックバック (0) l top
11月11日付記事で、平成30年度行政書士試験 問題44の解答について、次の通り記載しました。

「この記述(=A県を被告として、農地転用許可の義務付けの訴えに不作為の違法確認訴訟を併合して提起すべき。(45字))は、行政書士試験の趣旨または題意に沿って解答した場合です。
しかし、問題文を素直に読めば、申請書がA県知事に届かなかったように読めます。
そうなると、A県知事に農地転用許可の申請に対する何らかの応答義務が発生したということは、いえないと考えます。
したがって、A県を被告とする不作為の違法確認は、不適切であるように思います。
不受理について処分性を認めることができれば、その不受理の取消しを請求するということができるかもしれません。
そうなると、次の解答になります。
B市に対し、申請の不受理処分の取消しを求めて処分の取消しの訴えを提起すべき。(38字)」

当方は、当初、上記の通り考えました。
しかし、そうなると、次の問題が生じます。
①A県知事とB市農業委員会は、別個独立の機関であると解されるから、(本問では、あくまでもB市農業委員会の行為しか問題にすることができず)A県知事の許可を問題とすることはできない→農業委員会の不受理行為または意見を付さなかった不作為について審査請求できないか?
 ↓
②農業委員会が不受理とすることは、行政手続法の一般原則から言えば、できないはず→そうなると、不受理に処分性が認められないのではないか。また、意見を付すことは、行政内部の事項であり、これまた、処分性が認められないのではないか?
※知事に対する建築許可の申請に関し、消防法7条に基づいて消防長が知事に対して行う同意、不同意は処分に該当しないという判例(最判平成34年1月29日)
 ↓
③しかし、そうなると、Xの救済手段がない→救済手段のない法はあり得ない(正義に反する)→農地法等の特別法で農業委員会には、不受理とする権限が与えれれているのではないか。または、正義の観点から、農地委員会の不受理について、処分性が認められるという解釈ができないか?
 ↓
④そうなると、上記の通りの答えが導けないか?
 ↓
⑤この考え方は、行政書士試験の範囲を逸脱しているから、当局は、「A県を被告として、農地転用許可の義務付けの訴えに不作為の違法確認訴訟を併合して提起すべき。(45字)」という答えを求めていることは明らか
 ↓
⑥「A県を被告として、農地転用許可の義務付けの訴えに不作為の違法確認訴訟を併合して提起すべき。(45字)」を第1解答として提示したうえで、異議を留めるため、「B市に対し、申請の不受理処分の取消しを求めて処分の取消しの訴えを提起すべき。(38字)」という第2解答を提示し、後日、検討しよう。

以上が、ここ2日ほどの経過でした。

昨日は、東京法経学院の試験講評(速報版)を書いていたため、ようやく時間が取れました。

判例・裁判例を検討していたところ、類似の事例を発見しました。(詳細判例は、後掲)

1 平成19年9月26日さいたま地方裁判所  第4民事部
 ①農業委員会をもって都道府県の一機構とみることはできない。そして,上記申請に対する手続に照らすと,本件申請は,埼玉  県知事を名宛人に対してなされたものではあるが,春日部市農業委員会から同知事に対する申請書の送付がない限り,同知  事に対する申請として認められないことになる。したがって,本件においては知事に対する申請はなく,また本件申請に対する  知事の処分は存しない。
 ②農業委員会には申請書の受領を拒否する権限はないのであるから,本件申請の受理拒否は無効な行為といわざるをえない。そうであるとすれば,農業委員会に対する本件申請は残存しており,農業委員会は,これに意見を付して送付すべき義務をな  お負っていることになる。他方,本件申請があってから40日以上が経過したことも明らかである。したがって,原告としては,農  地法施行令1条の2第3項に基づき,知事に直接申請書を提出することができ,これにより本件における原告の救済は達せら   れるし,このように解することが原告に特段不合理な結果をもたらすともいえない。
 ③争点5(知事に不作為の違法があるか)について
   本件において,春日部市農業委員会から埼玉県知事に対し,本件申請にかかる申請書が送付されたことはないのであるか   ら埼玉県知事に本件申請に対する作為義務が発生することはない。そうであれば,原告の本件申請に対する作為義務を前提  とする予備的請求にかかる訴えは不適法であるといわざるをえない。

※ ②の法的構成は、感心しましたね。救済手段を考えたうえで、農地法施行令1条の2第3項の規定を探し当て、本件申請の受理拒否は無効な行為という方向で処理した感じです。この裁判例を見て、当方の上記第2解答は、無理な構成だと悟りました。

2 上記1判決の控訴審判決
  法5条1項の許可に係る申請書の提出先は農業委員会とされているところ,農業委員会は,農業委員会等に関する法律に基 づき設置された市町村の行政機関であって(農業委員会等に関する法律3条 ,地方自治法に基づき設置された都道府県の行 政機関である都道府県知事からは独立した行政委員会である。このように,行政組織法上,処分行政庁からは独立した行政機関を経由機関として,申請を受理する法制度の下においては,申請権を有する者が 経由機関に申請書を提出した場合には これによって処分行政庁の応答を得ようとする意思の表明があることは明らかであって,処分行政庁は,申請に対し,相当の期間 内に応答する義務を負うことになると解すべきである。そして,経由機関を経由して申請書を提出すべきことが定められている場合にあっては,上記相当の期間は,経由機関から処分行政庁に申請書を進達等するために要する相当の期間及び処分行政庁が申請に対する処分をするために要する相当の期間を通じた期間をいうものと解され,こうした相当の期間を経過しても,申請に対する応答がされない場合には,処分行政庁は,申請に対する応答義務を怠るものとの評価を免れない。

※この法的構成には、正直驚きました。法的救済のため、法制度に解釈を加えて救済手段を編み出したもので、さすがというべきでした。この方向性が正しいのでしょうね。
なお、原審のさいたま地裁判決に対しては、「令1条の15第2項 1条の2第3項が上記のように直接都道府県知事に申請書を提出することを認めているのは,行政不服審査,行政事件訴訟の手続による救済とは別に,新たに都道府県知事に申請書を提出することによって,簡明に申請に対する応答を得る途を開いたにすぎないものというべきである。」として、令1条の15第2項 1条の2第3項は、救済手段を定めたものではないから、申請に対し行政庁がきちんと対応しない場合に備えて、それ自体の救済手段を考えましょうとする考え方にも、感心しました。さすがというべきです。

3 平成元年1月23日 名古屋高等裁判所金沢支部
※ 裁判所の判例委員会の裁判要旨をそのまま載せておきます。 
 県規則において,県建築主事あての建築確認申請及び県知事あての開発行為許可申請は町長を,県知事あての農地転用許可後の事業計画変更承認申請は町農業委員会を経由して,前記各申請書を提出すべき旨が定められている場合につき,前記規則に基づいて町長等が行う申請書の受理及び審査は,処分権者である建築主事等の1機構として行うものであり,町長等に対し申請書が提出されれば,建築主事に対して申請をしたのと同一の効果を生じるものというべきであるから,町長等が,申請書を建築主事等に送付しない場合には,端的に,建築主事等を被告として,申請に対する応答をしない不作為の違法確認の訴えを提起すべきであり,町長等を被告として不作為の違法確認を求めることは,処分権限を有しない者を被告とし,また,申請書の送付行為という行政処分性を有しない行為を対象にしている点で,不適法であるとした事例

※この裁判例の考え方を、本問題の事例にそのまま当てはめることができるとすれば、当方の第1解答の通りになります。
なお、この判例が出た当時、義務付け訴訟は、規定が置かれていなかったので、不作為の違法確認の訴えを提起すべきとされています。

★まとめ
東京高判と名古屋高判で、その論理構成は違えど、結論は一致しますね(すなわち、当方の第1解答と同じ)。
おそらく、行政書士試験研究センターの解答例も、「A県を被告として、農地転用許可の義務付けの訴えに不作為の違法確認訴訟を併合して提起すべき。(45字)」とほぼ同じものになるかと思います。

今回の問題には、とても勉強させていただきました。試験委員に感謝いたします。

<参考判例>
平成19年9月26日さいたま地方裁判所  第4民事部
主文
1 本件訴えをいずれも却下する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由
第1 請求
(主位的請求)
原告が平成18年7月3日付でした農地法5条に基づく農地転用許可申請について,埼玉県知事が訴外春日部市農業委員会を通じ同月31日付で受理を拒否した処分を取り消す。
(予備的請求)
原告が平成18年7月3日付でした農地法5条に基づく農地転用許可申請について,埼玉県知事が相当の期間内に何らの処分をしないことが違法であることを確認する。

第2 事案の概要
1 事案の概要
  本件は 原告が春日部市農業委員会に対し,別紙物件目録記載の土地(本件土地)につき,農地法5条に基づく農地転用許可 申請(本件申請)をしたところ,春日部市農業委員会は,許可申請書に必要書類(農用地除外証明書等)が添付されていない等 として,本件申請を受理しなかったことから(本件受理拒否行為),これを不服とする原告が,春日部市農業委員会は農地転用  許可の判断権者である県知事の一機構であり,同行為は知事の行為と評価できると主張して,被告に対し,主位的請求として本 件申請の受理を拒否した処分の取消を,予備的請求として,農地転用許可申請がありながら許否の判断を怠った不作為の違法 確認を求めたものである。
2 争いのない事実等(証拠により容易に認定できる事実は,かっこ内に証拠を示す。)
  略
3 法令等の定め
  略
4 4 争点
(主位的請求について)
(1) 本件受理拒否行為が知事の処分といえるか
(2) 本件受理拒否行為が行政処分に当たるか
(3) 審査請求の前置があるか
(4) 本件受理拒否行為が行政処分に当たるとした場合に本件受理拒否行為は違
法か
(予備的請求について)
(5) 知事に不作為の違法があるか

5 当事者の主張
  略

第3 争点に対する判断
1 争点1(本件受理拒否行為が知事の処分といえるか)について
(1) 農業委員会は農業委員会等に関する法律に基づき設置された市町村の行政機関であり(農業委員会等に関する法律3条), 他方都道府県知事は地方自治法に基づき設置された都道府県の行政機関であって(地方自治法139条),その所属する公共  団体を異にする別個の機関である。そして,農地法89条が,農林水産大臣につき,農業委員会ないし都道府県知事の事務に関 して,農業委員会ないし都道府県知事に対し,指示を行うことができ,都道府県知事がその指示に従わない場合には,農林水産 大臣が自らその事務を行うことができると規定していること,これに対し,都道府県知事が農業委員会に対し,同様に指示等を行 うことができる旨の規定はないこと及び同法施行令において,申請者は,農業委員会が40日以内に申請書を送付しない場合に は都道府県知事に対し直接申請書の提出ができる旨規定していることからすれば,法令上,県知事には農業委員会の作為ない し不作為につき是正する権限はなく,両者は指揮命令関係にはないものと解される。このような両者の関係に加え,農業委員会 が選挙により選出された地域の農業に精通した者及び学識経験者等による合議体であり(農業委員会等に関する法律7条,8  条,12条),法令に基づき農地法の利用関係の調整及び自作農の創設維持に関する事項を処理するほか,農地等として利用  すべき土地の農業上の利用の確保や農地等の利用集積その他農地等の効率的な利用の促進に関する事務の処理や,当該区 域内の農業及び農民に関する事項につき,意見を公表し,他の行政庁に建議し,又はその諮問に応じて答申することができると されていること(同法6条)及び農業委員会が相当期間内に申請書を送付しないため,農業委員会を経由しないで申請書が提出 された場合においても,当該申請に関し,農業委員会の意見を聴くことができる(農地法施行規則2条の5第2項)ことからすれ  ば,農地法施行令が,農地法5条の許可申請書を農業委員会を経由して提出することとしたのは,農地転用の許可権者たる県 知事が,当該申請につき適切な判断をするにあたり,地域農業に精通する農業委員会の意見を聴取するのが相当としたためで あると解される。
  以上の農業委員会と都道府県知事の有する各権限,両者の関係及び審査手続きに照らすと,農業委員会をもって都道府県の 一機構とみることはできない。そして,上記申請に対する手続に照らすと,本件申請は,埼玉県知事を名宛人に対してなされたも のではあるが,春日部市農業委員会から同知事に対する申請書の送付がない限り,同知事に対する申請として認められないこ とになる。したがって,本件においては知事に対する申請はなく,また本件申請に対する知事の処分は存しない。
 この点,原告は,農業委員会には独立の処分権限がないことから,農業委員会は知事の一機構であり,本件申請の受理拒否行 為は県知事の行為と評価できると主張する。しかし,独立の行政庁が諮問機関としての立場で意見を述べるにとどまり,国民に 対する関係で独自の処分を行う権限がない場合は他の法令上も見られることであり,対外的に独自の処分権限がないことをもっ て,必ずしも農業委員会が知事の一機構であるということにはならない。
 (2) ところで,本件において,春日部市農業委員会は,原告に対し,本件申請を受理できない旨の書面(甲6)を交付しているとこ ろ,同書面には,相当期間を定めて補正を促す旨の記載等はなく,申請を却下する最終的な意思を表示したものと評価できる。 上記のとおり,本件では,知事による処分の有無が問題となっているから,本来,農業委員会の上記処分について判断をする必 要はないが,原告は,このような場合における救済措置の有無を問題としているから,念のため,農業委員会にかかる処分を行 う権限があるか検討する。
  農地法5条1項に定める農地の転用許可の事務は本来国の事務にかかるところ,都道府県知事の第1号法定受託事務とされ たもの(農地法91条の3第1項2号)であって,これにより都道府県知事は,必要的添付書類の有無を含めた申請の適法不適  法,許可の適否につき判断する権限を与えられたものと解されること,施行令1条の2第2項が「農業委員会は,前項ただし書の 規定により申請書の提出があったときは,農林水産省令で定める期間内に,当該申請書に意見を付して,都道府県知事に送付 しなければならない」と農業委員会の送付義務を規定していること,法令は,添付書類の欠如等形式的な不備のある場合に,農 業委員会が申請書の受理を拒否できる旨の明文の規定をおいていないことからすれば,農業委員会は,提出された申請書を審 査し,意見を付して都道府県知事に送付することができるのみであり,申請書の受理を拒否する権限はないと解すべきである。
 そうすると,農業委員会には申請書の受領を拒否する権限はないのであるから,本件申請の受理拒否は無効な行為といわざる をえない。そうであるとすれば,農業委員会に対する本件申請は残存しており,農業委員会は,これに意見を付して送付すべき  義務をなお負っていることになる。他方,本件申請があってから40日以上が経過したことも明らかである。したがって,原告とし  ては,農地法施行令1条の2第3項に基づき,知事に直接申請書を提出することができ,これにより本件における原告の救済は 達せられるし,このように解することが原告に特段不合理な結果をもたらすともいえない。
(3) 以上によれば,結局本件申請に対する知事による処分は存しないから,本件主位的請求にかかる本件訴えは不適法であると いわざるをえない。
2 争点5(知事に不作為の違法があるか)について
  本件において,春日部市農業委員会から埼玉県知事に対し,本件申請にかかる申請書が送付されたことはないのであるから 埼玉県知事に本件申請に対する作為義務が発生することはない。そうであれば,原告の本件申請に対する作為義務を前提とす る予備的請求にかかる訴えは不適法であるといわざるをえない。
3 結論
 以上によれば,原告の訴えはいずれも不適法であるから,却下することとし,主文のとおり判決する。

2018.11.13 Tue l 行政書士試験 平成30年度 l コメント (2) トラックバック (0) l top
例年の記事を本年度向けに修正して載せておきます。

 毎年書いていることですが、行政書士試験の合格基準イ(=行政書士の業務に関連する一般知識等科目の得点が、満点の40パーセント以上である者。)をクリアされた方の中で、法令等の択一式問題があまりできなかった方は、記述式問題の出来如何になりますね。

 記述式問題の採点基準は、公にされていませんが、当方が数年いろいろ試してみた結果や受験生の話を総合すると、試験の点数調整のため、かなり厳しい基準が採られることがあります。たとえば、1問の中で、求められている事柄が二つあり、そのうちの一つが出来たからといって、必ず半分の点数がもらえるわけではありません。

 もっとも、近年は、択一式問題が難しかったためか、キーワードができていれば、点数がもらえるようになっているように感じます。
 さらに、平成26年度行政書士試験では、事例問題であっても、その問題に合わせて記述することが求められていません(たとえば、「A市議会」とすべきところ「議会」でOK。)。
 また、必ずしも法令用語を用いることも要求されていません (たとえば、「指定管理者」とすべきところ、「指定管理団体」でOK!)。

なお、「誤字・脱字」、「字数制限違反」は減点という感じです。
※ 当方が採点基準を設けるとすれば、次のとおりです。
「誤字・脱字」は、一つについて2点減点。
「字数制限違反」は、46字~50字は4点減点、50字を超える場合は10点減点。

さて、本年度は、どういう採点基準が設けられるでしょうか。
確たることは言えませんが、本年度本試験を解いてみた限り、かなり難化した感じがしています。
昨年度の合格率が影響している感じです。
ただし、記述式は、かなり易しくなったように感じます。
特に、問題45は、どの資格学校でも、本命として準備するように言っていたところだと思います。

以上から考察すると、本年度の記述式問題の採点は、キーワードができていれば、配点されるのではないかと考えています。




問題44(11月13日に修正)
当方の解答は、「A県を被告として、農地転用許可の義務付けの訴えに不作為の違法確認訴訟を併合して提起すべき。」(45字)です。
このうち、①「A県」、②「農地転用許可の義務付けの訴え」、③「不作為の違法確認訴訟」、④「併合」がキーワードです。
(当方だったら、①6点、②6点、③6点、④2点を振りますね。)

※ この解答については、今でも疑問があります。
疑問については、11月13日付のブログで記載しています。

問題45
当方の解答は、「Cに対し、本件契約を追認するか否か確答する旨の催告をし、取消しの意思表示を得る必要がある。」(45字)です。
このうち、①「C」、②「本件契約を追認するか否か確答する旨の催告」、③「取消しの意思表示を得る」がキーワードです。
(当方だったら、①4点、②8点、③8点を振りますね。)

問題46
当方の解答は、「書面によらない贈与は履行が終わらない限り、撤回できるという理由で、贈与の撤回を主張すべき。」(45字)です。
このうち、①「書面によらない贈与」、②「履行が終わらない限り、撤回できる」、③「贈与の撤回」がキーワードです。
(当方だったら、①6点、②6点、③8点を振りますね。)



なお、例年のお節介を書いておきます。
試験を受験なさった方からの報告によると、▼社の無料採点では30点近くついてきたのに、合否通知書には1桁の数字しかついてこなかったそうです。
当方は、最初から厳しいことを言うようにしています。

追記
■ 「一つでもキーワードを間違っていると、その問題は、0点とする。」という厳しい採点基準を設けることは理論上可能ですが、記述式問題が40字程度の文章を書かせるようになった平成18年度行政書士試験以降、そのような厳しい基準が設けられたことはありません。

■ 余計なことを書いていても、誤りがなければ、部分点はつきます。
ただ、字数との関係で、キーワードを落としてしまうでしょうから、その部分は得点できないことになりますね。

■ 積極ミスは、そのミスの程度、採点基準にもよりますが、そのキーワードは0点になります。たとえば、正答が「家庭裁判所」である場合に、「裁判所」でも点数がもらえるのに、「地方裁判所」と書いたような場合です。

■ 点数は、2点刻みになっているようです。答案用紙の採点欄は、1から10までのマークシートになっていますからね。

★宣伝1★
来年度も、東京法経学院福岡校にて、本科の講義を行います。
それに先立ち、平成31年1月19日(土)10時から3時間程度、ガイダンスを行います。
ガイダンスは、無料ですので、ぜひご参加ください。
なお、その前日までに予約をして下さい。
予約が入らなければ、当方は、週末農業にいそしみますので…
(平成31年2月2日(土)から、本科の授業を開始します)

行政書士 2019年度試験向け 受験対策講座


★宣伝2★
東京法経学院福岡校では、来年度も、本科を学ばれた方を対象とする
中上級講座を行います。
平成31年1月20日(日)からの予定になります。
来年度、絶対合格したい方は、ぜひご参加ください。

民法・行政法マスター択一答練

2018.11.11 Sun l 行政書士試験 平成30年度 l コメント (19) トラックバック (0) l top
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